「組織理論」は

第1章 組織と組織論
メインフレーム・コンピュータの成功によって
コンピュータ業界におけるリーダー的企業となる。
パソコン市場への進出が遅れ、衰退していく
組織理論の活用
• 部門間のコントロール・システムを設計できなかった
• 速やかな意思決定ができていなかった
• 強力なトップ・マネジメント・チームの不在
• イノベーションを阻害する時代遅れの企業文化
これらは組織理論に関わる論題
組織理論の活用
• 部門間のコントロール・システムを設計できなかった
⇒ 個々の部門優先から会社全体を考えるように
• 速やかな意思決定ができていなかった
⇒ トップマネジメントの会合を廃止
• 強力なトップ・マネジメント・チームの不在
⇒ 時に電光石火の決断を下す新しいCEOの就任
• イノベーションを阻害する時代遅れの企業文化
⇒ 官僚的文化から適応しやすい文化へ
組織理論の活用
組織理論
本章の目的
組織とは何か
組織の定義
①社会的な存在
②目標によって駆動
③意図的に構成され、調整される活動システム
④外部との環境に結び付いている
組織の存在
人々の相互作用
外部環境との相互作用
組織とは何か
組織の重要性
1.資源を結集して望みの目標と成果を達成する
2.商品とサービスを能率的に生産する
3.イノベーションを促す
4.近代的な製造技術とコンピュータ・ベースの技術を活用する
5.変化する環境に適応し、環境に影響を与える
6.オーナー、顧客、従業員のために価値を生み出す
7.多様性、倫理、従業員の意欲と統制に関わる挑戦課題に取り組む
システムとしての組織

クローズド・システム…環境に左右されない。自己完結的で、
閉鎖され、外部の社会から遮蔽されている。

オープン・システム…環境と相互依存。絶えず変化しながら
環境に適応していかなければならない。(人間を含めて多くの組織が属する)
※組織全体を理解するには、これをシステムと見なすべき。
(システム…相互に左右する要素のセットが環境からインプットを得て変換し、
アウトプットを外部環境に放出するもの)
システムとしての組織
原材料
従業員
情報
財務資源
サブシステム
インプット
変換プロセス
アウトプット
バウンダリー・
スパンニング
生産、保守管理
バウンダリー・
スパンニング
適応、マネジメント
製品
サービス
サブシステム:組織の生存に必要な特定の機能を果たす
バウンダリー・スパンニング…環境との橋渡し的な連結業務
生産サブシステム
…アウトプットを産出
バウンダリー・サブシステム…外部環境とのやりとり(供給品の購入や製品のマーケティングなど)
保守管理サブシステム …円滑な操業と組織の物理的ならびに人的要素の維持
適応サブシステム
…組織の変革と適応
マネジメントサブシステム …ほかのサブシステムを連絡調整し、指示を与える
組織の形態
全体または主要な部門に
方向、戦略、目標、方針を与える。
環境適応の手助け。
外部環境に目を配り、
問題やチャンスや
技術開発がないか探る。
テクニカル
サポート
スタッフ
トップ・
マネジメント
ミドル・
マネジメント
事業部門レベルでの実行と調整の責任を負う。
トップ・マネジメントと
テクニカルコアの橋渡しを行う。
経営
サポート
スタッフ
テクニカルコア
円滑な操業と
物理的・人的要素を
含む組織の維持。
基本的な作業を行う人々が属する。
インプットからアウトプットへ変換する場。
どの組織にも5つのパーツがあり、相互に関連し、しばしば1つ以上のサブシステム機能を果たす。
バウンダリー・スパンニングの役目をするパーツもある。
組織設計の次元
組織の設計的な特徴としての次元に目を向け、どのような組織であるか描き出す。

構造的な次元:組織内部の特徴がわかる→組織の業績を測り、比較の基準とする
①公式化された手順(公式化)
組織内で行動や活動について文書化されたものの量に関係
②専門特化
組織のタスクがどれだけ別個の専門タスクに分割されているか
③権威の階級構造
だれがだれに直属するか、各マネジャーの統制範囲はどの程度であるか
④中央集権化
意思決定する権限を最上位階級が持っているか
⑤プロフェッショナリズム(専門性)
従業員の公式教育と訓練の度合い
⑥人員比率
様々な職能や部門に配置される人々の割合
組織設計の次元

文脈的な次元:組織の規模など全体の特徴を表す。
①規模
組織の人数として表されるその組織の大きさ
②組織の技術
インプットをアウトプットに変換するために使われるツール、技術、活動
③環境
業界、政府、顧客など組織の教会の外にあるすべての要素が含まれる
④組織の目標(ゴール)と戦略
他の組織と区別する目的や競争技術を明確にする
⑤組織の文化
従業員が共有する重要な価値観、信念、了解事項、規範
以上11の次元は相互に依存しあう関係にある。
これらの次元は、組織の特徴を分析し、組織の重要な情報を明らかにする。
組織の理論と設計に関する
歴史的発展
▼歴史
組織の設計とマネジメントの実務は、大きな社会の変化に対応
するうちに、変化を遂げてきた
→科学的管理法/経営原則/ホーソン実験
★科学的管理法
「組織についての意思決定と職務デザインは、個々の状況を正確かつ科学
的に研究したものを基礎とすべき」(‐フレデリック・ウインスロウ・テイラー)
例)1898年 ベツレヘム・スチール工場
→正しい動きとツール、連続作業をもってすれば、労働者一人当たりの鉄塊積
込量を大幅に増やすことができる
◎マネジメントの役割
→安定性と効率を維持すること
マネジャー:思考を凝らす/労働者:言われた通りのことをする
★経営原則
組織全体の設計と機能(
科学的管理法の「テクニカルコア」への焦点)
例)アンリ・ファヨール 命令の統一、指揮の統一などの14項目の経営原則
◎これらの原則が、近代マネジメント実務や組織設計の基礎となる
→特に官僚主義的組織の発達に貢献
これらの組織は、明確に定義された権威と責務、公式の帳簿など、非人間的、
合理的な基準で組織を設計することを強調したから
★ホーソン実験・・・シカゴの電気会社における研究
職場で前向きに扱われた従業員は、動機づけと生産性を高める
・1970~80年代までは、階層構造システムや管理主義的アプローチが組織の設計
や機能についての考え方の主流
→しかし1980年代に競争の激化が世界規模で進行
能率的なスタッフ、融通性、顧客への即応性、
やる気のある従業員、顧客への配慮、
高品質の製品を重視する新しい文化の誕生
変化
・・・現在の組織理論研究の新たな展開の一つの結果「コンティジェンシー理論」
→組織の構造と外部環境との状態とが「うまく適合して」いなければならない
組織理論と組織設計の役割
組織理論と組織設計にはどのようなテーマが関連するのだろうか?
▼組織理論の価値
・現在マネジャーの任にある人やこれからマネジャーになる人にとって「組織理論」は、
急速に変化する世界の中でより良いマネジャーになるために役立つ重要な洞察を与
え、理解を深めてくれる
▼分析のレベル
・システム理論においては、各システムがサブシステムから成り立つとされている
→個々の人間は組織を築く基本的なブロック
→その次に高いシステムレベルはグループor部門
→その上の分析レベルは組織そのもの
→組織はグループや部門が集まって全体の組織を組み上げている!
組織A
A部門
B部門
C部門
☆組織行動
☆組織理論
・個人のレベルに焦点を当てて分析
・組織全体を一つの単位として分析
→組織に対するミクロ的なアプローチ
・モチベーション/リーダーシップスタイル/性格
といった概念を研究
→組織に対するマクロ的なアプローチ
・部門や組織にまとめられた人々や、そのレ
ベルでの構造や行動の違いに関心を向ける
→人間同士の認知や感情的な違い
メゾ理論
・ミクロレベルとマクロレベルの分析を統合したもの
・個人やグループは組織に影響を与え、逆に組織は個人とグループに影響を与える
まとめ
組織理論・・・トップとミドルのマネジメントの関心事項と直接に関係し、もっと下位
のマネジメントとは一部分関わる。
・トップ・マネジャー
組織全体に責任を負う/目標を決める/戦略を立案する/外部環境を読み取
る/組織構造と設計を決める
・ミドル・マネジメント
マーケティングなどの重要な部分に関わりを持つ/他組織との関係性を決める
・ミドル・マネジャー
自分たちの部門が作業単位にかなうような設計/グループ間の対立や情報
と統制のシステムを処理
・・・これらの問題のそれぞれが組織理論の一部である!