20160423 CLSA

地方都市「消滅」を乗り越えるCLSアプローチ
-G県Y市におけるフィールドワークに基づく実践理論の構築-
岐阜大学看護学部
○中部学院大学人間福祉学部
中部学院大学人間福祉学部
中部学院大学短期大学部
ユマニテク医療福祉大学校
小木曽 加奈子(6904)
宮嶋 淳(4662)
大藪 元康(2534)
大井 智香子(3957)
田村 禎章(7419)
フィールドワークの分担
1.歴史調査 (大藪)
2.子ども・子育て実践調査 (宮嶋)
3.主体形成と地域福祉文化「大人の地域デュー」調査 (田村・宮嶋)
4.高齢者の健康志向調査 (小木曽・宮嶋)
5.「安心」「やすらぎ」の風土化の考察 (大井・宮嶋)
結果の統合
1.どこにでも エンパワメント(地力)とヘルスプロモーション (自力)と
コミュニケーション(対話) がある
各々がどのような役割と機能を果たせているのかを確認する。
2.ものさし(指標) をもつことが必要
3.温故知新(歴史)と役割(モチベーション)=「今ここ」の「共生き」と、
「楽しい・活気・共生き・役割」に、相互作用を及ぼす
4.法人≒生命体の構成員一人ひとりの役割認識
5.求められる役割は、市民に対する生涯教育の視点。そのためには
分析・理論化(大学等) を活用する
学際的なディスカッションの到達点
1.従来の地域福祉の枠組みや理論のみでは、乗り越えることが難しい
2.新理論を提示する必要がある
3.新理論へのヒント
①ソーシャルワークにいうエコロジカル・アプローチの援用
「コミュニティ」理解へと拡大できないか。
②医療・看護・生命科学の視点を取り入れられないか
③地域を「法人(生き物)」とみなしたのだから、地域を「無機物」ではなく
「有機物(生命)」とみなして解釈するアプローチはないか
④集学的学際的な解釈を理論化、科学化できないか
新理論の提案≒既存の理論の代替性を主張
1.われわれの気づきは 地域≒生命体ととらえる というもの
2.コミュニティに生起する ゆり戻し≒アレルギー反応 と理解する
-「アレルゲン」を特定し、治療する という発想
3.地域の プロブレム(問題) は、治療、対処施策を発見していく契機であり、
取り組み自体が 「楽しさ に変化する可能性がある。
-プロブレム(問題) から ドリーム(夢) へ
4.プロブレム(問題) しか見出せないときの処方箋
- 再生医療 の投入
地域はわれわれの歴史と文化≒文明である
• 生命体には、発生の機序 がある。
• 人類は、発生の歴史 をもち、「性差」「老い」「強弱」など
特性とリスク因子をもつ。
• このメカニズムに着目して地域社会を解釈していく
地域生命学的アプローチ
Community Life Science Approach:
CLSアプローチの前提
1.「無いから創る」ではなく「チェックしなおす」から始める
2.複雑な地域の問題を分解して問題解決型で対応していこうとすれ
ばするほど、ゴールが見えなくなるジレンマに陥る
3.ジレンマを乗り越えるためには、地域社会を1つの命として捉える
4.視点の転換 (既存の知見への疑念)
①これからのコミュニティは「田舎=共同体、都会=集合体」というドミナントな
感覚を脱皮しなければならない
②地域の保守的な「ゆり戻し」-「悪しき伝統」や「家の重視」-への抵抗を
わかりやすく説明する理路が必要。
③「福祉のまちづくり」の歴史を認めつつ、「確かな果実」を検証する術が必要
CLS(地域生命学的)アプローチの背景
• ミラーの
一般生命システム理論(general Living systems theory)
一般システム理論の派生的理論
• ミラーの理解は、生命システムが開かれたシステムであり、物質やエネルギーがある
「境界」を通して出入りでき、その「境界」は階層性を有しているというものである。
• その階層とは「細胞、器官、生体、集団、組織、社会、超国家」と7つのレベルがあり、一
般化できるシステムであると考えた。
ミラーの理論の評価点
①
開放システムとして生命システムを見ている点
②
進化論的な枠組み
③
創発性(=人間の能力が社会、文化に展開していく性質)
④
生命システムの自己制御性(=ホメオスタシス)への着眼
⑤
情報理論の取り入れ
住民の英知(文化と慣習)≒生命体のホルモン
不完全なものと見えても、近隣を含めて想起す
れば、地域にはすべてが整っている。
エビデンスに基づく
地域診断≒生命体の健康診断
他の領域の知
見の活用
それが何らかのトラブルにより機能しない状態
に陥っている。
生命体
≒
適切なケアがなされないまま長く放置されれば、
地域
必然的に「消滅(死)」を迎える。
顔を合わせ
られる居場
所を創る力
したがって、巻き込まれているトラブルは何か。
これを明らかにしていくことが 「地域の延命」
において重要。
専門家も住民
も「助けられ
力」をもつ
精子
よそ
者
移住
者
専門家も
どきの力
ドリーム
(細胞核)
居場所
≒
つぶやき
に相乗り
子宮
する力
身の丈に合う
健康福祉構築
力
ママの活躍の
場を広げる力
住民相互
の教育力
ひとりの
人の健康
力
新しい生命のために欠かせない要素
「地域寿命」を長くしていくために欠かせない。
専門家や知の
拠点の活用
保守的な悪しき伝統
(抗体反応)有
図 地域生命学的アプローチの構造
「箱モノ」など、
足りないもの
はできるだけ
他の地域(生
命体)と供用
巨大で利便性の高い施設
=ハイリスクとみなす
生命体にとって「ハイリスク」なものとは何か。
外科的治療や代理懐胎、受精卵の複数注入、卵子の若返り
≒侵襲性の高い医療行為
リスクを克服していくために
⇒高度な専門性の確保
法的秩序の整備
十分なインフォームドコンセント
CLSによる見立て(例)
従前の地域の問題
生命科学的解決法
地域住民が孤立し、
「助けて」が言えな
い
地域は、そもそも歴
史と文化を持ってい
る。そして、新しい
ものも受け入れてい
る。なのに、機能し
なくなっている。
処方後
「助けて」をいえる抗体が創造され、再発を
予防できる
「自然免疫」では
充足できない
症状が出る。
新たな免疫を
獲得する。
地域の人々が、すば
らしい研修会の結果、
「やろう!」と声を
上げてくれたが、
「次の一歩」が踏み
出せない。
免疫獲得にも時間がかかるので、その期が熟
するのを見守ることからはじめる
それにより力が蓄積、定着する
基礎体温が上がるように、地域創造には「タ
イミング」が重要である。また、ホルモンの
バランスとしての「交互作用」を見届けてい
くことが必要
ツールの活用
• 「地域≒生命体」を「地域診断≒生命体の健康度診断」するとは
• 「画像診断(エコー)」のようなツールを開発・活用し、あるいは、仮に
開発が追いつかなければ、「援助してもらう」を視野におくことが求め
られる。
絆の在り様を生態学的ルールで解釈
• 生命の発生に関わる発生学の知見とつながる。
• 生命の誕生時に「男女」という性差が生じるしくみや「臓器」区分が生
じる機序は、大きく変化させられないし、人力の及ぼせない範囲でも
ある。
• ある刺激を与えることにより「行き詰まり」を打開できる範囲も広がる。
• 生殖医学におけるアルゴリズムのような、発生のための機序を明ら
かにする
• どこが行き詰れば、次が発生しないのかを明らかにしていく努力を
積み重ねてきている。
• そうした科学のあゆみを地域福祉も取り込み、有効なアルゴリズム
を描く研究をしていく必要がある
地域のイメージ を
女性化
する
• 英語に 男性名詞/女性名詞 があるように
• 新しい生命を生み出す 活 性 が維持され、
そのプロセスが 生命体のメカニズム として、
ケ ア されなければならない
新しい生命(創発・再生・伝承)を生み出す機能を地域に維持させられなければ、
新しい生命を生み出すことができない
地域とは次世代を生み出していく母体である
地域=母体≒生命体
次世代を育成する中心=「女性」であり「母親」
命を生み出し、育むのに適した生命体が「母」と呼ばれる
「地域とは、生命体であるとともに、その特性から捉えると
女性性を持つ生命体である」と認識する
5. 次世代を生み、育てる という特性に着目すれば、
地域における構成員の居場所≒子宮 と認識すると、
多くのメカニズムの説明がつく
1.
2.
3.
4.
地域における構成員の居場所≒子宮
1. 子宮の役割は、子を宿し、成長させ、社会に送り出す。
2.各々が良好な環境になっている場合、自然な形での「卵子」「精子」の受
精と着床を導ける。
①様々な機能を持つ子宮をわれわれが「地域における居場所」と見立てる
②妊娠可能期に子宮内の絨毛が成長し、受精卵の着床を迎え入れる準備が整う。そ
して時期が過ぎると月経痛という痛みを伴って剥奪が起こる。
③人間の場合は概ね28日を1周期として計算ができる。このメカニズムを「地域」の現
状に置き換えて説明していく。
移住者=よそ者≒精子
の取り込み
地域における構成員の居場所の役割は、次世代や若
者を育成し、地元で活躍できるようにして社会に送
り出すことである。この居場所を活性化させるため
「楽しい」「活気」が
生じる可能性
には、「地元で生まれ育ってきた人=卵子」と「移
住者=精子」
その「精子」をも、適切に診断する必要があろう。
精子診断も図○のように精巧な理解が進む中で成さ
「次世代」の誕生が
期待される
れるようになってきている。また、取り込みを抑制
する「抗体反応」も測定し、取り込み機能と構造そ
のものを理解する必要もある。
参考文献
•
実践につながる住民参加型地域診断の手引-地域包括ケアシステムの推進に向けて-(2014)、平成23年度老人保健事業推進費等補助金老人保健健康
増進事業、p40
•
実践につながる住民参加型地域診断の手引き〜介護予防編〜平成26 年3 月発 行公益社団法人 全国国民健康保険診療施設協議会
•
秋山美紀(2013)『コミュニティヘルスのある社会へ‐「つながり」が生み出す「いのち」の輪』岩波書店
•
大橋謙策・白澤正和編著(2014)『地域包括ケアの実践と展望-先進的地域の取組みから学ぶ-』中央法規
•
大橋謙策編著(2014)『ケアとコミュニティ』ミネルヴァ書房
•
日本地域福祉研究所編著(2015)『コミュニティソーシャルワークの理論と実践』中央法規
•
NPO法人子育てひろば全国連絡協議会編著(2015)『詳解 地域子育て支援拠点ガイドラインの手引第2版』中央法規
•
森臨太郎(2013)『持続可能な医療を創る』岩波書店
•
田村由美(2012)『新しいチーム医療』看護の科学社
•
髙橋紘士・武藤正樹編集(2013)『地域連携論−医療・看護・介護・福祉の協働と包括的支援』オーム社
•
葛西龍樹(2013)『医療大転換:日本のプライマリ・ケア革命』ちくま新書
•
本田 美和子・ロゼット マレスコッティ ・イヴ ジネスト(2014)『ユマニチュード入門』医学書院
•
井上真理子(2005)『ファミリー・バイオレンス-子ども虐待発生のメカニズム-』晃洋書房
•
羽渕一代(1998)「『親密性』の意味転換:『共依存』概念の批判的検討」『家族研究論叢』6、119-131
•
エドワード・R・カンダ/レオラ・ディラッド・ファーマン著、木原活信/中川吉晴/藤井美和監訳(2014)『ソーシャルワークにおけるスピリチュアリティとは何
か』ミネルヴァ書房
•
一般社団法人日本生殖医学会編(2014)『生殖医療の必携知識』
•
日比野由利編著(2013)『グローバル化時代における生殖技術と家族形成』日本評論社
•
仲村優一ほか『エンサイクロペディア社会福祉学』中央法規
•
『ダイレクト・ソーシャルワークハンドブック』明石書店
•
『Newton別冊 生命科学がわかる100のキーワード改訂版』(2013)
•
犬田 充(1999)「行動科学(2)-ミラー,J.G.の一般生命システム論の一評価-」『東海大学政治経済学部紀要』31、1-14
•
Miller, J.G. (1978) “Living Systems”, McGraw-Hill