学校制度と教育行政 教育基本法 • • • • • • • • (学校教育) 第六条 法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共 団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。 2 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心 身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場 合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとと もに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければな らない。 (大学) 第七条 大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く 真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することに より、社会の発展に寄与するものとする。 2 大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特 性が尊重されなければならない。 (私立学校) 第八条 私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割 にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の 適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。 公の性質 • 「公」の意味 public öffentlichkeit official • 日本の伝統的な「公」概念は「公儀」 • 1条校とその他(専修学校・各種学校) • 教育基本法第六条「法律に定める学校」は一 条校のみか 「公の性質をもつ」とは。 • 代々木ゼミの小倉校認可問題 認可なのか 特許なのか(行政側に裁量権があるか) 公の歴史的意味 • 日本国語大辞典による – かたよらないこと 公平 寛則得衆信則民任焉敏 則有功公則説 (論語堯曰第二十) – 明らかなこと・隠さないこと – 朝廷・公儀 – 公爵・宰相・主君・父 • 日本の公概念は「権力者」を指すイメージが 強い Public の意味 Merriam-Webster • • 1 a : of, relating to, belonging to, or affecting all the people ‹public law› b : provided by the government ‹public education› c : relating to or engaged in the service of the community or nation ‹public life› 2 : of or relating to community interests as opposed to private affairs ‹a radio program in the public interest› 3 : devoted to the general welfare ‹needed leaders with public spirit› 4 : open to or shared by all ‹a public meeting› ‹the public library› 5 a : generally known ‹the story became public› b : well-known ‹a public figure› 6 : supported by income from public funds and private contributions rather than by commercials ‹public television› [Middle English publique “relating to the people as a whole, public,” from early French publique (same meaning), from Latin publicus “belonging to the people as a whole,” from populus “the people” related to popular republic] — pub·lic·ly adv 2public n 1 : a place open or visible to people ‹seen in public› 2 : the people as a whole ‹a lecture open to the public› 3 : a particular group of people ‹a writer's public› ハーバーマスの公共性概念 • 16世紀絶対主義で公的生活圏と私的生活圏 が分離 国家=公 • 市民社会の成立 市民的公共性(公開討論) • 19世紀 労働運動・社会権→福祉国家 市民的 公共性の危機 公の支配 • 憲法第八十九条 公金その他の公の財産は、 宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しく は維持のため、又は公の支配に属しない慈善、 教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、 又はその利用に供してはならない。 • 社会教育法第十条 この法律で「社会教育関係 団体」とは、法人であると否とを問わず、公の支 配に属しない団体で社会教育に関する事業を行 うことを主たる目的とするものをいう。 • 監督命令に服している・監査等受け入れている・ 法令によって規制されている 法律に定める学校(教基法6条) • 1条校 学校教育法1条の規定する学校 – 第一条この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等 学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校 とする。 – 第二条学校は、国(国立大学法人法(平成十五年法律第百十 二号)第二条第一項に規定する国立大学法人及び独立行政 法人国立高等専門学校機構を含む。以下同じ。)、地方公共団 体(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第六 十八条第一項に規定する公立大学法人を含む。次項において 同じ。)及び私立学校法第三条に規定する学校法人(以下学 校法人と称する。)のみが、これを設置することができる。 – ○2この法律で、国立学校とは、国の設置する学校を、公立学 校とは、地方公共団体の設置する学校を、私立学校とは、学 校法人の設置する学校をいう。 法律に定める学校(準) • 第百二十四条第一条に掲げるもの以外の教育施設で、職 業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の 向上を図ることを目的として次の各号に該当する組織的な 教育を行うもの(当該教育を行うにつき他の法律に特別の 規定があるもの及び我が国に居住する外国人を専ら対象 とするものを除く。)は、専修学校とする。 – 一修業年限が一年以上であること。 – 二授業時数が文部科学大臣の定める授業時数以上であること。 – 三教育を受ける者が常時四十人以上であること。 • 第百三十四条第一条に掲げるもの以外のもので、学校教 育に類する教育を行うもの(当該教育を行うにつき他の法 律に特別の規定があるもの及び第百二十四条に規定す る専修学校の教育を行うものを除く。)は、各種学校とする。 学校の設置 • 設置主体 国・地方公共団体・学校法人(国公立は行政法 人の形をとることが多くなった。) • 私立学校は学校法人の形をとり、「私立学校法」で学校法 人について詳細に規定(以下文部科学省の説明) – 学校法人が解散した場合の残余財産の帰属者は学校法人そ の他教育の事業を行う者のうちから選定しなければならないこ ととし、残余財産の恣意的処分の防止を図っていることです (同法第30条第3項)。 – 学校法人の運営の公正を期するため、役員の最低必要人数を 法定するとともに、役員が特定の親族によってのみ占められる ことを禁止していることです(同法第35条第1項、第38条第7項)。 – 学校法人の業務執行の諮問機関として評議員会の設置を義 務づけ、学校法人の運営について意見を反映させることとして いることです(同法第41条~第44条、第46条)。 学校の認可1 • 第四条 次の各号に掲げる学校の設置廃止、設置者の変更その 他政令で定める事項(次条において「設置廃止等」という。)は、そ れぞれ当該各号に定める者の認可を受けなければならない。これ らの学校のうち、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)の 通常の課程(以下「全日制の課程」という。)、夜間その他特別の 時間又は時期において授業を行う課程(以下「定時制の課程」とい う。)及び通信による教育を行う課程(以下「通信制の課程」とい う。)、大学の学部、大学院及び大学院の研究科並びに第百八条 第二項の大学の学科についても、同様とする。 – 一 公立又は私立の大学及び高等専門学校 文部科学大臣 – 二 市町村の設置する高等学校、中等教育学校及び特別支援学校 都道府県の教育委員会 – 三 私立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び 特別支援学校 都道府県知事 学校の認可2 • ○2 前項の規定にかかわらず、同項第一号に掲げる学校を設置する 者は、次に掲げる事項を行うときは、同項の認可を受けることを要しない。 この場合において、当該学校を設置する者は、文部科学大臣の定めると ころにより、あらかじめ、文部科学大臣に届け出なければならない。 – 一 大学の学部若しくは大学院の研究科又は第百八条第二項の大学の学 科の設置であつて、当該大学が授与する学位の種類及び分野の変更を伴 わないもの – 二 大学の学部若しくは大学院の研究科又は第百八条第二項の大学の学 科の廃止 – 三 前二号に掲げるもののほか、政令で定める事項 • ○3 文部科学大臣は、前項の届出があつた場合において、その届出に 係る事項が、設備、授業その他の事項に関する法令の規定に適合しな いと認めるときは、その届出をした者に対し、必要な措置をとるべきこと を命ずることができる。 • 第四条の二 市町村は、その設置する幼稚園の設置廃止等を行おうと するときは、あらかじめ、都道府県の教育委員会に届け出なければなら ない。 基準行政 • 学校の教育条件の公的保障 • 校舎・教室・図書室・保健室・校庭・体育館等 必要な施設 • それぞれに数値的な基準 • 利点 – 教育を行なうために適切な状況が確保される。 • 欠点 – 柔軟性を欠く・阻害になることも(プールの深さ) 小学校設置基準1 • 第四条 一学級の児童数は、法令に特別の定めがある場合を除 き、四十人以下とする。ただし、特別の事情があり、かつ、教育上 支障がない場合は、この限りでない。 • 第五条 小学校の学級は、同学年の児童で編制するものとする。 ただし、特別の事情があるときは、数学年の児童を一学級に編制 することができる。 • 第六条 小学校に置く主幹教諭、指導教諭及び教諭(以下この条 において「教諭等」という。)の数は、一学級当たり一人以上とする。 • 2 教諭等は、特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合 は、校長、副校長若しくは教頭が兼ね、又は助教諭若しくは講師を もって代えることができる。 • 3 小学校に置く教員等は、教育上必要と認められる場合は、他 の学校の教員等と兼ねることができる。 小学校設置基準2 • • • • • • • • • • • 第七条 小学校の施設及び設備は、指導上、保健衛生上、安全上及び管理上適切なものでなけ ればならない。 第八条 校舎及び運動場の面積は、法令に特別の定めがある場合を除き、別表に定める面積以 上とする。ただし、地域の実態その他により特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、 この限りでない。 2 校舎及び運動場は、同一の敷地内又は隣接する位置に設けるものとする。ただし、地域の実 態その他により特別の事情があり、かつ、教育上及び安全上支障がない場合は、その他の適当 な位置にこれを設けることができる。 第九条 校舎には、少なくとも次に掲げる施設を備えるものとする。 一 教室(普通教室、特別教 室等とする。) 二 図書室、保健室 三 職員室 2 校舎には、前項に掲げる施設のほか、必要に応じて、特別支援学級のための教室を備えるも のとする。 第十条 小学校には、校舎及び運動場のほか、体育館を備えるものとする。ただし、地域の実態 その他により特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、この限りでない。 第十一条 小学校には、学級数及び児童数に応じ、指導上、保健衛生上及び安全上必要な種類 及び数の校具及び教具を備えなければならない。 2 前項の校具及び教具は、常に改善し、補充しなければならない。 第十二条 小学校は、特別の事情があり、かつ、教育上及び安全上支障がない場合は、他の学 校等の施設及び設備を使用することができる。 • • • • • • • • • • 別表 (第八条関係) イ 校舎の面積 児童数 面積(平方メートル) 一人以上四〇人以下 500 四一人以上四八〇人以下 500+5×(児童数-40) 四八一人以上 2700+3×(児童数-480) ロ 運動場の面積 児童数 面積(平方メートル) 一人以上二四〇人以下 2400 二四一人以上七二〇人以下 2400+10×(児童数-240) 七二一人以上 7200 基準行政の長短 • 長所を考えてみよう – 教育条件・質が保証される – 安心して学校にいかせることができる • 短所を考えてみよう – 全体の基準であるために無理が生じる • 図書館(貧弱な学校図書館) • プールの基準(立った状態で肩が出る・点検) – 守られていないと逆に危険の要因にもなる 経済特区制度 • 基準から解放された教育が可能(小泉改革) • 学習指導要領から解放 – 公立小学校の英語教育 – 特別な教育理念の学校(シュタイナー・サドベリバ レイ) • 長所 多様な学校の実現 • 欠点 補助がない。
© Copyright 2024 ExpyDoc