Basic skills in Medication Review Presenter: Lily Chong 学習の目的: • 薬剤管理レビュー実施のプロセスを理解する • 薬剤管理レビュー実施に必要な知識を把握する スキルを身につける • 医薬品と疾病に関係した問題を把握する系統的 な思考プロセスを身につける • 重要な知見にアクセスし、適切な助言をするた めのスキルを身につける オーストラリアにおけるMedication Review Services(薬剤レビューサービス) • 薬剤師は、2種類のプログラムによって「薬剤レビュー サービス」の提供を評価され、支払対象とされている。 – 在宅薬剤管理 (HMR:Home Medicines Reviews ) – 施設薬剤管理 (RMMR:Residential Medication Management Reviews ) • 薬剤レビューを担える能力査定を受ける。 – 多肢式問題及び症例研究評価 – 3年ごとの継続評価 – 年次の継続教育の維持 オーストラリアにおける薬剤レビューサービス • 薬剤レビューのプロセス – 患者に薬剤レビューが必要だと確認される。 – 主治医(GP)が、薬局又は認定された薬剤師に患 者を紹介し、その患者の情報を提供する。 – 認定された薬剤師が患者宅を訪問し、面接を実施す る。 – 認定された薬剤師は、報告書を作成し、主治医に提 出する – 主治医が報告書を評価し、当該患者の治療について 検討し、治療計画を再考する 薬剤管理レビュー(MMR:Medication Management Review ) 包括的薬剤レビューでは、患者各個の薬物治療 に焦点を合わせて、治療の潜在的ベネフィット を最大限に引き出しつつ、潜在的リスクを最小 限に抑えることを目的とする。 薬剤レビューの目的 生活の質と健康上のアウトカムを向上させる 患者の薬剤を調整する 安全で、効果があり、適切な薬剤の使用を実現 させる 薬剤に関する知識と理解を改善する 協力的な人間関係を促進する 薬剤レビューにより最も恩恵を受けるのは誰 でしょうか? リスク因子をともなう患者の例: • 現在、5種類以上の薬剤を常用する患者 • 1日12回量以上の薬剤の服用をする患者 • 過去3か月以内に、退院等で服用方法(薬剤投与レジメン)を大幅 に変更されている患者 • 治療指数(治療域)がせまい薬剤を服用、または、治療モニタリン グを必要とする患者 • 有害事象を示唆する症状のある患者 • リタラシー、言語の問題、あるいは視覚障害により服薬管理が困難 な患者 • 主治医及び専門医を含む複数の医師の診察を受けている患者 薬剤レビューの3つのプロセス 薬剤レビューにおけるコミュニケーション • 薬局と薬剤師への問合わせ • 介護者への問合わせ • 介護施設/養護施設への問 • 患者への問合わせ 合わせ – 患者面接時に – 初回/継続 • 他の医療従事者への問合わ せ • 問題を明確にするために医 師への問合わせ • 主治医への報告と提案 – 在宅訪問レビュー(HMRs) の前に – HMRsの後に – 施設薬剤管理レビュー (RMMRs)の間/後 – 書面による報告書/手紙 – 口頭での報告/フォローアッ プ 薬剤レビューのプロセス 最適な薬物療法サイクル 1. 関連情報収集 6. アウトカムを モニタリングし、 フォローアップ 2. 現在の治療を 評価 3. 薬剤関連問題 の特定 5. 薬物治療変更 を提案する 4. 薬物関連問題 の優先順位を決 定 1. 関連情報収集 情報収集 • 情報源は異なる場合がある • 必要な情報 患者情報 薬剤情報 病態情報 臨床検査データ ライフスタイル情報 アドヒアランス情報 2. 現在の治療を 評価 現在の治療を評価 • 主目的 – 望ましい治療効果が得られているか否かを判定する – 薬物毒性の有無または可能性を評価する – アドヒアランスを評価する それぞれの適応に対して 臨床的な判断 Diagnosis 薬理学的介入は必要(可能か)? No 服用中止 No 薬剤変更 No 用量変更 又は/及び 薬剤変更 No 服用中止 Yes 服用中止 Yes 薬剤は適切か? Yes 用量は適切か? 薬力学係数や薬物動態係数を評価する Yes 再評価:薬物療法はまだ必要か Yes 薬剤誘発性疾患 No 最適な薬物療法 求められる知識 • 知識: 個々の疾患に対する標準的な治療法(及び用量) 代替療法と特定の患者における代替療法の是非 薬剤の有害事象 製品の親密性 • 例 喘息用のデバイス、カプセルの大きさ、粉砕 性など 3. 薬剤関連問題 の特定 薬剤関連問題の分類 • 追加的な薬物療法の 必要性 • 誤った薬剤 • 過小用量 • 過大用量 Strand LM et al. DICP 1990; 24: 1093–7. • • • • 有害事象 薬物相互作用 コンプライアンス 適応外使用 4. 薬剤関連問題に 優先順位をつける 優先順位を決定 • 特定した喫緊の問題や潜在的な問題から、臨床的有意 性という主要な観点から優先順位リストを作成する • 臨床判断(clinical judgment)をする • 主治医や医療機関とともに可及的速やかに実施するこ とが必要な対策について、直ちに連絡をとるかどうか を確認する • まずは、主治医が照会してきた理由に注目する • そして、患者の健康状態のアウトカムに最も大きな影 響を及ぼす点に注目する 5.治療の変更を提 案する 提案の策定 問題を 特定する 実施することは 問題解決のための 適切な提案 連絡をとるのは 適切な担当者 (例 主治医、 看護師、患者、 介護士) • 同じ問題に対して複数の提案がありえることを覚えておく • 個々の提案を評価するときに関連するのは: – 患者要因 – 薬剤要因 – 治療の目的 • 適切な時間内に適切な方法で連絡をとる―電話、面談、書状、 ファックス 6. アウトカムを モニタリングし、 フォローアップ アウトカムをモニタリングし、フォローアッ プする • 提案で企図したアウトカムをモニタリングする • 検討する事項: – 有効性 (望ましい効果) – 有害な結果/害 誰が実行するの? 症例研究 ステラ ジョーンズ夫人 Mrs. Stella Johns ステラ ジョーンズ夫人 Mrs Stella Johns • 73歳 女性 • 夫と同居 • 照会の理由 – 5剤以上を服用している – 治療域が狭い薬剤、または治療モニタリングを必要とする薬剤 を服用している • 心不全、高血圧、背部痛 • 血圧 150/95 mmHg • 体重 65 kg • 喫煙なし;夜、ウィスキーを少量たしなむ • 予防接種:インフルエンザ、肺炎球菌 現在の服用薬 • • • • イミダプリル 1日1回5 mg フルセミド 朝昼 各40 mg ジゴキシン 朝 250 μg アセトアミノフェン 必要に応じて 500 mg 1~ 2回 • シンバスタチン 夜 20 mg Note: 調剤歴に記載の通り、アドヒアランスは良好 臨床検査値 • • • • • • • • • • ナトリウム 137 mmol/L (135–145) カリウム 3.9 mmol/L (3.4–5.0) 塩化物 97 mmol/L (95–107) 炭酸水素塩 (HCO3) 24 mmol/L (21–32) アニオンギャップ 16 mmol/L (10–20) 尿素 7.2 mmol/L (2.0–7.0) クレアチニン 140 mol/L (70–115) 推算糸球体濾過率 (eGFR) 34 mL/min/1.73m2 (> 60) 尿酸値 0.39 mmol/L (0.15–0.36) 空腹時血糖 5.7 mmol/L (3.6–6.0) • • • • • • • • • コレステロール 3.1 mmol/L (2.5–5.5) トリグリセリド 1.39 mmol/L (0.50–1.70) HDL 1.1 mmol/L (> 0.9) LDL 1.4 mmol/L (< 3.4) 総コレステロール/HDL 2.8 mmol/L (< 5.1) 肝機能検査 甲状腺機能検査 完全血球検査 正常 血清ジゴキシン 1.2 ng/mL (0.5– 0.8) 症状 – ステラ ジョーンズ夫人 Stella Johns • 心不全 • 高血圧 • 背部痛 このような障子に関する情報をどこで入手しま すか? 薬剤レビューの3つのプロセス 1. 主治医及び患者から、より詳しく聞きたいのはどんな情報で すか?そしてその理由も説明しましょう。 (情報) 2. 薬剤関連の潜在的な問題を明確にし、これらの問題をどのよ うに説明/モニタリングできるのかを提案してください。そ してあなたならば、どのように介入しますか? (知識) 3. 所見、対応、介入(たとえば、あなたが実施したこと)、推 奨事項の要点をまとめて、主治医への報告書と添付する手紙 を作成してください。 (コミュニケ-ション) どのような追加情報が必要しょうか? 1. 薬剤関連の問題1, 2 . a. b. c. d. e. f. g. h. 薬物相互作用 薬剤有害事象 (ADRs) 追加治療 コンプライアンス 不適切な薬剤 過量投与 過小投与 適応外使用 1. 2. 2. 病状管理の問題 3. 患者への質問 4. 主治医への質問 Hepler CD, Strand LM. Am J Hosp Pharm 1990; 47: 533–43 Strand LM et al. DICP 1990; 24: 1093–7 コミュニケーション技術 – 患者面接 • オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを組み合わせて 用いる • オープンクエスチョンは対話を促進する – who, what, when, where, why • 具体的な詳細事項の収集にはクローズドクエスチョンを用いる – はい/いいえで答えられる質問 • 問題からかけ離れすぎないように、患者の主導する意思に従いつ つ関連情報を収集するために患者を「導く」Follow patient’s lead, ‘guide’ them to glean relevant information without diverting (too much) from their own account • 熱心な聞き手になる 患者面接 – ジョーンズ夫人 グループディスカッション 患者面接 – 情報収集 • セントジョーンズワート(西洋オトギリソウ) -「落ち込んだとき」に姉からもらった • セレコキシブ 1日1回200mg - 隣人からの勧 められた • 運動時に息切れ、疲労、夜間の咳 • 足に浮腫はなし 薬剤レビューの3つのプロセス 1. 主治医及び患者から、より詳しく聞きたいのはどんな情報で すか?そしてその理由も説明しましょう。 (情報) 2. 薬剤関連の潜在的な問題を明確にし、これらの問題をどのよ うに説明/モニタリングできるのかを提案してください。そ してあなたならば、どのように介入しますか? (知識) 3. 所見、対応、介入(たとえば、あなたが実施したこと)、推 奨事項の要点をまとめて、主治医への報告書と添付する手紙 を作成してください。 (コミュニケ-ション) 潜在的な薬剤に関連した問題の特定 薬物相互作用 有害事象 (ADRs) 追加治療 コンプライアンス 不適切な薬剤 過量投与 過小投与 適応外使用 疾病・病状管理上の問題 • • • • 心不全管理 Heart failure management 高血圧管理 Hypertension management 慢性疼痛管理 Chronic pain management 骨粗鬆症予防 Osteoporosis prevention 潜在的な薬剤に関連した問題を特定する 疾病管理上の問題を特定する グループディスカッション 潜在的な薬剤に関連した問題を特定する 疾病管理上の問題を特定する 薬剤レビューの3つのプロセス 1. 主治医及び患者から、より詳しく聞きたいのはどんな情報で すか?そしてその理由も説明しましょう。 (情報) 2. 薬剤関連の潜在的な問題を明確にし、これらの問題をどのよ うに説明/モニタリングできるのかを提案してください。そ してあなたならば、どのように介入しますか? (知識) 3. 所見、対応、介入(たとえば、あなたが実施したこと)、推 奨事項の要点をまとめて、主治医への報告書と添付する手紙 を作成してください。 (コミュニケ-ション) 設問 3 設問3に答える際に 、考慮するのは: – 報告事項の優先順位を決める – 臨床的な判断(Clinical Judgment) – 文書によるコミュニケーションスキル 報告書の作成 – 内容 • • • • • • • • 自己紹介 – あなたは誰? (主治医があなたを知らない場合) 患者の詳細情報 – 氏名、生年月日、住所 薬剤管理 患者教育と患者への助言 特定した問題、所見を指示する根拠 とるべき処置の提案 提案を支持する文献(最適であるならば) 但し書き – 提案は入手可能なデータに基づき行う (提案に関 する補足説明を記載するとよい) • 詳細事項のさらなる検討と連絡先の詳細 報告書の作成 – 医師が知りたいこと • • • • 患者は、どんな薬剤を服用しているのか? 患者は、どのように薬剤を服用しているのか? 患者は、服用薬について何を理解しているのか? 患者は、服用方法(medication regimen)を遵守して いるのか? • 家庭環境-転倒の危険はないか?患者は薬剤をため込 んでいないか? • 患者の服用方法(medication regimen)の改善に関す る提案はあるか? 報告の相手は医師であるということを忘れずに! SOAPを用いて薬剤レビュー報告書を作成す る • SOAP は、全体的な問題であれ、個別の問題で あれ、個々の問題を記載するための常法であり、 体系的なアプローチを強化し問題を特定し解消 する方法である。 • 大部分の医師がこの記載方式を用いている SOAPの定義 • Subjective information 主観的情報 – 定量化できない情報 Non-quantifiable information • Objective information 客観的情報 – 検証可能な事実 Verifiable facts • Assessment 評価 – 主観的・客観的所見の解釈 Interpretation of objective and subjective findings • Plan 治療計画 – 処置 介入、提案、フォローアップ Actions, interventions and recommendations and follow up 報告書作成-テクニック • 報告書は、簡潔かる読みやすく、担当医に関連している こと • 報告する情報や処置に「化粧させた(ねつ造した)」も のを含ませないこと – 薬剤レビューにおいて収集した情報のみを採用する • 報告書での提案は用意に確認できるものであること • 提案については、大家的なアプローチを用いること (た とえば ‘SOAP’方式など) 報告書を作成してみましょう ジョーンズ夫人について主治医に照会するレポート 又は手紙、さらに、ジョーンズ夫人について発見し た重要な問題や提案あるいは推奨事項の概要を書 いてみましょう。 グループワーク 本日のまとめ 9. Summary 薬剤レビューの3つのプロセス 1. 主治医及び患者から、より詳しく聞きたいのはどんな情報で すか?そしてその理由も説明しましょう。 (情報) 2. 薬剤関連の潜在的な問題を明確にし、これらの問題をどのよ うに説明/モニタリングできるのかを提案してください。そ してあなたならば、どのように介入しますか? (知識) 3. 所見、対応、介入(たとえば、あなたが実施したこと)、推 奨事項の要点をまとめて、主治医への報告書と添付する手紙 を作成してください。 (コミュニケーション) 最適な薬物療法サイクル 1. 関連情報収集 6. アウトカムを モニターリング し、フォロー アップする 2. 現在の治療を 評価 3. 薬剤関連問題 の特定 5. 治療変更の提 案 4. 薬剤関連問題 の優先順位を決 定 質問の時間です! Thank you for attending the PSA Medication Review workshop Good luck with your medication reviews!
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