活動領域 NOAA 12192 の 磁場発展と黒点の生成・成長過程 米谷拓朗, 野澤恵, 澤田真平, 宮脇駿 (茨城大学) 一本潔, 上野悟, 阿南徹 (京都大学) 飛騨共同観測報告 太陽研連シンポジウム 2015/02/17 背景・目的 2 背景 黒点の生成・成長過程における物理的なメカニズムの解明 黒点を構成する磁場は大気層の高さによって構造が変化 黒点の生成 ・成長過程の理解には異なる高さの大気層での 同時磁場観測が有効 手法 Hinode/SOT および飛騨 DST/VS を用いた磁場観測 目的 光球および彩層における黒点の磁場発展およびそれにともなう 黒点の生成・成長過程の解明 3 観測対象 観測対象 活動領域 NOAA 12192中の黒点 ( 拡大 ) 活動領域 NOAA 12192 SDO/HMI 連続光 太陽全面像 2014/10/25 00:09 (UT) SDO/HMI 連続光 活動領域 NOAA 12192 23 日 23:00 (UT) – 25 日 01:00 (UT) 赤矢印:観測対象の黒点 2014 年 10 月 23 日から 25 日で黒点暗部が著しく成長 観測機器 4 彩層 装置:飛騨 DST/VS 波長:He I 10830 Å 観測方法:スリットスキャン DST 光球 装置:Hinode/SOT 波長:Fe I 6301 Å & 6302 Å 観測方法:スリットスキャン SOT (引用)SOLAR – C パンフレットより 観測時間 23 日の観測データ 24 日の観測データ スキャン:約 1 時間 光球 (He I) Start 10/24 00 : 31 End 〃 01 : 26 start 10/24 20 : 30 End 〃 21 : 25 彩層 (Fe I) Start 10/25 00 : 09 End 〃 01 : 19 光球と彩層で観測 時間にずれ Start 10/23 23 : 48 End 10/24 00 : 36 考察へのアプローチ ( 1 ) 23 日 & 24 日 視線磁場強度 光球:Milne-Eddington 大気モデル 彩層:弱磁場近似 光球・彩層の視線磁場強度の時間変化を考察 ( 2 ) 24 日 磁場の傾斜角 彩層:HAZEL (HAnle and ZEeman Light) 24 日の彩層における磁場の構造を考察 5 視線磁場強度の時間変化 ( 光球 6 ) Milne-Eddington 大気モデルから視線磁場強度を導出 23 日の黒点 24 日の黒点 赤矢印:観測対象 背景:HMI 連続光 等高線:視線磁場強度 (G) Red Orange Yellow Green Blue Purple Black : : : : : : : 2000 1500 1000 0 -1000 -1500 -2000 23日 & 24日の黒点: -2000 (G) 視線磁場強度が大きく変動した様子はない 視線磁場強度の時間変化 ( 彩層 7 ) 弱磁場近似から視線磁場強度を導出 23 日の黒点 24 日の黒点 赤矢印:観測対象 背景:He I Intensity 等高線:視線磁場強度 (G) Red Orange Yellow Green Blue Purple Black : : : : : : : 500 300 100 0 -100 -300 -500 共通:観測対象を挟んで正と負の視線磁場が広範囲に分布 23日の黒点: -100 (G) 24日の黒点: -300 (G) 黒点周辺で視線磁場強度が増加した 8 時間変化の考察 23 日の HMI 連続光 23 日 & 24 日 観測対象を挟んで大きな磁場のループが存在 観測対象 光球 彩層 23 日 彩層 光球 23 日 24 日 -2000 (G) -2000 (G) -100 (G) -300 (G) 周囲より磁場が強い 周囲と変化なし 24 日 青矢印 : 黒点磁場 黒丸 : 暗部 灰色丸 : 半暗部 赤矢印 : 観測対象 紫矢印 :磁場の変化 黒点の成長にともない磁場が彩層に達した 24 日の磁場の傾斜角 ( 彩層 ) 9 HAZEL から磁場の傾斜角を導出 24 日の傾斜角 黒線上のプロファイル 黒点暗部 (左図) 赤矢印:観測対象 背景:HMI 連続光 等高線:傾斜角(度) Red Orange Green Blue Purple : : : : : 50 70 90 110 130 (右図) 横軸 : X 座標 (arcsecs) 縦軸 : 傾斜角 (deg) 0 度:動径方向に平行 90 度:動径方向に垂直 黒点暗部の磁場が 100 - 120 度の傾きを持つ 24日の彩層磁場の考察 10 24 日 彩層 110 度 光球 -300 (G) 赤矢印 :観測対象 黒点線 : He I 観測領域 紫矢印 : 磁場の向き 緑矢印 : 視線磁場 視線磁場強度: -300 (G) 傾斜角: 110 度 黒点の磁場が水平に近い傾き 大きな磁場のループに抑えつけられた 23 日 - 24 日で彩層に達した磁場が大きな磁場のループに 抑えつけられため、水平に近い向きで観測された まとめ 11 目的 光球および彩層における黒点の磁場発展およびそれにともなう 黒点の生成・成長過程の解明 手法・結果 黒点磁場の視線磁場強度の時間変化および傾斜角の導出 23 日 – 24 日で黒点を構成する磁場のループがHe I 観測領域に 達し、その構造は水平に近い向きであった 問題点 解決策 主に視線磁場で検証 水平磁場なども含めた議論 光球・彩層の時間のずれ He I & Si I を用いた同時磁場観測 23 日、24 日の時間変化のみ 他の時間帯のデータを含めた議論 12 予備スライド He プロファイルの比較(23 日) I(暗部外) V (暗部外) 13 横軸:波長(pixel) 縦軸(偏光)強度 (行った処理) 直交2偏光の重ねあわせ ダーク、フラット処理 I(暗部中心) V (暗部中心) 左上:暗部外のストークスI 右上:暗部外のストークスV 左下:暗部中心のストークスI 右下:暗部中心のストークスV 横軸 60pix 付近がHe I 10830 線 ストークスI V ともに暗部中心と 暗部外のプロファイルに変化は 見られない He プロファイルの比較(24 日) I(暗部外) V (暗部外) 14 横軸:波長(pixel) 縦軸(偏光)強度 (行った処理) 直交2偏光の重ねあわせ ダーク、フラット処理 I(暗部中心) V (暗部中心) 左上:暗部外のストークスI 右上:暗部外のストークスV 左下:暗部中心のストークスI 右下:暗部中心のストークスV 横軸 60pix 付近がHe I 10830 線 暗部中心のストークスI 吸収線と連続光の強度に ほとんど差がない ストークスVの比較 偏光強度が小さくなっている Intensityの時間変化 ( 光球 ) 23 日の黒点 15 24 日の黒点 画像:HMI連続光 赤矢印:観測対象 Intensityの時間変化 ( 彩層 ) 23 日の黒点 16 24 日の黒点 画像:He I Intensity 赤矢印:観測対象 24 日の磁場強度 ( 彩層 ) 17 等高線:視線磁場強度 背景:HMI 連続光 赤矢印:観測対象 Green : 500 (G) Orange : 700 (G) Blue : 900 (G) Purple : 1100 (G) Black : 1300 (G) 黒点暗部周辺の磁場強度が卓越している 黒点暗部で1100 - 1300(G) 23 日 SDO/AIA 193 & 304 等高線:HMI 連続光 背景:AIA 193 Å 青矢印:観測対象 18 等高線:HMI 連続光 背景:AIA 304 Å 青矢印:観測対象 24 日(1) SDO/AIA 193 &304 等高線:HMI 連続光 背景:AIA 193 Å 青矢印:観測対象 19 等高線:HMI 連続光 背景:AIA 304 Å 青矢印:観測対象 24 日(2) SDO/AIA 193 & 304 等高線:HMI 連続光 背景:AIA 193 Å 青矢印:観測対象 20 等高線:HMI 連続光 背景:AIA 304 Å 青矢印:観測対象 23 日 SDO/AIA 193 & 304 等高線:HMI 連続光 背景:AIA 193 Å 青矢印:観測対象 21 等高線:HMI 連続光 背景:AIA 304 Å 青矢印:観測対象 24 日(1) SDO/AIA 193 & 304 等高線:HMI 連続光 背景:AIA 193 Å 青矢印:観測対象 22 等高線:HMI 連続光 背景:AIA 304 Å 青矢印:観測対象 24 日(2) SDO/AIA 193 & 304 等高線:HMI 連続光 背景:AIA 193 Å 青矢印:観測対象 23 等高線:HMI 連続光 背景:AIA 304 Å 青矢印:観測対象 23 日 SDO/HMI 連続光 SDO/AIA 304 Å SDO/AIA 193 Å 24 24 日 SDO/HMI 連続光 SDO/AIA 304 Å SDO/AIA 193 Å 25 26 23 日時点の SDO/HMI 連続光 27 23 日データの考察 光球 彩層 23 日のデータ 青矢印 : 黒点磁場 黒丸 : 黒点暗部 灰色丸 : 黒点半暗部 赤矢印 : 解析した黒点 光球 黒点暗部に視線磁場強度が卓越 彩層 黒点の構造に関係なく磁場が分布 黒点を構成する磁場が彩層まで達していない 周囲の黒点を構成する磁場が彩層で観測される 23 日時点の SDO/HMI 連続光 28 23 日時点の考察 光球 彩層 赤四角内: 観測対象 彩層 光球 23 日の観測データ 青矢印 : 黒点磁場 黒丸 : 黒点暗部 灰色丸 : 黒点半暗部 赤矢印 : 観測対象 光球 黒点暗部に視線方向磁場が卓越 彩層 黒点の構造に関係なく磁場が分布 黒点を構成する磁場が彩層まで達していない 周囲の黒点を構成する磁場が彩層で観測される 24 日時点の SDO/HMI 連続光 29 24 日時点の考察 光球 彩層 赤四角内: 観測対象 彩層 光球 24 日の観測データ 青矢印 : 黒点磁場 黒丸 : 黒点暗部 灰色丸 : 黒点半暗部 赤矢印 : 観測対象 光球 黒点暗部に視線磁場強度が卓越 彩層 黒点暗部に視線磁場強度が卓越 黒点の成長にともない黒点を構成する磁場が 彩層まで達して視線磁場強度が観測された 30 視線磁場強度の時間変化 ( 彩層 ) 23 日の黒点 24 日の黒点 等高線:視線磁場強度 背景:HMI 連続光 赤矢印:観測対象 Red : 500 (G) Orange : 300 (G) Yellow : 100 (G) Green : 0 (G) Blue : -100 (G) Purple : -300 (G) Black : -500 (G) 共通 :観測対象を挟んで広範囲の磁場のループが存在 23 日:黒点を構成する磁場が彩層で見られない 24 日:黒点を構成する磁場が彩層に存在 黒点暗部周辺で視線磁場強度が卓越した Hazel フィッティング 31
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