短期金融市場における 金利決定のメカニズム 前提条件 1. 銀行は、受け入れている預金等の一定比率を日銀 当座預金に預け入れなければいけない(準備預金 制度) 2. 準備預金の金額は、毎日要件を満たす必要はなく 、1ヶ月平均でよい 3. 日銀当座預金には利子が付与されない。したがっ て、同額をコールレート市場で運用した場合と比較 して、機会費用が発生する 4. 銀行は、日銀による政策金利の誘導目標を知って いる 1 日銀による短期金利の誘導(1) 日銀は毎営業日、各銀行の準備預金額の達成率を 集計する ペースが平均を上回っている場合、通常はコールレ ートが政策目標を下回っているはずである その場合には、日銀は売りオペ(保有国債の入 札による売却)を行い、資金の吸収を行う その結果、コールレートは上昇する ペースが平均を下回っていれば、日銀は逆の行動 を行う つまり、買いオペを行い、コールレートは下落す る 2 日銀による短期金利の誘導(2) ペースが平均を上回っている場合、コールレートが 政策目標を下回っていなければならないのは、コー ルレートが政策目標を下回っていれば、将来日銀は 売りオペを行い、コールレートが上昇することが確 実だからである つまり、コールレートが政策目標を下回っていれ ば、いまのうちに準備預金額を積み増しておいた ほうが、機会費用が少なくて済む 3 コールレート(無担保翌日物) 4 補足 上記メカニズムに関する参考文献は、 齊藤 誠『マクロ経済学 (New Liberal Arts Selection) 』、有斐閣、2010年、pp. 461-464 ただし、現在の日本では、短期金利は事実上 の下限に到達しているため、上記メカニズム は機能していない 関連して、08年10月以降、日銀当座預金の 超過準備部分に対する付利が行われている 5
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