企業の広報戦略と 事業構想 立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科 博士課程後期課程 黒田明彦 目次 1、パブリックリレーションズの概要 2、企業広報力調査の概要 3、オクトパスモデルの類型化 4、広報活動の4類型化 5、分析と考察 パブリックリレーションズの定義 "Public relations is a strategic communication process that builds mutually beneficial relationships between organizations and their publics.“ 「組織と組織をとりまくパブリックの間の、 相互に利益のある関係を築く 戦略的コミュニケーションのプロセス」 米国PR協会(2012) 「パブリックリレーションズとは、 組織体とその存在を左右するパブリックとの間に、 相互に利益をもたらす関係性を構築し維持する マネジメント機能である」 Cutlip・Center・Broom(2006) 3 パブリックリレーションズの領域 ①インベスターリレーションズ(Investor Relations:IR) ②エンプロイーリレーションズ(Employee Relations) ③サプライチェーンリレーションズ/インダストリーリレーションズ (Supply Chain Relations / Industry Relations) ④カスタマーリレーションズ(Customer Relations) ⑤コミュニティーリレーションズ/ガバメントリレーションズ (Community Relations / Government Relations) 4 パブリックとは ステークホルダー + インフルエンサー = パブリック 直接的 ステークホルダー 株主 投資家 従業員 取引先 顧客 政府・自治体 間接的 ステークホルダー ファンド 金融機関 学生・OB 労働団体 関連業界 業界団体 消費者 消費者団体 地域住民 NGO/NPO オピニオン系 インフルエンサー 学者、評論家、専門家、研究機関、 アナリスト、シンクタンク、等 メディア系 インフルエンサー 新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、 ネットメディア、ブログ、SNS、等 パブリック 公共 (金融界、労働界、産業界、産業界、地域社会、国際社会) ステークホルダー・インフルエンサー・マトリクス(SIM):筆者作成 5 6 広報機能の組織体制 取締役会 (従来のステークホルダー対応) 企画 渉外部 財務部 人事部 事業部 営業部 広報部 行政対応 株主対応 従業員 対応 取引先 対応 顧客対応 報道対応 (今後のステークホルダー対応) 取締役会 CRO (チーフ・レピュテーション・オフィサー) 企画 渉外部 人事部 財務部 事業部 営業部 コーポレート ・ コミュニケーション部 連携・調整 行政対応 従業員 対応 株主対応 取引先 対応 顧客対応 報道対応 広報組織:筆者作成 6 経営戦略~事業戦略 経営理念 ビジョン 経営資源 経営環境 経営戦略 経営戦略(資源配分) 人事・財務・渉外・研究開発・危機管理・・ 事業A 事業B 事業C 広報戦略 連携・支援 ・・・ 事業目標 事業環境 事業資源 事業戦略 調達・生産・流通・販売 (STP・4P) 事業戦略 市場戦略 広報戦略:筆者作成 7 企業の広報活動に関する調査 調査対象:東証一部、二部、マザーズ、ジャスダック、札証、福証など 国内の上場企業(3,503社)。広告・PR業他社は除く。 回答社数:479社 (未上場等は除く) *回収率 13.7% 調査実施期間:2014年1月6日(月)~2014年2月10日(月) 調査手法:郵送・訪問留置調査 調査主体:企業広報戦略研究所 8 Copyright 企業広報戦略研究所 (Corporate communication Strategic studies Institute/電通PR内) All Rights Reserved. ご回答企業様の属性 ■業種別集計: No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 業種カテゴリー 全体 卸売・小売 サービス業 情報・通信 繊維・化学・医薬 電気機器 機械 食料品 その他 金融・証券・保険 建設 輸送用機器・精密機器 運輸・倉庫 鉄鋼・非鉄金属 その他製品 不動産 電力・ガス N 479 70 66 47 43 42 31 28 28 23 22 20 15 15 14 10 5 % 100.0 14.6 13.8 9.8 9.0 8.8 6.5 5.8 5.8 4.8 4.6 4.2 3.1 3.1 2.9 2.1 1.0 9 Copyright 企業広報戦略研究所 (Corporate communication Strategic studies Institute/電通PR内) All Rights Reserved. ご回答企業様の属性 ■BtoB, BtoC 別集計: カテゴリー名 1.主にBtoB 2.主にBtoC 3.両方 不明 全体 N % 201 88 70 120 479 42.0 18.4 14.6 25.1 100.0 303 58 18 84 2 6 4 % 63.3% 12.1% 3.8% 17.5% 0.4% 1.3% 0.8% ■上場市場別集計: 上場市場 東証1部 東証2部 東証マザーズ ジャスダック 札証 名証 福証 N 10 Copyright 企業広報戦略研究所 (Corporate communication Strategic studies Institute/電通PR内) All Rights Reserved. 担当する業務テーマ No. カテゴリー名 N % 1 トップのメッセージ、企業ビジョン 386 80.6 2 商品・サービスPR 324 67.6 3 経営戦略・事業戦略 277 57.8 4 社内活性化 245 51.1 5 危機管理 206 43.0 6 CSR 183 38.2 7 ファイナンシャル・財務 122 25.5 8 その他 29 6.1 9 政策・規制への働きかけ 14 2.9 10 不明 1 0.2 全体 479 100.0 11 Copyright 企業広報戦略研究所 (Corporate communication Strategic studies Institute/電通PR内) All Rights Reserved. 「8つの広報力」の現状と課題 12 Copyright 企業広報戦略研究所 (Corporate communication Strategic studies Institute/電通PR内) All Rights Reserved. 8つの広報力 1 8 (広報オクトパスモデル分析) 2 情報収集力 3 情報分析力 戦略構築力 Intelligence Analysis Strategy 自社や業界・競合に対する メディアの評判や、 ステークホルダーの動静などにつ いて収集・把握する能力 収集した情報に基づき、 自社の経営課題・広報課題を洞察 する力と、組織的に共有する能力 経営課題に対応する広報戦略の構 築と、ステークホルダー別の目標管 理、見直しを組織的に実行する能 力 4 広報組織力 情報創造力 Public relations organization Creative ステークホルダーの認知・理解・共 感を得るために、メディア特性に合 わせたメッセージやビジュアルなど を開発する能力 経営活動と広報活動を、 一体的に行うための 意思決定の仕組み、会議体、 システム整備などの水準 7 6 危機管理力 関係構築力 5 情報発信力 Risk management Engagement Delivery 自社をとりまくリスクの 予測・予防 や、緊急事態に 対応するスキルを 維持・向上する組織能力 重要なステークホルダーと、 相互の理解・信頼関係を 恒常的に高めるための活動と、実 行する組織能力 マスメディアや自社メディア・ソー シャルメディアなど様々な情報発信 手法を複合的に タイムリーに駆使する能力 13 Copyright 企業広報戦略研究所 (Corporate communication Strategic studies Institute/電通PR内) All Rights Reserved. 広報活動オクトパスモデル分析 情報収集力 80 70 広報組織力 60 情報分析力 全体(N=479) S(N=73) A(N=136) B(N=205) C(N=65) 50 40 30 20 10 危機管理力 0 関係構築力 戦略構築力 情報創造力 情報発信力 全体(N=479) S(N=73) A(N=136) B(N=205) C(N=65) 情報収集力 情報分析力 戦略構築力 情報創造力 情報発信力 関係構築力 危機管理力 広報組織力 37.0 25.4 26.2 21.3 47.3 22.8 24.9 31.7 71.2 58.9 62.3 55.1 73.5 47.5 54.3 66.9 47.6 33.3 38.2 27.0 60.7 28.6 33.1 44.1 26.0 15.4 12.9 11.5 38.7 15.5 15.8 19.7 10.8 3.2 2.8 2.0 17.0 6.1 3.4 3.9 総合評価 29.6 61.2 39.1 19.4 6.1 14 Copyright 企業広報戦略研究所 (Corporate communication Strategic studies Institute/電通PR内) All Rights Reserved. 仮説の設定 「企業の広報活動の特色は、 その企業の業種・業態・規模・業績に依存する」 「事業構想においては、 その事業の業種・業態・規模・業績に対して 最適な広報活動を選定することが必要である」 15 広報活動項目の主成分分析 広報活動80項目について主成分分析を行い、十分な因子負荷量を示さない項目を除外していった結果、 最終的には14の項目に絞られ、二つの成分が抽出された。(累積寄与率は41.8%) 第一主成分は「戦略思考型広報活動-現場対応型広報活動」を表す成分と言える。 成分行列a 成分 1 中・長期的広報戦略・広報計画を作成している .638 2 -.153 広報戦略は、経営戦略とリンクしている .637 -.158 自社の強み、弱みを意識して広報戦略を策定している .631 .019 重点メディアを設定し、個別の戦略を策定している .596 .030 トップと広報が情報交換する機会がある .592 -.105 広報部門が、各事業部門や海外現地法人と定期的に情報交換する仕組みがある .569 -.061 ソーシャルメディアやWeb上で自社に関するモニタリングを継続的に実施している .554 .430 トップがメディアと懇談する機会を定期的に設けている .529 -.540 広報部門は、記者クラブと定期的に懇談会などの場を設けている .504 -.439 トップは定期的にメディアの取材を受けている .497 -.477 ソーシャルメディア上での自社や業界に関する書きこみ・評判等を分析している .470 .460 自社HPやソーシャルメディアでの独自目標(ex.PV、いいね!数など)を定めている .458 .402 ソーシャルメディアを活用した情報発信を行っている .454 .529 自社Webメディア(商品別サイト、Webコミュニティ、アプリ)を運用している .431 .301 16 広報活動項目の主成分分析 第二主成分は「ネットメディア型広報活動-従来メディア型広報活動」を表す成分と言える。 成分 1 2 ソーシャルメディアを活用した情報発信を行っている .454 .529 ソーシャルメディア上での自社や業界に関する書きこみ・評判等を分析している .470 .460 ソーシャルメディアやWeb上で自社に関するモニタリングを継続的に実施している .554 .430 自社HPやソーシャルメディアでの独自目標(ex.PV、いいね!数など)を定めている .458 .402 自社Webメディア(商品別サイト、Webコミュニティ、アプリ)を運用している .431 .301 重点メディアを設定し、個別の戦略を策定している .596 .030 自社の強み、弱みを意識して広報戦略を策定している .631 .019 広報部門が、各事業部門や海外現地法人と定期的に情報交換する仕組みがある .569 -.061 トップと広報が情報交換する機会がある .592 -.105 中・長期的広報戦略・広報計画を作成している .638 -.153 広報戦略は、経営戦略とリンクしている .637 -.158 広報部門は、記者クラブと定期的に懇談会などの場を設けている .504 -.439 トップは定期的にメディアの取材を受けている .497 -.477 トップがメディアと懇談する機会を定期的に設けている .529 -.540 因子抽出法: 主成分分析 a. 2 個の成分が抽出されました 17 主成分による四象限別企業特性 第一主成分「戦略思考型広報活動-現場対応型広報活動」と 第二主成分「ネットメディア型広報活動-従来メディア型広報活動」を 二軸としてマッピングする。 第二象限 現場対応・ネットメディア型企業第二主成分 ネットメディア型 第一象限 戦略思考・ネットメディア型企業 第一主成分 戦略思考型 現場対応型 従来メディア型 現場対応・従来メディア型企業 第三象限 戦略思考・従来メディア型企業 第四象限 主成分による四象限別企業特性:筆者作成 18 業種による四象限別企業特性 業種 企業数 第一主成分 第二主成分 ROA PBR 使用総資本 売上高 事業利益 営業利益 1 食料品 28 0.353 0.326 4.15 1.36 3061 367848 38300 30663 2 建設 23 -0.466 -0.077 4.96 1.15 2678 271503 9192 8275 3 繊維・化学・医薬 43 0.050 -0.349 5.07 1.39 3508 309562 24947 23461 4 鉄鋼・非鉄金属 15 -0.139 -0.856 3.83 1.07 6896 610861 29599 26569 5 機械 31 -0.357 -0.247 5.07 1.23 2496 207922 17729 17190 6 電気機器 42 0.424 -0.294 6.06 1.75 5168 483616 28361 25636 7 輸送・精密機器 21 0.112 -0.570 5.11 1.43 22695 1645335 139264 132532 8 その他製品 15 0.145 0.134 4.86 1.41 2282 216140 16091 15791 9 卸売・小売 69 -0.170 0.139 4.30 1.61 2278 675985 16071 12726 10 金融・証券・保険 22 0.222 -0.106 6.47 1.21 2973 272380 4353 37040 11 運輸・倉庫 15 0.253 -0.523 4.10 1.29 13097 794277 66936 65669 12 電力・ガス 5 0.762 -0.013 3.79 1.07 23542 1439887 44436 40292 13 情報・通信 48 0.122 0.555 9.41 2.36 6975 401824 57099 48272 14 不動産 10 -0.393 -0.070 4.53 1.69 2385 136210 14763 11443 15 サービス業 64 -0.239 0.280 10.12 3.36 374 49699 3740 3102 16 その他 28 0.076 0.260 6.21 2.04 5276 1030600 65738 51859 19 業種による四象限別企業特性 第二主成分 0.800 サービ ス B2C 0.600 情報・通信 0.400 サービス 0.200 食料品 その他 その他製品 卸売・小売 -0.600 -0.400 建設 -0.200 不動産 機械 電力・ガス 0.000 0.000 0.200 0.400 0.600 第一主成分 0.800 1.000 金融・証券・保険 -0.200 電気機器 -0.400 繊維・化学・医薬 運輸・倉庫 -0.600 輸送・精密機器 -0.800 B2B 鉄鋼・非鉄金属 製造 -1.000 主成分による四象限別企業特性:筆者作成 20 考察 • 製造業、B2Cにおいては戦略思考型広報、サービス業、 B2Bにおいては現場対応型広報が行われているように みえる。 • サービス業、B2Cにおいては、デジタルメディアが活用さ れ、製造業、B2Bにおいては従来メディアが活用されてい るようにみえる。 • しかし、建設、鉄鋼・非鉄金属、輸送用機器・精密機器、 運輸・倉庫、等の業種は特定の象限に偏り、広報活動に 特徴があるが、他の業種では4象限に分散して明確な特 徴は見られない。 • 結局、業種、業態においては一部で特徴的な広報活動パ ターンが見られるが、他の多くでそれは見られない。 21 主成分と財務指標の相関分析 第一主成分「戦略思考型広報活動-現場対応型広報活動」は、 ROA、PBR、使用総資本、売上高、事業利益、営業利益、いずれもと正の相関がある。 第一主成分 第二主成分 第一主成分 Pearson の 相関係数 1 有意確率 (両側) 度数 479 ROA PBR 使用総資本 売上高 事業利益 営業利益 .000 .101* .159** .241** .271** .242** .223** 1.000 .033 .000 .000 .000 .000 .000 479 447 475 432 479 434 479 **. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) *. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) 22 主成分と財務指標の相関分析 第二主成分「ネットメディア型広報活動-従来メディア型広報活動」については、 使用総資本、売上高、事業利益、営業利益、とは負の相関となっている。 PBRに対しては正の相関がある。 第一主成分 第二主成分 第二主成分 Pearson の 相関係数 有意確率 (両側) 度数 .000 1 1.000 479 479 ROA PBR 使用総資本 売上高 事業利益 営業利益 .038 .169** -.150** -.228** -.165** -.157** .427 .000 .002 .000 .001 .001 447 475 432 479 434 479 **. 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) *. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) 23 考察 • 資本・売上・利益の高い、大手の企業ほど戦略思考 型の広報活動を行い、規模の小さい企業ほど現場 対応型の広報活動を行っていることが窺える。 • 大手企業ほど従来メディアを活用した広報活動を 行っており、規模が小さな企業ほどネットメディアを 活用していることが窺える。 • ネットメディアを活用する企業が、より効率的、先進 的な広報活動によって株式市場でも評価を得ている ことが窺える。 24 主成分による四象限別企業特性 第一主成分「戦略思考型広報活動-現場対応型広報活動」と 第二主成分「ネットメディア型広報活動-従来メディア型広報活動」を 二軸として、企業を4象限に分類すると以下のようになる。 象限 第一 主成分 第二 主成分 第一象限 + + 101 8.42 2.99 3,643 273,125 19,592 17,455 第二象限 - + 155 5.03 1.55 725 70,532 4,897 4,272 第三象限 - - 115 5.76 1.46 2,184 217,319 15,322 13,811 第四象限 + - 108 6.04 1.48 15,372 1,614,467 102,381 95,694 企業数 平均 ROA 平均 PBR 平均 総資本 平均 売上高 平均 事業利益 平均 営業利益 主成分による四象限別企業特性:筆者作成 25 主成分による四象限別企業特性 企業数 155 平均 ROA 5.03 平均 PBR 1.55 平均 総資本 平均 売上高 725 70,532 平均 事業利益 平均 営業利益 4,897 4,272 企業数 101 第二象限 現場対応・ネットメディア型企業第二主成分 ネットメディア型 平均 ROA 平均 PBR 8.42 2.99 平均 総資本 平均 売上高 3,643 273,125 平均 事業利益 19,592 平均 営業利益 17,455 第一象限 戦略思考・ネットメディア型企業 小資本 高PBR 低 ROA 高 ROA 第一主成分 戦略思考型 現場対応型 低PBR 大資本 従来メディア型 現場対応・従来メディア型企業 第三象限 企業数 115 平均 ROA 5.76 平均 PBR 1.46 平均 総資本 2,184 平均 売上高 217,319 平均 事業利益 15,322 戦略思考・従来メディア型企業 第四象限 平均 営業利益 13,811 企業数 108 平均 ROA 6.04 平均 PBR 1.48 平均 総資本 15,372 平均 売上高 1,614,467 平均 事業利益 102,381 主成分による四象限別企業特性:筆者作成 平均 営業利益 95,694 26 主成分による四象限のPPMとの比較 広報活動の主成分による四象限にPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)を 重ね合わせると、一つの考察が可能となる。 第二象限 現場対応・ネットメディア型企業 第一象限 戦略思考・ネットメディア型企業 第二主成分 ネットメディア型 小資本 高PBR 低ROA 高ROA 問題児 花形 第一主成分 戦略思考型 現場対応型 負け犬 低PBR 金のなる木 大資本 従来メディア型 現場対応・従来メディア型企業 第三象限 戦略思考・従来メディア型企業 第四象限 主成分による四象限別企業特性図:筆者作成 27 考察 • 小資本、低ROAの「問題児」ビジネスは、 現場対応・ネットメディア型の広報活動を行う。 • 高PBR、高ROAの「花形」ビジネスは、 戦略思考・ネットメディア型の広報活動を行う。 • 大資本の「金のなる木」ビジネスは、 戦略思考・従来メディア型の広報活動を行う。 • 低PBRの「負け犬」ビジネスは 現場対応・従来メディア型の広報活動を行う。 28 企業の広報活動と事業構想の関係 ステークホルダーとの合意形成 政府・自治体 顧客 事業構想 事業構想の共有 事業構想の 実現・評価 取引先 従業員 事業構想の浸透 株主・投資家 インフルエンサーによる世論形成 企業の広報活動と事業構想の関係図:筆者制作 29 今後の研究課題 • 4類型の事業構想が実際、評価され実績を上げてく 過程については、個別に検証しなけれならない。 • 4類型の事業構想に対して、相対する広報活動が実 際有効に機能するのか否かは、個別に検証しなけ ればならない。 • 事業構想の成否に対して、ステークホルダー間の合 意形成やインフルエンサーによる世論形成が、どの ように影響するかは、個別に検証しなければならな い。 30 参考文献 Cutlip.S.M.,Center.A.H. and Broom.G.M. (2006) Effective Public Relations, 9thed, Pearson Education. 日本広報学会監修,(2008)『体系 パブリックリレーションズ』 北見幸一,共著(2014)『広報・PR論:パブリックリレーションズの理論と実際』有斐閣 企業広報戦略研究所(2015)『戦略思考の広報マネジメント』日経BPコンサルティング 企業広報戦略研究所(2014) 「上場企業の広報力調査の結果」(2016年1月5日閲覧) http://www.dentsu-pr.co.jp/releasestopics/news_releases/20140318.html 31 The founding spirit of Rikkyo University is steeped in Christian values of providing a liberal education that nurtures every aspect of the individual. These values continue to be our guiding principle.
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