レーザ加工性は良好

特許文献による
導電性高分子コーティング(V)
/REGEMに向けて
- レーザ加工 ー
KEK, RAYTEC-inc. A
中村誠一,上原秀雄A,幅淳二
S. Nakamura, H. Uehara A, and J. Haba
2015/12/04
第12回MPGD研究会(広島大学)
今日の話
• 目標とするところ
– 背景,目的・・・
• 導電性高分子PEDOT/PSS を用いた高抵抗GEM電極
– 今までできたこと
– 加工精度を上げる
• レーザ微細加工
– KrFエキシマレーザによる加工
• まとめと今後の方針
2015/12/05
12th MPGD meeting
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目標とするところ
2015/12/05
12th MPGD meeting
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目標とするところ
•
•
背景
–
–
–
•
目的
–
–
–
–
–
–
2015/12/05
ストリーマ放電による電極間短絡がGEMを壊す!
• GEMとは高性能なコンデンサ
– 電圧の自乗で放電エネルギーは溜まる
– 高いガス増幅を狙うほど危険が高まる
• 一度の大短絡が本体も後続の電子回路も命取りとなる可能性が大きい
• 放電回路に高抵抗器を挿入して放電電流を抑制
メタルフリー ・・・ 金属による多重散乱がない
• 金属類のない検出器
– 導電性フィラーに導電性高分子やカーボンブラック
大面積化,大量生産化 ・・・ 実用化へ
• ウェットエッチング法が可能性大
• コンフォーマル法によるエキシマレーザ加工(同時多孔加工)
• イメージマスク法によるエキシマレーザ加工(同時多孔加工)
チオフェン系導電性高分子 PEDOT/PSS は抵抗素材として利用できるか?(表面抵抗
率 10^6 Ohm / sq. が目安)(メタルフリー)
PEDOT/PSS で RE-GEM などを作れるか?(微細加工性)
短絡に強いか?(大電流短絡に至る前に放電電流を抑制)(実用性)
高放射線環境で動作するか?(劣化問題)(安定性,信頼性)
長期安定性はあるか?(劣化問題)(信頼性)
大面積化や大量生産は可能か?(実用性)
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導電性高分子PEDOT/PSS を用いた
高抵抗GEM電極
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PEDOT電極/今までできたこと
• PEDOT/PSS+メラミン樹脂のGEM電極
– 表面改質ポリイミドフィルムと電極は密着性良好
• KOH + (DGA+DMT-MM)/Water 処理によるDGAの化学修飾
–
–
–
–
表面抵抗 10^3 ‐ 10^8 Ohm/sq. の範囲で制御可
膜厚は 0.1 – 0.2 um
DGA
耐水性,耐薬品性,抵抗安定性は良好
2-(2-Aminoethoxy)ethanol
Diethylene Glycolamine
熱特性
特開平7-283244, 特開平7-286941
• 150℃超では抵抗値が劣化・・・低温加工が必須!
• ウェットエッチング性
– 通常のウェットエッチングによるREGEMは加工精度に問題!
• レーザ加工性
– 熱影響の大きい加工は不可 ・・・KrFレーザの可能性
• YAG3倍波(355nm),CO2 laserは光熱作用・・・熱影響大
• 基板の熱歪み,PEDOT膜の劣化・破壊
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KrFエキシマレーザ加工
コンフォーマルマスク法
・熱影響が少ない。
・同時に多孔加工が可
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[LIPS Works HP より]
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KrFレーザ微細加工
•
•
マスクイメージ法の採用 ⇒両面PEDOT-REGEM
第1回試作 (25ヶのGEM孔)
– レーザ加工性は良好
•
•
ポリイミド基板への熱影響は問題なし
加工精度はフォトリソと同等であることを確認
– スミアの問題
•
•
•
PEDOTの劣化: スミアはPVA系樹脂(Tm~185℃)を変質させ得る熱を持つ.
GEM孔の絶縁不良
第2回試作 (5 mm x 5 mm REGEM)
– 保護膜の改良
•
2層構造: PVA系樹脂(保護膜除去機能)+PC樹脂等(耐熱性)
–
•
•
耐熱性と保護膜除去性を確認
フタ問題・・・PVA系樹脂は λ 248 nm の光を透過し,加工し難い.
第3回試作 (1 mm x 1 mm REGEM)
– フタ問題の解: Pyranine 等をPVA系樹脂に添加 ・・・光吸収率を高める
– 樹脂のエッチング性: エッチングレートを測定
•
第4回試作 (10 mm x 10 mm REGEM)
– REGEM test ・・・大放電テスト用
– 加工時間 400 sec(Synchronous scan), 420 sec (step&repeat) / (10 mm x 10 mm)
– デスミア処理
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両面PEDOT-GEM / マスクイメージ法
Manufacturing
at LIPS WORKS
KrF Excimer laser
Wave length 248 nm, Power 80 W,
Pulse width 30 ns, fluence 0.7 J/cm^2,
Repetition rate 100 pps (max 190 pps),
beam size 1.0 X 1.0 mm^2.
Mask image method
M=1/4
“5 % Pyranine” のフィルム構成( 4th trial)
膜厚 um
部材名
材質等
2
保護膜
PC系樹脂 (FPC-0220,
Tg ~ 190 ℃)
(耐熱性)
保護膜
5 % Pyranine 入りPVA樹 ~ 4
(除去性) 脂 (OKS-6222)
0.2
電極(上) PEDOT
50
PI 樹脂 (KAPTON)
基板
0.2
電極(下) PEDOT
保護膜
5 % Pyranine 入りPVA樹 ~ 4
脂 (OKS-6222)
(除去性)
2
PC系樹脂 (FPC-0220)
保護膜
30
接着剤
エポキシ接着剤
50
裏打フィル PIシート
ム
第3,4回目の試作には,Pyranine あるいは
Acid Red 18 をPVA系樹脂に添加した.
[表面技術 Vol. 64(2013) No. 4 p.253-257]
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The 3rd Trial : “5 % Pyranine”
a surface of
PEDOT skin of
the Back side
Laser etching:
/ #shots 290
/ Depth ~ 70 um
・大きな残留物は1個(粘着剤の残留物?)
・孔の形状はほぼ良好
・詳細に見れば,少しの歪みがある(「フタ」の影
響
・PEDOT膜の熱による浸食はない
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「フタ」現象 /The 2nd Trial: no Pyranine
λ248 nm に対する吸収がない場合
・保護層(耐熱)は KAPTON 20EN (t= 5
um)(2回目試作の例)
・PC 系樹脂にも同じ現象が起った.
・原因1:PVA系樹脂が λ248 nm の光を
透過する
・原因2:レーザ・エッチング面は周辺が
先にエッチングされる.
・【推測】そのため,エッチング面がPC系
とPVA系の境界近くになると,周辺から
レーザ光が漏れ,PVA系を通り越して,
PIをエッチングする.PIの分解物が爆発
を起こす.PC系はゆっくりエッチングさ
れていて,残部が吹き飛ばされる.
・結果1: フタの形成
・結果2: 熱の発生・・・数 um 幅のリム
・結果3: 加工精度を悪化
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「フタ」現象 /The 2nd Trial: no Pyranine
・「フタ」は加工精度を劣化させ
る.
・解決策:PVA系樹脂にPC系
と同程度の紫外線吸収率を持
たせる.紫外線吸収剤(染料な
ど)を添加する.
248 nm に対する光吸収率
PC
PI
PMMA
α/ cm-1
1e+05
2.8e+05 65
Ft/
mJ/cm2
56
65
200
[from Laser chem. 10 (1989) 25]
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“5 % Pyranine ”/ 3rd trial
樹脂のエッチングレート
PC
Etching
rate
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0.22
um/shot
PVA+
PI
Pyranine
0.47
PET+
0.21 0.32
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Desmear treatment
preliminary test
・ sample : 40303
・ 真空プラズマ表面処理装置
/ P ~ 1 torr
/ micro wave
13.56 MHz – 2.45 GHz
/ Power 1 KW
/ Gas
O2 1000 mL/min and
CF4 100 mL/min
/ 原理: リモートプラズマ,
または,ダウンフロープラズマ
/ 低温処理 ワーク上 60 ℃
/ 1 batch = 300 nm x 3
・ 初めスミアを削り,次に地肌を
削る.
・ PVA系とPI系のエッチングレー
トの違いが,スミア層が切れた
時点から,GEM開口径を急に拡
大させた.
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Desmear for IV-40101
IV-40101 Front side
Desmear condition
/ 150 nm x 7 =1050 nm
・縁が全周に亘って僅かに
削れている.
・外径は 77.5 um
・浸食 1.9 - 2.0 um, 深さ
0.74 um
IV-40101 Back side
Desmear condition
/ 150 nm x 7 =1050 nm
・円周の縁が一定幅に白っ
ぽく傾斜している.外径
65.1 um,深さは 0.10 um ,
恐らく,PEDOT膜だ.
・
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Desmear for IV-40101
Sample IV-40101
表面抵抗
Front side
Back side
絶縁抵抗
position
ohm
1
1.2e+06
2
1.6e+06
3
1.1e+06
4
1.7e+06
1
2.7e+06
2
4.5e+06
3
2.1e+06
4
4.1e+06
> 1.e+11
1
40101
1
2
3
4
2
3
4
加工による表面抵抗の大きな変動はない.また,絶縁抵抗も良さそう
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まとめ と 今後の方針
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まとめ と 今後の方針
• REGEMの加工精度を上げるのは・・・
– 加工精度はGEM穴の電場整形に大きな影響を持つ.
• ガス利得,電気絶縁性
– GEM穴円周の滑らかさも大事
• 突起による電界放出を避ける
• レーザ微細加工(エキシマレーザ)
–
–
–
–
光熱作用ではなく,光化学作用によるレーザ加工が可能(熱影響が少ない)
しかし,アブレーションに伴うスミア対策が必要.
PEDOT膜表面には保護膜で回避、孔内スミアは削る.
保護膜構成材の λ248 nm に対する紫外線吸収率を揃えられれば良い,
エッチングのレートや形態を合わせることが必要.
– 同時に多くの細孔を精度良く開けることができた.
• とにかく,REGEMを作り,PEDOT膜の特性をみる
– KrFレーザ加工による REGEM
– 10 mm X 10 mm のREGEMを製作,大放電に対する耐性をみる
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おわりに
この開発研究は、科研費基盤(C)の助成を始め、
測定器開発室MPGD基礎班からのサポート、
多くの民間企業の有償、無償のサンプルの提供や技術支援を
いただき進めています。
また、特許公開により、多くの技術・技法を知ることができ、
発明者に感謝いたします。
ありがとうございます。
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