Japanese Version - Japanese Language and Culture

アンドリュー・ロマンタ・アルビア
アドバイザー:
齋藤-アボット佳子教授
関根繁子教授
研究の重要性
研究質問
研究背景
個人主義と集団主義の定義
個人主義と集団主義におけるアイデンティーと感情表現
一般のアメリカ人と日本人の個人主義と集団主義の考え方
一般のアメリカ人と日本人の個人主義と集団主義の考え方を否定する根拠
研究方法
研究結果
結論
考察
参考文献
感謝の辞
 個人主義と集団主義は文化と社会に大いに影響を与えると
言われている。
 個人主義と集団主義の重要性はあまり理解されていない。
 日本とアメリカで成功するためには、この影響力について
理解する必要がある。
 個人主義か集団主義を強調することによって、価値観が違うことが
分かる。
 日本人の個人主義と集団主義に対する考え方が分かる事が
重要である。
1) 大学生は個人主義と集団主義に対してどのよう
な見解を持っているのか?
2) どんな条件で個人主義と集団主義は拒否される
のか又は受け入れられるのか?
3) 大学生は個人主義と集団主義をどのように表現
するのか?
a) 個人主義と集団主義の定義
b) 個人主義と集団主義におけるアイデンティーと
感情表現
c) 一般のアメリカ人と日本人の個人主義と集団主
義の考え方
d) 一般のアメリカ人と日本人の個人主義と
集団主義の考え方を否定する根拠
社会心理学の定義:
個人主義:個人の目的、望み、意見を強調し促進する考え
方であり、個人の責任、独立や自立を大事にする。
(Takano & Osaka, 1999; Barnet, Saito, & Cookie, 1998; Gudykunst & Nishida, 1994)
集団主義:グループ、共同体、社会、あるいは国の価値観
を重視し、それを促進する考え方である。しばしば個人より
全体を大切にする。
(Takano & Osaka, 1999; Barnet, Saito, & Cookie, 1998; Gudykunst & Nishida, 1994)
 個人主義と集団主義によって、感情の表現方法が違う
(Barnet, Saito, & Cookie, 1998)
 日本人(集団主義)はアメリカ人(個人主義)より社会がどう思っ
ているかを表現する(Kitayama, 1991)
 アメリカ人は日本人より否定的なこともきちんと表現する(Barnet, Saito,
& Cookie, 1998)
 個人主義の文化は個人を強調する。(Gould & Kolb, 1964)
 個人の目的、望み、責任の強調
 集団主義の文化はグループの意見が個人意見となる
 和を守り、面目を保ち、そして同調を求められる。 (Gudykunst & Nishida, 1994)
 ステレオタイプ:
 日本人は個人主義より集団主義を重んじる。
 一般的にアメリカ人は個人主義である。
(Kobayashi, Kerbo, & Sharp, 2010; Barnet, Saito, & Cookie, 1998)
 この考えは数十もの研究の成果による。
(Kobayashi, Kerbo, & Sharp, 2010)
 「菊と刀」(1946):この考えを紹介した最初の本
(Kobayashi, Kerbo, & Sharp 2010; Takano & Osaka, 1999)
 日本人の集団主義性が「恥の文化」であるとして紹介された。
 西洋の研究者達も日本人のこのステレオタイプを認めた
(Takano & Osaka, 1999; Matsumoto 2002; Kobayashi, Kerbo, & Sharp, 2010)
 個人主義はアメリカの理想主義の重要な特徴の一つである。
 民主制と自由を支持。
 現代の資本主義は個人主義的な考え方に基づく
(Takano & Osaka 1999; Dore 1990)
 良い社会とは、個人がそれぞれの目的を求めやすい社会で
ある
 個人的な達成を促進する。
(Bellah, Madsen, Sullivan, Swidler, & Tipton 1991)
 「アメリカン・ドリーム」は個人的な富を追い求める事である。
 個人主義は現代の資本主義の重要な構成要素である。
 他の人のためではなく、個人的な富を得る事を一番に考えている。
(Bellah, Madsen, Sullivan, Swidler, & Tipton 1991)
 和と集団主義
 聖徳太子によって7世紀に書かれた十七条憲法の中にも見られる。
 日本人の心を表す重要な特徴である。
(Matsumoto 2002; Nihon Shoki)
 「菊と刀」(1946)日本には「恥の文化」があるとこの本では言っ
ている。
 社会的孤立を避けるように行動する。
 集団に調和する事が重要である。
(Matsumoto 2002; Benedict 1946)
 「武士道」 (1905) のような昔の書物は集団主義の重要性に
つてい書いている。
 忠誠や義理や恩や自己犠牲について強調されている。
(Matsumoto 2002; Nitobe, 1905)
 文化はスタティックではなくて、ダイナミックなもので
ある。
 古い研究や結果で文化が分類できない。
(Barnet, Saito, & Cookie, 1998)
 一般的な考えを支持する以前の研究は弱い。
 以前の研究は一般的な見解を占めている。例えば、逸話やこと
わざである。
 苛めは基本的な集団主義の特徴と言われているが、アメリカは
個人主義が特徴にもかかわらず苛めが多い。
(Takano & Osaka, 1999; Japan Youth Research Institute, 1986)
 日本文化の「グループモデル」は古すぎる
 “このステレオタイプ… は現代日本文化と若者の心理が
適合しない。”
(Matsumoto, 2002; Kobayashi, Kerbo, & Sharp, 2010)
 日本人の両親からの集団主義的なプレッシャーは減
少している
 両親は子供に集団主義を強調する。ただし、最近では両
親の影響が減少してきた。
(Matsumoto, 2002; Kobayashi, Kerbo, & Sharp, 2010)
 アメリカ人は日本人よりも、相互依存の自己概念がある。
例:他の人のために行動する。
(Matsumoto 2002)
 ステレオタイプとは反対に、アメリカ人は日本人より、ア
ウト・グループに対して寛容ではないと研究によって証明され
た。
 ステレオタイプでは日本人の方がアウト・グループに対して寛容性をあ
まり持ってないとされていた。
(Matsumoto 2002)
 現代アメリカ人は家族と友達に対する集団主義の傾向が
高い。
(Matsumoto 2002)
 デモグラフィック
 37名の日本人大学生
 男性17名, 女性18名
 年齢:16-27歳
 40 名のアメリカ人大学生
 男性19名, 女性21名
 年齢:16-28+歳
 オンライン調査
 グーゲルドックスのアンケート
 日本語と英語のアンケート
研究質問1:
大学生は集団主義と個人主義に対してどのような見解を
持っているのか?
どのように日本社会と文化は大学生の意見に影響を及ぼす
か?
この意見はどのように大学生のアイデンティティに影響するか?
「個人主義」の重要性
80%
70%
60%
50%
アメリカ人
日本人
40%
30%
20%
10%
0%
非常に重要
重要
どちらでもない
あまり重要でわない まったく重要でわない
結果:アメリカ人と日本人大学生共に、参加した人の約85%が個人主義である。
「集団主義」の重要性
80%
70%
60%
50%
アメリカ人
日本人
40%
30%
20%
10%
0%
非常に重要
重要
どちらでもない
あまり 重要でわない まったく 重要でわない
結果:アメリカと日本人学生共に、約70%以上の人が集団主義である。
「親と教育」の影響による
日本人大学生の「集団主義」に対する意識
80%
70%
60%
両親
50%
教育
40%
30%
20%
10%
0%
非常に重要
重要
どちらでもない
あまり 重要でわない まったく 重要でわない
結果: 個人主義が若い世代の日本人に支持されている理由は、親の影響力が
薄れてきているからである。
現代の個人主義と集団主義に対する意見
アメリカ人
「個人主義は利己的。」
日本人
[アメリカで1年間留学した経験が個人主義に対する考え方
を変えた。自分のやりたいこと、自分の意見を尊重すること
が一番大事だと思うようになった。しかし、日本では社会が
なかなか自分の意見を言えないようにしている気がする.]
「個人主義は悪だと思っていたが、そうではなく、個人の目
的を達成することも重要であり自分の目的のために努力す
「集団主義について学ぶに連れて, その有能性を理 ることは正当である。大学にはいり、そのような人を見て考
解した。」
えが変わった。」
「集団主義と個人主義は正反対の特徴を持つ価値観だが、
「日本に行って集団主義に対して肯定的な考えを持
その二つの中庸であることが、より良い人間性を育むのだ
つようになった。」
と思う。」
結果: 多くのアメリカ人と日本人は固定的概念に反して、逆のイメージが好んだ
にする。
 アメリカ人と日本人大学生は個人主義と集団主義を重んじ、そ
れらは彼らのアイデンティティにとって重要だと考えている。
 若者世代の個人主義と集団主義に対する意識と意見が一般
的な考え方とは異なっていることを示した。
 両親から受ける影響力が減少した大学生の集団主義に対す
る意見を示す。
 「両親から受ける集団主義に対する影響力の減少」を示した。
 大学生は両親の代わりに、友達や社会からのプレッシャーが集団主
義に影響すると述べた。
研究質問2:
どのような条件で個人主義と集団主義は拒否されるのか
又は受け入れられるのか?
大学生は以下の主張についてどう思っているのか:
「集団」をまとめるために「個人主義」を犠牲にするべきである。
80%
70%
60%
アメリカ人
50%
日本人
40%
30%
20%
10%
0%
非常に重要
重要
どちらでもない
あまり 重要でわない まったく 重要でわない
結果: アメリカ人大学生は集団をまとめるために、個人主義を犠牲にしない見解を持っ
ている。日本人大学生の集団に対する意見は少ない。
アメリカ人大学生のイン・グループに対する意見表現
強く主張する
主張する
どちらでもない
あまり主張しない
まったく主張しない
両親と家族
友達
部活の仲間
日本人大学生のイン・グループに対する意見表現
両親と家族
友達
部活の仲間
結果:アメリカ人はイン・グループに対する意見表現が高い値(62%-92%)を示した。
日本人の意見表現はアメリカ人の場合と似ているが、もっとも近しい関係である家族から
比較的遠い関係である部活仲間になるにつれて、意見表現の度合いは減少している。
アメリカ人大学生のアウト・グループに対する意見表現
強く主張する
主張する
どちらでもない
あまり主張しない
まったく主張しない
クラスメート
同僚
目上のひと
日本人大学生のアウト・グループに対する意見表現
クラスメート
同僚
目上のひと
結果: アメリカ人のアウト・グループに対する意見表現が減少する事が分かる。約50%
の日本人とアメリカ人は、クラスメートと同僚に対して意見表現ができると考える。
 アメリカ人大学生は集団に所属するに当たって、個
人主義を犠牲にする必要はないという見解を持ってい
る
 両グループに対して50%以上の日本人大学生が
意見表現ができると分かった。
 目上の人に対してのみ、意見表現はしにくい。
 日本人は予想よりも、個人主義の傾向が強いという事が分
かった。
研究質問3:
大学生は個人主義と集団主義をどのように表現するの
か?
アメリカ人と日本人大学生はどの程度個人主義に対して感情を表
現するのか?
その調査結果はどの程度一般的な考え方を示すのか?
 個人主義の感情表現
 社会から遊離した感情を表現しやすい。
 自尊心、非難、怒り
(Barnet, Saito, & Cookie, 1998)
 集団主義の感情表現
 社会への参加感情を表現しやすい。
 共感、協調、思いやり
(Barnet, Saito, & Cookie, 1998)
 次の調査結果は、大学生がどの程度社会から遊離し
た感情表現するかを分析したものである。
 個人主義的な感情表現の強さを分析する。
 グループとは無関係に、アメリカ人は否定的な感情表
現の値が高い事が予測される。
アメリカ人の「両親と家族」に対する個人的な感情の表現:
自尊心、非難、怒り
非常に表現しやすい
表現しやすい
どちらでもない
表現しにくい
非常に表現しにくい
怒り
非難
自尊心
日本人の「両親と家族」に対する個人的な感情の表現:
自尊心、非難、怒り
怒り
非難
自尊心
結果:アメリカ人と日本人は両親と家族に対し個人主義の否定的な感情を非常に表現し
やすい。そして、日本人はアメリカ人よりも、怒りを表現しやすい。
アメリカ人の「目上の人」に対する個人的な感情の表現:
自尊心、非難、怒り
非常に表現しやすい
表現しやすい
どちらでもない
表現しにくい
非常に表現しにくい
怒り
非難
自尊心
日本人の「目上の人」に対する個人的な感情の表現:
自尊心、非難、怒り
怒り
非難
自尊心
結果: アメリカ人は目上の人に対して否定的な感情を表現しにくい。日本人も目上の人に
対して否定的な感情を非常に表現しにくい。
アメリカ人の「知らない人」に対する個人的な感情の表現:
自尊心、非難、怒り
非常に表現しやすい
表現しやすい
どちらでもない
表現しにくい
非常に表現しにくい
怒り
非難
自尊心
日本人の「知らない人」に対する個人的な感情の表現:
自尊心、非難、怒り
怒り
非難
自尊心
結果: アメリカ人は知らない人に対して否定的な感情を表現しにくい。日本人は知らない
人に対して否定的な感情を非常に表現しにくい。つまり、アメリカ人と日本人の両方が否定
的な感情を知らない人に対して表現しにくいと思っている。
 イン・グループから離れた場合、アメリカ人と日本人
の両方は否定的な個人主義の感情をあまり表現しな
い事が分かる。
 アメリカ人は否定的な感情表現の値が高い事が予測
されていた。
 アメリカ人と日本人の両方はイン・グループに対す
る否定的な感情表現において同じような値を示し
た。
 日本人はアメリカ人よりも、家族に対して怒りを表
現する事が多い。
 この研究結果はステレオタイプを否定する。
変わり続ける文化の特徴をつかむには、常に研究をする必要が
あり、30年から50年前の研究結果は更新されるべきであ
る。
 教育と経験は個人主義と集団主義に対する意見に大きな影響を
及ぼす。

 アメリカ人と日本人は個人主義と集団主義について
の傾向が似ている。

個人主義と集団主義はアイデンティティの形成ために、大切である
と考える。
 アメリカと日本の個人主義と集団主義に対する傾
向は変化している。
アメリカ人の個人的な表現の価値観は予想よりも低い値を示し
た。
 日本人の同調性に対する傾向は予測されたよりも低い値を示し
た。

研究の改善点:
 様々な地域の大学生に調査をする。
 今回の調査は中央大学とカルフォニア州立大学モントレーベイで
あった。
 集団主義の否定的な感情表現を調査する。
 個人主義の肯定的な感情表現を調査する。
 社会人も調査対象にする。
今後の研究:
 その他の個人主義的な感情表現の調査をする。
 例:個人の責任
 個人主義と集団主義に対する年齢の影響を分析したい。
 社会人の個人主義と集団主義に対する意識調査をする。
 現代と過去の個人主義と集団主義に対する意識を比較し変化を分析す
る。
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齋藤佳子教授
関根繁子教授
カズ・レナード
WLC学部
特別の感謝:
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横井隆志さん
川﨑健司さん
杉山洋太さん
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伊覇拓夢殿
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CSUMBのBUS学部
ジョージとジジ・アルビア