不登校と自立支援 教師の変化 • 受験勝者の感覚で子どもを見る • 親との学歴差の縮小あるいは逆転 • 変化への対応不足 親の変化? • クレーマー的親の出現 • 教師への敬意の低下? 教師による解決重視 • 「学級集団アセスメント(QU)」-児童同士の関わりを 利用。 • 「非暴力的危機介入法」-学級崩壊というよりも、問 題行動の解決の態度。 • 「態度教育」-靴を揃える・椅子を引くといったことか ら教育していく。原田隆史氏など。 • 「楽しい授業」-授業作りネットワークなど。 • 「TOSS型学級経営」-斉藤喜博・東井義雄・船井幸 雄などの影響を受けた教育技術を重視した指導。 自己啓発の要素も加味している。 (ウィキペディア) 行政的対応重視 • 「ゼロトレランス」-児童生徒の小さな問題行動にそ れに応じた罰を与える。 • 「オンデマンド教育」-人格教育をやめ、他国のように 教科指導に特化。 • 「家庭・地域教育」-「心の東京革命」のように、家庭・ 地域の教育力を復活させる。 • 出席停止・原級留置の有効的活用 • 医療機関・警察との連携(欧米ではスクールポリス として一般的である) • 体罰の復活(腕立て、廊下に立たせるなど) • なんらかの方法による教師の権威の復活。 不登校問題の位相 • 教育を受けることの必要性 – 就学義務→不登校が可視的に – 家庭教育化→統計上不登校は減少 • 義務教育段階の不登校 – 出席管理の厳格vs柔軟 – 卒業資格の認定(出席・成績を前提か、年齢か) – 卒業資格をどう扱うか(進学・就職の条件か) • 義務教育後の不登校 • 原因と解決法 不登校児童生徒数 小学校:22,327人 男女比:52.5%:47.4% 中学校:100,105人 男女比:50.1%:49.9% 小・中計:122,432人 男女比:50.5%:49.5% Cf オランダ (人口が日本の10分の1強) 1995-96 30,236 1999-2000 24,821 高等学校の不登校数(2014) 全日制 不登校生徒数 定時制 (%) 不登校生徒数 計 (%) 不登校生徒数 (%) 1年生 12,897 1.3 1,414 13.2 14,311 1.4 2年生 10,610 1.1 874 10.3 11,484 1.2 3年生 7,086 0.7 742 9.2 7,828 0.8 606 9.6 606 9.6 4年生 - - 単位制 5,282 1.6 13,645 20.0 18,927 4.8 計 35,875 1.1 17,281 17.0 53,156 1.6 高校生不登校の退学・落第 (5-4) 不登校生徒のうち中途退学・原級留置になった生徒数 (人) 国立 中途退学 私立 計 不登校生徒数(A) 46 41,555 11,555 53,156 不登校生徒のうち中途 退学に至った者(B) 9 11,799 3,257 15,065 19.6 28.4 28.2 28.3 不登校生徒数(A) 46 41,555 11,555 53,156 不登校生徒のうち原級 留置になった者(B) 10 3,823 661 4,494 21.7 9.2 5.7 8.5 (B)/(A)(%) 原級留置 公立 (B)/(A)(%) 大学は • 文部科学省の統計はない • 五月病、スチューデント・アパシーなど以前か ら問題とされ、研究されてきた • 生活基盤としての学級が存在しないので、把 握困難 • 人間科学部の取り組み – 必修科目の出席不足→担任に連絡 – 担任が当該学生と話しあい (4-4) 不登校になったきっかけと考えられ る状況 区 小学校 分 国立 公立 中学校 私立 計 国立 公立 8 人 1,009 人 計 私立 計 30 人 1,047 人 国立 公立 14 人 1,309 人 私立 計 6人 300 人 3人 309 人 33 人 1,356 人 10.0 % 1.2 % 1.9 % 1.2 % 2.7 % 1.1 % 0.8 % 1.1 % 3.9 % 1.1 % 0.9 % 1.1 % 23 人 2,905 人 37 人 14,36 人 2 526 人 14,92 人 5 46 人 17,23 人 5 549 人 17,83 人 0 いじめ いじめを除く友人 関係をめぐる問題 教職員との関係を めぐる問題 学 校 に 係 る 状 況 9 人 2,873 人 15.0 % 11.2 % 14.5 % 11.2 % 12.4 % 15.4 % 14.6 % 15.4 % 12.8 % 14.5 % 14.6 % 14.5 % 3人 846 人 8人 857 人 5.0 % 3.3 % 5.0 % 3.3 % 5 人 1,808 人 13 人 1,826 人 5 人 1,463 人 1.7 % 1.6 % 34 人 8,479 人 55 人 1,523 人 1.5 % 8 人 2,309 人 1.6 % 2.2 % 1.9 % 1.7 % 1.9 % 471 人 8,984 人 39 人 10,28 人 7 484 人 10,81 人 0 8.7 % 12.9 % 8.8 % 学業の不振 7.1 % 11.4 % 63 人 2,380 人 8.3 % 7.1 % 8.2 % 9.1 % 13.1 % 9.3 % 10.9 % 0人 113 人 5人 118 人 11 人 1,518 人 88 人 1,617 人 0.0 % 0.4 % 3.1 % 0.5 % 3.7 % 2.4 % 0人 42 人 0人 42 人 0.0 % 0.2 % 0.0 % 0.2 % 1人 161 人 0人 162 人 1.7 % 0.6 % 0.0 % 0.6 % 0人 570 人 3人 573 人 0.0 % 2.2 % 1.9 % 2.2 % 11 人 1,631 人 93 人 1,735 人 進路にかかる不安 クラブ活動,部活 動等への不適応 学校のきまり等を めぐる問題 入学,転編入学, 進級時の不適応 1.6 % 5 人 2,061 人 1.7 % 2.2 % 4 人 1,761 人 1.3 % 1.9 % 9 人 2,625 人 3.0 % 2.8 % 1.7 % 76 人 2,142 人 2.1 % 2.2 % 21 人 1,786 人 0.6 % 1.8 % 148 人 2,782 人 4.1 % 2.9 % 3.1 % 1.4 % 5 人 2,103 人 1.4 % 1.8 % 5 人 1,922 人 1.4 % 1.6 % 9 人 3,195 人 2.5 % 2.7 % 2.5 % 1.4 % 76 人 2,184 人 2.0 % 1.8 % 21 人 1,948 人 0.6 % 1.6 % 151 人 3,355 人 4.0 % 2.7 % 家庭の生活環境の 急激な変化 親子関係をめぐる問 題 10 人 2,353 人 16.7 % 9.2 % 5 人 4,911 人 15 人 2,378 人 9.4 % 9.2 % 16 人 4,932 人 8 人 4,383 人 2.7 % 44 人 8,126 人 8.3 % 19.1 % 10.1 % 19.1 % 14.8 % 5 人 1,214 人 13 人 1,232 人 4.7 % 8.7 % 16 人 3,401 人 121 人 4,512 人 3.4 % 18 人 6,736 人 136 人 6,890 人 4.6 % 5.0 % 5.7 % 3.6 % 5.6 % 356 人 8,526 人 49 人 13,03 人 7 372 人 13,45 人 8 9.9 % 8.8 % 13.7 % 11.0 % 124 人 3,541 人 21 人 4,615 人 9.9 % 11.0 % 137 人 4,773 人 家庭内の不和 8.3 % 4.7 % 5 人 2,350 人 8.2 % 4.8 % 12 人 2,367 人 5.4 % 3.7 % 38 人 6,997 人 3.5 % 3.6 % 517 人 7,552 人 5.9 % 3.9 % 43 人 9,347 人 3.7 % 3.9 % 529 人 9,919 人 病気による欠席 8.3 % 9.2 % 7.5 % 9.2 % 12.8 % 7.5 % 14.4 % 0人 239 人 0人 239 人 0.0 % 0.9 % 0.0 % 0.9 % 1.0 % 8.8 % 0.9 % 8.4 % 0.8 % 7.1 % 0.9 % 6.9 % 18 人 5,950 人 62 人 25,39 人 9 423 人 25,88 人 4 71 人 31,32 人 2 441 人 31,83 人 4 3 人 8,155 人 7.8 % 12.0 % 32 人 8,190 人 7.9 % 14.1 % 3 人 8,394 人 8.1 % 32 人 8,429 人 あそび・非行 9 人 5,923 人 無気力 15.0 % 23.1 % 11.3 % 23.0 % 20.8 % 27.3 % 11.8 % 26.7 % 19.8 % 26.4 % 11.8 % 25.9 % 不安など情緒的混 乱 21 人 9,264 人 53 人 9,338 人 68 人 26,07 27,30 人 1,161 人 人 3 2 89 人 35,33 36,64 人 1,214 人 人 7 0 35.0 % 36.1 % 33.3 % 36.1 % 22.8 % 28.0 % 32.3 % 28.1 % 24.9 % 29.7 % 32.4 % 29.8 % 6 人 1,475 人 8 人 1,489 人 13 人 4,616 人 117 人 4,746 人 19 人 6,091 人 125 人 6,235 人 意図的な拒否 10.0 % 上記「病気による欠 席」から「意図的な 拒否」までのいずれ にも該当しない,本 5.8 % 7 人 1,344 人 11.7 % 5.2 % 5.0 % 5.8 % 7 人 1,358 人 4.4 % 5.3 % 4.4 % 5.0 % 6 人 4,648 人 2.0 % 5.0 % 3.3 % 4.9 % 135 人 4,789 人 3.8 % 4.9 % 5.3 % 5.1 % 13 人 5,992 人 3.6 % 5.0 % 3.3 % 5.1 % 142 人 6,147 人 3.8 % 5.0 % 数値からいえること • 不登校は最近増加している – 24年度は減少(ゆとり教育で減少とされる) – 学力主義の復活で増加か? • 数値は実態を表しているか – 中学はクラスに1人、小学校は3クラスに一人 – 卒業生やボランティアの実感とは遠い(地域 差?) • 高校定時制は突出して多い • 高校では退学や落第となる きっかけと考えられること • 最も多いのは「無気力」 – 単なる「落ち込み」「怠惰」か「精神疾患」「情緒不 安定」の判断が必要 – 指導が最も難しい • いじめを除く人間関係(いじめは少ない) – 教師との関係は稀(学校の統計だから?) • 「親子関係」 – 日本は少ないが、欧米では多い(両親の不和) • 「学力不振」 (4-9) 自宅におけるIT等を活用した学習活動を指導要録 上出席扱いとした児童生徒数(人) 国立 小学校 ※ 中学校 ※ 計 ※ 公立 私立 計 2 78 5 85 0 25 1 26 1 147 16 164 1 77 4 82 3 225 21 249 1 102 5 108 (注)※の欄は、自宅におけるIT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生 徒のうち、学校外の機関等で相談・ 指導等を受けた日数についても指導要録上出席扱いを受け、「4-8 学校外の機関等で 相談・指導等を受け、指導要録 学校にいくこと • 登校拒否から不登校へ:通学への柔軟な意 識への変化(あらゆる方策で通学を促す。毎 日教師や子どもが迎えにいく。→ストレスにな ることを避ける。)結果としては、不登校の長 期化 • 他の手段の利用をどう考えるか – 家庭での教育 – フリースクール 登校するようになった効果的措置 • 【小学校】 ①登校を促すため、電話をかけたり迎えにい くなどした 3,608校 ②家庭訪問を行い、学業や生活面での相談 に乗るなど、 様々な指導・援助を行った 3,272校 ③保護者の協力を求めて、家族関係や家庭 生活の改善を図った 3,044校 効果的措置2 • 【中学校】 ①家庭訪問を行い、学業や生活面での相談 に乗るなど、様々な指導・援助を行った 6,290校 ②登校を促すため、電話をかけたり迎えにい くなどした 5,856校 ③スクールカウンセラー等が専門的に指導に あたった 5,471校 不登校の許容 • 健康である場合は許容する見解もある – 誰にも学校形態が合うわけではない – 不登校だった有名人もいる。(エジソン・宮本亜 門) • 代わりの教育形態を制度化 – ホームスクール・フリースクール・インターネットス クール • 精神疾患を疑われる場合の学校の困難 – 診断の抵抗・強制はできない 社会は人としてどう扱うのか • 日本の義務教育制度は「社会的システム」と してのみ機能し、国家的システムとして機能 していない。修了しなくても社会に出られる。 社会は卒業レベルで差別化する。 • オランダは、義務教育の修了が、社会にでる ために必要条件(労働する資格が得られな い。)そのため就学管理が厳格。 オランダの不登校 • オランダ教育の特質 世界で最も自由な教育 制度の国 しかし出席管理は厳しい cf ラウラ・デッカーの事例 • 先進国で最も幸福な子ども(ユニセフ調査) • にもかかわらず存在するストレス p116 • 不登校の理由 – 両親の不仲・病気 – 移民で低学力 オランダの不登校指針1親 • 夜の保護者会などで学校とコンタクトをとる。 • 学校ガイドで、学校の不登校対策を知る。 • 学校が十分に対応してくれないときには苦情 委員会に訴える。 • 参加協議会で対応を求める。 • 時間割等で子どもの不登校状況を把握する。 オランダの不登校指針2学校 • 子どもの状況、特に不登校については親に 迅速に知らせる。 • 学校としての不登校対策を知らせる。 • 不登校が改善されないときには、専門家に協 力を求める。 オランダの不登校指針3 報告 • 不登校を常に把握しておくことが必要で、校 長は、不登校部局に報告する。 – 3日以上欠席 – 連続する4週間の間に16時間以上、授業や実 習を欠席 • 義務教育担当官に報告。担当者は実情を 調査し、解決策をさぐる。12歳以上の場合に は、地区法律担当が加わり、社会保険庁に 報告する。16歳、17歳は児童手当支給停止 オランダの自立支援 • 学校での対応 カウンセラー(優れた教師が 講習・試験を受けて資格をとる。)が日常的に 相談に • 義務教育の修了が労働の条件 • 企業・自治体・学校の協力による義務教育修 了と職業技術教育の実施 労働資格の獲得 ラウラ・デッカーから考える • 1995年生まれで海洋冒険家 • 2012年、16歳でヨット単独世界一周の最年 少記録を樹立 • 2009年スタートの予定 → 児童保護局が 禁止、拘束(背景として義務教育を一年間休 むことの是非も) → (逃走などあったが) 訴訟 → 勝訴して航海に出発 • オランダで大議論
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