研修資料H27.3.20

薬
の
2
在宅療養支援診療所
光和さくらクリニッ
ク
お
話
前回からのつづき
くすり
…
とは?
(前回 抗生物質
一般的に
鎮痛剤
“くすり”
漢方薬)
といえば
医薬品
人間の体に作用する化学物質
内服、外用、注射などがある
診断や治療、予防に用いられる
病気の
降
圧
剤
高血圧症に対し使用する薬剤
血
圧
動脈硬化のある人は血管内が狭くなり、か
つ
伸縮性がないため血管抵抗が高くなる
血圧の制御
・身体の活動に応じて、血圧は刻々と変化
する
・脳は心臓は常に十分な血液を確保してい
る
血圧の調節機構
・短期的調節(数秒~分)
反射などの自律神経で調整
(脳、心臓の血管は常に血流を必要としている
ため
ほかの臓器に比し、この支配が強くない
→
つまり
状況に左
右されにくい)
・中長期的調整
・レニンーアンギオテンシン系
・さまざまな生理活性物質(ホルモンなど)
・体液量
診断基準
2014
2014
最終的に降圧剤はどこを調整しているか?
動脈
静脈
実際血圧の調整は中膜内の平滑筋の収縮・拡張により行われている
静脈の平滑筋は非常に発達が悪いため収縮の度合いが低い
(血液の70%は静脈に分布)
毛細血管は平滑筋がないた
め
収縮しない
血流の調整は手前の細動脈で
行われている
主な降圧剤(第一選択)
・カルシウム拮抗薬
・アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
・アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻
害薬)
・利尿剤
カルシウム拮抗薬
アダラート
アムロジン
コニール
など
平滑筋
レニンーアンギオテンシン系作用薬
アンギオテンシノーゲン
アンギオテンシン Ⅰ
ACE阻害薬(生成阻害)
アンギオテンシン Ⅱ
(強力な血管収縮を起こす)
ARB(働くのを阻害)
受容体
レニベース
エースコー
ル など
ブロプレス
ディオバン
ニューロタ
ン
など
利尿薬
ラシックス
アルダクトン
フルイトラン
など
尿として水分を体外
に排出し強制的に体
液量を減らし血圧を
下げる
血圧の調整機構が機能しているため
降圧剤により下降した血圧を上げようと
身体が努力することがあり、反射的に
頻脈(脈が速く打つ)を認めることがある
外気温が変化しても体内の深部温は
37℃前後に保たれている
外部が低い温度である場合体温が
下がらないように細動脈を収縮
逆に高い温度のときは、細動脈を拡張
させて熱を放散させる
インフルエンザ感染症 関連
インフルエンザ流行状
況
ウィルスは
自力で増殖できないた
め
生物でないとする考え方もある
生物でないため “殺”
でなく
ウィルス
不活化 (活動を止める
inactivate)
インフルエンザウィ
ルス
インフルエンザウィルス
ヒトやブタでは 気道上皮細胞
トリでは大腸の上皮細胞に感染し
増殖
インフルエンザウィルス
感染力が非常に強い
1個のウィルスから 24時間後には
100万個
我が国
600~1200万人/年 罹患
感染経路
飛沫感染
インフルエンザウィルスに感染した人の
気道分泌物が咳などともに、小さな飛沫
として空気中に放出
50~120m/秒
この飛沫を気道、肺に吸入して感染
接触感染
インフルエンザウィルスが付着したものを
触れた後、目や鼻、口に触れることで
粘膜・結膜などを通して感染
世界的に流行は
温帯地域から寒冷地域に向かう
オーストラリア
6~9月
日本12~翌3月
西日本ではもともと日本生息のB型ウィルスから
流行
東日本ではA型から
年末から正月に
ヒトの往来で両ウィルスが拡散
普通の風邪と違う?
インフルエンザウィルス感染症は
“流行性感冒(流感)”
かぜ症候群のひとつ
ライノウィルス アデノウィルス RSウィルス
などによって起こるのが “普通感冒”
コクサッキ
感染してから1~2日間と短い潜伏期の後、
突然の発熱(38度以上)頭痛、関節痛、筋肉痛などで
発症(症状期 3~4日)
初感染では一旦解熱してから再び発熱
することが多い(二峰性)
健康な人では10日前後で治癒
最近は微熱など軽症な経過のものもあることが判明
A型
,
B型
同時感染もある
ウィルス排泄期間
学校保健安全法
出席停止期間 “解熱後2日”に
発症後5日の条件が追加
幼稚園児 解熱後2日から
3日へ変更
インフルエンザ脳症 脳炎
けいれん、意識障害を突然発症する場合が
ある
そのほとんどが6歳以下
治療によっても救命できないことが多い
脳症は脳内のウィルスの検出はない
高サイトカイン(細胞間の情報伝達物質)血症
インフルエンザ後の肺炎
インフルエンザから肺炎になる確率
小児 0~7%
成人 5%
高齢者 25%
A型
細胞から遊離すると
き
細胞に付着すると
き
H1N1(ソ連
型)
H3N2(香港
型)
H1~16ま
で
N1~9まで
B型(当初ヒトのみ
アザラシにも?)
ブタ由来
H1N1pdm(新
型)
検査キット
日本では簡易迅速診断キット
類
20種
検査キット
感度は約60~65%
ウィルス量が少ないと陰性(後日 再検査すると陽
性)
A型に比べ
B型の感度が不良
ワクチン
・生ワクチン
BCG
麻疹・風疹混合(MR)
おたふくかぜ
病原体に対し強い免疫反
応
・不活化ワクチン
日本脳炎
B型肝炎
インフルエ
ンザ
一部の免疫機能しか獲得
できない
・生ワクチン
・生きている菌あるいはウィルス
のため
本当に感染してしまう
・弱毒にするための操作が困難
・弱毒にしても、変異する能力の
高いウィルス
などは強毒に戻る
・不活化ワクチン
・感染する危険性はない
インフルエンザワクチン(不活化ワクチ
ン)
アメリカでは一部
生ワクチン
使用
インフルエンザワクチン
インフルエンザウィルスは56℃30分で不活化
ウィルスの毒性が強すぎると、感染細胞が死んでしまい
ワクチンが製造できない
強毒性のものは遺伝子工学を使用し、強毒性の遺伝部位
を
選択的につぶし、弱毒性のものを作る
前年度から孵化卵の調達を行い、ワクチン製造にあたる
ため
2年越しとなる
インフルエンザ
ワクチン
製造法
インフルエンザワクチン
ワクチンの主要な成分はHA(赤血球凝集
素)
HAは頻繁に変異を起こす
→ 毎年 新たにワクチンを製造
する
ワクチンメーカーは年次ワクチン製造のため卵の確保に奔走
トリインフルエンザが蔓延すると卵の確保が困難
新型インフルエンザワクチンの製造には半年以上かかり、
流行時には間に合わない
現在は孵化卵を使用しない、細胞培養型のワクチンの開発に
移行しつつある
細胞培養型の問題点
目的のウィルス以外の汚
染
培養細胞の癌
遺伝子の問題
(増殖能力が高い)
インフルエンザワクチン
製造はヨーロッパがリードしている
日米では 副作用がクローズアップされすぎたため
ワクチン需要が減り、製薬会社が部門をリストラした
アメリカではワクチン副作用の訴訟が頻発し、2005年の
ブッシュ大統領のときワクチンがほとんど作れない状態
だった
日本では1994年まで学童に対し摂取が義務化されていた
が、
副作用報道が過熱し任意となった
卵馴化(たまごじゅんか)
インフルエンザワクチンを鶏卵で作る過程にお
いて、
ウイルスを卵の中で増えやすくするために馴れ
させる
ウイルスを卵で複数回増やし、卵での増殖に適応さ
せる
しかし、ウイルスが卵に馴化する過程でウイルスの
遺伝子に変異が起きる場合があり、この時ワクチンの
有効性が低下することがある
ワクチンだけでは感染を防げない理由
局所免疫
IgG抗体
インフルエンザワクチン
以前は卵アレルギーのある物には禁忌と考えられてきた
最近ではアレルギーの原因物質は安定剤として添加されてい
る
ゼラチンと判明した
現在は取り除かれている
その他 防腐剤であるチロメサール(水銀化合物)が
問題視されている
最近は極微量となっている
ウィルスは構造が単純で、
ウィルスに特有な特徴が少ない。
また、細胞の中に潜り込んでしまうため、
細胞に影響を与えずに細胞中のウィルスだけに
特異的に効果を示すような抗ウィルス薬の開発
が困難
抗インフルエンザウィルス薬
A型,B型ともに有効(であるが
有効)
B型よりA型に
インフルエンザウィルスの増殖を抑制する薬剤
タミフル
抗インフルエンザウィルス剤
ノイラミニダーゼを活性阻害して増殖を
防ぐ
シキミ酸を原料として製造
タミフル
異常行動は内服前にも認める
2009年
H1N1pdm
は1% タミフル耐性
薬剤耐性は自然界でも発生する可能性
八角 (シキミ酸の材
料)
中華料理
豚バラ煮
杏仁豆腐
アビガン
(ファビピラビル RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害
薬)
2014年3月に富山化学工業が日本国内での製造販売
承認を取得した
ただしすぐに製造・販売が開始されるわけではなく、
新型インフルエンザが流行し他の薬が効かないと国が判
断
した場合に、厚生労働大臣の要請を受けて製造を開始す
るという特殊な承認となっている
Mr.
R’ムズ〇ェル
ド
タミフルの製造はスイスのロシュ社
特許所有はカリフォルニア州に本拠地
を構える“ギリアド社”
R’さんはギリアド社の会長を5年間務
めた
国防長官 株所有 2500万ドル!
銃・病原菌・
鉄
かつて
スペイン人は数百人の手兵で
南米 アステカ王国 インカ帝国を
滅ぼした
兵器の使用はもちろんであるが、
ヨーロッパ人が持ち込んだ
“病原菌”で数千万人が犠牲と
なった