日野市ごみゼロ推進員研修会 2016年1月24日 於・ひの煉瓦ホール 多摩ごみ事情と市民にできること 東洋大学経済学部教授 山谷修作 1 講演内容 1.多摩地域のごみ事情 2.日野市の行政と市民によるごみ減量の取り組み 2-1. 生ごみ減量対策 2-2. 紙ごみ減量対策 2-3. プラスチック系ごみ対策 3.これからの取り組み課題 ・雑紙 ・生ごみ ・プラスチック ・発生抑制 2 1.多摩地域のごみ事情 ・多摩25市1町の二ツ塚埋立処分場での焼却灰・不燃残渣の処分 埋立処分場建設の際、行政・市民の間に深刻な対立と社会的摩擦 処分場の組合が各市町に搬入量を割当て、超過分に超過金賦課 2006年度より焼却灰の全量エコセメント処理 ・家庭ごみ有料化・戸別収集の進展 処分場問題を背景に、ごみ減量方策としての経済的手法への注目 ・多摩地域の特徴 市民のごみへの関心が高い 減量化や資源化が全国で最も進展 ■自治体間でごみ減量のヤードスティック競争(比較を通じた競争) 3 家庭ごみ有料化の実施状況と効果 家庭ごみ有料化を多摩30市町村のうち25市町で実施 八王子市 町田市 日野市 稲城市 東大和市 青梅市 羽村市 あきる野市 瑞穂町 福生市 東村山市 狛江市 清瀬市 調布市 小金井市 武蔵野市 昭島市 西東京市 多摩市 三鷹市 府中市 国分寺市 立川市 奥多摩町 日の出町 4 家庭ごみ有料化によるごみ減量のイメージ 資源物 発生・排出抑制 資源物 資源化 可能物 ごみ 有料化前 ごみ 有料化後 5 小さなごみ排出原単位 多摩地域と全国の比較 g/人日 1400 1200 1,146 1,131 1,115 1,089 1000 955 800 600 947 928 897 1,033 994 858 821 976 799 976 796 964 791 958 788 多摩地域 全国 400 200 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 年度 6 高いリサイクル率 多摩地域と全国の比較 % 50 36.9 37.6 37.9 37.6 37.5 36.7 36.7 35.3 40 29.4 30 27.7 20 19.6 20.3 20.3 20.5 20.8 20.6 20.5 20.6 19.0 17.6 多摩地域 全国 10 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 年度 7 多摩地域有料化の驚異的な減量効果 その背後に処分場問題とヤードスティック競争意識 住民・事業者・自治体協働による間断なき減量の取り組み ■対象自治体:家庭ごみ有料化実施21市 ■対象ごみ:収集ごみ(家庭系処分ごみ+資源) ■期間と「効果」のとり方:有料化実施翌年度から2014年度までの有料化 前年度比の平均減量率 ■減量効果:7.7%~32.0% 一桁の減量率 2市 20%台の減量率 1市 10%台の減量率 17市 30%台の減量率 1市 ■減量率の維持・拡大(翌々年度以降のデータとれる19市) 翌年度減量率<2014年度減量率 18市 翌年度減量率>2014年度減量率 1市のみ 多摩地域を県域とみれば全国のトップランナー ■2013年度に日本一の地域はどこか? 1人1日当たりごみ排出量 • トップ 沖縄県829g • 多摩地域 788g リサイクル率(エコセメ、RDF含む) • トップ 三重県 30.1% • 多摩地域 37.5% ■有料化やエコセメント化の成果が顕著 2.日野市の行政と市民によるごみ減量の 取り組み ごみ減量は進展しているか? • 2000年10月の「ごみ改革」を契機として、ごみ量は大きく減少し、 その後も減少傾向が持続 「ごみ改革」=家庭ごみ有料化、ダストボックス廃止・戸別収集 しかしー • 収集ごみ(家庭系ごみ)の量は、横ばい傾向 それでも、人口が増加しているので、1人1日当たりでは減少傾向 • リサイクル率は、多摩地域26市の中では、高い方ではない 焼却・埋立ゼロをめざすには、さらなる分別強化が必要 10 多摩のダストボックス収集 かつて多摩地域でよく見かけたダストボックス 11 日野市のごみ量推移 12 多摩26市ごみ指標ランキング(2014年度) 順位 1人1日当たり 収集ごみ量(g) 1人1日当たり 総ごみ量(g) 総資源化率(%) 1 府中市 539.7 小金井市 589.0 小金井市 52.6 2 立川市 544.4 府中市 628.7 国分寺市 45.1 3 東村山市 563.9 国分寺市 650.5 調布市 44.7 4 町田市 564.3 日野市 654.2 西東京市 43.3 5 多摩市 565.1 狛江市 658.0 東村山市 43.1 6 西東京市 569.0 東村山市 668.4 武蔵野市 40.8 7 日野市 574.2 清瀬市 670.6 府中市 40.7 8 稲城市 580.9 西東京市 671.6 三鷹市 40.3 9 小金井市 582.1 稲城市 682.0 立川市 39.9 10 国分寺市 583.7 調布市 688.3 東久留米市 38.0 日野市の総資源化率は18位(35.7%)にとどまる。引き上げには、さらなる分別強化が必要。 日野市の可燃ごみ組成(2013年度市環境白書) その他 10.8% 草木 13.0% プラスチック 19.4% 生ごみ 29.2% 紙 27.6% 14 2-1.生ごみ減量対策 • 食品ロス発生の回避 適量購入・適量調理・冷蔵庫管理の適正化・使いきり・食べきり ・水きり徹底 ・自家処理 多摩地域では、ダンボールコンポスト普及に注力する都市が多い 神奈川県湘南地域などでは、ベランダdeキエーロの普及を推進 ・一部地区での市民団体主体の分別回収・資源化 「まちの生ごみ活かし隊」による「せせらぎ農園」での取り組み 15 日野市が推進するダンボールコンポストの普及 2014 年度から1セットの販売価格500円に引き下げ→年間助成実績約300件 16 せせらぎ農園(新井地区) 17 2-2.紙ごみ減量対策 • 紙ごみ減量対策の基本はー 無駄の回避・手控え(リフューズ) 紙包装・紙バッグ辞退、紙コップ不使用など 雑紙資源化(リサイクル) 資源化可能物としての認知度向上→雑紙回収袋を家庭内に常備 ■日野市の先駆的取り組み:新聞収集頻度の削減(2013年4月から) 行政収集回数 2週に1回→4週に1回 新たに小型家電・金属類を4週に1回収集開始→不燃ごみ188t削減 18 2-3.プラスチック系ごみ対策 日野市の取り組み • 「その他プラ」のうち、発泡トレー類・プラボトルのみ→行政収集 • マイバッグ持参によるレジ袋削減 • 「容器包装お返し大作戦」 PETやトレイをお店の回収箱へ返す PETとトレイの行政収集頻度 2週に1回→4週に1回 効果:市民の意識啓発 事業者に対する商品包装簡素化への消費者意向の伝達 行政の中間処理費の削減 19 日野市の収集頻度低減化資源物の 収集量推移 (単位:kg) 年 新 度 聞 ペットボトル /トレイ 2009 1,367,929 636,690 2010 2011 2012 2013 2014 1,223,710 1,062,720 951,050 650,820 (-31.6%) 574,350 (-39.6) 494,790 (-22.3%) 423,050 (-33.6%) 434,270 (-31.8%) 451,080 (-29.2) 447,190 (-29.8%) 3.これからの取り組み課題 • 雑紙 さらなる「見える化」推進による分別徹底(経済的手法や難再生品回収など) • 生ごみ 自家処理の普及拡大とその選択肢拡充(経済的手法やキエーロ助成など) • プラスチック 全容器包装プラスチック分別収集の計画:プラスチックの有料化?→検討課題 全スーパーとのレジ袋有料化協定締結の働きかけ • 発生抑制全般 民間ルートのさらなる活用・開拓 経済的インセンティブの活用 ■市民・事業者・行政協働によるさらなる減量の取り組みに期待 21 雑紙「見える化」推進の取り組み事例 • さらなる雑紙資源化をめざした取り組みの事例 行政による雑紙回収袋の配布:国立市などで実施中 上勝町=回収拠点でポイントを付与 多摩市=回収拠点で環境物品と交換 (期間限定キャンペーン) 小金井市=難再生古紙の拠点回収 (紙コップ、マルチパック、写真、感熱紙など) 22 紙パック等回収へのポイント付与 (上勝町) 難再生古紙回収箱 (小金井市) 23 自家処理の選択肢拡充:ベランダdeキエーロ 葉山町住民が考案:木箱に黒土を入れ、生ごみを埋めるだけで消滅 2014年度助成販売件数:葉山町206、鎌倉市390、逗子市301
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