第50回日本理学療法学術大会 「都道府県理学療法士等の活動報告」 (公社)神奈川県理学療法士会 ライフサポート部 10年の活動報告 目的 (公社)神奈川県理学療法士会ライフサポート部 は、人生において遭遇する様々なライフイベン トの中、理学療法士としての就業継続・復職支 援していくことを目的として活動をしてきた。 平成17年からの10年の活動と今後の課題などに ついて報告する。 活動経緯 平成16年当時の女性理事が、20歳代では男女比半数以上の女性会員が30歳 以降に激減する現状に注目し、女性会員の就労継続が困難になる原因を探 るべく、平成17年度に「女性会員支援事業委員会」として発足した。 その要因として出産・育児による離職が挙ったが、アンケート調査、施 設・個人への取材調査等を重ねていくうちに女性だけでなく、育児・介 護・家族の看護や介護・自身の病気やけがなどの療養・職場環境など、就 業継続を困難にする要因は多岐にわたり、年齢・性別に関係なく、支援の 必要があることが分かった。 平成19年「会員ライフサポート委員会」に改称し、平成20年には「会員ラ イフサポート部」となり、平成27年「ライフサポート部」に改称して活動 を継続している。 活動内容① アンケート・取材調査、報告書作成 <アンケート・取材調査> 「女性会員の職場環境や離職」「男性育児休業取得者体験」 「男性育児休業取得者への育児・仕事の両立」「パパPTの育児」 「理学療法部門責任者へ出産・育児と仕事の両立」 「育児と仕事の両立ができる環境の取り組み」「家族介護」 「介護と就業継続」「自宅会員・休会会員の就業」 「協会員へ託児室設置」「士会へ就業継続支援」など <報告書> H17年度「女性会員の職場環境や離職に関する実態調査報告書」 H22年度「理学療法部門の責任者を対象とした出産・育児と仕事の両立に 関する調査報告書」 活動内容② 学術大会などでの発表 シンポジウム・講演会などの企画・運営 <発表> H18~21年度 関東甲信越ブロック学会:4演題 H22~27年度 日本理学療法学術大会:10演題 <企画・運営> H18年度 関東甲信越ブロック学会:シンポジウム H19・20年度 神奈川県理学療法士会学会:講演会 H26年度 日本理学療法学術大会:シンポジウム・講演会 H27年度 日本理学療法学術大会:シンポジウム 活動内容③ ニュース・ホームページでの情報掲載 神奈川県理学療法士会ニュース ホームページでの情報掲載 ・ライフサポート部活動報告 ・体験談 ・関連法規 ・研修会などの案内 など 活動内容④ 託児室付き研修会及び交流会の企画・運営 H21年度より毎年開催 <研修会テーマ> 「高齢者の車いすシーティング」「セルフコーチング」「糖尿病」 「脳画像のみかた」「生活期に関わるPTのためのリスク管理」 <交流会テーマ> 「働き続けられるためには」「生活と仕事の両立について」 「日頃頑張っていること、工夫していること」 「職場で困っていること」 など 活動内容⑤ 復職支援研修の企画・運営 H21年度 協会のリカレント教育に関する試行的事業を受託 H22.1 H22年度より 回復期病院にて研修(5日間) 神奈川県理学療法士会にて企画・運営 H25.2~3 維持期施設にて研修(5日間) H26.9 急性期病院にて研修(5日間) H27.4 回復期病院・維持期施設にて研修(3日間) 研修施設を増やし、研修期間や研修内容などの概要を変更して 研修者の希望に合わせられるようにしている。 活動内容⑥ 研修会などへの託児室設置・運営支援 ・ライフサポート部主催研修会 H21年度の研修会時は、研修場所の一部で部員が託児を実施した。 H22年度からは予算を計上し、業者による託児とした。 ・他の研修会 神奈川県理学療法士学会から生涯学習部や介護保険部主催の研修 会へと託児室設置の研修会を少しづつ増やしている。 考察 活動は女性会員を対象とした「職場環境や離職に関する実 態調査」から始まり、男性育児休業取得者・理学療法部門 責任者・パパPT・家族介護者・休会者・自宅会員などへ調 査を実施してきた。 復職支援も兼ねた研修会や意見交換のできる交流会、復職 支援研修などの活動を継続してきた中で、就労人生におけ る様々なイベントにより、様々な働き方があり、両立でき る職場環境というのは、性別や年齢に関係なく、様々な人 の様々な出来事に対応できる働きやすい職場環境を考える ことに繋がることが分かった。 しかし、情報の必要な人になかなか伝わらない現状も見え、 情報提供方法も更に検討していく必要があると思われる。 結論 就業が継続できる働きやすい環境を支援する ことで、理学療法士の地位や質の向上にもつ ながると思われる。 今後も会員の就業継続をサポートするととも に、休職・離職した会員に対しての復職支援 を強化し、会員がPTとして働き続けられる 環境支援のため、活動を継続していく。
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