接客スタッフのマネジメント モチベーションの向上と生産性 1 接客スタッフの役割 • 悪夢のようなサービス体験 • 最高の思い出となるサービス体験 • 接客スタッフが主役となるケースが圧倒的に多 い • 顧客は満足したサービス体験と不快なサービス 体験があった場合、不快なサービス体験を吹聴 • 接客スタッフがロイヤルティや客離れに強く影響 する 2 ロイヤルティと競争優位性 • 接客スタッフはサービスのインターフェース – 接客スタッフは主要な有形要素 – 顧客にサービスを提供 – サービス品質を大きく左右 • 接客スタッフはサービス組織そのもの – 接客スタッフは組織の代表 – 顧客にとってはサービス組織そのもの • 接客スタッフは信頼・信用を生み出す – 約束したサービスを提供できるかは接客スタッフ次第 3 顧客からの情報収集 • 接客スタッフには顧客ニーズを探り、顧客に ふさわしいサービスを提供し、顧客との人間 関係を構築する役割 • これらの成果が最終的に顧客のロイヤルティ につながる • 口に出さない期待やニーズにこたえる • 潜在的な期待やニーズにこたえる • 顧客ニーズの先取り 4 モチベーションとロイヤルティ • 通常とは異なる柔軟なサービスが評価 • 高いモチベーションが優れたサービスには不 可欠 • モチベーションの高いスタッフが重要 5 顧客のロイヤルティとスタッフの関係 ① スタッフの満足度と定着率および生産性 ② サービス価値 ③ 顧客の満足度とロイヤルティ ④ サービス組織の成長と収益性 • 従業員と顧客の満足度は密接に関係する 6 ロー・コンタクト・サービスにおける接客 • ハイ・コンタクト・サービスにおいて接客スタッフ が重要なのは当然 • 一方、あらゆるサービスでセルフ・サービスが導 入され顧客とのコンタクトは減少 • 定型的なサービスはセルフ・サービスで提供 • 年に1~2回程度しか電話・来店はしない場合も ある • このときは、定型的なサービスではなく例外的対 応を迫られる場合が多い • この瞬間が「真実の瞬間」となる 7 バウンダリー・スパナー (境界連結者) • 組織の最前線で組織と外部の橋渡し役を担 うもの • 立場上、矛盾する役割を演じる • 接客スタッフは、オペレーションとマーケティン グの両方の成果を求められる • 業務を迅速かつ効率的に進めつつ、顧客を 満足させ、営業活動も行う 8 接客スタッフの役割 • サービス品質の維持 • 生産性の向上 • 売上増進 • この結果、葛藤やストレスにつながる 9 3つの葛藤 • 自己と業務上の役割との葛藤 • サービス組織と顧客との間の葛藤 • 顧客と顧客の間の葛藤 10 自己と業務上の役割との葛藤 • 業務上の役割と自分自身の性格や認識、信条と の葛藤に悩む • 態度の悪い顧客・問題顧客に対しても明るく親 切に対応しなくてはならない • スタッフから見た顧客 – 「要望が多く」「非合理的」「人の意見を聞かず」「いつ もすぐに自分の思い通りにしたがり」「傲慢」 • 高品質なサービス提供のためには気骨ある、暖 かくて、親切な人柄が必要 • 職務に対するプライドが大切 11 サービス組織と顧客との間の葛藤 • 組織のルールに従うべきか、顧客満足を優 先すべきか • 「2人のボスによるジレンマ」 • 組織のルールに反するサービスの提供や追 加的措置を顧客から求められる場合に感じる • 組織が顧客満足の重要性を認識していない 場合、深刻な問題となる 12 顧客と顧客の間での葛藤 • 禁煙ゾーンでの喫煙、列への割り込み、映画 館での携帯電話の使用、レストランでの大声 の会話などへの対応 • 問題のある顧客に注意するのは接客スタッフ • 両者に納得してもらうのは困難であるため強 いストレスを感じる 13 感情労働 • 接客スタッフの内面と顧客の前で求められる 業務上求められる感情が不一致の時に発生 • 接客スタッフに求められるもの – 明るく親切 – 心配りが行き届き – 誠実で控えめな人柄 – 表情や態度、声のトーン、言葉づかいに現れる • 接客スタッフは顧客の期待に応えるため自分 の感情を抑制しなくてはならない 14 接客スタッフの立場 • 感情労働はサービス組織と顧客の両方に合 わせて行われる。 • 接客スタッフの感情は二の次。 • 接客スタッフは抑圧的立場を強いられる • サービス組織は接客スタッフの感情労働によ るストレスを認識し、対策を講じる必要がある 15 求められるスタッフの変化 • ITによりビジネス・モデルを大幅に改善可能 • サービス・オペレーションの完全な見直しすら 可能 • サービス・オペレーションの変更により求めら れる人材が変化 • 接客スタッフからコール・センター・スタッフへ 16 サービスの品質とスタッフの待遇の関係 • スタッフは自らの待遇に応じたサービスを提 供 • 劣悪な労働環境は低品質のサービスにつな がる • 3つのサイクル – 失敗サイクル – 硬直サイクル – 成功サイクル 17 失敗サイクル • 生産性の改善のために、業務を単純化 • 全く研修の必要のない単純作業と低賃金 • スタッフと顧客に失敗サイクルが発生 18 スタッフの失敗サイクル ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ スタッフの職務を限定 顧客へのサービスよりも組織のルールを優先 サービス品質を管理するための機械を導入 賃金を抑制 採用活動や研修を最小限に抑えるためスタッフが意 欲を無くす 顧客のトラブルに対応できず 業務に不満を感じ、サービス中の態度も悪化 サービス品質の低下と高い離職率 利益率の低下 ①にもどる 19 顧客の失敗サイクル ① サービス組織が新規顧客の獲得を偏重 ② スタッフが頻繁に変わるため継続的にサー ビスを受けられず不満 ③ サービス組織に対するロイヤルティが低下 ④ スタッフの離職とともに顧客離れが加速 ⑤ ①に戻る 20 失敗サイクルのコスト ① 募集や採用及び研修を繰り返すことのコスト ② 経験のない新人スタッフの低い生産性によ るコスト ③ 常に新規顧客を獲得しなければならないコ スト ④ 客離れによって失った長期的継続で得られ たはずの利益の損失 ⑤ 悪い評判によって失った潜在顧客からの利 益の損失 21 硬直サイクル • 硬直的な大企業が直面する悪循環 • 公営の独占企業 • 政府規制のある寡占事業 • サービス改善のためのインセンティブが働か ない 22 スタッフの硬直サイクル ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ 全く変化のない労働環境 限定的な業務内容 規則をテーマとする研修 高賃金・手厚い手当 年功序列とミスの少なさによる昇進・昇給 スタッフへの権限は限定的 苦情に対して無関心 スタッフの不満 ①にもどる 23 顧客の硬直サイクル ① 顧客の間に悪い評判が立つ ② 顧客ニーズが重視されない ③ 顧客の不満 ④ スタッフの官僚的な対応に対する不満 ⑤ 組織に対して協力するインセンティブが消失 ⑥ ①に戻る 24 スタッフの成功サイクル ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ 高額報酬による人材確保 広範囲の業務と権限委譲 十分な研修 資質のある人材のみに限定した採用 業務に対する満足 離職率の低下 サービス品質の向上 利益率の向上 ①に戻る 25 顧客の成功サイクル ① 顧客のロイヤルティと顧客の定着を重視 ② 高い顧客満足 ③ 顧客との継続的な関係 ④ 顧客の高いロイヤルティ ⑤ 高い定着率 ⑥ ①に戻る 26 人材マネジメントの輪 モチベー ションの 向上 優秀な人 材の採用 スタッフ能力の 強化 27 優秀な人材の選抜方法 • 行動観察 – 応募者の言葉ではなく実際の態度を判断基準 • 性格テスト – 適性を客観的に測定 • 複数の面接官による体系的な面接 – 複数の面接官で評価すると担当者が慎重な判断 • 応募者によるサービスの実体験 – 選考過程で応募者に対して実際の職務を体験 28 積極的な研修 • 組織文化・事業目的・戦略 – 組織の主要戦略について強い達成感を持たせる • 対人関係能力と業務知識 – 目線、身振り、表情などのコミュニケーション技術 – サービス・プロセス、サービス機器、規則や法令 • 商品やサービスに関する知識 – サービスの特性を的確に説明 – 正しくサービス提供できるようにする 29 権限の移譲 • 接客スタッフがサービスを提供するため、管理者 がサービス行為をチェックすることができない • 接客スタッフ自身の判断が重要 • スタッフに権限を移譲する方が顧客の満足度が 上がる傾向 • スタッフの判断に任せる方が上司の許可を求め るために時間を費やすよりも優れたサービスが 提供可能 • 権限委譲の目的は、スタッフが自ら問題解決策 を見つけ出し、顧客にふさわしいサービスを提供 するため 30 権限委譲が有効な要件 • 事業戦略が差別化と顧客への個別対応 • 顧客との長期的なロイヤルティの確立を目標 • サービス技術が複雑で不定形 • 事業環境が予測しにくく、想定外の変化が発 生しやすい • 接客スタッフが独自のサービスを提供するこ とに肯定的 • スタッフが能力向上とスキルアップを強く望む 31 権限委譲の意味 • 権限委譲とは接客スタッフが自由に判断する ことやサービス方針を無くすことではない • 4項目の再構築と浸透を図ることが必要 ① 権限 ② 情報 ③ 報酬 ④ 知識 32 モチベーションと意欲の高揚 • 職務内容 – 自らの職務が有意義なものであると感じると士気が 上がる – 自らの職務が、重要な場合、満足度は上がる • フィードバックと評価 – 周囲の人から評価されると組織への帰属意識が高ま る • 目標達成感 – 高い目標を受け入れると、モチベーションが高まり、 サービスの成果が上がる 33
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