脱イミノ化されたフィラグリンをアミノ酸へと分解するのに不可欠である

The Journal of Biological Chemistry (2009)
Neutral Cysteine Protease Bleomycin
Hydrolase Is Essential for the Breakdown of
Deiminated Filaggrin into Amino Acids
2014/10/6 U4 小松 俊之
中性シイステインプロテアーゼブレオマイシ
ン水解酵素は、脱イミノ化されたフィラグリン
をアミノ酸へと分解するのに不可欠である
Yayoii Kamata, Aya Taniguchi, Mami Yamamoto, Junko Nomura, Kazuhiko Ishihara,
Hidenori Takahara, Toshihiko Hibino and Atsushi Takeda
皮膚の構造
www.risou.com
プロフィラグリンのプロセシング
http://steroidwithdrawal.doorb
log.jp/
NMFに関して
www.umoinc.com
背景と目的
①フィラグリンは様々なプロテアーゼによりアミノ酸に ま
で分解され、NMFとして機能するが、その詳細なメカニス
ムはまだ分かっていない。
②Calpain1やCaspase14といった酵素は、フィラグリンの分
解に関与していると考えられているが、どのような順序で
作用するか分かっていない
フィラグリンを分解しNMFを生成する最終段階を触媒する
酵素の同定と、その他の酵素の作用する順序の解明を
目的とする。
シトルリンアミノペプチダーゼ活性
・
・Cit-MCAを基質として用い、二層蛍光ザイモ
グラフィーによって酵素活性を調べた。
・サンプルは、4℃の5%ポリアクリルアミドゲル
に添加した。
・AはPH6.0, B,CはPH7.5, 1は新生
ラットの表皮抽出物、2は6週齢ラット
の腎臓の抽出物、3はラットのBH
・表皮抽出物は中性で強いシトルリンペ
プチダーゼ活性を示し、BH(ブレオマイシ
ン水解酵素)も同様の活性を示す。
様々なアミノアシル-β-NAに対する酵素活性
・表皮抽出物中のシトルリンアミノペプチダーゼ活性を持つ酵素を用いて、様々なアミ
ノアシル-β-NAに対する酵素活性を調べた。精製した酵素(0.1unit)、基質2mM。
・値は独立して行った実験の平均。
・Cit-β-NAが最も分解されやすく、Pro(P)は全く生成せず、GLU(E)もほとんど
生成しなかった。
酵素のトリプシン処理1
・表皮から抽出したシトルリンアミノペプチダーゼ活性をもつ酵素をトリプシンで処理し、
逆相HPLCで調べた。
・ペプチドは215nmのUVの吸光度によって検知された。
酵素のトリプシン処理2
・HPLCで得られた6つのピークT1ーT6を解析
・得られたT1ーT6のペプチドはBH中のペプチドの配列に対応する。
・表皮からこの酵素の精製の過程において、シトルリンアミノペプチダーゼ活
性と、ブレオマイシンの加水分解の活性が同時に見られる。
・これらから、BHとこの酵素はどういつであると結論できる。
フィラグリンとBHの局在
・人の皮膚を蛍光免疫染色した。核はDAPIで染色した。
・Aは核、BはBH、Cはフィラグリン、DはABCをあわせたもの。
・フィラグリンとBHが皮膚において同じ場所に局在していることが分かった。
フィラグリンの脱イミノ化
・(大腸菌に作らせた)人のフィラグリン8.39µMを
mPAD3,0.17µMと37℃でインキュベートした。
・インキュベーション時0,10,20,30,60,180,360min
における抽出物を37℃で1時間インキュベートし
た。その時、Bではトリプシンと共にインキュベー
トした。
・その後、SDS-PAGEを行った。
・矢印はフィラグリンを、三角は脱イミノ
化されたフィラグリンを、*はフィラグリ
ンよりも低分子のタンパク質をそれぞ
れ表す。
・A,Bを比較して、Bにおいてフィラグリンの
バンドが検出ず、脱イミノ化フィラグリンの
バンドは検出されることから、フィラグリンは
トリプシンによって分解される。脱イミノ化す
ると、トリプシンに対して抵抗性を示すよう
になる。
Calpain1による脱イミノ化フィラグリンの分解
・Calpain1(0.32µM)とフィラグリン(6.32µM)を
30℃でインキュベートした。
・SDS-PAGEによって分解量を調べた。
・初期の分解速度が非常に高く、10min以
内に70%以上のフィラグリンが分解された。
・脱イミノ化されたフィラグリンはより分解さ
れやすい
Calpain1によるフィラグリンの分解産物 MS1
・Calpain1とフィラグリンをインキュベートして
から30秒後のMS.
・4000~40000(m/z)
・Aはフィラグリン、+は電荷を表している。
・
Calpain1によるフィラグリンの分解産物 MS2
・CはCalpain1とフィラグリンをインキュベート
してから30min後のMSで4000~40000(m/z)
・EはCalpain1とフィラグリンをインキュベート
してから30min後のMSで4000~12000(m/z)
・Calpain1はフィラグリンを分解して、多数の
ペプチドを得る
Calpain1による脱イミノ化フィラグリンの分解産物 MS1
・Calpain1と脱イミノ化フィラグリンをインキュ
ベートしてから30秒後のMS.
・4000~40000(m/z)
・Bは脱イミノ化フィラグリン、+は電荷を表し
ている。
・
Calpain1による脱イミノ化フィラグリンの分解産物 MS2
・DはCalpain1と脱イミノ化フィラグリンをイン
キュベートしてから30min後のMSで4000~
40000(m/z)
・FはCalpain1と脱イミノ化フィラグリンをイン
キュベートしてから30min後のMSで4000~
12000(m/z)
・Calpain1は脱イミノ化フィラグリンを分解し
て、多数のペプチドを得る
Caspase14による脱イミノ化フィラグリンの分解
・Caspase14(0.32µM)とフィラグリン(6.31µM)を
37℃でインキュベートした。
・SDS-PAGEによって分解量を調べた。
・10min以内に70%以上のフィラグリンが分解
された。
・脱イミノ化されたフィラグリンの方が初期段
階ではやや分解されやすい。
・Calpain1の方がCaspase14よりも分解速度が
速い。
Caspase14による脱イミノ化フィラグリンの分解産物 MS
・AはCaspase14と脱イミノ化フィラグリンを
インキュベートしてから30秒後のMSで、
3500~15000(m/z)
・BはCaspase14と脱イミノ化フィラグリンを
インキュベートしてから60分後のMSで、
3500~15000(m/z)
・Caspase14は脱イミノ化フィラグリンを分
解するが、Calpain1に比べて分解産物の
パターンは限定的である。
BHによって放出されるアミノ酸1
・フィラグリンまたは脱イミノ化フィラグリンを
Caspase14またはCalpain1と共に1時間イン
キュベート後、その分解産物をBHとイン
キュベートした。
・フリーアミノ酸はfluorescamineを用いて定
量した。
・白は脱イミノ化フィラグリンの、黒はフィラ
グリンの分解によって生じたアミノ酸を表す。
・脱イミノ化フィラグリンの方がこれらの酵素
によってアミノ酸を生成しやすい。
BHによって放出されるアミノ酸2
・脱イミノ化フィラグリンの分解産物をHPLC
分析した。
・Calpain1による脱イミノ化フィラグリンの分
解産物の方が、Caspase14のそれよりもBH
による分解反応を受けやすく、結果として
様々な種類のアミノ酸が生じる。
・Calpain1とBHは脱イミノ化フィラグリンを分
解し、アミノ酸(NMF)を生成するのに不可
欠である。
フィラグリンの分解