陽電子源 - JLC

大森 恒彦
高エネルギー加速器研究機構
2012年1月18日
早稲田大学
T.TakahashiNumazawa
Hiroshima
©Shigemi
この発表スライドは広島大の高橋、栗木
両氏のスライドを元に制作しました。
1
お二人に感謝します。
ILC加速器の概要
~1km
• シンクロトロン放射
– リング1周あたりのエネルギー損失
4
E
E  2
R
R
– エネルギーの4乗に比例
Circular
エネルギーを2倍にすると1周あたりの損失は16倍
Linear
– Cost (linear) ~ a L
Collider
Collider
cost

なぜ線形加速器なのか?
– where L ~ E
~ 200 GeV
Energy
Barish
ILC加速器の構成
ダンピングリング
電子
電子源
主加速器
T.Takahashi Hiroshima
陽電子
主加速器
4
リニアコライダーの概念図
偏極電子源
陽電子源
アンジュレータで発生する光を標的に当て,
電子・陽電子を対生成(自然に偏極)
オプション:
コンプトン偏極陽電子源(アドバンス)
コンベンショナル無偏極陽電子源(バックアップ)
超格子フォトカソード+強力レーザー
ダンピングリング:
ビームエミッタンスを低減
測定器
ビーム収束システム:
ビームサイズをナノメートルまで絞り込む
主加速器:
超伝導加速管を約8000個並べて粒子を加速
T.Takahashi Hiroshima
第1期(500 GeV):~30 km
第2期(1 TeV) :〜50 km
ILC on 早稲田大学
-25km
T
-15km
・
0
6
+15km
・
+25km
リニアコライダーのキーテクノロジー
100億個の電子と陽電子の塊(バンチ)を
• つくる
• 偏極電子,(偏極)陽電子
• 加速する
• 超伝導加速空洞による高電界加速
(~30 MV/m)
• ぶつける
• ナノメートルビームの生成・制御
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つくる
電子源
陽電子源
偏極電子源
► リニアコライダーにとって偏極ビームは極めて重要。電
子の偏極度は80%以上。
► 現在のところ、80%以上の偏極電子が生成可能な技術
はNEA-GaAs/GaAsP超格子フォトカソード。
世界初の成功した超
格子フォトカソードは
日本で開発された
KEK-名大-NEC
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陽電子源
► 陽電子は電子の反粒子。物理的
にほとんど対称だが、世界の対称
性が大きく破れている(反物質は
存在しない)ので、電子と同じよう
には作れない。
► ガンマ線の電子と陽電子対生成
反応を用いて、陽電子をつくる。
► 直接ガンマ線を用いる方法、電子
を入射し物質内で発生するガンマ
線を用いる方法がある。
► ILC では SLC の 65 倍(単位時間
当り)の陽電子が必要
10
アンジュレーター方式
► 100GeV程度以上のエネルギーの電子をアンジュレーター
(周期的に向きを変える磁場)に通すと 10MeV以上のガン
マ線を生成する.
► このガンマ線から対生成により陽電子を生成する。
► ヘリカル磁場を用いると、円偏光ガンマ線が生成され、陽電
子も偏極させることができる。
► しかし100GeVの電子ビームをつくるのは大変。
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ILC Positron Source
(アンジュレーター方式)
ダンピングリング
電子
主加速器
電子源
アンジュレータ
陽電子
主加速器
ILCではアンジュレーターで陽電子をつくる。
しかしわざわざ陽電子生成のためだけに100GeV以上の
高エネルギー電子ビームをつくるのは効率的でない。
そこで、物理衝突実験のためにつくった電子ビーム
(250GeV)を利用して、陽電子も作ってしまう。
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つくられた陽電子は次回の衝突で使用する。
レーザーコンプトン方式
► 数GeVの電子ビームとレーザー光子との逆コンプトン散乱~ 30
MeVガンマ線.
► 円偏光レーザー光による偏極ガンマ線から偏極陽電子生成.
► レーザー波長がアンジュレーター周期長よりも小さく、電子のエ
ネルギーは数GeV程度で容易にガンマ線を生成.
► 断面積が小さい、レーザーを収束長(焦点深度)が浅い
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レーザーコンプトン方式
► 原理実証実験は既に完了
早稲田大学・鷲尾研、首都大、成蹊大、KEKの共同研究
► 実用化の為には強度度向上が鍵
► レーザー光蓄積空洞を開発中
早稲田・広島・成蹊・KEK・フランスの共同研究
► 陽電子のバンチ毎蓄積も開発中(今日は省略)
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レーザーコンプトン方式
フランス(LAL, CELIA)と日本(早稲田大、広大、成蹊大、KEK)で
レーザー光蓄積空洞を開発中
2-Mirror Cavity --> 4-Mirror Cavity
s_spot ~ 30 micron
15
F ~ 2000
s_spot ~ 15
micron
(design)
F ~ 5000
電子ビーム方式(従来型)
► 数GeVのドライブ電子ビームを高い密度の生成標的に入射。
► 物質内部では制動輻射によりガンマ線が発生し、そのガンマ線が
対生成反応により陽電子を生成する。
► 当初は従来型陽電子源はターゲットの熱負荷/ショックウエーブ
の為に、ILC では利用不可能と考えられた。しかしパルスストレッ
チングを行ない、電子ビーム/ターゲットのパラメーターを適切に
選べば従来型でも ILC の要求を満たす事が最近判った。ILC 最
後の技術的不安要素が消えた。
16
17
広大-東大-ANL-DESY-ハンブルグ大-KEK
ゆっくり回転する
固体タングステン標的
Truly Conventional
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広大-東大-ANL-DESY-ハンブルグ大-KEK
加速する
加速の方法
高周波電力:
Lバンド(1.3GHz)
(陽)電子
電場
115.4mm
1274mm
加速度=電場強度
超伝導加速空洞
T.Takahashi Hiroshima
ILCは~30MV/m(0.03GV/m)
エネルギー効率が高い
20
超伝導加速空洞の電磁場の様子
青い部分が温度2Kの液体ヘリウム
ぐるっと回っているのが磁場
中心軸上にできるのが電場
この電場で粒子を加速する。
佐伯さん
大電力クライストロンからのマイクロ波パワー
を導入する入力カップラー。
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高加速電場超伝導空洞開発
2006年の訪問の際にみせたスライド
Q値
Goal: 51 MV/m
11
1011
10
Qo
10
101010
Eacc,max = 51.4MV/m
@ Qo = 0.777E10
9
109
10
00
10
10
20
30
40
20
30
40
Eacc []MV/m]
加速電場[MV/m]
50
50
60
53.5MV/m
June 13 2006
T.Takahashi Hiroshima
岩井,
Hong, 古田
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高加速電場超伝導空洞開発
2006年の訪問の際にみせたスライド
Q値
単セル空洞での
チャンピオンデーター
Goal: 51 MV/m
11
101011
Qo
10
101010
Eacc,max = 51.4MV/m
@ Qo = 0.777E10
9
109
10
00
10
10
20
30
40
20
30
40
Eacc []MV/m]
加速電場[MV/m]
50
50
60
53.5MV/m
June 13 2006
T.Takahashi Hiroshima
岩井,
Hong, 古田
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加速空洞量産化にむけて 2006-2011(約5年間)
の積算歩留り
技術設計書(2012年末)のゴールは35MV/m*で分留まり90%
* 35 MeV平均 20% のバラツキを許容
加速空洞量産化にむけて year-by-year 歩留
技術設計書(2012年末)のゴールは35MV/m*で分留まり90%
* 35 MeV平均 20% のバラツキを許容
高周波加速装置
液体ヘリウム容器
1m
~8000台/beam
~900台/beam
12m
T.Takahashi Hiroshima
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S1-Global
• 世界各国で作られた装置を合わせて一つのシス
テムとして日本(KEKで)総合試験
FNAL
Connection to
2K Cold Box
DESY
KEK type1
KEK type2
End Cap
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ぶつける
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ATF at KEK
ATF2 (2007)
37nmのビームサイズ
長期安定性、nmの制御
超低エミッタンスビームの生成
と制御
Laser Wire
超低エミッタンスビーム
S band Linac
Photocathode RF gun
T.Takahashi Hiroshima
50m
30
ATF at KEK
ATF2 (2007)
37nmのビームサイズ
長期安定性、nmの制御
超低エミッタンスビームの生成
と制御 4極電磁石100台、6極68台
数十ミクロンの精度で設置
Laser Wire
超低エミッタンスビーム
S band Linac
Photocathode RF gun
T.Takahashi Hiroshima
50m
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ATFはリニアコライダーの要求を満足する性能を実現した
T.Takahashi Hiroshima
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最終収束システムの試験 ATF2
2006年
2010年
最終収束システムの試験 ATF2
国際共同建設のモデル
2006年
2010年
Q : IHEP(中)
BPM: PAL(韓), KEK
BPM 読出し回路: FNAL(米)
IP BPM: KNU(韓), KEK
最終Q: SLAC(米)
最終Q架台: LAPP(仏)
IP BSM: 東大
軌道安定化フィードバック: RHUL(英)、Oxford(英)
optics チューニング: LAL(仏), SLAC(米), KEK
最終収束システムの試験 ATF2
• ILCと同じモデルのシステム
• ATF2で37nm->ILCで6nm
• 絞るだけではない
• 位置の調整,モニター
まとめ
• 加速器は測定器(竹下さんの話)と共に国際体制
で研究開発
• 日本は加速器開発研究をリード
•
•
•
•
超伝導加速システム,超低エミッタンスビーム
陽電子源(アバンスドオルタナティブ&従来型バックアップ)
電子源(超格子フォトカソードは日本で開発された)
その他,すべてのコンポーネントに渡って寄与
• 2012年に技術設計書
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