Ch11b

11章Modeling survival
後半(p.361-p.377)
飯島勇人(山梨県森林研)
担当部分
11.4 MODELING AVIAN SURVIVAL FROM MIST-NET
DATA
11.4.1 CJS Model with Pre-determined Residents
11.4.2 Analysis of the Warbler Data
11.5 MODELING SPATIAL VARIATION IN SURVIVAL
11.5.1 Analysis of the MAPS Data
11.6 SURVIVAL MODELS WITH INDIVIDUAL EFFECTS
11.6.1 Model Formulation
11.6.2 Analysis of the European Dipper Data
11.6.3 Model Selection
11.6.4 Prior sensitivity
11.7 SUMMARY
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.4 生残率のモデリング(p.361)
長期の鳥類の捕獲データから、鳥類の
生残率を推定したい
使用するデータ:MAPS
Monitoring Avian Productivity and Survival
アメリカの1000以上の観測点における鳥類の
標識-再捕獲データ
捕獲はかすみ網
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.4 生残率のモデリング(p.361)
定住者と放浪者の区別が必要
放浪者は過去に捕獲履歴がない(多くの0データ)
生残率の過小推定
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.4.1 事前情報を生かす1(p.361)
事前に何個体かは「定住者」であること
がわかっている場合
Riを「真に定住者である状態」とすると
𝑅𝑖 ~Bern(𝜋𝑟 )
πrはサンプリングされた個体が真の定住者である
確率
局所個体群動態や個体群間の移出入を示す
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.4.1 事前情報を生かす1(p.362)
捕獲率を考慮
捕獲率が低いとπrの推定値の信頼度が下がるため
事前に定住者と分かっている個体かどうかを示す
ri(1なら定住者とすでに分かっている、0はそれ
以外)を導入すると
𝑟𝑖 |(𝑅𝑖 = 1)~Bern(τ)
τは(捕獲個体が)真の定住者であるときに、事前
に定住者と分かっている確率
以下のように書き換えが可能
𝑟𝑖 |𝑅𝑖 ~Bern(𝑅𝑖 τ)
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.4.1 事前情報を生かす1(p.362-363)
(訳者の解釈)πrとτを導入した理由
捕獲した個体が真に定住個体かどうか知りたい
得られるデータは「捕獲個体が事前に定住個体と
分かっているかどうか」
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.4.1 事前情報を生かす1(p.363)
(訳者の解釈)Riの効能:初めて捕まっ
た個体について
定住者だが今まで捕まらなかった
放浪者
を区別できる
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.4.1 事前情報を生かす2 (p.363)
事前に定住者と分かっている個体がいる
場合にその情報を生かす別な方法
𝜋𝑟 = 1𝑟𝑖 𝜃1−𝑟𝑖
WinBUGSでの実装方法は
mu[i] <- pow(1,r[i])*pow(tau,1-r[i])
R[i] ~ dbern(mu[i])
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.4.2 解析事例(p.364)
キイロアメリカムシクイのデータ解析
調査期間中に捕獲した634個体中、145個体は
事前に定住者と分かっている
πrとτを使うモデル
BUGSコードはPanel 11.5
推定値の表はTable 11.5
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.4.2 解析事例(p.364)
model {
for (t in 1:(nyear-1)) {
phi0[t] ~ dunif(0,1)
lphi0[t] <- log(phi0[t]/(1-phi0[t]))
p[t] ~ dunif(0,1)
p2[t+1] <- p[t]
}
p2[1] <- 1; p2[nyear] <- 1
phi0[nyear-1] ~ dunif(0,1)
lphi0[nyear-1] <- log(phi0[nyear-1]/(1-phi0[nyear-1]))
pi ~ dunif(0,1)
tau ~ dunif(0,1)
for (i in 1:nind) {
R[i] ~ dbern(pi)
mu[i] <- R[i]*tau
r[i] ~ dbern(mu[i])
for (j in 1:1:first[i]) {
z[i,j] ~ dbern(1)
}
for (j in (first[i]+1):nyear) {
logit(phi[i,j-1] <- lphi0[j-1]
muy[i,j] <- p2[j]*z[i,j]
y[i,j] ~ dbern(muy[i,j])
muz[i,j] <- z[i,j-1]*phi[i,j-1]*R[i]
z[i,j] ~ dbern(muz[i,j])
}
}
}
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
生残率・捕獲率の
定義
11.4.2 解析事例(p.364)
model {
for (t in 1:(nyear-2)) {
phi0[t] ~ dunif(0,1)
lphi0[t] <- log(phi0[t]/(1-phi0[t]))
p[t] ~ dunif(0,1)
p2[t+1] <- p[t]
生残率の定義
捕獲率の定義
}
p2[1] <- 1; p2[nyear] <- 1
初年度と最終年度の
捕獲率は推定できない
phi0[nyear-1] ~ dunif(0,1)
lphi0[nyear-1] <- log(phi0[nyear-1]/(1-phi0[nyear-1]))
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.4.2 解析事例(p.364)
z:個体の生死
y:捕獲の有無
黄色:データモデル
πの定義
pi ~ dunif(0,1)
tau ~ dunif(0,1)
τの定義
for (i in 1:nind) {
R[i] ~ dbern(pi)
個体の定住性
mu[i] <- R[i]*tau
r[i] ~ dbern(mu[i])
for (j in 1:1:first[i]) {
最初の捕獲まで必ず
z[i,j] ~ dbern(1)
個体は生きている
}
for (j in (first[i]+1):nyear) {
logit(phi[i,j-1] <- lphi0[j-1]
時点jで個体が捕獲
muy[i,j] <- p2[j]*z[i,j]
されるかどうか
y[i,j] ~ dbern(muy[i,j])
muz[i,j] <- z[i,j-1]*phi[i,j-1]*R[i]
次の時点jで
z[i,j] ~ dbern(muz[i,j])
定住個体iが生残
}
しているかどうか
2012/10/22-23
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
}
11.4.2 推定結果(p.364)
τ = 0.5038
定住個体の半分しか捕獲できていない
π = 0.4509
捕獲個体が定住個体である確率
πτ = 0.227
概ね、定住個体とわかっている個体/全捕獲個体
0.228=145/634 に近い
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.5 場所の効果(p.365-366)
特に1地点でのデータが少ない場合に、
地点単位でのデータ解析は難しい
これまで:複数の地点のデータをプール
今回:地点間の関係を明示的にモデルに取り込む
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.5 場所差の影響のモデリング(p.366)
場所による違いを導入するモデル
場所差を考慮した生残率
logit(φ𝑖 ) = 𝜇φ + 𝛼𝑖
μφは平均の生残率
αiは場所iごとの効果(平均は0)
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.5 場所差のモデル(p.367)
様々なモデル
多変量正規分布
条件付き自己回帰モデル
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.5 多変量正規分布(p.367)
一般には以下のような式
𝛼~MN(0,Σ)
分散共分散行列の指定方法は様々
地点間の距離を用いる例
Σ𝑖𝑗 = exp(−||𝑠𝑖 − 𝑠𝑗 ||/𝜃)
siやsjは地点
これはいわゆるクリギング
地点が増えると計算量が膨大になるのが欠点
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.5 条件付き自己回帰モデル(p.368)
空間の位置が離散的な場合に使える
現在は以下のようなintrinsic CAR
モデルが用いられることが多い
𝛼𝑖 |𝜶−𝑖
1
= N(
𝑛𝑖
2
𝜎
𝛼𝑗 ,
𝑛𝑖 )
𝑗∈𝑁𝑖
Niは近傍のセルi
niは近傍のセル数
(訳者)WinBUGSに実装されているので
お手軽に実行可能
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.5.1 空間効果を考慮した解析(p.368-369)
ヨーロッパカワガラスのデータ
BUGSコードはPanel 11.6
推定値の図はFigure 11.2
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.5.1 解析事例(p.370)
Panel 11.5と
異なる箇所を補足
for (j in 1:sumNumNeigh) {
weights[j] <- 1
spacetau ~ dgamma(.1,.1)
alpha[1:ngrid] ~ car.normal(adj[], weights[],
空間相関
num[], spacetau)
}
…
logit(phi[i]) <- lphi0 + alpha[gridid[i]]
生残率のモデル
alphaが空間相関
tmp[i] <- pow(1,resident[i])*pow(theta,1-resident[i])
R[i] ~ dbern(tmp[i])
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
事前に定住者とわかっている
個体の情報の考慮
2012/10/22-23
11.6 個体の効果(p.369)
動物の個体群動態において個体差は重要
個体ごとにランダム効果を与える
個体ごとの共変量(体サイズ、齢など)を明示した
個体間差
本節では開放個体群で使えるモデルを紹介
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.6.1 個体差のモデル(p.371-372)
基本は場所差の場合と同じ
生残率の場合
logit(φ𝑖𝑡 ) = 𝑏t + 𝛽𝑖
btは時間tにおける(全個体の)平均の生残率
βiは個体iごとの効果(平均は0である分散
パラメータを持つ正規分布とする)
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.6.2 解析事例(p.372-373)
ヨーロッパカワガラスのデータ
BUGSコードはPanel 11.7
推定結果の表はTable 11.6
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
Panel 11.5と
異なる箇所を補足
11.6.2 解析事例(p.374)
sigma.phi ~ dunif(0,10)
sigma.p ~ dunif(0,10)
正規分布の分散パラメータの
事前分布を一様分布に変更
tauphi <- 1/(sigma.phi*sigma.phi)
taup <- 1/(sigma.p*sigma.p)
for (j in 1:nind) {
eta[i] ~ dnorm(0, taup)
delta[i] ~ dnorm(0, tauphi)
個体差のモデル
for (t in 1:(nyear-1)) {
logit(p[i,t]) <- logitp[t] + eta[i]
個体差を加味した
生残率と捕獲率のモデル
logit[phi[i,t]) <- logitphi[t] + delta[i]
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.6.3 モデル選択(p.373-375)
生残率の個体差は含める必要があるか?
生残率の分散パラメータの範囲が0付近
以前にも出てきた指示変数でモデル選択
BUGSコードでの実装は以下の通り
for (t in 1:(nyear-1)) {
logit(p[i, t]) <- logitp[t] + w1*eta[i]
logit(phi[i, t]) <- logitphi[t] + w2*delta[i]
}
w1 ~ dbern(0.5) #補足
w2 ~ dbern(0.5) #補足
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.6.3 モデル選択(p.373-375)
選択結果はTable 11.7
生残率については個体差不要?
捕獲率については考慮した方がいいかも
結構解釈は恣意的?
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.6.4 事前分布の影響(p.375-376)
Gelman(2006)の指摘
正規分布の分散パラメータの事前分布に逆ガンマ
分布を用いるのは不適切
分散が非常に小さくなるデータの場合、事前分布が
事後分布に強く影響
今回のデータセットで検証
結果はFigure 11.3
逆ガンマ分布が事前分布の場合、事後分布はほぼ
事前分布と同じ形に→一様分布を使う方がマシ
 (訳注というか蛇足)最近投稿した論文で逆ガンマ分布使ったら
よくないという指摘がありました。もう逆ガンマ分布は使えない?
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23
11.7 本章の要約
CJSモデルを中心に生残のモデリングを
紹介
主にMAPSのデータ
検出が完全でない場合のモデリング
空間相関や個体差を含んだ拡張を紹介
実用上これらは重要
Royle and Dorazio (2008) 輪読会2@東京大学
2012/10/22-23