シアノバクテリアの生態学:その先端と将来 コンビーナー:坂本敏夫(金沢大学理工研究域自然システム学系生物学コース) 我が国では、高度経済成長期以降に多くの環境問題が起こった。湖沼では富栄養化が深刻化し、 多くの湖では有毒シアノバクテリアのアオコが発生した。これを契機として、我が国では、アオコ の生態や防除対策の研究、さらにはアオコ等のシアノバクテリアから有用物質を取り出す研究など、 多様で奥深い研究がなされるようになり、我が国のシアノバクテリア研究は世界でトップクラスの レベルにある。また、シアノバクテリアの大発生は世界各地で普遍的に見られる環境問題であり、 大発生に伴う経済的損失や産業構造の変化、さらには周辺住民の生活との関わりなどの、人文・社 会科学の研究も行われている。しかし、研究が多様化し、かつ、深化した結果、シアノバクテリア 研究の専門化・細分化が進み、研究者の間の横方向でのつながりの機会は希薄となっている。細分 化された研究テーマはそれぞれに主な発表の場を違えており、各々の専門に限られた情報交換の中 では新しい研究のアイデアや技術の更新が得られにくいという問題をかかえている。 本研究集会では、従来型のシアノバクテリア研究の現状を打破し、細分化された研究者間の横の つながりを強化するため、ラン藻研究者を一堂に介し、生態学から分子生物学まで網羅して最新の 知見と今後解決するべき諸問題の共有を図る。新たな研究のアイデアを発掘、社会実装の具現化を 効率良く進めることにより、水圏生態系においてシアノバクテリアが引き起こす環境問題の解決、 さらにはシアノバクテリアを有用転換する革新的技術開発、さらにこれらによって人類の福祉・健 康に貢献する、シアノバクテリアを多様な学術的アプローチから議論するプラット・フォームを構 築すべく企画した。 日時:2016 年 9 月 5 日 場所:京都大学生態学研究センター、第一講義室、第一セミナー室 http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/ecology/access/index.html プログラム 13:30-13:40 開会のあいさつ(坂本)、司会:中野 13:40-14:10 原田健一(名城大学大学院総合学術研究科・薬学部)「Microcystis ラン藻の 生活環解明 - 化学生態学的アプローチ-」 14:10-14:40 朴虎東(信州大学理学部物質循環学コース)「湖沼・川・河口における有毒 ラン藻の動態と対策」 14:40-15:10 程木義邦(京都大学生態学研究センター)「神経毒アナトキシン a を生産す る Cuspidothrix issatschenkoi の環境特性」 15:10-15:30 Break 15:30-16:00 得平茂樹(首都大学東京)「貧栄養環境におけるラン藻の生存戦略」 16:00-16:30 坂本敏夫(金沢大学理工研究域自然システム学系生物学コース)「陸上生活 するラン藻 ーイシクラゲー」 16:30-17:00 中野伸一(京都大学生態学研究センター)「ラン藻に対する摂食のいろいろ (仮題)」 17:00- 総括コメント:彼谷邦光(株式会社シー・アクト) 17:15- おわりに(坂本、中野)
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