電子回路 放射線計測エレクトロニクスの信号処理の為の アナログ電子

電子回路
放射線計測エレクトロニクスの信号処理の為の
アナログ電子回路の基礎
第十一回
村上浩之
Sep. 27. 2010
目次(7)
• 放射線計測回路の構成
– 検出器
– 前置増幅器
– 雑音
• 雑音の数学的な取り扱い
• 雑音源
• 等価雑音電荷
– 波形整形増幅器
• 波形整形回路
• アナログパルス演算回路
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パルス波高弁別器
マルチレベルパルス波高弁別器
シングルチャネルパルス波高分析器
マルチチャネルパルス波高分析器
電源
出力装置
Sep. 27. 2010
アナログパルス演算回路
• 検出器に入射した放射線の信号からエネルギー、粒子種類、
入射位置、入射時刻などの物理量を抽出するには目的とす
る物理量がパルス電圧の振幅や時間で表されるように変換
するには様々な演算処理が必要になる。
• 物理量の信号は一つの検出器から波形情報や時刻情報と
して得られ場合と複数の検出器からの信号の相互関係から
得られる場合がある。
• アナログ演算処理は処理速度が速く、信号パルスの継続時
間と同程度の時間で結果が得られる。処理速度が速いので
処理結果をトリガー信号源として利用出来る。
• アナログ演算処理はアナログ回路で処理するので処理工程
(処理コスト)が少ないが演算の精度は良くない。
Sep. 27. 2010
アナログパルス演算回路
構成要素と機能
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増幅・減衰回路
極性反転回路
加算回路
減算回路
対数変換・逆変換回路
乗除算回路
最大・最小値選択回路
トランスインピーダンス回路(電流ー電圧変換回路)
トランスコンダクタンス回路(電圧ー電流変換回路)
ピーク伸張回路
直流再生回路
時間ーパルス波高変換回路
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増幅・減衰回路
• 狭い意味では増幅回路はアナログパルス演算回路と言わないが信号の
大きさを操作する機能も演算回路の機能に含まれる。
• 増幅回路や減衰回路の機能は検出器の微弱な信号をパルス波高弁別
器や他のパルス演算回路の入力条件に適合する様に増幅したり減衰す
る。
• 増幅・減衰回路はアナログパルス演算回路の構成要素。
増幅回路の例
減衰回路の例
演算増幅器
Operational Amp
入力インピーダンス
無限大
出力インピーダンス
0Ω
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増幅率
V
R1 R2
A  out 
Vin
R1
Vout
R2
A

Vin R1  R2
極性反転回路
• 極性反転回路
– 検出器の出力信号は動作原理で定まった極性担っているが信号処
理回路は検出器とは独立に定まった極性で動作するので極性反転
回路が必要になる。
演算増幅器を用いた
極性反転回路
トランスを用いた
極性反転回路
巻線比 1:n
A
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Vout
R2

Vin
R1
A
Vout
 n
Vin
加算回路
• 加算回路はテレスコープ検出器のように複数の検出器にまたがって入射
粒子のエネルギー損失が付与される場合に全エネルギー損失を得るに
はそれぞれのエネルギー損失を加算する。
• 他の演算回路(乗算・除算等)の構成要素
• 簡易アナログOR回路(各入力が独立で同時に入力しない時)
V1 V2
Vn 
Vout   
    R f
Rn 
R1 R2

閉ループ利得
 1
1
1 
 
    R f
Rn 
R1 R2
Vout立ち上がり時間は閉ループ利得倍に増加する
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
加算回路の応用例
• テレスコープ型検出器の全エネルギーの取得
入射放射線
前置増幅器&
波形整形増幅器
加算回路
ΣΔE
テレスコープ型検出器
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減算回路
• 検出器出力に二つの成分が有りその差に物理量が含まれる
場合、減算回路で物理量を抽出する。但し、その量はエネル
ギー損失に比例する場合が多いのでエネルギーで除算して
規格化するとエネルギーに依存しない規格化された物理量
が得られる。
• 波形整形回路の構成要素
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遅延線シェイピング
波形弁別回路
コンスタントフラクション抽出回路
他の演算回路の構成要素
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減算回路の例
• 一方の信号を極性反転回路で極性を反転し他方の信号に加算す
る。
• 加算回路の加算端子側に減算信号、基準端子側に被減算信号を
入力する。
R2
R4

R1  R2 R3  R4
であれば
出力VoはV2-V1のR2/R1倍となる

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
Vo  V2  V1 
R2
R1
減算回路の応用例
• 遅延線シェイピング回路。
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波形弁別への応用
• 検出器の信号に立ち上がり時間の速い成分と遅い成分が有り入射粒子
の電荷や質量で二つの成分の比が変化する時は波形の立ち上がり時間
差や比で粒子の識別が出来る。
二つの成分の振幅を適当に調整して差を取ると一方の粒子は正のパル
スになり他方は負のパルスになるのでパルス波高弁別器で粒子を選別
が出来る。この処理はアナログパルスの継続時間と同じ程度の時間で処
理出来るのでトリガー信号に利用出来る。
• 検出器の例
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CSI
BaF2
N-γ弁別液体シンチレーター
発光時間の異なる二つのシンチレーターを組み合わせたホスウィッチ検出器
・・・
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波形弁別の例
• CSIの信号(PMTの出力信号)を速い波形整形と遅い波形整
形の二つに分けてそれぞれ増幅してピークホールド回路で
それぞれの出力信号の最大値の時刻を合わせて差を取り波
高弁別をする。
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波形弁別の例
• CSI出力を速い波形整形回路の出力をY軸、遅い波形整形の
出力をX軸にした波形整形+ピークホールド回路出力の
散布図。
速い成分が多い
波形
差の弁別レベル
遅い成分が多い
波形
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