障害者支援の社会的負担をめぐる問題

現代の諸相
障害者支援の社会的負担をめぐる問題
オランダでの経験・いまヨーロッパで起きて
いること
• 1990年代のヨーロッパ
• ユーゴ紛争による大量の難民
• ドイツは移民労働者への反感から、移民へのテロ頻発
• オランダは移民受け入れの優等生、市民の内心は別
• 現在のシリア・アフガン難民
• ドイツのメルケルは難民受け入れの理念
• 他国は大量難民に悲鳴→国境検問の復活(EU原則の否定?)
• テロによる反移民・難民感情
• 理念と実践はバランスが必要→障害者・高齢者等も同様
• バランスが崩れると双方からの反対(特に理念否定側から)
社会保持のシステムと負担・利益
• あらゆる社会は、共同生活を保持するためのシステムをもち、その
維持のために成員の負担を求める
• 基本的に健全な社会では、成員は負担を引き受け、保持するシステ
ムの利益を受け取る。
• 健全でない社会では、利益を享受できない層(奴隷)や負担をしない
層(王侯貴族)が存在する。
• それでも、王侯貴族も社会自体の防衛責任を負う。
• 以下「健全な社会」を想定して考察する。
負担の形態
• 費用(税金と私費)の負担
• 社会的労働を行い、収入があることが必要
• 身体を使っての負担(介助)(公的存在・職業人・ボランティア・家族)
• 普通学級にいる障害児の支援
負担可能な者と不可能な者
• 社会的負担と利益・便宜の享有
• 社会的に必要な負担をしている者は、利益・便宜を受けることができ、社会
の中で自立的な生活を営むことができる。
• 負担することができない者
•
•
•
•
子ども
病気の者
障害者
高齢者
将来は負担が可能になる。子どもへの便宜供与は先行投資
治れば社会に復帰
軽い場合は限定的な労働が可能
健康と資産に左右される
障害者と高齢者の社会的存在形態
• 似た側面
• 制限された労働が可能
• 医学の進歩によって増加した。
• 異なる側面
• いかなる社会でも、高齢者は主要な担い手からは引退し、負担を、次第に、
ほとんどしない存在となる。
• 障害は社会の状況によって認知されるもので、現在障害とされても、全くさ
れない状況もある。(義務教育以前の学習障害・狩猟社会のADHD)→工夫
等によって、障害が欠陥でなくなることがある。(眼鏡・補聴器→合理的配慮
の必要性)
高齢者・障害者はどのように生きてきたか
• 高齢者は健康な者だけが長く生きることができた。医学の進歩する
以前は、したがって「病気の高齢者」はほとんどいなかった。
• 先天的な障害をもった人は、流産・死産・出産間もない死亡等で、成
長する者は、軽い障害者がほとんどであった。
• したがって、全体に貧困な社会以外は、少数の労働できない高齢者
や障害者に生活の糧を与えることができた。
現代が高齢者・障害者の負担問題を生む
• 医療の発達が病気の高齢者や重度の障害者を増大させた。
• 病気の高齢者や重度の障害者は、負担が不可能で、逆に大きな援
助を必要とする。(社会にとっての負担の増大)
• 人権意識の高まりが、「援助の正当性」を主張する。
• 負担の一例(2014年学校基本調査より)
• 小学校
• 特別支援
生徒数
生徒数
6543114 教員数 417151 生徒数/教員数=15.7
134.093 教員数 79106 生徒数/教員数= 1.7
論争のふたつの場
• 権利論と義務論
• 人間は誰でも健康で文化的な生活を営む権利がある。→もともと健康でない
人は、どうするのか。(憲法25条)
• 教育を受ける権利「能力に応じて」の解釈 「選抜の是認」→「発達の必要に
応じて」(障害者団体の論理が影響)(憲法26条)
• 幸福追求権 自由権であって、社会権ではない。(憲法13条)
• 論争となる人生の段階
• 出産(障害を根拠とする中絶の是非)
• 就労(障害者雇用の義務化・作業所)
• 死(介護疲れによる殺害の罪・尊厳死)
神聖な義務論争
• 渡部昇一「神聖な義務」『週刊文春』1980.10.2号
• 西ドイツが経済発展したのは、ヒトラーが障害者、ジプシー、ユダヤ
人などを排除したためだという見解を紹介。
• 「障害者/病者が生まれることは社会の負担であるから、それを未
然に減らすために障害者/病者が生まれないよう、自発的受胎調
節をすべきだ」=大西巨人批判(子どもの福祉手当が月1500万だ)
• 胎児条項ではないが、個人の選択に対する圧力的発想
イギリスの中絶時期論争
• 1967年中絶法で、通常は24週まで、障害を理由とする場合出産
までの中絶を認める。その後羊水チェックを公費負担
• 2009年「障害者権利条約」、2010年「平等法」の成立で、再検討
• 2013年報告
• 「中絶手術決定」の透明性が疑問、「十分な情報がなく、中絶に誘導された」
思いをもったクライアントの声、前後のケアの欠如などが指摘された。
• 十分な情報とケアが必要。
• 出産までの中絶を認めるなら、すべての事例の検死が必要。
• 養子縁組をもっと活用
日本の優生保護法改定問題
• 旧優生保護法と現母体保護法(プリント)
• 青い芝の会(プリント)
• 「障害を理由とする中絶」は母体保護法で削除された。
• 実質は同じ(中絶を望む理由は障害ではなく育てる困難・負担)
• 削除されたから変わった
• 遺伝子相談 「青い芝の会」は反対
どう考えたらよいのか(出生以前)
• 障害があることを出生以前に阻止することは妥当か(国家による強
制は除外して考える)
• 国家が推奨し、検査・中絶費用負担をすることは妥当←→不適切
• 本人が自己負担・自己選択でするのならばよい←→認められない
• 是認として、出産まで認める←→通常と同じ時期まで
• 情報提供はどのような観点から行うのか
障害者の経済的自立問題
• 昔から労働できる者は社会参加していた。(塙保己一)
• 1960年代までは、多くが社会的労働からは疎外されていた。
• 1963年経済審議会答申「経済発展における人的能力政策の課題
と対策」 心身障害者は全国で100万人を数えると言われているが、
その更生を図り、埋もれた能力を活用し、 あるいは新しい職業への
転換を助けて移動を促進することは、9人的能力政策の見地から見
ても重要であり、今後予想される労働力需給の逼迫から就業の機会
も増加すると思われる。
• 2005 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するため
の法律・障害者自立支援法(多くの議論 応能負担→応益負担)
障害者雇用1
• 50人以上雇用している事業体は2%以上雇用する義務
• 違反した企業は「納付金」、達成している企業には調整金・報奨金・公表
• 設備等の負担に対しては助成金
• 雇用企業は、差別禁止と合理的配慮義務
• 合理的配慮の指針
• 募集を音声で提供(聴覚障害)・面接を筆談等(聴覚・言語障害)・机の高さ
を調節(身体障害)・習熟度に応じて仕事量を増やす(知的障害)・出退勤休
憩等、通院・体調に配慮(精神障害)
障害者雇用2職場づくりに望まれること
• ア障害者の種類や程度に応じた職域の開発。採用試験を行う場合には、
応募者の希望を踏まえた点字や拡大文字の活用、手話通訳者等の派遣、
試験時間の延長や休憩の付与等、応募者の能力を適切に評価できるよ
うな配慮。障害者の適性と能力に考慮した配置
• イ十分な教育訓練期間を設けることや雇用継続が可能となるよう能力向
上のための教育訓練の実施
• ウ障害者の適性や希望等も勘案した上で、その能力に応じ、キャリア形
成にも配慮した適正な処遇
• エ障害の種類や程度に応じた安全管理や健康管理の実施、安全確保の
ための施設等の整備、職場環境の改善
• オ障害特性を踏まえた相談、指導及び援助(作業工程の見直し、勤務時
間・休憩時間への配慮、援助者の配置等) カ職場内の意識啓発を通じた、
職場全体の障害及び障害者についての理解や認識を深めること
障害者雇用の問題
• 納付金より雇用によるコストの方が大きいと判断する企業
• 納付金不足1人月5万円
• 文教大学の障害者雇用は?
• 癲癇を隠して就労して、薬を飲まないで運転し、幼児の列に突っ込
んで多数死傷させた運転手
• 知らせなかったために、薬を飲むタイミング等困難があった
• 知らないために雇用者も薬等の配慮ができなかった
• 雇用者は報奨金を得、当人は合理的配慮を受けられるのに、何故隠してい
たのか
作業所や全く労働不可能な人は
• 雇用促進は、労働力活用政策の一環→社会的負担の軽減
• 作業所
• 社会的補助によって事業が成立
• 働くことによる精神的な側面
どう考えたらよいのか(出生後・生活領域)
• 何故、社会は障害者を援助するのか(援助すべきでないという議論
は前提としない。)
• 人間の権利として「人はみな平等」「健康で文化的な生活」の権利
• 社会保険的な原理「障害者の生きやすい社会は、すべてにとって生
きやすい社会」
• 合理的配慮・バリアフリー(改築等の費用発生が通常)→健常者も利用可能
• システムの改善(費用負担はあまりない)
• 重度脳性麻痺は