THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY VOL. 290, NO. 27, pp. 16979–16988, July 3, 2015 Palmitoleate Reverses High Fat-induced Proinflammatory Macrophage Polarization via AMP-activated Protein Kinase (AMPK) Kenny L. Chan, Nicolas J. Pillon, Darshan M. Sivaloganathan, Sheila R. Costford, Zhi Liu, Marine Théret, Benedicte Chazaud, and Amira Klip パルミトレイン酸は高脂肪食が誘導する炎症性マクロファージの 分極化をAMP活性化たんぱく質キナーゼを介して反転させる 2015.11.02 M1 松村明導 • 背景 • パルミトレイン酸(PO)は全身性のインスリン抵抗性を抑制することが報告 されている。(1) • 慢性炎症から連なるインスリン抵抗性の発生には炎症性マクロファージ であるM1様マクロファージが重要である。(2) • AMPKの活性化がM2マクロファージへの分極に寄与していると考えられ ている(3) • マクロファージとパルミトレイン酸の関係はいまだ調査されていない。 • 目的 • パルミトレイン酸が炎症性マクロファージへ与える影響を評価した。 (1)Cao, H. et al(2008) Cell 134, 933–944 (2) Lumeng, C. N. et al(2007)J. Clin. Invest.117, 175–184 (3) Mounier, R. et al(2013) Cell Metab. 18,251–264 パルミトレイン酸は高脂肪食誘導マクロファージの炎症性遺伝子の発現や 分泌を抑制する ・BMDMは低脂肪食 (LFD)と高脂肪食(HFD)で 18週間飼育したC57BL/6J マウスの骨髄から分離し た。 ・分離した細胞は無血清 L929培地上清10%を含む 培地で7日間培養し、分 化させて用いた。 ・BMDMはBSAもしくは 0.5mMパルミチン酸を6 時間曝露し、iNOS,IL6, CXCL1,TNFの発現もしくは 分泌をqPCRもしくはELISA でそれぞれ測定した。 高脂肪食と低脂肪食由来マクロファージの炎症性物質の発現および分泌は有意な上昇 が確認でき、パルミトレイン酸を添加することにより、その上昇が抑制された。 パルミチン酸とパルミトレイン酸はマクロファージの分極を差別的に制御する ・普通食の18週間飼育し たC57BL/6Jマウスの骨髄 から分離して、分化させた BMDMを用いて実験を 行った。 ・分化させたBMDMに 0.5mMのPAとPOをそれぞ れ添加して18時間培養し たのちにM1,M2マクロ ファージ関連遺伝子を qPCRで発現量を測定した。 パルミチン酸は炎症性遺伝子の発現が高く、パルミトレイン酸は低いことが認められた。 パルミトレイン酸はパルミチン酸誘導Nos2の発現を減少させる。 分化させたBMDMを用い て、パルミチン酸とBSAを添 加した群にPOをそれぞれ の濃度添加して、規定時 間中のNos2の発現を6時 間と18時間で測定した。 パルミチン酸はNos2の発現を増大させたが、パルミト レイン酸の添加によってその発現が低下したことが確 認できた。 パルミトレイン酸をオレイン酸、トランスパルミトレイン 酸に変更したところ発現の低下は認められなかった。 パルミトレイン酸はパルミチン酸が誘導する炎症性遺伝子発現、NO産生、 そしてサイトカインの分泌を妨げる 分化させたBMDM に、BSAのみの群 とパルミチン酸もし くはパルミトレイン 酸もしくはその両 方の群の4群に分 けて、18時間曝露 した後に、Il6, Cxcl1,Nos2はqPCR、 それぞれの分泌 はELISAで、NO分 泌のみGriess assayを用いて測 定した。 パルミトレイン酸の添加によってパルミチン酸による炎症性遺伝子やその分 泌亢進の抑制が認められた。 パルミトレイン酸はパルミチン酸が誘導するNF-kBの活性を妨げる。 カバーガラスで細胞を培養した後、BSAのみの群とパルミチン酸もしくはパルミトレイン酸もしくはその 両方の群の4群に分けて、18時間曝露した。NFκBp65を一次抗体はNFκB p65抗体で、二次抗体はCy3 フルオロフォア結合抗体で染色した。続いてDAPI染色を行い、固定する。Leica DMIRE2 inverted fluorescent microscope で測定した後、ImageJを用いて染色領域を測定した。 パルミトレイン酸はパルミチン酸が誘導するNF-kBの活性を妨げる。 パルミトレイン酸はパルミ チン酸が誘導するNFκB p65のIκBαの分解を抑制 することで核移行を抑制 ることが示唆された。 パルミトレイン酸はマクロファージの酸化的代謝を増加させる Seahouse 96well plate で70,000cells/well播種 し、一晩培養し、2時間 試薬で平衡化したあと、 20分の基底を測定した 後、脂肪酸を終濃度 0.5mM添加し、60分後 に計測した。 パルミトレイン酸 はM2様マクロ ファージと同様に ミトコンドリアの 代謝のほうが大 きくなっているこ とが示唆される AMPKはパルミトレイン酸の抗炎症効果を媒介する AMPKのリン酸化は免疫 ブロッティングを用いて 測定した。Compound C は5µM添加した。 ATPはENLITEN ATP assay systemで測定した。 この時、通常食のマウス に加えてAmpkb1-/マウスのBMDMを用い た。 Compound C:AMPK阻害剤 AMPKはパルミトレイン酸の抗炎症効果を媒介する POの炎症性遺伝子の発 現の阻害はCompound C が阻害するAMPKの活性 化に関与していると示唆 された。 まとめ • 骨髄に存在する前駆細胞が脂肪酸などに影響されてマク ロファージの分極が起こった可能性があることが示唆され た。 • マクロファージにパルミチン酸を曝露することにより惹起す る炎症性遺伝子の発現は、パルミトレイン酸の曝露によっ ておこるNFκBの核内移行の抑制により低下することが示 唆された。 • パルミトレイン酸は、パルミチン酸が惹起するHFDマウスの 骨髄由来マクロファージの炎症性遺伝子の発現やその分 泌を抑制し、その効果はAMPKが関与することが示唆され た。 Experimental procedure • Animal Studies • Male C57BL/6J mice カロリー比10%脂質の低脂肪餌とカロリー比60%の高脂肪餌を9週齢か ら18週摂餌。4時間の絶食の後、頸椎脱臼で安楽死させた。 • BMDMの単離と培養 • 固形飼料(Prolab RMH 1000 成獣用低蛋白飼料)で6-8週齢のC57BL/6もしくはC57BL/6Jマウ ス飼育した大腿骨と脛骨の骨髄を15000×gで10秒間遠心して抽出した。 • AMPKb1KOマウス(generated by Dr. Bruce E. Kemp, St. Vincent’s Institute of Medical Research, Melbourne, Australia)と適切なコントロールはavailable by Dr. Gregory R. Steinberg (McMaster University, Hamilton, ON, Canada) and have been described previously (29). • 抽出された細胞はRPMI培地に10% heated FBS, 1×NEAA,1mM,塩化ピルビン酸,275uM 2-メ ルカプトエタノール,抗生物質1×を添加する。 • L929繊維芽細胞は低グルコースDMEMに10%FBS,1×抗生物質を添加したものでコンフル エントになるまで培養し、PBSで洗浄し10日間血清飢餓状態にする。培地は集めてフィル ター滅菌、分注して-20℃でL929調製培地と同様に保存する。 • BMDMは1×106cells/mlで播種し、10%L929調製培地で7日間培養する。 • 試薬 • パルミチン酸(PA), cis-palmitoleate(PO),cis-oleate, palmitelaidic acid (trans-PO),50℃の ウォーターバスを用い、50%エタノールでパルミチン酸を完全に溶解させた。その後40℃に してDMEM希釈10%BSA溶液で25倍希釈し、2時間振盪させて-20℃保存して、使用時に溶 解し培地に添加した。 Experimental procedure • qPCRでの遺伝子発現の測定 TRIzolでRNAを抽出してSuper Script VILO cDNA kitを用いてcDNAを合成する。qPCR反応は、 StepOne Plus real-time PCR Systemで、10ngのcDNAと修飾したTaqMan probesを用いて反応さ せる。パラメーターは以下(one cycle of 95 ℃ for 20 s, followed by 40 cycles at 95 °C for 1 s and 60 °C for 20 s. Gene expression was normalized to that of the housekeeping genes Abt1 and/or Hprt.) • NO測定 • Griess reagent systemを用い、NOが酸化された形である亜硝酸イオンを計測して求める。 • 1規定のHCL,7mMのナフチルエチレンジアミンを細胞を培養した培地に転嫁して540nmの 吸光度を測る • ELISA 細胞上清は 15000×gで10分間4℃で遠心し、分取し、-80℃で保存する。分泌されたIL6,TNF-α はELISA MAX Delux kitで測定した。細胞上清はMouse KC Elisa kitで、CXCL1/KC(keratinocyte chemoattrctant)を測定した • 免疫染色 • 細胞を氷上で溶解(20 mM Tris, 138 mM NaCl, 2.7 mM KCl, 1 mM MgCl2, 5 mM EDTA, 1 mM Na3VO4, 20 mM NaF, 1 mM dithiothreitol, 5% glycerol, 1% Nonidet P-40, and 1 protease inhibitor mixture (Sigma-Aldrich))させた。細胞を溶解させた液は15.000×gで10分遠心した。 • たんぱく質の濃度はビシコニン酸アッセイで比色定量した。 • 20µgのたんぱく質は10%SDS-PAGEゲルで泳動し、PVDF膜に転写した。メンブレンは抗IκBα, リン酸化AMPKα,AMPKα,アクチンα1で4℃一晩置いたのと、ヤギ-ウサギもしくはヤギ-マウス 抗IgG抗体でプローブした。Bands were visualized using an Odyssey Fc Imager (LI-COR, Lincoln, NE) and quantified using Odyssey Fc Image Studio version 4.0 (LI-COR). Experimental procedure • NFκB免疫染色 • カバーガラスで細胞を培養し4%パラホルムアルデヒドで室温、20分固定する。NH4Clで反応 停止し(quenched)、2%BSA in PBSで20分ブロッキングした。抗NFκB p65抗体で1時間室温で インキュベートする。そののち、0.2%BSA in PBSで3回洗浄する。細胞は、Cy3 fluorophore結 合ヤギ-ウサギ2次抗体で1時間暗所に置く。続いてDAPI染色を20分間行う。カバーガラスは 0.2%BSA in PBSで洗浄し、fluorescence mounting mediumで固定する。Images were acquired using a Leica DMIRE2 inverted fluorescent microscope equipped with Volocity 5.4.1.(30)で 示されているようにImageJを用いて領域を選択し、測定する。 • 細胞代謝測定 • 酸素消費比率(OCR)と、細胞外酸性化比率はSeahorse XFe96 analyzerで計測した。 Seahouse 96well plateで70,000cells/well播種し、一晩培養し、2時間XF base medium supplemented with 11mM glucose and 1mM sodium pyruvateで平衡化した20分のbaseline mesurementの後、脂肪酸が終濃度0.5mM添加し、60分置いた。 • ATP計測 • 細胞は氷上で2%trichroloacetic acidで溶かし、15,000×gで10分遠心し、細胞細片を除く。 溶解させた液は1M NaOHで中和し細胞基質のATP濃度をENLITEN ATP assay systemで計測 する。 参考:シーホースHP http://www.seahorsebio.com/products /instruments/analyzers.php 参考:シーホースHP http://www.seahorsebio.com/products /instruments/analyzers.php 参考:http://hobab.fc2web.com/sub2respiratory-chain.htm AMPKの活性化は脂肪酸の合成
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