アーキビストからのお願い ―じんもんこんのみなさまへ― 2011年1月22日 第89回 人文科学とコンピュータ研究会発表会 小特集セッション 人文科学とコンピュータ研究を支える資料を考える―MLAの立場から― 京都府立総合資料館 福島幸宏 [email protected] twitterID:archivist_kyoto 1 京都府立総合資料館 報告者の立ち位置とご注意 ・アーキビスト的側面 業務担当/全史料協 調査・研究委員/大会担当 ・ライブラリアン的側面 最近発言を/図書館大会報告 ・学芸員的側面 指定文化財の運用/採用の際「学芸員」が要件 ⇒本日は「 それぞれに文句を」と 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 2 京都府立総合資料館 本報告の目的 アーカイブズ資料とはなにか? + それをふまえたお願い事 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 3 京都府立総合資料館 アーカイブズの多様な意味 一般用語としてのアーカイブズ: ・ 収集して保管する/コレクション 組織アーカイブズ:公文書、行政文書、法人文書 ・ いまのA業界の議論の焦点 収集アーカイブズ:地域資料、古文書、博物館資料 ・ 家・団体単位で収集して管理←A機関の独占ではない 機関 ・アーカイブズ :公文書館、文書館など 全国で57機関/少ない利用者/圧倒的な不在 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 4 京都府立総合資料館 見えてる/見えてない アーカイブズ ・一般用語としてのアーカイブズ/収集アーカイブズ → 見えてる デジタルアーカイブズの素材に but ちょっとややこしめの地域資料はなりにくい ・組織アーカイブズ/アーカイブズ機関 → あまり見えてない アジア歴史資料センターでようやく? 潜在的な需要はここにある ⇒ しかし、 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 5 京都府立総合資料館 公文書管理法成立の背景と経緯 ・底流 行政効率化/情報共有/歴史資料:ひろい議論 ・背景 個人情報保護・情報公開/耐震偽造・年金記録・ 薬害問題・福田内閣・外交文書 →情報資源/主張の根拠 として公文書の重要性を 認識するきっかけ ・要点:国の統一的な文書管理体制の構築 →2009/07/01公布 2011/04/01施行予定 今後、各自治体へ波及? 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 6 京都府立総合資料館 組織アーカイブズの運用 ・組織アーカイブズ 公文書、行政文書、法人文書 ・運用の流れ: 作成・受理 →現用 →非現用 →廃棄 (自身で/受け取って) (仕事で使用) (使わなくなる) (廃棄が基本) → 保存・公開 (重要なものを選別) ※メタデータが作成時からあるのが理想 ・多くの自治体で大手ベンダーによる電子 公文書システムが稼働 → しかし… 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 7 京都府立総合資料館 援護課書庫の様子 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 8 京都府立総合資料館 整理作業途中 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 9 京都府立総合資料館 配架の様子 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 10 京都府立総合資料館 アーカイブズ資料の特性 ・膨大な量 約80,000点:1点あたり300紙:24,000,000紙 ・多様な媒体と記録手段: 機械漉和紙・洋上質・ザラ紙・青焼・薄様/墨・インク・鉛筆 ・使用され続けた資料:形態の変更 新素材:ホワイト・マジック・スポンジ・ビニール ・2009年度の行政文書利用数:1189名6323点 ⇒※ 現用文書(事務書類)の延長線上の資料 ※ パッケージ化されていない上に、非常に多様 ※ また、地域全体にも散らばっている状況 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 11 京都府立総合資料館 昭和2年の鉄道関係簿冊 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 12 京都府立総合資料館 多様な素材と形態 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 13 京都府立総合資料館 コヨリを多数含む簿冊 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 14 京都府立総合資料館 簿冊の綴じ部分 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 15 京都府立総合資料館 出納の様子 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 16 京都府立総合資料館 奥丹後教育委員会資料の一部 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 17 京都府立総合資料館 京都府某市の公文書保管状況 画像、削除してます 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 18 京都府立総合資料館 圧倒的な不在 アーカイブズ機関の現状 公文書館・文書館・資料館 ・機関規模:少数・小規模 国立公文書館の正職員約40名 (NDLは約900名) 合計57館 国;4館、都道府県;30館、政令指定都市;7館、市区町村;16館 ・利用者:当館歴史資料課で 8.3人/日(H21年度:開館318日・利用者2646人) ・職員:少数かつ資格制度なし 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 19 京都府立総合資料館 アーカイブズの今 ・公文書管理法の衝撃 ・古文書から行政・団体文書へ ・アーカイブズとは何かが あらためて議論 ・でも、組織・機関の不在が課題 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 20 京都府立総合資料館 MLA連携の新しい形 ・webだろうが、図書館だろうが、博物館だろうが 公文書館だろうが →資料(情報)にアクセスしたい ・それぞれの事情で資料をわけて持っているの は良いが、死蔵は困る ✔存在しない公文書館 ✔書籍以外が苦手な図書館 ✔そもそも情報を出さない博物館 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 21 京都府立総合資料館 アーカイブズ機能 という建て 方 ・存在を知らせ(目録のデータベース化) ・一定のルールのもとに(制限/公開の基準) ・保存を前提に(資料に対する配慮) ・広く共有させる(ここが課題) 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 22 MLA機関の基盤としてのアーカイブズ機 能 京都府立総合資料館 ※地方自治体の視点 国会図書館などの大規模デジタル化を前提 ・MLともアーカイブズ機能を強化する方向か? ※存在を知らせ、一定のルールのもとに 保存を前提に広く共有 →社会資本を真の意味でコントロール →情報発信の主体として→情報へのアクセス 保障という視点 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 23 京都府立総合資料館 地域・団体情報の拠点としての博物館・図書館 に 収集アーカイブズの強化 組織アーカイブズへの延翼 ⇒可能にする手段:専門の組み直し+デジタル化 ⇒設置団体の根幹情報を握る組織に 教育・普及・支援活動は2次的要素では? ⇒どんな組織であれ公的存在であろうとすれば 自らのアーカイブを社会と共有すべき 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 24 京都府立総合資料館 MLA連携のイメージ L M アーカイブズ機関 A アーカイブズ機能を軸に 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 25 京都府立総合資料館 お願い事 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 26 新しい人へ(青空文庫、2011/01/01) 京都府立総合資料館 http://www.aozora.gr.jp/soramoyou/soramoyouindex.html#000368 現状として、テキスト版とXHTML版(見栄え?) ※2002年にエキスパンドブックを撤廃 なぜか? 「私たちの持ち寄れる時間の決定的な乏しさから」 「決して手放すことのできないものは、テキスト」 「将来取り戻すためのシナリオ」(XHTML版)も ⇒多くの公共団体もこの決断をせざる得ない 体力を勘案し、必要最小限の情報を! 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 27 京都府立総合資料館 具体的な処方箋 ・アーカイブズ資料の整理は難しい? ・不要な作業をのぞく 簡易な目録? Dublin Coreで充分? ←質より量を目指す指向 ・要件 存在告知+出納可能+情報の制御 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 28 京都府立総合資料館 社会全体での 資料情報の 共有のために、 それぞれが出来ることは? 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 29 京都府立総合資料館 御清聴、ありがとうございました。 忌憚ないご意見をいただければ、 と存じます。 京都府立総合資料館 福島幸宏 [email protected] twitterID:archivist_kyoto 京都府立総合資料館 福島幸宏([email protected]) 30
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