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リメディアルクラスでの
ディクトグロスの活用法
リメディアルを超える
リメディアル英語教育実践の在り方
[ラウンドテーブル]
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2015年8月28日 北星学園大学
山本成代 (創価大学)
ディクトグロス(DICTOGLOSS)とは
ディクトグロスとは、短くて内容の濃い
テキストを、教師が普通のスピードで読
み上げ、学習者はメモを取りながら聞く。
そのメモを基に、ペアまたはグループで
協力してテキストを復元していく活動で
ある。
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DICTOGLOSS PROCEDURE
The dictogloss procedure has four stages;
1. Preparation
・Topical warm-up, understanding of the vocabulary
of the text, forming of a group
2. Dictation
・ Jot down notes
3. Reconstruction
・Working in groups, students reconstruct the text
based on each note.
4. Analysis and correction
(Wajnryb, 1990)
3
ディクトグロスの授業への組み入れ方
ディクトグロスの3段階モデル(染谷2010)
1. Input Phase:テキストの提示と学習
2. Output Phase:メモ取り、およびメモに基づく原
文復元作業(ソロ、ペアまたはグループ)
3. Confirmation Phase:教師によるコメント
学生のレベルに応じて、どのphase に重きを置くかを調
整する
 リメディアルクラスでは?
Input Phase に重きを置く

4
ディクトグロス実践手順(全体の流れ)
INPUT PHASE
1)準備段階:これから行うディクトグロスの教材の内容を定着させるための
ウォーミングアップ。読まれる英文を含むパッセージの音読、シンクロリー
ディング、シャドーイングをする。
OUTPUT PHASE
2)ディクテーション:教師が英文を2回読む。学生たちはそれを聞きながら、
単語・フレーズ・記号(英語でも日本語でも)などをメモする。
3)英文復元: 個人で取ったメモを使って、グループで読まれた英文を復元
する。(レベルにより、なるべく英語で行うように指導)
CONFIRMATION PHASE
4)確認・修正: グループの代表が黒板に一文ずつ板書。
復元した英文と元の英文をつき合わせて、確認・修正をする。自分の復
元した英文に赤ペンで修正していく。
5)必要だと思った文法項目について教師が明示的説明をする。
5
6)ワークシートに自分の行ったディクトグロスについてそれぞれ感想を書く。
実践報告 (BACKGROUND)



TOEIC280以下の一般英語クラス
- 35名、週2回、1年生中心
- 中学校・高校で学習すべき基本文法が定着して
いない学生が多い
-文法より会話などのCommunicative activity の方
を好む傾向のあるクラス
使用教科書 TOEIC Test: Motivation (南雲堂)
- 各Unit 文法説明もあるが、Communicative activity
がふんだんに取り入れられた教科書
教材は、教科書のreading passage を使用し、その中から
ターゲットとなる文法項目が入った英文を5~6文を抜出
し、ディクトグロスを行う
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教材アレンジ例: ORIGINAL TEXTBOOK SENTENCES
(TOEIC TEST: MOTIVATION, UNIT 3, 南雲堂)
Dear Lisa,
Have you ever been to Paradise? Taylor and I had a great
time there last night. It’s the most exciting amusement
park in the city! It has a game center, movie theaters, a
bowling alley, tennis courts, roller coasters, a haunted
house, and much, much more! We tried almost
everything. We had so much fun that we never wanted
to leave!
Paradise is open every day from 3:00 p.m. to midnight.
Have you made any plans for next weekend? If not, let’s
go!
Yours,
Erica
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教材アレンジ例:
ディクトグロス用英文
Have you ever been to Tokyo Dome City?
My sister and I had a great time there last night.
It’s the most exciting amusement park in Tokyo!
We had so much fun that we never wanted to leave!
Have you made any plans for next weekend?
If not, let’s go!
教科書のリーディング部分をアレンジしたもの
 Unit の学習項目である現在完了を英文に入れることに
より、文法事項が定着したかどうか確認できる

8
実践報告
Input Phase に重きを置く
Passageの音読・シャドーイングなどを何回も行う
 授業で行った教科書のpassage を使用することで、学生
達が意味を十分に理解している教材を使用

ターゲットとなる文法項目を使って、既に会話練習など
もやっている段階でのdictogloss の実践
 そのUnit で学習した文法項目が定着したかどうかを
チェックすることができる


単調になりがちな文法説明から、協同作業での復元作
業により、学生参加型の文法学習ができる

疑問の起きた文法事項について、教師や他の学生が
教える  Focus on Form 指導が可能
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Worksheet
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学生の感想
ディクトグロスシートからの抜粋

私が聞き取れなかったところを他のみんなが聞いててくれて心強
いです。協力するのは大事だなと思いました

聞く際に理解しながら聞けばもっと書けたと思う。リスニング力を高
めていきたい

文法の理解ができていないので、聞き取れないところを補うことが
できなかった
文法がわかると聞き取れなくても、書くことができた


文の構成から考えることができた。聞き取れない部分が多くあった。
もっとリスニングをできるようになりたいです

聞き取れても、単語が書けないことがあったので、しっかり単語も
書けるようにする
前置詞がどこに入っているのかが少しあいまいだった
複数形(s) の聞き逃しが多い


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ディクトグロスの活用法
 学生のレベルによって、素材をアレンジする
 学習の定着活動として使用する
 意味や構文が十分にわかっているものでディクトグ
ロスを行う
 文法形式の定着確認に使う
 ディクトグロスシートに感想を書かせ、学習者に、
どこの点がよくわかっていないか「気付き」を与える
ようにする
 文章復元の段階で、言語形式について会話が発
展していくように教師が適切な助言を与える
 One-way になりがちな文法学習を、学習者を巻き
込みながら進めていくように仕向ける
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まとめ
ディクトグロスを使って、一方通行になりがちな文法学
習を学習者主導のものに変える
 リメディアルクラスの学生達でも文法に関する話し合い
をさせることができる
 リーディング・リスニング・ライティングといった一連の活
動ができ、授業を活性化する
 与える素材を工夫することで、学生に合わせてレベル
調整することができる
 協同学習の利点を得る
 振り返りができ(文法項目ばかりではなく)、今後の学
習への動機づけとなる
 文法事項の定着度がわかり、指導の助けとなる

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REFERENCES
Wanjnryb, Ruth. (1990). Grammar dictation. Oxford:
Oxford University Press.
和泉伸一(2009). 『「フォーカス・オン・フォーム」を取り 入れた新
しい英語教育』 (東京:大修館書店)
染谷泰正(2010). 『プロダクション訓練の方法論とその理論~
インプットから アウトプットへの橋渡し』 (財)東京私立中学校
協会・東京私学教育研究所主催 平成22年度文系教科研究会
講演 講演録
山本成代(2011). 「ディクトグロスを取り入れた英語授業の有効性」
『Media, English and Communication』 No. 1 (通巻第50号)、
119-133.
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Thank you for listening!
Shigeyo Yamamoto
[email protected]
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