2013.10.31 平成25年度第6回FD+SD研修会 大阪電気通信大学 キャリア教育構築のために ー「キャリア入門」実践報告ー 本発表の構成 1. 本学でのキャリア教育の試み 2.今回受領したD予算での申請内容 3.OECU教育モデル構築のために 4. キャリア教育標準モデル 5. 授業内容および授業構成 6. 成果 7. 今後の課題 1. 本学でのキャリア教育の試み 今回の試み(キャリアノート)及びFDの目的 本学にふさわしいキャリア教育の検討 1年次から4年次にわたるキャリア教育の検討 寝屋川キャンパスでの具体的な目的 A.現行カリキュラム(寝屋川キャンパス)の初年次で行っている •キャリア入門(または、○○キャリア入門、基礎ゼミ) •○○工学入門 を平成27年度のカリキュラム改定で、キャリア教育にふさわしく すること B.2年次で行う「キャリア概論」「キャリアデザイン演習」との整合性 C.3年次で行う「キャリア設計」「インターンシップ」との整合性 2.今回受領したD予算での申請内容 平成25年度教育推進費(D予算) 教育の課題:キャリアノートを用いた初年次キャリア教育 ① 教育の目的とねらい 自分自身に自信が持てず、自分自身についての認識や将来の展望を持たな いまま入学してくる新入生に、長期間にわたって自分のことを特製のノートに記 述させ、その行動を通して自分について考え、自分の価値を見つけさせて、早 い段階で将来の展望を描かせ、そこから逆に勉学の必要性を気づかせて、キャ リア形成のために意義のある大学生活を送ることができるようにする。 ② 申請の教育内容の特色 これまで初年次は専門を学ぶための基礎教育は行ってきたが、今回は、キャ リア形成のための新規の取り組みであり、以下の特長がある。 ・学生自らが思考し、足で調査し、報告し、話し合う「学生が行動する」ことを中 心とした授業形態 ・自分自身の分析を系統的にできるキャリアノートによる自主的学び ・本学出身の比較的若い技術者に講師を依頼する具体的なキャリアモデルの 提示 申請によって学生が享受できる教育上の効果と効用 本学には、本学を志望して入学して来るというよりも、種々の条件から 選択せざるを得なかったという理由で入学してくる学生が多数存在する。 また、自分に自信を持てず積極的な行動が取れない学生も多い。このよう な学生に、学生自らが思考し、足で調査し、報告し、話し合い、自分を分析 する機会を与え、自分の価値を知って、肯定的な生き方ができるようにな る。また、主体的な活動を経験することで自主的に行動する自信がつく。 また、活動の中で、本学の各部門の調査を学生自らにさせることにより、 彼らの大学生活において大学の機能を有効に活用させることができる。そ れと同時に、本学の良いところを知ることで、愛校心を醸成させることがで きる。 本学学生のために作成した特注のキャリアノートを用いることで、思考し たことや調査したことの記録が自然にでき、2年次以降も振り返ることがで き、 自分自身の分析を系統的にできる。 従来は社会的評価の高い方々を講師に迎えていたが、本学出身の比 較的若い技術者に講師を依頼する。比較的近い先輩の言葉を聞くことで、 仕事に対するイメージや、目標とするモデルが具体的になり、大学教育の 意義を理解し、学修に前向きになることが期待できる。 3.OECU教育モデル構築のために キャリア教育とは? 就職活動のためのハウツウ教育? 本来は、自分を知り、自分の良さを伸ばす(人間形成 を確立する)ことを目指した教育です(自分を知る)。 そして、入学した学科の良さを知り、自分の特長を専 門科目で活かせるようになることです(大学を知る)。 さらに、身に付けた専門分野を活かせる就職を探せ るようになることです(社会を知る)。 OECU-Eノート2013 目次 1. キャリア教育の目的 2. 本学の歴史 本学を知り、好きになる 3. ブランドイメージ 4. 本学の教育方針 5. 学科紹介 本学科を知り、 6. 学科の専門分野の概要 好きになる 7. カリキュラムマップ 8. 大学院への進学 9. キャリア教育スケジュール 4年間のキャリア教育の 流れを理解する 10.資格支援 11.キャリア入門(1年次前期) 12.キャリア概論(2年次前期) 13.キャリアデザイン演習(2年次後期) 14.キャリア設計(3年次前期) 15.インターンシップ(3年次後期) 16.卒業研究(4年次) 付録 A. マインドマップ 1年から4年までのキャリア教育の内容を含む URL: http://www.osakac.ac.jp/labs/matsuura/japanese/E_Department/ 4. キャリア教育標準モデル 標準モデルの検討 グラウンドデザイン 回生 1 回生 2 回生 3 回生 4 回生 自己理解(自己探求) ・自己発見、自分を知る、 自分と向き合う、動機を探る(何ができるか、 何がしたいか、生かしたい経験・能力・性格、職業人としての夢や願い、 使命感、実現したい生き方等の探求 外部環境理解(社会・企業研究) 目標 ・社会が求めるスキル、社会を知る、必要な情報を集める、活用できる手段を 探る(社会・産業の変化、求められる人材の変化、企業文化・風土・制度、 人事・教育制度、選考の考え方等) ・社会的現実、企業への批判的な見方の獲得。参加や権利(シテズンシップ) 。 キャリアデザイン(生き方の表現・将来設計) ・行動計画、自ら考え行動する、対策を立てる、行動を起こす(夢・志・ビジ ョン、将来の生き甲斐、自己実現、満足感、納得感) ・具体的就活の準備、シュミレーション・体験(インターンシップ) 電子電気工学科 キャリア教育標準履修モデル 5. 「キャリア入門」の授業内容と授業構成 ライフキャリア開発の第一段階としての「キャリア入門」 (就職に限定しない)全生涯にわたる自己開発 (Gysbers and Moore、 1992) ライフキャリア教育とは ↓ 学習者が自身の過去・現在・未来にわたる変遷を 踏まえ、個人のキャリア意識、ライフキャリアを思い 描き、計画する能力を醸成すること 大学生の課題 大学への帰属意識 学修への意欲 大学生の自覚 (学生相談・「キャリア概論」等の授業経験から) 5-1-1 授業内容(3つのポイント) 3つのポイントの第1:自分を知る 自分を知る 第1回 (p.17) 第3回 (p.20〜p.21) 第5回 (p.24〜p.25) 第9回 (p.32〜p.33) <ねらい> 入学動機を確認し、 大学生活での挑戦が、 将来の夢につながる 自分を知り、自分の ことを自覚する。 良さを伸ばす(人間 形成を確立する)こと 大学4年間の優先順 を目指す。 位に関する意見交換 を行い、自己の個性 を自覚する。 キーワードをもとに自 己紹介を行った上で、 自己アピール文を書 く。 自己の価値観に気付 くため、自己の体験を 振り返り、グループで 相互に発表しあいな がら、他者との価値 3つのポイントの第2:大学を知る 大学を知る 第2回(学内ツアー) (p.18〜p.19) 第4回 (p.22〜p.23) 第7,8回 (p.28〜p.31) 班単位でコラボカフェ 等に出向き、説明を 受け、質問する。 <ねらい> 入学した学科の良さ を知り、自分の特長 ノートの資料をもとに、 を専門科目で活かせ 所属学科について調 るようになる。 べ、興味を持った事 柄について意見交換 する。 大学内グループで調 べたデータをまとめ、 クラス全体に向け、書 画カメラやパワーポイ ントを用いて発表する。 また聴衆は発表か ら重要な情報を聞き、 ノートに書き取る。 3つのポイントの第3:社会を知る 社会を知る 第6回 (p.26〜p.27) 各自新聞のキリヌキ を用意し、なぜその記 事に関心を持ったか についてグループで 話し合い、考察を深 め文章化する。 第10回 (p.34〜p.35) 「生きる力」を育む実 践を行う浜之郷小学 校の取り組み(DVD) から、就職が決して ゴールではなく、働く ことが生涯にわたる 挑戦と学修を伴うもの であることを知る。 第11回 (p.36〜p.38) 各自が調べておいた 「ワーキングプア」等 の用語を確認し、待 遇格差に着眼した議 論を通し、厳しい雇用 情勢について考える。 <ねらい> 身に付けた専門分野 を活かせる就職を探 せるようになる。 5-1-2 授業内容(企業の方から学ぶ) 卒業間もない先輩からのお話しを伺う 第12,13,14回 ゲスト講師の皆さん 学生の反応(授業ごとのレポートから) 清水さん(電気設備会社) 先輩たちが最初は自分と同じスタートだったことを考え ると、今後どういう計画を立てるかで将来が変わってくる なと思いました。 箕原さん(電源メーカー会社) 社会に実際にいま居る人の話というのは、先生の話よ りも実用的で、ためになるものと思いました。 斉藤さん(アウトソーシング会社) 最近卒業されたばかりなのに、堂々とされてすごい。バ イトなどを言い訳にせず、頑張っていこうと思う。 西川さん(電気工事会社) 先輩方の作成した設計図にはただただ驚いた。この大 学でたくさんのことを学び、社会で活躍したい。 松井さん(同上) 今日の体験は、将来の就職活動や、いまの大学生活に 役に立つという確信を持てて、とても良いものでした。 5-2 授業構成 1.「今日のポイント」を示し、黒板に示す。 2.前回授業の「コミュニケーション・カード」より、 「秀作」や興味深い意見を紹介する。 3.OECUノートに沿った指導をする。 4.班分けをし、グループディスカッションを促す。 5.「コミュニケーション・カード」に今回何を学んだかに ついて、感想を加え記してもらう(紙面6割以上)。 ◎配点:出席点(カード4点×15回) 60点 レポート 40点 5-2 授業構成 授業を行う上で気をつけた点 1.学生の自助努力に任せる。 →他の受講生と自分とを比較し、課題に気付かせる。 2.グループが固定しないようにする。 3. 放課後や昼休みに学生と接する機会を設け、 授業についてのインタビューをする。 6. 成果 ◎目に見えて明らかな点 1.書く力の向上 2.コラボカフェの利用促進 ◎レポートから 1.友達ができた 2.他の受講生から刺激を受けた。 3.大学生活における計画を立てることができた。 4.ラーニングコモンズで効率的に勉強している。 5.TOEICを受験した。 他 6. 成果:コラボカフェの利用 コラボカフェの 2013年度前期 利用状況(人数) うち一回生の 利用状況 電気電子工学科 28 28 電子機械工学科 7 1 機械工学科 3 2 基礎理工学科 3 2 情報工学科 4 3 通信工学科 3 1 なお、昨年はE学科も1,2名の利用であった。 他学科は利用者無し。 7. 課題 <電気電子工学科の先生方へのアンケート &「反省会」を踏まえて> ①テキスト・授業展開について(改善すべき点) ・専門科目の重要性に関する講義の追加 ・グループディスカッション促進の工夫 (初回に「無人島問題」を扱う等) ・メモの取り方や発表の仕方等、思考方法の適宜指導 ② 配点について(改善すべき点) ・コミュニケーションカードのみの出席点とせず、 授業開始後15分の段階での携帯出席の点を追加。 ③ 今後検討されるべき点 ・教養科目の重要性に関する講義の追加 ・全体の「キャリア科目」との整合性
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