マッチングのプロセスで 何が起こっているのか 消費のプロセスとS-Dロジック 1 マーケティングとマッチング • 「マーケティング」は「マッチング」 • マーケティングは需給を出会わせること • 自給経済から交換経済への移行によりマッチ ングの問題が発生 • マッチングはすでにあるものを前提とし、それ らを交換するための工夫 2 商人の担った役割 • 自らの消費を目的とせず • 他者から仕入れ • 品揃えを形成 • 個別の生産者同士では交換が成立しがたい 状況を克服 3 商人の行動 • 生産は行わなかった • 多くのものを取り揃えた • 買い手の選択肢を広げた • やがて生産にかかわり買い手の選択肢をさ らに広げた • 商人の生産への関わりはさらに広がっていく – イオンのPBは衣食のほとんどのカテゴリを網羅 – セブン&アイのPBは大手メーカと共同開発し販売 4 流通と生産の境界 • 流通と生産の分業の在り方が不分明 • ジャパネット・タカタ – ジャパネット仕様 • 交換対象に「サービス」「感動」が加わりマッ チングは多様化 • 消費者が参画して商品を創り上げる「協創」 5 G-DロジックからS-Dロジックへ • G-Dロジック – Goods Dominant Logic – 物を中心に考えるマーケティング • S-Dロジック – Service Dominant Logic – サービスを中心に考えるマーケティング 6 G-DロジックとS-Dロジックの違い (参考) G-Dロジック サービス観 価値概念 顧客像 モノとサービス S-Dロジック モノを伴うサービスと モノを伴わないサービス 企業が「価値を生産」 購買時点以降、様々な 顧客が「価値を消費」 文脈による「使用価値」 購買時点の「交換価値」 を重視 を重視 企業が作り出す価値を 消費する消費者 企業活動の対象として の客体 消費者であると同時に 価値の生産者 企業と共創する主体 7 services と service • services – 複数形で表現 – 配送サービスやアフターサービスなどを指す – 多様なサービスを個別のものと捉える表現 • service – 「商品」を通じて実現する価値について考えるた めに用いる語 8 S-Dロジックにおけるサービスとは (参考) • 他者あるいは自身のために、行為やプロセス、 パフォーマンスを通じて、専門化されたコンピ タンス(オペラント資源としてのナレッジ・スキ ル)を応用すること • オペランド資源とは組織(や人)が操作の対 象とする資源の総称 • オペラント資源とは組織(や人)に蓄積された ナレッジやスキルといった文化的な資源 9 サービス概念 • • • • • • • 生産と消費が同時に行われる同時性 生産と消費が時間の経過(プロセス)を伴う 生産者と消費者との間に相互作用が介在 プロセスという側面から「関係性」 相互作用という側面から「協創」 相互の関わりと時間経過の中で価値が実現 相互作用の過程で起こっていることが重要 10 S-Dロジックの特徴 • 消費のプロセスは製品利用のプロセス • 時間経過の中で価値が実現 • 時間・プロセス・相互作用が商品価値の実現 にとって重要 11 消費の意味と価値の実現 ジャパネット・タカタの例 • デジカメの機能は差がない • 画素数に差はなく、手ぶれ防止機能もどの機 種にも装備 • 重要なのは購入者がどのように使用するか – はめ込み画像で何を表すか – 購入者が使うシーンをイメージしやすいこと – コンテキスト(文脈)からの導きを重視 • 企業の視点とは異なる使う側の視点による 「使い勝手」を重視 12 二瓶先生の例 • 振袖姿の孫娘の写真 – 日本庭園と人物の合成写真 • 伯父が義兄と妻のスナップ – 今撮った写真をプリントし土産に 13 マッチングの主体としての消費者 • 生活協同組合 – 消費者生活協同組合法のもと相互扶助組織として運 営 – 消費者が求める品質の商品を自ら調達 • 空想無印 – 消費者の提案を公開し、欲しいものに投票してもらい 商品化を検討するというサービス。 • LEGO CUUSOO – LEGOに商品化してもらいたいものをユーザーの投票 で決めることができるウェブサービス。 14 価値の実現 • 消費は、モノやサービスを自分のモノとして処 分すること • 消費の前に購買という自分のモノにするプロ セスが必要 • モノを使用することで消費が行われる • 消費は消費を通じて価値を実現するために 行われる 15 モノの消費 • • • • • • モノの消費は購入から始まる 当初求めていたニーズで購入し 時間経過とともに使用経験が進み 徐々にニーズは広がり拡大 消費は使用コンテキストの中で行われる ニーズの拡大は使用シーンに影響を与える – 単なる写真から記念品へ変化 – 合成写真・画像の加工 16 消費と価値の実現 • 消費と購入は別 • 購入したモノの使用を通じて、モノが提供する 価値が実現 • 分かりやすさや使いやすさが重要 • 使いやすさ、分かりやすさはデザインで実現 • デザインは価値の実現を助け、高める • 使用経験の積み重ねにより価値が実現 17 価値を形にした iPod • • • • 複雑なアプリを使いやすく 最高のデジタルジュークボックス シンプルなインターフェイス 取り扱い説明書不要 • 製品が出来るだけシンプルで使いやすくなる まで複雑さを切り詰める 18 消費者の求めるものを知る方法 • グラフィックベースのコンピュータを知らない 人に、グラフィックベースのコンピュータの在 り方を聞いても分からない • フォーカスグループに何がほしいかを尋ねて も、何がほしいかわからない。 • 自分が何をほしいかなんて、それを見せられ るまで分からない。 • 顧客体験により得られるのみ 19 エイベルの「モノの消費プロセス」 考慮 探索 月/年 試し 購買 日/週 使用 再使用 廃棄 年 20 環境問題への考慮 • 製品は最終的に廃棄物となる • 廃棄物が適切に処理され、適切にリサイクル されれば、安心して廃棄できる • 環境問題に対する企業の取り組みは拡大生 産者責任(EPR)が重要 • 生産者を中心とし、商業者、消費者の参加が 不可欠 • 全体の仕組みが明確であれば消費者は安心 して製品を購入し使用できる 21 「製品」の範囲 • 顧客満足は購買時点をはるかに超えた時点 で生起する事柄で実現される • 消費者は、時間的な広がりの中に生まれる 価値を含めて商品を購入 • 製品は単なるモノとして捉えるのではなく、使 用・再使用・廃棄までを含めて様々な満足を もたらす対象として捉えるべきであり、全期間 を通じて考慮されなければならない 22 成功のカギ • 消費のプロセスの中で製品に対する満足・不 満足を再生産する • 購買時点から廃棄までのプロセスが顧客満 足にとって考慮されるべきとの認識による事 業活動が顧客に支持される成果を達成 23
© Copyright 2024 ExpyDoc