第14講

マッチングのプロセスで
何が起こっているのか
消費のプロセスとS-Dロジック
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マーケティングとマッチング
• 「マーケティング」は「マッチング」
• マーケティングは需給を出会わせること
• 自給経済から交換経済への移行によりマッチ
ングの問題が発生
• マッチングはすでにあるものを前提とし、それ
らを交換するための工夫
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商人の担った役割
• 自らの消費を目的とせず
• 他者から仕入れ
• 品揃えを形成
• 個別の生産者同士では交換が成立しがたい
状況を克服
3
商人の行動
• 生産は行わなかった
• 多くのものを取り揃えた
• 買い手の選択肢を広げた
• やがて生産にかかわり買い手の選択肢をさ
らに広げた
• 商人の生産への関わりはさらに広がっていく
– イオンのPBは衣食のほとんどのカテゴリを網羅
– セブン&アイのPBは大手メーカと共同開発し販売
4
流通と生産の境界
• 流通と生産の分業の在り方が不分明
• ジャパネット・タカタ
– ジャパネット仕様
• 交換対象に「サービス」「感動」が加わりマッ
チングは多様化
• 消費者が参画して商品を創り上げる「協創」
5
G-DロジックからS-Dロジックへ
• G-Dロジック
– Goods Dominant Logic
– 物を中心に考えるマーケティング
• S-Dロジック
– Service Dominant Logic
– サービスを中心に考えるマーケティング
6
G-DロジックとS-Dロジックの違い
(参考)
G-Dロジック
サービス観
価値概念
顧客像
モノとサービス
S-Dロジック
モノを伴うサービスと
モノを伴わないサービス
企業が「価値を生産」
購買時点以降、様々な
顧客が「価値を消費」
文脈による「使用価値」
購買時点の「交換価値」
を重視
を重視
企業が作り出す価値を
消費する消費者
企業活動の対象として
の客体
消費者であると同時に
価値の生産者
企業と共創する主体
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services と service
• services
– 複数形で表現
– 配送サービスやアフターサービスなどを指す
– 多様なサービスを個別のものと捉える表現
• service
– 「商品」を通じて実現する価値について考えるた
めに用いる語
8
S-Dロジックにおけるサービスとは
(参考)
• 他者あるいは自身のために、行為やプロセス、
パフォーマンスを通じて、専門化されたコンピ
タンス(オペラント資源としてのナレッジ・スキ
ル)を応用すること
• オペランド資源とは組織(や人)が操作の対
象とする資源の総称
• オペラント資源とは組織(や人)に蓄積された
ナレッジやスキルといった文化的な資源
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サービス概念
•
•
•
•
•
•
•
生産と消費が同時に行われる同時性
生産と消費が時間の経過(プロセス)を伴う
生産者と消費者との間に相互作用が介在
プロセスという側面から「関係性」
相互作用という側面から「協創」
相互の関わりと時間経過の中で価値が実現
相互作用の過程で起こっていることが重要
10
S-Dロジックの特徴
• 消費のプロセスは製品利用のプロセス
• 時間経過の中で価値が実現
• 時間・プロセス・相互作用が商品価値の実現
にとって重要
11
消費の意味と価値の実現
ジャパネット・タカタの例
• デジカメの機能は差がない
• 画素数に差はなく、手ぶれ防止機能もどの機
種にも装備
• 重要なのは購入者がどのように使用するか
– はめ込み画像で何を表すか
– 購入者が使うシーンをイメージしやすいこと
– コンテキスト(文脈)からの導きを重視
• 企業の視点とは異なる使う側の視点による
「使い勝手」を重視
12
二瓶先生の例
• 振袖姿の孫娘の写真
– 日本庭園と人物の合成写真
• 伯父が義兄と妻のスナップ
– 今撮った写真をプリントし土産に
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マッチングの主体としての消費者
• 生活協同組合
– 消費者生活協同組合法のもと相互扶助組織として運
営
– 消費者が求める品質の商品を自ら調達
• 空想無印
– 消費者の提案を公開し、欲しいものに投票してもらい
商品化を検討するというサービス。
• LEGO CUUSOO
– LEGOに商品化してもらいたいものをユーザーの投票
で決めることができるウェブサービス。
14
価値の実現
• 消費は、モノやサービスを自分のモノとして処
分すること
• 消費の前に購買という自分のモノにするプロ
セスが必要
• モノを使用することで消費が行われる
• 消費は消費を通じて価値を実現するために
行われる
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モノの消費
•
•
•
•
•
•
モノの消費は購入から始まる
当初求めていたニーズで購入し
時間経過とともに使用経験が進み
徐々にニーズは広がり拡大
消費は使用コンテキストの中で行われる
ニーズの拡大は使用シーンに影響を与える
– 単なる写真から記念品へ変化
– 合成写真・画像の加工
16
消費と価値の実現
• 消費と購入は別
• 購入したモノの使用を通じて、モノが提供する
価値が実現
• 分かりやすさや使いやすさが重要
• 使いやすさ、分かりやすさはデザインで実現
• デザインは価値の実現を助け、高める
• 使用経験の積み重ねにより価値が実現
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価値を形にした iPod
•
•
•
•
複雑なアプリを使いやすく
最高のデジタルジュークボックス
シンプルなインターフェイス
取り扱い説明書不要
• 製品が出来るだけシンプルで使いやすくなる
まで複雑さを切り詰める
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消費者の求めるものを知る方法
• グラフィックベースのコンピュータを知らない
人に、グラフィックベースのコンピュータの在
り方を聞いても分からない
• フォーカスグループに何がほしいかを尋ねて
も、何がほしいかわからない。
• 自分が何をほしいかなんて、それを見せられ
るまで分からない。
• 顧客体験により得られるのみ
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エイベルの「モノの消費プロセス」
考慮
探索
月/年
試し
購買
日/週
使用
再使用
廃棄
年
20
環境問題への考慮
• 製品は最終的に廃棄物となる
• 廃棄物が適切に処理され、適切にリサイクル
されれば、安心して廃棄できる
• 環境問題に対する企業の取り組みは拡大生
産者責任(EPR)が重要
• 生産者を中心とし、商業者、消費者の参加が
不可欠
• 全体の仕組みが明確であれば消費者は安心
して製品を購入し使用できる
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「製品」の範囲
• 顧客満足は購買時点をはるかに超えた時点
で生起する事柄で実現される
• 消費者は、時間的な広がりの中に生まれる
価値を含めて商品を購入
• 製品は単なるモノとして捉えるのではなく、使
用・再使用・廃棄までを含めて様々な満足を
もたらす対象として捉えるべきであり、全期間
を通じて考慮されなければならない
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成功のカギ
• 消費のプロセスの中で製品に対する満足・不
満足を再生産する
• 購買時点から廃棄までのプロセスが顧客満
足にとって考慮されるべきとの認識による事
業活動が顧客に支持される成果を達成
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