高教組 通信 №8

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高教組通信№8
URL:http://www.hyogo-kokyoso.com
《部内資料》
2016年7月4日
兵庫高教組書記局
E-mail:[email protected]
いよいよ、7 月 10 日投票の参議院選挙が近づいてきました。今回の参議院選挙はこの国
のかたちと、子どもたち、そして私たちの将来を決める選挙となります。同時に、「戦争法」
やアベノミクスをめぐって、しっかりとした対立軸の中で行われる選挙でもあります。それ
だけにどの政党も、僅差の勝敗を意識して、今までにない必死な様相で選挙運動を展開して
います。まさにわたしたち主権者一人ひとりの責任が大きく問われる選挙となります。
そのような選挙戦の公示日直後、イギリスでは国民投票によってEU離脱派が勝利し、一
時、株価は急落、そして円高が一気に進みました。この間、安倍政権は、株式市場に年金資
金を大量投入することで、株価の底上げにつなげてきました。金融不安が広がる中、私たち
の年金は大丈夫なのでしょうか。
アベノミクスと景気回復 消費支出 2 年連続マイナス
高教組通信№5でもお伝えしましたが、アベノミクスは第一の矢である異次元の金融緩和、
つまりは年間80 兆円にもおよぶ国債の買い占めや7兆円を超える株価買い支えなどの量的緩和
によって、株価を引き上げ、大企業の利益につなげてきました。しかし、実体経済において、
景気がなかなか回復せず、トリクルダウンもあまり起きなかったため、物価上昇に賃上げが届
かず、5 年連続の実質賃下げが続いてきました。年収 400 万円世帯では、20 万円目減りし、19
90 年以降で最低の水準となっています。そのため、消費購買力も低下し、戦後初めて 2 年連続
で民間消費支出がマイナスとなりました。
大企業は 300 兆円を超える内部留保をためこむなど、
大きな利益を上げながら、しかし依然として景気は回復したとはいえないのです。
さらに、量的緩和による円安、株高も実体経済の景気回復を伴わなければ、GDPの6割を
占める個人消費を向上させることができず、そう長続きはしません。ですからこの 1 年、じり
じりと円高は進み、株価も値下がりしてきたのです。
金融不安による日本経済への影響
そして、そこにもってきてのさらなる金融不安です。6月23日に実施されたイギリスの国
民投票では、僅差の中、EU離脱派が勝利しました。それにより、世界的な金融不安が広がり、
円は一時99円台にまで急進し、日経平均株価は 15,000 円を割り込みました。EU離脱はイギ
リスの信用低下やEU全体の景気悪化にとどまらず、イギリスに 931 社が進出しており、直接
投資額が 1 兆 7000 億円と米国に次ぐ第 2 位の日本への経済的悪影響が心配されます。
また、安倍政権は量的緩和を進め、年金資金を株式市場に大量投入することで株価上昇を支
えてきましたが、
世界金融不安による株価下落が年金そのものにも影響を与えかねないのです。
株価下落による年金への影響 最大損失額 21.5 兆円
私たちの年金、つまり厚生年金と国民年金の積立額は合わせて 135 兆円です。この積立金は
厚生労働大臣が所管する「年金積立金管理運営独立行政法人(GPIF)」が管理・運用して
います。そして言うまでもなく、「年金制度の運営の安定に貢献する」ことがGPIFの最大
の使命です。しかし、安倍政権は 2014 年 10 月にその運用方針を大きく転換しました。それま
で2割程度だった株式市場への年金運用を、一気に5割に引き上げたのです。これによって年
金積立金から多くの資金が株式市場に流れこみ、株価を下支えすることにはなりましたが、同
時に株式市場の動向に、年金積立金が強く影響を受けることとなったのです。
では、このような金融不安の中、私たち年金は大丈夫なのでしょうか。2015 年1月に民主党
(当時)の長妻昭衆院議員が、先述した年金の運用見直しで想定される今後の最大損失額を質問
主意書で問いただしましたが、政府答弁書で最大損失額が約21・5兆円となり、見直し前の
最大損失額(約10・4兆円)と比べて2倍に膨らんだことが明らかになりました。今後の株
価の下落次第によっては、私たちの年金積立金が大きな損失を受けることも考えられます。事
実、安倍首相は 2 月 15 日の衆院予算委員会で、東京株式市場の株価下落で年金運用が想定を下
回る状況が長期にわたって続いた場合、将来的に給付額を減額する可能性があると述べていま
す。
国民を豊かにする実体経済を
アベノミクスは、量的緩和によって、円安を頼りに外国から投機資金を引き入れて、株高に
つなげ、大企業の利益を作り出してきました。しかし、反面、実体経済による景気回復にはつ
ながらず、さらに、アベノミクスの性格上、金融不安の中で、とりわけ日本の金融市場が深刻
な影響を受けやすくなっているとの指摘を受けています。
雇用や年金、そして教育や福祉。国民の暮らしを豊かにする日本の経済をどのように作って
いくのか、そのことも、今、大きな争点となっているのです。
いよいよ 7 月 10 日は参議院選挙
期日前投票も含めて、
みんなで選挙に行きましょう!
高校生にも大いに投票を呼びかけましょう