ストレスチェック制度の活用 - JIAM 全国市町村国際文化研修所

平成28年度JIAM政策・実務研修
ストレスチェック制度の活用
■芦屋市■
芦屋市総務部人事課主査 (健康管理担当)
久保田 あずさ
平成28年5月23日
芦屋市の概要
芦屋市は兵庫県の南東部、大阪と神戸のほぼ中間に位置し、面積
18.57Km2 東西約2.5km 南北約9.6kmと南北に細長いまちで、北は六
甲の山並み南は大阪湾に面し、気候温和な自然環境と便利な交通環境な
ど、生活条件に恵まれた住宅都市です。
昭和26年に「芦屋国際文化住宅都市建設法」が公布され、国際性と文
化性あふれる住宅都市の形成をめざした魅力あるまちづくりを進めてき
ました。
平成7年1月17日の「阪神・淡路大震災」によって壊滅的な被害を受け
ましたが、復興とともに安全で快適なまちづくりに取り組んできました。
第4次芦屋市総合計画(平成23年策定)では、『自然とみどりの中で絆
を育み、“新しい暮らし文化”を創造・発信するまち』を将来像として
掲げています。
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芦屋市の位置
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ストレスチェック導入の経過①
本市の取組は,阪神・淡路大震災後の復興
事業の時期から精神疾患による療養休暇者が
増加し始め,その対策として
①平成14年度より外部機関による
カウンセリングの開始
②平成18年度より嘱託精神科医師による
健康相談の実施
平成19年度には,職員970人中31人
(3.2%)が精神疾患による療養休暇を取
得する事態となりました。
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ストレスチェック導入の経過②
平成19年度
各安全衛生委員会の個別の取組ではなく,
メンタルヘルス対策の総合的かつ効果的な推
進を図るため,すべての安全衛生委員会を横
断する全庁的な組織として,
「心身の健康支援合同連絡協議会」
を設置しました。
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心身の健康支援合同連絡協議会
(設置)
第1条 本市に勤務する職員のうちメンタルケアを必要と
する者及びメンタル ケアを必要とする者の所属する長に
対する支援策を図るため,心身の健康支援合同連絡協議
会(以下「協議会」という。)を設置する。
(業務)
第2条 協議会は,心身の病から長期療養休暇中の職員が
早期に職場復帰等ができるよう,メンタルケアの必要な
職員及びメンタルケアを必要とする職員の所属する長に
対して行う支援の内容に関する協議を主に行う。
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心身の健康支援合同連絡協議会
(構成)
第3条 協議会は,総務部長,芦屋市の委嘱する精神科医師,総務部長
の指名する者及び次に掲げる職員労働安全衛生委員会の指名する者を
もって構成する。
(1) 芦屋市職員安全衛生委員会
2名
(2) 環境処理センター職員安全衛生委員会 1名
(3) 市立芦屋病院職員安全衛生委員会 1名
(4) 芦屋市教育委員会職員安全衛生委員会 1名
(5) 芦屋市消防本部職員安全衛生委員会 1名
(6) 芦屋市水道部職員安全衛生委員会 1名
2 協議会に委員長を置き,総務部長をもって充てるものとする。
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心身の健康支援合同連絡協議会
(委員の任期)
第4条 委員の任期は1年とし,補欠の委員の任期は前任
者の残任期間とする。
2 委員は,再任されることができる。
(委員長の職務)
第5条 委員長は,会務を総理する。
2 委員長に事故があるときは,委員長があらかじめ指名
した委員がその職務を代理する。
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ストレスチェック導入の経過②
平成21年度には,厚生労働省の
「労働者の心の健康保持増進のための指針」
に基づき,
①事業所外資源として民間のEAP(職員支援
プログラム)を導入。
②ストレスチェックと組織診断を実施。
③心の健康づくりを体系的に推進するために,
「芦屋市職員の職場における心の健康づくり
計画」を策定。
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「芦屋市職員の職場における
心の健康づくり計画」の策定
計画期間は3年間とし,計画期間の取組を評価・検
証しながら適宜見直しを図ってきました。
①平成21年度~23年度
②平成24年度~26年度
③平成27年度~29年度
平成27年度は,労働安全衛生法の改正(平成26
年6月25日)により,ストレスチェック及び面接
指導を法改正の対応で実施しました。
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心の健康づくり長期目標
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平成27~29年度までの取組目標
活動項目
取組目標
具体的な取組
ストレスチェックの活用
健康相談
心の健康づくりのためのセルフケア
セルフケア支援
メンタルヘルスに対する知識の周知
相談しやすい環境の整備
職場内メンタルヘルス対策の推進
職場内コミュニケーションの向上 人を育てる職場づくりの推進
ラインケアの充実
心の健康問題を発症させないための
活気ある職場づくり
職場環境改善
職場環境の整備
長時間労働による不調者の発生予防
EAPコンサルテーション
職員と所属と産業保健スタッフの 早期発見・早期対応
連携
再発予防
メンタルヘルス不調となった職員の
復職支援と再発予防
職場環境の整備
職場復帰支援の推進
2次不調者をつくらない職場支援
試し出勤・EAPリワークプログラム
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平成19年以降の精神疾患による
長期療養休暇継続率・復職率・就業継続率
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EAP(職員支援プログラム)委託先
 平成21~25年度
(株)ジャパンEAPシステムズ
 平成26年度~現在(3年継続契約)
医療法人あけぼの会メンタルヘルスセンター
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委託内容
 芦屋市EAP業務委託契約(契約対象職員1600人)
(正規・再任用・嘱託・臨職含む)
① EAP相談(電話・メール・面談)
② ストレスチェック及び組織診断
③ 教育・研修
④ 派遣相談(月1回/1回4時間)
⑤ 復職支援
⑥ 連絡・報告
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改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度の新旧変更点【修正版】
旧
新
H27実施
実施者
あけぼの会
産業医(共同実施者 あけぼの会)
産業医(共同実施者 あけぼの会)
方針等審議機関
心身の健康支援合同連絡協議会
心身の健康支援合同連絡協議会
心身の健康支援合同連絡協議会
対象者
全職員(正規・再任用・嘱託・臨職)
※週20時間勤務以上
全職員(正規・再任用・嘱託・臨職)
※契約期間が1年以上のもの及び
1年以上引き続き使用されているもの。
※1週間の所定労働時間が
4分の3以上であるもの。
全職員(正規・再任用・嘱託・臨職)
※週20時間勤務以上
実施時期
一斉実施
一斉実施
一斉実施
受検の勧奨
不可
可
可
ストレスチェック結果返却
セルフケア・相談窓口の案内あり
セルフケア・相談窓口の案内あり
セルフケア・相談窓口の案内あり
集団分析
5人以上の職場で課別レポート作成
芦屋市全体の組織診断を実施
10人以上の職場で仕事のストレス判定図作成
集団分析結果を職場環境改善に活用
芦屋市全体の組織診断に加えて,概ね各部ごとの21グルー
プで職場の判定図を作成する。(病院・消防については,グ
ループ内でさらに各判定図を作成する。)
高ストレス者通知
あけぼの会
産業医
あけぼの会(産業医の指示のもと)
高ストレス者フォロー実施者
あけぼの会
産業医
産業医
高ストレス者フォロー実施方法
事前同意のもと,あけぼの会から対象者に通知
結果送付時に本人に通知,
本人からの申し出により産業医の面接指導
結果送付時に本人に通知,
本人からの申し出により産業医の面接指導
高ストレス者フォロー結果
フォロー件数のみあけぼの会から事業者へ報告
高ストレス者フォロー
申し出の勧奨
不可
産業医の面談結果を事業者が医師から意見聴取し,必要に 産業医の面談結果を事業者が医師から意見聴取し,必要に
応じて就業上の措置を実施
応じて就業上の措置を実施
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可
可
ストレスチェック回収率
 平成21年度
 平成22年度
 平成23年度
 平成24年度
 平成25年度
 平成26年度
 平成27年度
82.5%
58.2%
60.9%
74.4%
84.0%
85.7%
91.8%
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個人結果票
あなたが受けている
ストレスの度合いと、
それによる心身へ
の影響について解
説
19
個人結果票
レーダーチャートは全体
に大きいほど、良好な状
態であることを示します。
チャートが小さくなり、特
にピンクのゾーンに入っ
ている場合は、ストレス
要因が多い、ストレス反
応が高い状態が疑われ
ます。
「ストレス要因」「ストレス反応」が レーダー
チャートで示されています!
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ストレスチェック実施の流れ(H26)
 2~3月 業者選定(指名型企画提案方式)
 4月 打合せ
 5月 職員データ作成
 6月 ストレスチェック配布・回収
 7月 ストレスチェック個人結果返却
高ストレス者フォロー開始
 8月 ストレスチェック組織診断結果報告
 9月 ストレスチェック高ストレス者フォロー終了
 10月 心身の健康支援合同連絡協議会報告
 12月 職場環境改善取組
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高ストレス者への対応【H26】
こころの健康サポートが必要である
と判断された方へは、あけぼの会のカウン
セラー、または産業保健スタッフ(産業
医・健康管理室)より直接ご連絡を差し上
げることがございます。
その際、人事担当者や職場上司等に情報
が漏れることはありません。
ご希望の連絡先がある方
は、メールアドレスまたは
携帯電話番号をご記入ください。
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H26高ストレス
フォロー結果
対象113名
同意有32名(28.3%)
改正法対応ストレスチェックへの課題
 事前同意が取れなくなったこと
 就業上の措置を講じる必要ができたこと
→高ストレス者フォロー方法の変更が必要
 対象者が定期健康診断と違うこと
→実施時期の変更が必要
 課別レポートの作成が出来なくなったこと
→職場環境改善の取組方法の変更が必要
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法改正ストレスチェック実施の流れ
(H27)
3月
5月
8月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
業者選定
打合せ
職員データ作成
ストレスチェック配布・回収
ストレスチェック個人結果返却
職場環境改善取組
ストレスチェック組織診断結果報告
高ストレス者フォロー開始
ストレスチェック高ストレス者フォロー終了
就業上の配慮についての協議
心身の健康支援合同連絡協議会報告
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法改正対応の
ストレスチェックを実施してみて
 平成27年度実績
 ストレスチェック対象者 1,551人
 ストレスチェック実施者 1,424人
 高ストレス者 186人(13.1%)
 面談希望者 19人(1.3%)
 面談実施者 16人(1.1%)
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職場環境改善の取組①
 平成21年度~平成23年度
ストレスチェック回収率の向上
 平成24年度 課別レポートの作成(5名以上)
組織診断結果の公表
 平成25年度 課別レポート返却と相談会(2回)
 平成26年度 課別レポート返却と相談会(2回)
 平成27年度 グループ別分析,セルフケア研修
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職場環境改善の取組【H27】
 市民病院職員対象の研修会を実施
ハラスメント対応 1回
組織診断結果とバーンアウト予防 1回
 全職員を対象にセルフケア研修を実施
「こころと体の健康管理」 2回
 消防職員対象の研修会を実施
「危機介入研修」 4回
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芦屋市でのストレスチェックの活用法
 埋もれている不調者と繋がる機会
 メンタルヘルス対策に取り組んでいる事を
PRする機会
 不調者がいれば,産業保健スタッフまでつなぐ
ことを管理監督者へPRする機会
 職員のメンタルヘルス研修への動機づけ
 人事担当と協議する機会
 働きやすい職場づくりのための職場風土改革の
機会
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