免震建物の地震観測記録について - 東京工業大学建築物理研究センター

東京工業大学 建築物理研究センター 講演会
免震建物の地震観測記録について
東北大学免震実証建屋・清水建設技術研究所
2011年9月27日
清水建設株式会社
猿田 正明
1
はじめに
震源に近く大きな地震動を受けた仙台市青葉山の東北大学免
震実証建屋と江東区の軟弱地盤に経つ免震建物の地震時の
挙動について,観測記録を分析して報告する.
震源
東北大学
1000
(cm/s2)
技術研究所 GL-1m EW方向
200
h=0.05
800
0
-200
(cm/s2)
300 東北大学 GL-1m X方向
清水建設
技術研究所
max=286cm/s2
0
震源域
-300
0
100
200
(sec) 300
加速度応答 (cm/s2)
max=152cm/s2
600
400
200
0
0.1
東北大
技術研究所
1
周期 (sec)
10
2
2009
2008
棟数
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
免震建築物計画推移(JSSI)
2009年まで
2639棟
300
250
200
150
100
50
0
年
3
東北大学 免震実証試験建屋
在来
免震
上部構造は同一の建物
場所:
仙台市青葉区東北大学工学部キャンパス内
延床面積: 各180m2
階数:
地上3階
構造:
RCラーメン構造
重量:
各255 t
免震装置: 高減衰積層ゴム×6台
(1986年完成,東北大学と清水建設の共同研究)
4
試験建屋
在来建屋
平面図
立断面図
免震建屋
5
高減衰積層ゴム
高減衰積層ゴムの形状
荷重~変形関係(N=50tf)
6
加速度記録
Acc.(gal)
1000
0
免震-Y
在来-Y
RF
-1000
1000
Acc.(gal)
免震-X
在来-X
RF(在来)(max=824.0 gal)
RF(免震)(max=244.0 gal)
3F
0
-1000
Acc.(gal)
1000
B1F (max=241.4 gal)
0
1F
-1000
0
50
100
150
200
250
免震基礎
300
0
Time(s)
250
500
750 1000
最大加速度 (cm/s2)
加速度時刻歴波形
1200
100
200
X
X
Y
Y
(5%)
(20%)
(5%)
(20%)
Base
Base
Base
Base
150
Velosity (cm/s)
800
600
400
X
X
Y
Y
(5%)
(20%)
(5%)
(20%)
100
50
0
2
4
6
加速度
8
Period (s)
10
0
X
X
Y
Y
(5%)
(20%)
(5%)
(20%)
60
40
20
200
0
Base
Base
Base
Base
80
Displacement (cm)
Base
Base
Base
Base
1000
Acceleration (cm/s 2)
加速度最大値分布
0
0
2
4
速度
6
8
Period (s)
入力の応答スペクトル
10
0
2
4
変位
6
8
10
Period (s)
7
積層ゴムの変形
0~50秒
12
-12
-12
0
X-DIS(cm)
12
12
Y-DIS(cm)
Y-DIS(cm)
Y-DIS(cm)
0
150~200秒
12
0
0
-12
-12
X-DIS(cm)
0
12
X-DIS(cm)
0
-12
-12
0
12
X-DIS(cm)
積層ゴムのオービット
30
累積変形 (m)
Y-DIS(cm)
12
0
-12
-12
100~150秒
50~100秒
12
X-dir.
Y-dir.
2D Plane
20
10
0
0
50
100
150
累積変形量
200
250
300
Time (s)
8
1次モードの固有振動数と減衰
2.0
Frequency (Hz)
1.8
X方向
Y方向
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0
50
100
150
200
250
300
Time(s)
固有振動数
0.30
X方向
0.25
Y方向
Damping
0.20
0.15
0.10
0.05
0.00
0
50
100
150
減衰定数
200
250
300
Time(s)
9
応答解析結果
屋上加速度
屋上加速度
積層ゴム変位
免震建屋(X方向)
積層ゴム変位
免震建屋(Y方向)
10
応答解析結果(加速度最大値)
在来建屋
免震建屋
11
技術のショールーム 清水建設㈱技術研究所
5つの免震構造
多機能実験棟
耐火実験
ブロック
環境実験ブ
ロック
軽量建物用免震
開発協創館
岩石実験
ブロック
警備棟
音響実験棟
多目的実験棟
(中央実験棟)
2F
歴
史建
展設
示技
室術
ビオトープ
2F
ショールーム
安全安震館
頭頂免震
(SFS21)
本 館
柱頭免震
振動実験棟
大型構造
実験棟
風洞実験棟
エネルギープ
ラント
新クリーンルーム
実験棟
マルチステップ免震
パーシャルフロート免震
サイバー
実験棟
遠心実験棟
12
清水建設 技術研究所新本館
構
造 : 鉄骨造
地上6階
延床面積 : 9,462 ㎡
竣
工 : 2003年11月
13
大架構柱頭免震構造
•
•
•
•
つなぎ梁の無い独立な6本のピアによる柱頭免震(支持層-39m)
2~6階メガストラクチャー
ピロティー空間
80×20mの室内無柱空間
観測結果
長辺方向
短辺方向
6F
4F
免震
装置
2F
柱頭
柱脚(地表)
加速度最大値分布
150
長辺方向加速度波形
柱脚(地表)
6F
100
Acc. (gal)
50
0
-50
15
-100
加速度を1/2以下に低減
免震装置(鉛入り積層ゴム)
-150
0
50
100
150
Time(s)
200
250
300
15
600
100
X
X
Y
Y
(5%)
(20%)
(5%)
(20%)
400
300
200
Base
Base
Base
Base
80
X
X
Y
Y
(5%)
(20%)
(5%)
(20%)
60
40
0
2
4
6
8
10
0
X
X
Y
Y
(5%)
(20%)
(5%)
(20%)
60
40
20
0
2
4
6
Period (s)
加速度応答スペクトル
Base
Base
Base
Base
80
20
100
0
100
Displacement (cm)
Base
Base
Base
Base
500
Velosity (cm/s)
Acceleration (cm/s 2)
入力の応答スペクトル
8
Period (s)
速度応答スペクトル
10
0
0
2
4
6
8
10
Period (s)
変位応答スペクトル
16
積層ゴムの動き
17
累積変形
0~100秒
-8
0
8
0
-8
-8
0
X方向 (cm)
150~200秒
8
Y方向 (cm)
Y方向 (cm)
0
-8
100~150秒
8
8
0
-8
-8
X方向 (cm)
0
8
X方向 (cm)
変形のオービット
10
X方向
累積変形 (m)
Y方向 (cm)
8
Y方向
2D-Plane
5
0
0
50
100
150
累積変形
200
250
300
Time (s)
18
1次モードの固有振動数と減衰
2.0
Frequency (Hz)
1.8
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0
50
100
150
200
固有振動数
250
300
Time(s)
0.40
0.35
Damping
0.30
0.25
0.20
0.15
0.10
0.05
0.00
0
50
100
150
減衰定数
200
250
300
Time(s)
19
応答解析
RF
等価せん断ばね
等価せん断棒
Y方向
X方向
6F
5F
4F
3F
2F
ピア上部
基礎(固定)
積層ゴム
並進
回転
応答解析モデル
6F
2
解析-X
観測-X
2
150 (cm/s ) 6F-X
解析 max=63.1cm/s
0
0
2
150 (cm/s ) 6F-X
100
200
(sec)
300
観測 max=63.6cm/s2
建物階
4F
-150
2F
0
-150
0
100
200
(sec)
300
1F(地表)
0
50
100 150
最大加速度(cm/s2)
観測記録との比較
20
首都圏で想定される大地震
関東地震の想定断層面
東京湾北部地震の想定断層面
21
首都圏で想定される大地震に対する免震効果
関東地震
1200
h=0.05
2
模擬波 max=219.9cm/s
0
-250
2
250 (cm/s ) 地表面-EW
50
100
(sec)
150
模擬波 max=213.9cm/s2
加速度応答 (cm/s2)
250 (cm/s ) 地表面-NS
0
1000
2
0
800
600
400
200
-250
0
50
100
(sec)
0
0.1
150
東京湾北部地震
関東NS
関東EW
1
周期 (sec)
10
1200
h=0.05
模擬波 max=300.0cm/s2
0
-350
0
2
350 (cm/s ) 地表面-EW
20
40
(sec)
60
模擬波 max=335.3cm/s2
0
加速度応答 (cm/s2)
2
350 (cm/s ) 地表面-NS
1000
800
600
400
200
-350
0
20
40
(sec)
60
0
0.1
東京湾北部NS
東京湾北部EW
1
周期 (sec)
10
技術研究所の地表面で推定された加速度波形
22
応答解析結果
2
250 (cm/s ) 6F-X
解析 max=73.6cm/s2
6F
0
関東地震-X
北部直下-X
-250
0
2
50
100
(sec)
150
模擬波 max=213.9cm/s2
50
100
(sec)
4F
建物階
250 (cm/s ) 地表面-X
0
-250
0
2
250 (cm/s ) 6F-Y
150
解析 max=78.9cm/s2
0
2F
1F(地表)
0 100 200 300 400
最大加速度(cm/s2)
-250
0
50
100
2
250 (cm/s ) 地表面-Y
(sec)
150
模擬波 max=219.9cm/s2
6F
(sec)
4F
関東地震-Y
北部直下-Y
0
0
50
100
加速度時刻歴(関東地震)
150
建物階
-250
2F
免震層の最大変位
X方向
Y方向
関東地震
19cm
16cm
東京湾北部地震
24cm
31cm
1F(地表)
0 100 200 300 400
最大加速度(cm/s2)
加速度最大値の分布
23
風洞実験棟(パーシャルフロート免震構造)
建築面積: 952 m2
延床面積: 1253 m2
建物高さ : 17.2 m(地下3.3m、地上13.9 m)
階数
: 地上2階・地下1階
構造
: RC造、一部S造
建物重さ : 2900 t
喫水
: 2.3m (建物の重さの半分を浮力で支持)
貯水槽
: 平面積 830 m2 、深さ 4.5m、貯水量 1540 t
24
パーシャルフロート免震構造
透水体を用いた減衰装置
2.3m
3.5m
2.0m
建物重量の約半分を浮力で支持
水中使用型積層ゴム
25
観測結果
RF
Y
X
RF-X
126 (cm/s )
RF-Y
250 (cm/s2)
2F-X
75 (cm/s2)
2F-Y
51 (cm/s2)
B1F-X
66 (cm/s2)
B1F-Y
52 (cm/s2)
掘割底面-X
103 (cm/s2)
掘割底面-Y
110 (cm/s2)
2
建物階
2F
B1F
最大加速度
3
2.5
観測-X
観測-Y
B1F #A-02 X
掘割底
0
100 200 300
最大加速度(cm/s2)
最大加速度の分布
B1F #A-02 Y
振 幅
2
1.5
1
0.5
0
0.1
1
伝達関数
10
Time (s)
26
安全安震館(塔頂免震)
•
•
•
•
•
•
•
建築概要:地上4階
建築面積(コア部1階)9 m2
延べ床面積214 m2 重量180tf
コア壁:鉄筋コンクリート造
外周吊りフレーム:鉄骨造
2006年竣工
免震装置:天然系積層ゴム(傾斜2段配置)
27
観測記録
観測-X
観測-Y
免震層上段-X
92 (cm/s 2)
免震層上段-Y
132 (cm/s 2)
免震層中段-X
162 (cm/s 2)
免震層中段-Y
(cm/s 2)
200
コア頂部-X
440 (cm/s 2)
コア頂部-Y
414 (cm/s 2)
オフィスRF-X
69 (cm/s 2)
オフィス RF-Y
89 (cm/s 2)
オフィス2F-X
81 (cm/s 2)
オフィス 2F-Y
65 (cm/s 2)
免震層上段
免震層中段
コア頂部
オフィス R階
オフィス 2階
1階(基礎)
0
200
400
最大加速度(cm/s2)
1.5
RF #04 X
154 (cm/s 2)
1F基礎-Y
204 (cm/s 2)
RF #04 Y
1
振 幅
1F基礎-X
0.5
最大加速度
0
0.1
1
伝達関数
10
Time (s)
28
29
超高層免震における観測記録(国交省基準法整備事業27-3)
建物概要
所在地 :東京都江東区
竣 工 :2011年2月
構 造 :RC造、免震構造(3-4階間に免震層)
基礎形式:杭基礎(場所打ちコンクリート拡底杭)
免震装置:鉛プラグ入り積層ゴム40台
天然ゴム系積層ゴム11台
用 途 :共同住宅・駐車場
敷地面積:7,380m2
建築面積:3448m2
延床面積:51,856m2
軒 高 :114m
最高高さ:123m
階 数 :地下なし、地上36 階、塔屋1階
30
超高層免震における観測記録
平面概要
立面概要
31
加速度記録
X方向
Y方向
36F
4F
免震階
1F
地表面
0
50
100
150
200
最大加速度 (cm/s2)
加速度時刻歴
加速度最大値の分布
超高層免震における観測記録
Y方向 (cm)
15
0
-15
-15
0
15
X方向 ( cm)
免震層の変位
スペクトル比
三次元免震 阿佐ヶ谷「知粋館」
34
変位最大値
35
加速度最大値
36
加速度応答スペクトル
37
ご静聴ありがとうございました
38