英語絵本と読み聞かせ -読み聞かせ体験の有効性- 日本リメディアル教育学会第11回全国大会 英語部会ラウンドテーブル 発表者:江戸川大学 城一道子 1 「英語絵本の読み聞かせ」実践の概要 多読(絵本や子ども向けの図書の中から自由に読みたい本を選ん で読む) 音声指導(フォニックスアルファベット、ライミング、チャンツ) 5人ずつのグループで絵本の読み聞かせ体験(2回) 2014 音声 指導 2015 多読 多読 音声 指導 2 実践のねらい 「使える英語」の基礎づくり 大量のインプットは「絵本からはじめる多読」で 少量のアウトプットは「絵本の読み聞かせ」から SLAの観点から 言語習得はインプット(「理解できるインプット」)の理解なしにはおこら ない アウトプットをすることにより、インプットがより効果的に言語習得に結 びつく 「大量のインプットと少量のアウトプット(話すこと)が学習の基本」 (白井泰弘, 2013) 3 音読と読み聞かせ 読み聞かせは読み聞かせる相手がいることで「意味を考え ながらの音読」に近づく→より効果的なインプットになる可 能性がある ×音読は意味を考えなくてもできる(空読み) 4 読み聞かせ体験の有効性の検討: データ収集と分析 5件法によるアンケート調査(2014年7月24日実施) 7月24日実施 対象者:33名 英語絵本を読むことおよび読み聞かせ体験に関する自由 記述の質的分析(データマトリックス(佐藤、2008)の作成) ① 6月26日(読み聞かせ振り返り) 対象者数:34名 ② 7月17日(読み聞かせ振り返り) 対象者数:27名 ③ 7月24日(授業全体の振り返り) 対象者数:32名 5 アンケート調査結果: 英語絵本の読み聞かせへの好意度 「英語絵本の読み聞かせは楽しい」 4.1(75.8%) 「英語絵本の読み聞かせが上手になりたい」 4.3(78.8%) 「英語を声に出して読めるようになりたい」 4.2(87.9%) 「声を出して読むこと(音読)は好きである」 3.4(42.4%) 6 読み聞かせ技能にかかわる 重要性の認識(自由記述①②から) 感情(気持ち)を込めて読む 26件 聞き手を意識して・目を見て読む 20件 発音に注意し抑揚をつけて読む 19件 スラスラ読む(つっかえないで読む)15件 ゆっくり・間を取って読む 11件 内容理解 6件 本の持ち方・ページのめくり方 5件 はっきり・大きな声で読む 4件 音読スキ ルの重要 性の認識 内容理解・聞 き手の存在の 重要性の認識 7 まとめ:アンケート調査・自由記述の結果 音読スキルの重要性の認識 「内容理解」「聞き手の存在」がよりよい読み聞か せにつながることへの認識 読み聞かせへの肯定的な態度形成が見られる インプットとしての有効性 8 絵本と読み聞かせ 絵本をとおしてある程度まとまりのある英語を聞くことを とおして、英語特有の音・リズム・抑揚などに触れることが でき、英語の文法構造に無意識のレベルで触れることが できる(樋口他, 2013) 読み聞かせはtraining on the jobのようなもので、実際 に子どもの前で読むときに初めて、適切な声色や表情を 出せるようになる(外山, 2010) 9 絵本の読み聞かせと英語学習 英語絵本には自然な繰り返しが多いので文法もチャン クとして身につけやすいので fluency につながる 生涯学習として楽しめるのでは? 「子どもと一緒に英語絵本を楽しめる大人になろう!」 10 参考文献 デイ, R.R.・バンフォード, J. (2006). 『多読で学ぶ英語-楽しいリーディングへの 招待』桝井幹夫(監訳)松柏社. Grabe, W. (1991). Current developments in second language reading research. TESOL Quarterly, 25(3), 375-406. 樋口忠彦・加賀田哲也・泉恵美子・衣笠知子(2013).『小学校英語教育法入門』 研究社. 佐藤郁哉 (2008).『質的データ分析法 原理・方法・実践』新曜社. 白井恭弘 (2013).『英語はもっと科学的に学習しよう』中経出版. 外山節子(監修・著)(2010)『英語の絵本活用マニュアル』コスモピア. 11 参考文献2 城一道子 (2011).「英語多読授業の導入とその成果―能動的な学習者」 『江戸 川大学語学教育研究所紀要』 9, 1-13. 城一道子 (2013).「リメディアル教育における英語多読-読むことへの意欲を 高める要因」『メタ認知促進のための学習支援法の開発と実践的活用に関す る統合的研究』(平成22, 23, 24年度科学研究費補助金基盤研究(C)研究成果 報告書 研究課題番号22520632). 城一道子 (2015).「授業内多読の意義-4年間の実践をとおして」『江戸川大学 語学教育研究所紀要』 13, 33-48. 12
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