「腹」をみせる→破廉恥な行為!

腹診
2010年11月27日(土)
九鼎会 秋合宿
大分大学医学部東洋医学研究会
腹診とは?
• 日本独自の診察法
西洋医学・・・肝臓、腎臓、脾臓の腫れはないか腸音は? 腫瘍は?
頭の病気、肩の病気で診たりしない
韓国や中国では・・・「腹」をみせる→破廉恥な行為!
本当に診ていなかったかは・・・・
• 腹証
体内の正気の状態や邪正相争の状況を反映
方証相対システムに基づく処方選定
腹診法~1~
• 患者・・・仰向けに寝る
両腕は体の横に自然におく
ゆっくりと呼吸
全身(もちろん腹部も!)リラックス
西洋医学では膝を曲げる
→臓器を診る為に腹筋を緩める
腹診法~2~
• 医師・・・患者の横に(左右どちらでも)
視診<胸部→腹部全体>
聴診<異常音の有無確認>
触診へ
• 触診・・・利き手、時に両手を重ねて
腹力をみる<全体→上・下腹部>
腹診法~3~
• 腹力とは・・・腹部の筋肉
厚いor薄い
弾力性の強いor弱い
腹腔内臓器の状態
先天:脾胃
後天:腎 状態反映!
腹部の充実度
5段階評価
1:最も弱い 日本漢方の虚
証
↓
5:最も強い 日本漢方の実
証
腹診の所見~1~
• まずは部位の確認・・・
心下
胸脇
臍傍
小腹
臍下
腹診の所見~2~
• 腹満
充実して硬い
弾力がある
便秘している
実証
承気湯類
防風通聖散
腹部が膨満・・・張ってる感じ
軟らかく抵抗なし
虚証
桂枝加芍薬湯
柴胡疏肝湯
腹診の所見~3~
• 胸脇苦満
季肋下部に抵抗・圧痛
邪の少陽半表半裏への侵入
正気 VS 邪気
(病状により強弱あり)
柴胡剤
(小柴胡湯)
強→弱:大紫胡湯、柴胡加竜骨牡蛎湯
四逆散、小柴胡湯、柴胡桂枝湯…
腹診の所見~4~
• 心下痞、心下痞硬
痞:つかえる(痛まない)
硬:圧して抵抗がある 、圧痛がある
心下に邪が進入
気機の阻結(気
の巡りが悪化)
心下痞
三黄瀉心湯
大黄黄連瀉心湯
附子瀉心湯
気が心下に逆する
飲や火のような有形の邪の
停滞による気機の阻結
心下痞硬
半夏瀉心湯
生姜瀉心湯
甘草瀉心湯
腹診の所見~5~
• 心下支結
心下の痞えと腹直筋の張り
心下の気機の昇隆障害あり
+
肝陰不足による筋脈の攣急
柴胡桂枝湯
良枳湯
腹診の所見~6~
• 胃内停水
上腹部の軽い叩打で胃内の水が揺れる音
脾虚による水分代謝の失調
(三焦の気化の失調なども)
苓桂朮甘湯
茯苓飲
六君子湯
腹診の所見~7~
• 裏急
1:中焦脾胃の虚
↓
寒邪の侵入
↓
肝気の横逆
↓
肝陰不足
↓
筋脈の攣急
1:腹壁の筋肉が緊張(全体的、もしくは特に腹直筋)
2:腹壁は無力、腸管運動が感じ取られる
2:寒邪の腸への侵入
大建中湯
附子粳米湯
少健中湯
人参湯
腹診の所見~8~
• 正中芯
上・下腹部
or
上腹部のみ
脾虚
小建中湯
人参湯
腹部正中の白線触知
下腹部のみ
腎虚
真武湯
※病的意義は弱い
腹診の所見~9~
• 腹部の動悸
腹部大動脈の拍動の波及触知
???→水飲の形成
↓
心陽の機能を障害
肝火が心に逆す
心陽の浮越
心
「血脈を主」れない
腎間の
動
柴胡加竜骨牡蠣湯
桂枝加竜骨牡蠣湯
茯苓朮甘湯…
(竜骨、牡蛎、茯苓、桂枝)
腹診の所見~10~
• 瘀血の腹証
下腹部や臍傍の抵抗、圧痛
下腹部における血の流れが停滞
↓
血瘀の形成(有形の邪)
※瘀血の生じる部位や状況、期間などにより、
さまざまな現れ方をする
桃核承気湯
桂枝茯苓丸
大黄牡丹皮湯…
小腹急結
(特殊型)
臍傍から左腸骨窩に向かっ
て急速に擦過すると激しい
痛み
腹診の所見~11~
• 小腹不仁
臍下を圧して無力(下腹部皮膚の知覚鈍麻)
腎陽虚
八味地黄丸
牛車腎気丸
腹診の所見~12~
• 小腹拘急・小腹弦急
肝と腎とのアンバランス
腎虚 腎は無関係
↓
↓
肝が過強 肝が過強
下焦に陥入
小腹弦急
腹直筋の下腹部のみにおける拘急や弦急
弦急では腹直筋が上部まで緊張、
下部で緊張の度合いが強いもの
が多い
小腹拘急
桂枝加竜骨牡蠣湯
八味地黄丸