反転授業

反転授業から見えてきたこと
佐藤 靖泰
Yasuhiro Sato
富谷町立東向陽台小学校
これまでの1単位時間の授業デザイン例
段階
時間
内容
導入
10分
・学習の前提を整える
・課題を提示する
・見通す
展開
25分
・協働で問題解決する(9班,8分間)
・結果を発表する(1分/班で9分間)
・検討する(8分間)
まとめ
10分
・本時の学習をまとめる
・適用問題に取り組む
課題意識①
段階
時間
導入
10分
10分で済む?
展開
・学習の前提を整える
・課題を提示する
まとめる時間は?
・見通す
25分
・協働で問題解決する(9班,8分間)
・結果を発表する(1分/班で9分間)
・検討する(8分間)
結局できない?
10分
・本時の学習をまとめる
・適用問題に取り組む
短い?
まとめ
内容
45分間の授業ではたりない
授業と家庭学習の関係
・計算練習 ・習熟プリント ・漢字練習
・教科書の音読 ・意味調べ
・テスト直し
・授業内容の復習 ・次時の予習
・自前の教材,学習塾 etc
宿題=習熟,補填中心
課題意識②
・計算練習 ・習熟プリント ・漢字練習
・教科書の音読 ・意味調べ
・テスト直し
・授業内容の復習 ・次時の予習
・自前の教材,学習塾 etc
明日の授業と連動した家庭学習へ
課題意識とこれまでの実践・考えから
① 45分間の授業では時間がたりない
② 明日の授業と連動した家庭学習へ
授業力の向上
算数的活動の充実
学力向上
インストラクショナルデザイン
教えて考えさせる授業
アクティブラーニング
ブレンド型学習
学習習慣の定着
ICT活用
反転授業
協働学習
言語活動
子どもたちのよりよい学びをめざす体制
研究者
家庭(保護者)
理解
企業
実践者
学
習
習
慣
の
定
着
声がけ
児童
楽しくわかる授業・反転授業
反転授業のとらえ
• 協働的な学習の前提となる知識をICTを使って予習
させ,学校の授業ではそれをもとに,応用問題に
取り組んだりグループで課題解決したりする授業
スタイル(佐藤案)
http://www.meijitosho.co.jp/eduzine/opinion/?id=20130299
実践の対象と環境
○宮城県のH小学校6年
○算数科「比例と反比例」
・電子黒板・プロジェクタ
・実物投影機・無線機材 他
児童のタブレット全台を
一覧表示できる
実践の対象と環境
反転授業「比例と反比例」単元計画
時
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
家庭
比例とは
比例の表の式化
比例の性質
比例のグラフの特徴
グラフの読み取り
比例の利用の仕方
振り返り
反比例とは
反比例の式
反比例の性質
反比例をグラフ化
振り返り
学校
比例の式
式による弁別
比例の性質の利用
比例のグラフの利用
比例しないグラフ
生活での比例の利用
これまでの学習の適用
比例と反比例の違い
式による弁別
反比例の性質の利用
反比例のグラフの特徴
これまでの学習の適用
反転授業「比例と反比例」の授業の様子
実践で見られた学習活動の違い
指導書の学習活動
①:調べる
②:考える
③:まとめる
④:確認する
⑤:活用する
⑥:表わす
⑦:読み取る
⑧:発表・検討する
⑨:用語を知る
反転授業の教室での活動
(A):確認する
(B):理解する
(C):考える
(D):活用する
(E):表わす
(F):読み取る
(G):発表・検討する
(a):自力解決
(b):ペア解決
(c):グループ解決
活動内容で比較した授業展開の変容の例
指導書の学習活動
①:調べる
②:考える
③:まとめる
反転授業の教室での活動
(A):確認する7
(C):考える1
(D):活用する1
(G):発表・検討する1
(a):自力解決1
(A):確認する3
(G):発表・検討する1
(a):自力解決1
(A):確認する1
(D):活用する2
(G):発表・検討する1
(a):自力解決2
(c):グループ解決1
子どものノートの例
授業,家庭学習のノートから見る活動の内容
A確認する
①調べる
⑥表す
C考える
③まとめる
⑦読み取る
②考える
D活用する
反転授業における授業と家庭学習のサイクル
教室の授業(活用的)
適用問題
学習感想
課題解決
協働学習
確認する
理解する
考える
活用する
表す
読み取る
発表する
検討する
知識の確認
家庭学習(習得的)
分かったこと
分からなかったこと
知る
調べる
考える
まとめる
表す
読み取る
ビデオ視聴
ノート作り
反転授業における授業デザイン例
段階
時間
内容
家庭学習
30分~60分
・動画とノート作りで学習の前提を整える
・分かったこと,分からなかったこと
導入
5分
展開
30分
2分
10分
3分
5分
10分
まとめ
10分
5分
5分
・振り返る
・課題をノートに書く
・課題解決する(ソロ,ペア,グループ)
・まとめる
・結果を類型化する
・検討する
・ノートを作る
・確認問題に取り組むor学習感想を書く
アンケートとテストから
保護者の声
・分からないところを何度も見直せ,復習にも活用できた。
・予習の手段として直接先生の解説を聞けるため有効だ。
・先生の授業が保護者も見られて役立った。
児童の声
・他の人の考えにつられず,自分の意見を言えるようになった。
・家で明日の勉強ができるので,次の日は必ず分かるので楽。
・家で予習する癖がついた。
・みんなが自分の考えを持っているのでまとめるのに達成感がある。
その他
・ポストテストの「知識・理解」「技能」の到達度が高くなった。
・家庭学習の時間が増加した。
・授業で 「活かす」「比べる」「説明する」「表す」時間が確保で
きた。
反転授業が教師に突きつけるもの
授業をデザインする力
1対多の教授型一斉授業だけでなく,アクティブラーニングや学び合いの要素を含んだ授業の設計
が
教科・単元・目標・子どもの実態などに合わせた多様な授業展開
一斉対面教授による知識注入が必要な場面,内容,時期,状況も
反転授業が教師に突きつけるもの
子どもの状態を把握する力
内発的に高まっているのか,外発的な仕掛けが必要なのかを見極めてアンダーマイニングを回避
と
「見守ることで認める」と「良さや間違いを指摘して意識づける」
「時間をかければできる,できることを経験させる」と
「指摘すれば改善できる,分かる道筋を示す」
反転授業が教師に突きつけるもの
効率的に授業を展開する力
ICTかアナログかではなく,ちょうど良いツールで必要な事に必要な時間をかける
も
個別指導時に教師が教科書やノートにの書き込んだことはそのまま残る
検討や討論に適した考え・意見を一覧の中から見つけ,テンポを上げる
結論
小学生に反転授業は・・・
6年生は可能である。
教師の授業方法論としての反転授業
子どもの学習方法論としてのタイムシフト学習
では,他の学年は?
・5年生は可能性が高い印象
(今年度は5年生で実践予定)
課題や疑問点
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反転授業の動画は,自作が良いのか。
反転授業の動画は,授業者が映っていた方が良いのか。
反転授業の実施対象に発達度(年齢など)は影響するのか。
反転授業の動画の内容はどんなものが良いのか。
反転授業の動画作成で気をつけるべきことは何か。
動画作成,監修,検証によって教師に過負担はないか。
反転授業にタブレット,インターネットはそれぞれ必須か。
家庭学習が十分でない子どもに対してどのように対応するか。
反転授業にはバリエーションがあるか,あれば類型化できるか。
反転授業に適した教科,単元,内容というものはあるのか。
家庭学習にむけて「なにを」「どの程度」教えておくべきか。
「壊した」「なくした」「売った」にどう対処するか。
視力や姿勢など健康面への悪影響はどの程度あるのか。
運用やセキュリティーの面から,今後懸念されることはなにか。
今後取り組みたくても「ないからできない」現状はどうするか。
世界最先端IT国家創造宣言 H26/6/24閣議決定
Ⅳ.利活用の裾野拡大を推進するための基盤の強化
1.人材育成・教育(p24)
(1)IT の利便性を享受して生活できる社会の構築と環境の整備
~略~
また,遠隔教育等ITの利活用により,離島を含め
タイムシフト学習
国内外のあらゆる場所で,全ての国民が地理的・時間的制約を受ける
ことなく自由に学べる環境を整備する。
~略~
これらの取組により,2010 年代中には,
全ての小学校,中学校,高等学校,特別支援学校で
教育環境の IT 化を実現するとともに,
反転授業
学校と家庭がシームレスでつながる教育・学習環境を構築し,家庭で
の事前学習と連携した授業など指導方法の充実を図る。