株式会社の基礎・理論 株式会社の目的・行動原理・機能 & 「ミクロ経済学で学習する企業」と の関連 項目 • • • • 株式会社の目的 株式会社の行動原理 株式会社の機能 「ミクロ経済学で学習する企業」との関連 株式会社の目的 通説:利潤追求 異論:会社の生存と成長 しかし実際は・・・ 株式会社の行動原理 株式会社はいかにして成立しているか 個別資本の運動 株式会社の行動原理 個 別 資 本 自己資本:利潤目的資本 機能資本:出資資本 他人資本:利子目的資本 無機能資本:貸付資本 株式会社の行動原理 株式会社の企業形態 = 経営拡大を目途に経営権の集中を図りな がら資本の集中を実現する しかし、通常自己資本が集中すると経営 権(支配)は集中しない 株式会社の行動原理 株式会社の特徴 ・全社員有限責任制 ・会社機関の存在 ・確定資本金制と永続性 ・譲渡自由な等額株券制 株式会社の行動原理 譲渡自由な株券制 自己資本は本来企業に固定されるものである が、株式会社では動化させる。 =出資を有価証券の形で代表させ、売却可能 なものとすることができる。 自己資本の無機能化に成功する 株式会社の機能 • 株主総会:最高意思決定機関 • 取締役会:業務執行機関 • 監査役会:業務の監督 「企業」と株式会社の関連 企業はなぜ株式会社という 企業形態を選択するのか 資金を小口に分け、出資者のリスクを 分散させることで多額の資金を集められる 「企業」と株式会社の関連 ミクロ経済学において企業の役割は・・・ 市場経済の中で労働やその他の資源の用役 を各種資本財と結合することによって財の生 産を行い、その成果を他の企業や家計及び 政府の需要を満たすこと。 「企業」と株式会社の関連 実際は・・・ 資本主義経済における企業の目的は「営利 の追求」。 しかし、 企業は株式会社として巨大な資本を持ち、社 会的存在である。 「企業」と株式会社の関連 企業は社会的存在 社会が必要とする財やサービスをつくり出し、 継続して供給するという社会的責任を負う 利潤追求は企業目的ではなく、社会的使命を 果たすための手段である。 歴史・沿革 1.欧州 特許会社 • 特許会社とは…. 経営権が国に保留されている事業の、一部 または全部の経営権を、法律などにより付与 された会社。 • 世界で最初の特許会社 モスクワ会社 大航海時代 • 1492年 コロンブス アメリカ発見 • 1498年 ヴァスコ・ダ・ガマのインド航路発 見 • マゼランの世界一周 • 資本主義時代の幕開けへと… 銀 新大陸 銀 ヨーロッパ 毛織物 アジア 胡椒 株式会社成立の過程 • 大航海時代の交易により多額の利益。 • 未知の海に公開することは命の危険。 利益 命 オランダ東インド会社 • 1595年~1602年 14つの東インド会社が設立 • 共倒れの危険が発生 • 1602年 連合されオランダ東インド会社として設立 世界最初の株式会社 • 1611年 常設の証券取引所が開設 • モルッカ諸島で支配的な地位を確立 オランダ東インド会社 • 最初の株式会社の起源の理由 ・社員の責任が有限責任 ・取締役団が結成。17人の取締役会が最高執 行関 ・出資金が当初の10年間は固定 ・株式の自由な譲渡が認められていた。 • しかし、株主総会を欠いていた。 イギリス東インド会社 • 航海ごとに、出資者を募る。 • すべてを出資者に返却。 • この点がオランダ東インド会社との違い • 1657年 新たな特許状。これにより、永続的 な会社組織となっていたオランダ東インド会 社と同じ企業組織に。 イギリス東インド会社 • イギリス東インド会社の歴史 • 1600年 東インド会社設立 • 1601年 最初の航海 • 1612年 一航海ごとに資金を調達する方式 から一度に複数の公開資金を調達する方式 への移行 • 1657年 新たな特許状 株式会社の普及 • 株式会社の形態 貿易業 産業革命 工業生産が盛んに • 株式発行という資金調達 バブルと南海泡沫事件 ----------------18世紀------------------------------------• イギリス政府が南海会社を使い、債務の再編。 • 投機ブームによる、金融バブル発生。 • たくさんの株式会社の新規設立。 • 1720年 南海泡沫禁止法 • バブルが終わる。 • 株式会社進展の妨げに。 アメリカの株式会社 • 株式会社による の整理 インフラ・大学・銀行・教会・運河・市役所・道路 • 1792年 ニューヨーク証券取引所が発足 • 1811年 ニューヨーク州で一般会社法 • イギリスに比べて発展が早かった。 会社設立の自由化 • パートナーシップが事業形態の主流 国や州の仲介を避けたいから。 • 19世紀前半・・・・・ 国や州が態度を軟化 鉄道 • きっかけとして 法律 政治 • フランスでは。 1807年 商法 1867年 会社法 • スウェーデンでは。 1848年 会社法 • ドイツでは。 1870年 第一株式会社法 1884年 第二会社法 イギリスの会社設立 • • • • 1844年 1855年 1856年 1862年 登録法 有限責任法 株式会社法 会社法 世界最初の近代的な会社に関する総合的な 法律。 大企業の台頭 アメリカ イギリス • 巨大会社により、世界経済 のトップへ。 • 鉄道建設ブーム • 会社の大規模化において アメリカに遅れ。 • 同族企業 • 流通を通し、巨大卸売業者 の出現 • 製造業及び流通業の上場 会社の増加 • 南北戦争により、製造業の 発展 • 第一次世界大戦後の合併 ブーム 日本の株式会社の歴史 日本初の株式会社 明治6年:第一国立銀行 ・三井組と小野組が資本金 100万円ずつを出 資 ・さらに一般からの応募44万円をあわせた 244万円で設立された 証券取引所 明治11年に開設 ・資本金20万円、株主95名 上場株式会社 • 日本初の上場株式会社は東京株式取引所 • 当初の上場証券は、新公債と旧公債、秩禄 処分のために発行した秩禄公債の3銘柄だけ 大正期の株式会社 • 当初大戦景気で株が世間でもより一般的に • 金融引き締め政策と関東大震災で一気に下 火に – 一時取引不能にも 昭和前期(大戦前)の株式会社 • 巨額の軍事支出をまかなうため、政府は巨額 の赤字国債を増発 – 悪性インフレに • これに対応するため利付きの「貯蓄債券」や 割引方式の「報国債券」を発行 • 戦時状況の悪化 – 株式取引所閉鎖、国家統制下に 第二次大戦後の株式会社 • GHQによる近代的株式取引のルール作成 「証券取引3原則」など • 戦後当初の上場会社は485社・681銘柄 • 株式会社はGHQによる株の取引ルールにしたがっ て運営され、現在の規模まで成長 会社法 • 平成17年:会社法が成立 「特徴」 – 資本金1円からでも株式会社が設立可能に – 利用者の視点に立った規律の見直し – 会社経営の機動性・柔軟性の向上 – 会社経営の健全性の確保 近年のアジアの株式会社 米国の金融市場の動揺に振り回され るアジア株式市場 「サブプライムローン問題」 • アジア主要国に影響を与える • アジアも今後しばらく不安定な状態に アジア各国の経済状況 中国 • インフレリスクへの対処が必要 • 実体経済は成長、小売売上高・輸出額は増 加している インド • 金融引き締め策のなかで高い経済成長 – 鉱業部門は減速傾向 – 追加金融引き締め策の実施もあり得る 韓国 • 生産者物価指数が高騰 – 韓国中銀は無担保コール翌日物金利を5%に据 え置いている 台湾 • 中国からの需要増 – 輸出関連企業が成長を見せている アジア株式市場全体 • サブプライムローン問題の影響 • アジア市場は依然として魅力的とされるが、 この危機を早く乗り越えなければそれも失わ れてしまう 株式会社の制度について 株主 • 株主を購入した人や団体のこと • 保有する株式数に応じて権利と責任を 株主の権利について・・・ 株主の権利(会社法第105条) • 配当請求権・ ・・・企業利益配分を受ける権利 • 残余財産分配請求権 ・・・会社解散時の財産を受ける権利 • 経営参加権 ・・・企業経営方針の決定に参加する権利 株主の責任(会社法第104条) 株主有限責任の原則 • 株主が責任を負う範囲は株式購入額のみ • 会社倒産時の負債などは課されない 株主有限責任の利点 • 投資リスクが減る ↓ 株式投資家が増える • 損失額が予想の範囲にとどまる ↓ 一般家庭など、参加投資家の幅が広がる 株主平等の原則(会社法第109条) • 株主は保有する株式の数に応じて平等な扱 いを受ける • 株主の権利 「議決権」「配当請求権」 • 「残余財産分配請求権 」 などに適用 • 例外1)権利内容の異なる種類の株式 • 例外2)単元未満株式 を保有する株主 単元・・・株式売買の最小の単位。企業が決める。 譲渡自由の原則(会社法第27条) • 株主の保有する株式は、自由に他人に譲渡 できる 「譲渡自由の原則」の目的 会社側 • 長期に安定する資金の必要 • 資金を出資さえしてもらえればよい • 「株主有限責任の原則」で請求は不可能 投資家側 • 投資資金が長期間固定されるのは好ましくない • 投資リスクの回避 「譲渡自由の原則」の例外 • 定款により、制限が課せられている (株式譲渡制限会社) 非公開株式会社 株式会社の経営について 1.株式会社はだれのものか 株主主権論 • 株式会社の所有者は出資している株主 →反論「従業員主権論」 会社従業員の経営があっての株式会社 結論 • 資本主義社会では出資者がオーナー • 株主主権論が伝統的な見方 2.会社経営は誰がするのか 株主 • 資金を持つ • しかし経営能力が低い • 会社経営に関心がない者も多々 →経営の効率が悪い 会社経営者 • 株式会社の所有者ではない • 優秀な経営能力を持つ →効率が良い 「所有と経営の分離」 • 経営能力はないが、資金を有する者 株主 =所有 • 資金はないが、優秀な経営能力をもつ者 経営者=経営 社会的効率性を高める 3.企業経営と企業統治 企業経営(マネジメント) • 企業の目的を達成する為の戦略 • 企業戦略(全社戦略) →いかなる事業をてがけるか • 事業戦略(競争戦略) →事業をいかにしてこなすか • 経営資源獲得、配分、戦略の効率性 etc… 企業統治 企業統治(コーポレート・カバナンス) • 企業経営の目的そのもの • 企業経営の上位になる概念 • 企業活動が目的に沿ってるかの監視 • 多種多様な目的がある • 利益最大化 • 様々な利害関係者 企業の経営方針の適正化と合理化を図る 株主総会 • 株主を構成員とする • 会社の基本的な方針や重要な事項を決定 • 「株主平等の原則」 経営方針の決定権限における最高機関 取締役会 • • • • 取締役全員による構成 株主総会で決定された企業方針に従う 会社経営について決定する 取締役を監督 会社経営の決定権限における最高機関 4.コーポレート・カバナンスの主権 ~誰の利益を優先するか~ • 株式会社は誰のために経営されるべきか • 伝統的な「株主主権論」 適切なのか 4.コーポレート・カバナンスの主権 ~誰の利益を優先するか~ • 利害関係者=ステークホルダー • 多種多様な利害関係 • 企業と関わるのはメリットがあるから • 全てのステークホルダーを考慮すべき 4.コーポレート・カバナンスの主権 ~誰の利益を優先するか~ • 「株主主権論」で株主の効用最大化を目指す • その他ステークホルダーの離反 • 効用最大化ならず • 「会社は社会の公器」 • 社会全体の効用最大化を目指すべき 企業統治の問題点について プリンシパル=エージェント問題 ―モラルハザードー • 「所有と経営の分離」=「委任者と受任者」 株主=委任者(プリンシパル) • 企業の状態に無知、また知識も乏しい 経営者=受任者(エージェント) • 経営状況、財政状態を詳しく把握 「情報の不一致」 プリンシパル=エージェント問題 ―モラルハザードー • 情報格差 経営者=情報優位者 • データ改ざん • 不正な経営 • 2001年 エンロン事件 モラルハザード 企業会計の枠組み ・企業会計の意義 ・会計の領域 管理会計 財務会計 会計監査 ・会社法と金融商品取引法 ・会計基準の国際化 ・企業会計の一般原則 企業会計の枠組み ・企業会計の意義 ・会計の領域 管理会計 財務会計 会計監査 ・会社法と金融商品取引法 ・会計基準の国際化 ・企業会計の一般原則 会計の分別 ・マクロ会計(社会会計) →国全体 ・ミクロ会計 →家計、企業、学校、官 庁 ・営利会計 →企業 ・非営利会計 →・家計 ・官庁会計 ・非営利法人会計 企業会計の意義 特定の企業における経済的事象を主と して貨幣単位よって測定し、その結果に 関する情報を伝達する行為 特定の企業における経済的事象を主として① 貨幣単位よって測定し②、その結果に関する情 報を伝達する行為③ ①営利を目的とする経済的組織体としての企業に おける経済的事象を対象とする ②貨幣単位による測定を主とし、物理量単位によ る測定はサブ的に行われるにすぎない ③測定された情報は各種の情報利用者・利害関 係者に伝達する過程を含む。 会社情報の利用者 • 経営者 • 従業員 • 投資者 • 租税当局 • 金融機関 • 規制官庁 • 取引先 • 消費者その他 会計の領域 管理会計 財務会計 監査 管理会計 • 企業内部の経営管理者に対して、 計画設定、意思表示、業績評価・統制、 原価管理、原価の算定に役立つ情報 など を提供することを目的。 経営管理者のニーズに応じて柔軟に会計情報 を提供することが求められている。 財務会計 • 企業の外部の利害関係者に対して会計情報 を提供することを目的。 • 外部利害関係者の意思決定に大きな影響を 与える。 →会社法、金融商品取引法、法人税法といった 法律によって一定の規制を受ける。 監査 監査とは、 行為そのものや行為の結果を示す情報など について、独立の立場にある第三者が検査 することによって、その真実性、妥当性を高 め、その結果を報告するもの。 会計監査 • 株式会社の調査の対象による分類では 会計監査と業務監査 に分けられる。 会計情報および会計行為を監査対象とする ものを会計監査という。 • 財務会計と管理会計の会計報告に対して会 計監査が実施されることとなる。 監査の必要性 • • • • 利害の対立 影響の重大性 複雑性 遠隔性 などの理由から監査の必要性がある。 会社法 • 株式会社をはじめとする株式を規定とする法律 • 2006年5月から施行 • 会社に係わる実態的規定のほか、訴訟、罰則等の 規定などを制定 会社法と株式会社 • 株主と債権者への情報提供 →会社の財政状態および経営成績についての 情報を株主および債権者に提出する。 • 剰余金の分配の規制 →株主と債権者の利害調整のために剰余金の 分配を規制する。 金融商品取引法 • 従来の証券取引法を名称変更したもの。 • 株式や債券等の有価証券だけではなく、さま ざまな金融商品に関するルールを包括的・横 断的に整備したもの。 会計基準の国際化 • 会計基準は各国の基準設定当局にて作成 →国ごとの異なる会計基準 • 1973年 国際会計基準委員会(IASC) • 1988年 証券監督者国際機構(IOSCO)による支持表明 • 2000年 国際会計基準(IAS)が国際的な基準として認知 • 2001年 国際会計基準審議会 国際財務報告基準(IFRS) • 2005年 欧州連合のIFRSの義務化 →100カ国以上の適用・適用の承認 企業会計の一般原則 • • • • • • • 真実性の原則 正規簿記の原則 資本取引・損益取引区分の原則 明瞭性の原則 継続性の原則 保守主義の原則 単一性の原則 株式会社の資金調達の方法 ・外部資本 ・社債と株式の相違 ・社債の発行形態 ・特殊な社債 ・株式の発行形態 ・内部資本 社債 株式 株式会社の資金調達の方法 • 金融機関や公衆から集める 外部資本を増やす方法 • 自己資本を内部で振り分けることで 内部資本を増やす方法 外部資本 • 債務を負って調達する、社債の発行 • 株式の発行 • 公的機関による補助金 社債と株式の相違 社債 株式 ・債券 →元本の償還○ ・株主権 →経営参加権(議決権)○ ・経営参加権(議決権)× ・出資の払い戻し× 社債の発行形態 直接発行 間接発行 ・委託募集 起債会社がすべての 募集業務をおこなう ・引受募集 ・総額引受 特殊な社債 転換社債(CB) 一定期間内に者債権者か らの請求により、あらかじめ 決められた条件に即して株 式に転換される。 新株引受権附社債(ワラント債) 一定の条件のもとに記載 会社の新株を引き受ける権 利を与えられている。 未発行株の発行 • 株主割当 → 新株引受権を現在の株主に • 第三者割当 → 新株引受権を 特定の第三者に • 公募 → 一般に募集 内部資本 自己資本 法定準備金 資本金 剰余金 任意積立金 未処分利益 配当可能利益の資本組み入れ • 未処分利益 • 任意積立金 この二つ(配当可能利益)を株主総会の決議 により全部または、一部を資本に組み入れる。 法定準備金の資本組み入れ • 会社は取締役会議の決議により準備金の一 部または全部を取り崩し、資本に組み入れる ことができる。 ※ここにいう準備金は法定準備金。 ちなみに法定準備金を崩せるのはこの場合と 欠損填補の場合に限られている。
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