アフリカにおける小規模 水ビジネスの役割と可能性 ~ケニア国ナロック県における事例から~ 発表者: 長谷川 将士 まずは…、水『事業』と水『ビジネス』 の定義について 水事業 ODA(政府開発援助)に よる政府や援助機関主導 の公共サービスの提供。 水ビジネス 機材供給やプラント建 設、事業運営に関連し た上下水道ビジネス。 例:三菱商事のフィリ 例: JICA水道事業等 ピン事業等 NGOや自助組織による水 地元住民が水の運搬 へのアクセス機会を提供 やボトリングにより するためのボランティア 利益を生み出す事業。 事業 例:井戸掘り等 例:ロバによる飲料 水運搬等 なぜ水『ビジネス』が必要か? 援助やボランティアでは設備・制度の着手と維持が困 難であり、資金や労力を投入しても持続的にならない 可能性が高い 上下水道を建設する際のコストが高い 上下水道を維持する際のコストが高い 行政府や政府が機能しないコミュニティでは、公共サービスと して水事業を維持することができない 仮に維持できた場合でも、利用者は公共料金を負担できる企業 や富裕者層に限られる→一般住民にはアクセスが困難 →政府・行政主導の公共サービスとして水『事業』では、機能不全 下の国家における、住民の現状にマッチしていない 公共サービスが機能しない場合 政府 ・サービスの提供(水 の安定供給) ・設備の維持・管理 ・専門家による安全 管理 ・料金の支払い(税金) ・制度の遵守 住民 本水ビジネスが目指す関係性 企業 ・サービスの提供(水 の安定供給) ・設備の維持・管理 ・専門家による安全 管理 →安全な飲料水供給 による住民の健康改 善 ・住民のタイミングに 応じた料金の支払い ・売買の遵守 →資金循環のスムーズ 化と制度維持向上 住民 実際の事例紹介 ~ナロックにおける民間水ビジネス~ 元保健分野の行政官が未処理水による疾病の多さを憂い、私 財を投じて浄水プラントを建設 当初はロバにより水を運搬していたが、現在は給水タンクを 載せたトラックを使用 5リットル20シリングという低価格で住民に販売。保水タン クも供給する→チャイ(現地の紅茶)一杯ほどの値段。 中国の援助による浄水プラントと上水道が建設されたが、本 ビジネスを利用する住民は絶えず 政府と水の権益と使用に関する裁判が行われたが、勝訴。 本ビジネスのメリット ①安全な水と安心の供給 住民にも購入可能な低価格で安全な飲料水を提供 することに成功 下痢の疾病数を10%低下させる→現地病院のデータ より 住民の水運搬コストを肩代わりしている面も 本ビジネスのメリット ②持続可能な体制 現地での入手可能資材によりプラントが建設され ているため、修理や資金投入による新たなプラン ト建設が可能 現地ケニア人が水処理に当たっているため、管理 ノウハウや経験が蓄積→ビジネスに必要な「モ ノ」だけではなく「ヒト」も存在している 住民からのビジネスに対する理解と支持 本ビジネスの可能性 ①年間を通じた水の安定供給 ケニアでは水の豊富な地域、乏しい地域を問わず、 乾季と雨季の雨水量に大きな差がある 近年でも乾季の継続により旱魃が発生している →処理水のボトリングによる貯蓄等により、この雨 季・乾季ギャップを埋められる可能性がある →利用可能な水の量を増大させることができる 本ビジネスの可能性 ②住民ネットワークを利用したビジネス展開 水ビジネスの展開により、住民からの信頼を得られる 可能性が高い 住民から得られる膨大な量の情報にアクセスできる機 会が得られる→SNS等ではなく、入手困難な生の情報 →家計調査や市場調査を通じた情報の売買 →研究機関や援助機関、種類と規模に応じて民間企業に も情報提供ビジネスの機会有り 本ビジネス展開への難点 経営者への連絡アクセスが確保できておらず →今後長期間による信頼醸成を試みる 水利権に踏み込まざるを得ず →政府、地元利権者の理解と協力を得る必要有り 住民の信頼を得るステップが必要 →大切な水を利用・管理するに信頼できる主体であ ることを示す必要 ご清聴ありがとうございました
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