第5講

マーケティングの世紀
マーケティングの発生と発展
19世紀の変化
株式会社制度のもたらした変化
• 月ごとの現金収入
• 国民所得の増大
• 企業の生産性の向上
• 「労働と労働者」「消費と文化」「経済と社会」
を変化させた
第一次世界大戦の成果
• ヨーロッパは「文明の終わり」
• アメリカは「永遠の繁栄」
– 工業製品の大量生産
– 所得増加
– 消費拡大
• WWI特需による「生産規模の拡大」と合理化
による「生産性の向上」により生産過剰
• 世界恐慌
20世紀の企業努力の方向性
• 企業努力の方向は「生産規模の拡大」と「合
理化」による生産性の向上
• コスト・ダウンによる低価格で競争を勝ち抜く
• 企業の外側にある流通過程、販売過程への
取り組みより、内部にある生産過程の管理が
容易
– 成果物は「科学的管理法」「原価計算」
• 生産と消費の不均衡が増大
• マーケティングの登場
A.W.ショウ
• 科学的な知識の活用により、効率的な生産
組織が確立したことを指摘
• 生産能力が十分に活用されるためには流通
の問題解決が必須課題
• 企業内部に注がれていた関心を企業外部に
向けさせた
• マーケティングのパイオニア
R.S.バトラー
• 個別企業の視点によるマーケティング論の原
型を提示
• マーケティングの範疇に販売活動・人的販
売・広告を含み、製品・市場・流通チャネルに
関する研究を行った。
• 4Pの原型であると評価
M.T.コープランド
• 「マーチャンダイジングの原理」
• 生産財と消費財の違いを重視
• 消費者の購買習慣に基づき消費財を分類
① 便宜品(最寄品)
② 買回品
③ 専門品
• 分類ごとのチャネル選択を明らかにした
• 包括的・一貫した計画がロイヤルティを形成
現代のマーケティング
WWIIによるアメリカの変化
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経済的には再び膨大な富が蓄積
国際政治的に強力な発言力
社会的には新たなかつ優秀な労働力
巨大な世界マーケットの出現
第二次世界大戦後の企業
• 企業内部を管理し、低コストによる利益の追
求と単なる販売活動を意味する初期のマー
ケティングからの脱皮
• 関心は企業外部の市場流通に向けられた。
• 消費者の購買習慣を含む包括的な製品流通
計画へと発展
• 一層体系化した現代マーケティングが登場
従来のマーケティング
• 企業の関心は消費者に向けられていた
• 一方で、マーケティングは販売活動である
• すでに生産されてしまった製品を販売するこ
とがマーケティングである
• すでに生産された製品を現金にかえるという
売り手のニーズを満たすための販売活動が
マーケティングであると理解されていた
P.F.ドラッカー
• 企業の目的は、それぞれの企業の外にある。
• 企業の目的として有効な定義は「顧客の創
造」
• 市場は、企業によって創造される
• 顧客が購入する商品を通じて得る価値を重
視
• 企業活動の中心に顧客を据えた
企業の定義をするもの
• 「企業」「企業が展開する事業」の定義は企業
自身によって決定されない
• 「企業」「企業が展開する事業」の定義は顧客
が決定する
• 顧客にとっての価値によって定義が決定され
るのである。
顧客志向のマーケティング・コンセプト
• マーケティングの目的はセリングを不要なこと
にすること。
• 顧客を理解し、製品が顧客のニーズに合致
すれば自ずと売れてしまう。
• 典型的な売り手(供給側)の論理とは反対
• 買い手(需要)の論理
• 「生産者が顧客に価値ある満足を与えるため
に必要な全ての活動の総和」
マーケティングの位置づけ
• 「マーケティングは企業にとってあまりに基本的
な活動である。
• そのため、強力な販売部門をもち、そこにマーケ
ティングを任せるだけでは不十分である。
• マーケティングは販売よりもはるかに大きな活動
である。
• 全事業に関わる活動である。
• 企業の全領域に浸透させることが不可欠であ
る」と述べた。
プロセス全体の取り組み
• 製造部門におけるコストは十分に理解
• 流通チャネルにおけるコストはほとんど把握
できない
• 会計上、流通チャネル上の企業は別企業だ
から
• 流通チャネルを含む全体のプロセスをトータ
ルに管理
• 部分の最適化ではなく全体の最適化が必要
W.オルダーソン
• 販売管理として理解されていたマーケティン
グを、企業経営のすべての側面に関わるもの
として位置付けた
• 市場調査、製品開発、価格、販売、品質管理
に対する関係を提示
• 経営目的達成のために資源を組織的に管理
し評価する統合的マーケティング理論を展開
T.レビット
• 「マーケティング近視眼(Marketing Myopia)」
• それは世界経済が高度成長の時代を迎え、
「つくれば売れる」
• 製品をつくる前に顧客のニーズを把握するこ
とが先決
• 企業にマーケティング・コンセプトを根付かせ
た
「マーケティング近視眼」の示唆
• 顧客にとっての価値を正しく理解することによ
り事業の定義が見いだせる
• マーケティング近視眼を回避するには創造的
破壊が重要
• 顧客志向のマーケティング・コンセプトを具体
化したもの
P.コトラー
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『マーケティング・マネジメント』
約40年間にわたって重版
2012年には第14版が出版
「マーケティング・マネジメント理論の集大成」
マーケティング論の限界
• 「科学化されたマーケティング」は教科書から
学ぶことができる。
• 全ての企業が「化学科されたマーケティング」
を実践できるわけではない。
• 「真の創造性と熱意」を持ってマーケティング
の「創造的な側面」を実践している企業の方
が多い。
創造的な側面の定式化
• 今後は「真の創造性と熱意」を持ったマーケ
ティングの「創造的な側面」を定式化
• 個々の多様性を認識
• 多くの企業がいかに実践し、いかに効果を上
げるかが重要な課題