西郷さん 尺ものを釣るマル秘テクニック

【注意事項】
本日、ご説明いたしますプレゼンは自分の経験・考え方を
実釣に取り入れているものであります。
決して自画自賛している訳でも最良の方法でもありません
のでご理解下さい。
次の釣行で更に良い方法を見付け、思考が大きく変わり、
釣法・システム等の変更があるかもしれませんが、今現在
のスタイルをお伝えしていきます。
そのため、批判・中傷等は一切受け付けておりませんので
ご理解・ご協力お願いいたします。
テンカラ・キックオフ ミーティング 2016
2016.2.20
- 尺ものを釣るマル秘テクニック -
テンカラ アジャリ
テンカラ アジャリ プロフィール
・本名
: 西郷 和巳
・生年月日 : 1975年 7月 28日 40歳
・血液型 : AB型
・在籍
: 京都府京都市
・釣り歴
: バス釣り(6~20歳)
渓流餌釣り(21~28歳)、渓流ルアー(28歳)
フライフィッシング(28~29歳)
テンカラ(30歳~現在に至る)
・釣行場所 : 高原川、天川、吉野川、九頭竜川、打波川、
石徹白川、庄川本流、一色川、六厩川など
・釣行日数 : 年80日(シーズン60日、オフ管理釣り20日)
・釣りスタイル : データと直感・魚に合わせた釣り。
テンカラの仕掛けについて
竿
【シマノ】
・本流TENKARA NP 4.4m
・渓流TENKARA ZL 3.4-3.8m
レベルライン
【よつあみ】
・YGK よつあみ 与一 ULTRA Sight 1.75号、2.0号
・レオイナ66 メガフロートライン4号(マーキング)
・ラインシステム社 筏かせプレミアム 1.75号
ハリス
【東レ】
・スーパーハードプレミアムプラス
ハイグレード 3lb、4lb
テンカラの仕掛け(オーソドックス)
レベルライン : 4.0~5.5m
(1.75号、2.0号)
竿 : 3.4~4.4m
ハリス : 1.0~1.5m
3lbまたは4lb
毛鉤 : #14~10(黒・白)
毛鉤の紹介
・毛鉤のサイズは#18~10ぐらい
・色はお好みで。黄色、緑、ピンク、オレンジ
水色、紫など丸でも三角でも四角でもどの
色・形でも釣れる。
・大きな拘りは無く、大体の形をしていれば
“普通に”釣れると考えている。
本日のテーマついて
①自己分析と現状把握で釣果を変える。
・自己分析と現状把握の大切さを知る。
②釣るために養う点
・魚がどの層で捕食しているかポイントを空間として見る。
・現在の魚の活性をあいまいな表現ではなく具体的に数値化する。
③データ収集・解析でシーズナルパターンを組む
・いつ何処へ行き、どのような釣り方で尺もの確率が上がるのか?
何処の川でも盛期が1、2回はある。
④状況に応じた釣りを展開する
・数を釣りたいのであれば一度は自分のスタイルを崩してみる。
・数多く釣る釣りと楽しむ釣りは別のスタイルで。
①自己分析と現状把握で釣果を変える。
(例1 )
「蒲田川では例年と同じぐらいの釣果であるが
石徹白・峠川での釣果が下がってきた」
「じゃぁ、石徹白での釣果を上げよう」
俗に言う
「コインの裏返し」
・なぜ釣果が上がらないか問題を明確にしていない 。
現状の 理解不足
・どうやったら確実に釣果が上げられるか、 打つ手が見つからない。
結果として・・・
行きあたりばったりで釣りをしても釣果が上がらない 。
効果的な 打ち手が わからない
(例2)
高原川での釣果が下がってきた。
じゃぁ、もっと釣行の時間を長くしよう。
10時間釣行を15時間にしなきゃ。他の遊びはやめなきゃ。
・何が悪いか考えてみましょう。
もしかしたら原因は
・釣行時間でなく、釣法が良くない?場所が良くない?
・集中できていない?
だったとしたら、結果として
他の遊びをやめて釣行時間を長くしても釣果は上がらない。
【釣果の問題解決】として
(1)現状を正確に理解する
(2)問題の原因を見極める
(3)効果的な打ち手まで考え抜く
(4)実行する
の順番(STEP)で問題を解決すること
(1)現状を正確に理解する
「そもそも、どの川のどのポイントで釣れないのか?」
「釣れなかった頻度は?」などの現状を正確に把握する。
(例)
・「川の規模」「季節」「流れの速い川、遅い川」
「魚の多い川、少ない川」「その他」等といったタイプに分ける。
・「いつもミスしてしまう点」
「前回は釣れたけど、実はまぐれだったもの」
などをキーワードとして調べてみる。
(2)問題の原因を見極める
釣れなかった理由を明確にしていく。
自己分析
「釣りへ行ったが釣れなかった」
「釣り方がわからなかった」
「そもそも基本的なテクニック(アプローチ、流し方)などを
身に付けていない」
「基本的なテクニックは理解・身に付いているが応用力がない」
【問題の原因を見極めた例】
本質原因
釣りへ行っていつも釣れないのは、基本的なテクニックは
身に付いているが応用力が無かったからである。
① 過去の自分の体験や知識で理解・対応できるものかどうか?
釣果問題発生!!
(貧果・ボウズ等)
①
YES
過去と同じ方法で
釣れると安心する。
NO
無理矢理にでもストーリーを組み立てて安心しようとする。
知らず知らずのうちに憶測する
NO
(思い込み)
本人が納得
(憶測が事実として取り扱われる瞬間)
どちらも現状を正確に把握していると言えるのだろうか?
・結論を急ぐあまり自分なりに理解できないと 気がすまない習性がどこかにある 。
過去の自分の体験や知識で 理解できるものかどうか?
・人によって捉え方が異なる情報を重要視すると、 結論ありきで事実を無意識に歪曲しよ
うとする。
(3)効果的な打ち手まで考え抜く
釣果をアップさせる究極の方法は“現象”に手を打つので
はなく、“原因”に手を打つ釣法。
原因に手を打つ
原因を見つける
現象がなくなる
釣果アップ
(4)実行する
①思考テーマ
(問題意識)
②情報収集
(現状把握)
・何が起こっているのか?
④目標設定
⑤具体化
(計画化)
③分析
(原因追究)
・なぜ起こっているのか?
⑥実釣
・どうするか?
知識が力になり得るのは、知識が目標に向けた
行動プランの中で活用されたときだけである。
やり直し、繰り返し、ムダができるだけ省けるようにプロセスから
バラつく因子となるものを自分なりに洗い出す。
(1)計画~準備
計画
場所選
定
OK
天候
確認
詳細
ポイ
ント
移動
NG
OK
釣り
準備
NG
(2)実釣~釣果
釣り準備
仕掛け・道具
周辺観
察
振り
込
み
アプ
ローチ
OK
流す
NG
NG
合
わ
せ
OK
OK
やり
取り
ラン
ディ
ング
OK
反
応
OK
釣果
リリース
更に詳細なフローを作成し、y=f(x)で原因となる因子を探せば更に良くなる。
自然相手のためノイズ部分は多いがコントロール可能な個所を探しバラツキを抑える。
② 釣るために養う点
(1)魚がどの層で捕食しているかポイントを空間として見る。
現場で現状(魚)を見て現実を知る。
・釣り場でその時の魚をよく観察して、その時の魚の行動を良く知る。
“その日”の魚の行動、“その日”のパターンではダメ。
状況は刻一刻と変化するので“その時”の魚の行動パターンに
合わせる。
・一匹の魚の行動から、今現在、魚が何処に居着いているか、
どの層で捕食しているか三次元でポイントを見て魚を良く観察する。
どの上下左右どのレーンまで動いてくれるか分かれば更に
釣りやすくなる。
魚や周辺の状況をよく観察する癖をつける。
(例)
朝霧・朝露・川霧の出る時は朝活性が低い傾向にある。
蜘蛛の巣に引っかかってる虫の数、到着した川の街灯、コンビニ、自販機などは
チェックする。あくまでも指標の一つ。自分がこれから釣ろうとする一つのロジックにする。
(2)現在の魚の活性をあいまいな表現ではなく具体的に数値化する。
(例 )
高活性
・今現在の活性を数値化して自分なりの基準を作る。
数値に合った釣り方が選択できる。
1
2
連発して釣れる
5
6
活性やや
高い
9
12
水面付近の毛鉤に反応
時折ライズあり
瀬で釣れる
活性普通
自然に流す毛鉤で釣れる
活性やや
低い
10
11
ライズ多数あり
早いテンポの釣りで釣れる
7
8
瀬でライズ
活性高い
3
4
誘う釣りで釣れる
魚は見えるが捕食無し
水中で捕食してる
姿が見れる
稚魚・新子しか出ない
魚は見えるが底ベタでほとんど動かない
活性低い
いつも見える魚の姿が全く見えない
低活性
活性に影響のあるキーワードを自分なりに並べる。
今現在の魚の活性を数値化して、それに合った釣りを展開する。
(例 )
高活性
・数値化することで活性と釣り方に大きな
差が出ないようにブレを少なくする。
1
2
3
天野勝利 氏
のような釣り
早いテンポでの誘いの釣り
ドライ、水面直下での釣り
水面で止め釣り
4
水面直下で反応、短い距離を流しての釣り
5
水面直下(~水面20cm程下)普通に流しての釣り
3の3
のような釣り
縦の誘い釣り
6
7
流れよりも若干遅く毛鉤を流しての釣り
フォールでの釣り
8
9
10
タングステン、ガン玉を使った沈
める釣り(中層~底付近)
リアクションバイトの釣り
11
12
低活性
場所移動、昼寝、食事、温泉、帰宅
・効率良く釣れる魚を釣れる時に釣る。
③ データ収集・解析でシーズナルパターンを組む
一つの川に通うことにより、その川の良い時・悪い時を素早く見切る
能力が身に付く。良い時・悪い時の釣行・釣果データは残しておく。
可能な限り、その瞬間に書く・打つ・残す。
・記憶は風化する
情報量の質は・・・言葉 < 文書 < 図 < 写真 < 動画
アマゴ・ヤマメは本流でのデータ
イワナは支流でのデータ
一つの川にはシーズン中、1~2回の盛期がある。
その時、その時合いを見逃さない。
・ただし、データは明日の釣りを保証するものではない。
④ 状況に応じた釣りを展開する
低・高水温に強い川、濁り・増水しにくい川、水の引きが早い川など
川の特徴を良く知っておく。
現在の状況に合った川に行くことで釣果の下振れを少なくする。
慣れない内、知らない内は良く知ってる方に聞く・教えていただく。
翌日行く釣り場の天気
予報は必ずチェック
テンカラの仕掛け(沈める釣り)
Ⅰ レベルライン : 1.0m(2号)
マーキングライン : 黄色のみ10~20cm(4号)
: 発砲マーカー 3カ所
Ⅱ レベルライン : 2.5~3m(1.75号)
竿 : 4.4m
ハリス : 50~1.5m
3lbまたは4lb
毛鉤 : #18~12(黒・白) + タングステン
ガン玉
銅線
沈めて釣るテンカラに適した毛鉤
タングステンビーズ(2.0~3.3mm)又はガン玉、銅線
【特徴】
・普通毛鉤では攻められないポイントを流せる。
・攻略できる範囲が広がり、釣果向上が図れる。
・スレた魚、低活性時、増水時に特に有効。
赤 : 毛鉤を流す線の釣り。
青 : 毛鉤を置く(見せる)ような点の釣り。
川
【立ち位置】
ポイントに対して
下流
立ち
位置
【立ち位置】
ポイントに対して
横付近
【立ち位置】
ポイントに対して
上流
・立ち位置に対して
ポイントの攻め方を
変える。
・攻めるポイントに
対して立ち位置を
変える。
基本はこの攻め方の
繰り返し。
・流れの早いポイントは
遅アワセ。
・緩いポイントは早合わせ。
・アワセのタイミングは
その時の魚にタイミングに
合わせる。
実線 : 振り込み位置
点線 : 毛鉤の動き
【立ち位置】
ポイントに対して
下流
白字 : 普通毛鉤の釣り
赤字 : 沈める釣り
黄字 : 両方使用
【立ち位置】
ポイントに対して
横付近
2
今の状況に
合った釣りを
展開
1
①
・自然に流す
・縦の誘い(リフト&フォール)
②
・流れよりも少し遅く流す
・流れよりも少し遅い縦の誘い
(リフト&フォール)
(ラインを張った状態で微動・
シェイク)
3
③
・20~30cm流して誘い
毛鉤でWを描くようなイメージ
【立ち位置】
ポイントに対して
上流
4
5
1
2
3
④
・自然に流して水面で毛鉤を停止。
・20~30cm沈めて流し、ラインを張った
状態で毛鉤を水面近くへ浮上させる
ヒット多い
⑤
・横~下流に向いて毛鉤を打ち
誘いながら上流方向へ引っ張ってくる。
ポイントは空間。魚の動き・反応を見て三次元で釣る。
状態を見て今の魚に“釣り方を合わせる”。
決して自分の釣り(スタイル)を魚に押し付けない。
魚を優先に考え、意識しながら釣る。
立ち
位置
立ち
位置
【立ち位置】
ポイントに対して
上流
立ち
位置
【立ち位置】
ポイントに対して
上流
立ち
位置
【立ち位置】
ポイントに
対して横付近
【立ち位置】
ポイントに
対して下流
どの攻め方で魚が反応するか
かかるか“確認しながら”釣る。
【立ち位置】
ポイントに
対して横付近
後は“活性を数値化した釣りに”当
てはめて大きなブレが出ないよう
に“その時その時の状況”に合わ
せ、修正しながら釣って行く。
総括
①テクニック向上(振り込み、流し、糸フケなど)ばかりに目が
行くと現状把握が疎かになる。
自己分析を行い現在の自分にできる範囲の事を行う。
背伸び、無理して一歩先へ踏み出すのはその後。
まずは基本を忠実に(焦らずゆっくり階段を上がるイメー
ジで)。
②ポイント=空間として立体的に釣ると釣果は必ずアップ。
(オーソドックスなテンカラ毛鉤で釣れる魚の数は沈めて
釣る魚の約40%が限度)。
③データ収集・解析を行い、シーズナルパターンを組むこと
でより魚が釣りやすくなる。いつの季節でも数・尺ものに
出会えるチャンスが増える。
・数釣る釣りと楽しむ釣りは別のスタイルで。
総括
・楽しむ釣りと、釣れる釣りを切り分ける。
釣果後回しで、テンカラ本来の釣法を楽しむのであれば
スタンダードなテンカラで。
⇒ これぞ「テンカラ」という従来の釣りであれば攻めれる
ポイント、やれる事は大幅に制限される。
(川幅の狭い・浅い川であれば問題は少なくなるが
川幅が広い、水深がある川では更に制限がかかる)。
⇒ 制限が掛かる=釣果が大きく変わる。
竹竿、馬素、伝承毛鉤など、拘りを持って制約される
釣りはゲーム性が高く面白い。一匹の価値を上げる釣り。
テンカラは自分がやって楽しいと思う釣り方
面白いと思う釣り方で。
完
ご清聴下さり、誠にありがとうございました。
①自己分析と現状把握で釣果を変える。
1.今、起こっている問題を大切にする。
今、釣り場で起こってる一つ一つの兆候は問題解決の糸口。
それが小さなものであっても無視しないこと。
(例 : 魚は見えるが毛鉤を追わない。出るが掛からない。
他の人は釣ってるが自分は釣れてない。など)
一つ一つの問題を解決するため釣果に繋がる課題を考える。
2.現状を疑うこと
①今、行ってる釣りが一番効果的か?
⇒もっと良い方法があるはず。
②同じポイントを繰り返し流すことが無意味では?
⇒無駄のない釣り方があるはず。
③今の釣り方は釣れない!(不満)
⇒現状の釣り方以外の良い方法を考えよう。
3.現状をよく観察すること。
①そこにはどんな問題が起きているか、自分で問題を意識する。
②それに対して自分は何をすべきか。
「こうしたら良くなる、こうしたら釣れる」 : 自ら進んで試す
⇒ 有効な進め方。を考え抜くこと。
その一つ一つが釣果向上の課題である。
問題をいかに認識するか?(=問題があることに気付くこと)
・短期的に現れる変化から問題を知る。
・わずかに現れてる兆候から問題を見付ける。
・事前に問題の発生を予測(予想)する。
雑記
• 今まで上手く行っていたが最近釣果が悪くなった(プロセスで
何が変化したのか原因究明)。
• 技術、道具、環境で釣果に影響を及ぼすプロセスの原因究明。
• あいまいな官能釣行の標準化。
• 釣果=結果 次の釣行に生かせるためのデータ、プロセス作り
を大切に。
• 今現在、尺ものは必ず釣れるものではありません。今日の釣り
方では自然界のノイズコントロールが難しいため、その日の状
況に左右されますのでご了承下さい。
• ロングラインを使わない理由。糸フケでのアタリが取りにくい。
又は取れない。水面を意識している活性の高い魚であれば良
いが自分のスタイルに合わせて釣れる魚は少ない。そのため、
レベルライン5m程度で手前の魚を数多く、効率良くアワセて取
る方が数もサイズも向上する。5mのレベルラインを用いても糸
フケを5割取れる人は皆無。トップレベルの人で3割弱。