ロシア国立グラーグ歴史博物館へ寄贈 2015年8月

ロシア国立グラ-グ歴史博物館へ寄贈
-勝野金政関連文書史料ロシア連邦保安局中央文書館
ロシア国立現代史資料センタ-
ロシア国立社会政治史文書館
上記機関で保管されている文書史料約40件を2015.8月正式手続きを取り交わし寄贈しました。
The State museum of GULAG history
ロシア国立グラ-グ歴史博物館について
解説・訳 エカテリ-ナ・コルコ-バ
・国立グラーグ歴史博物館は、革命家の父親が共産党粛清で1938年に
銃殺された後自ら「国民の敵の息子」の罪で収容所を体験した歴史
家、社会・政治評論家であったA.V.アントノフ=オフセエンコ
(1920-2013)がモスクワ政府の協力を得て2001年に設立しました。
(http://www.gmig.ru/o-muzee) 2004年から展示がオープンされ
2015年、1991年にロシア政府が認定した「政治弾圧犠牲者追悼日」
の10月30日にそれまでの4倍もの広さの3367平方メートル、大々的
に改築された20紀初頭の4階建ての建物に引越しました。
• [モスクワの文化にとって意味の深い出来事]
(http://www.vesti.ru/doc.html?id=2086457) と国立テレビポー
タルサイトでも高く評価されたリニューアル・オープンをする際に
開催された特別展示に勝野金政の一部文書(名誉回復証明書など)
も展示されたという報告を親族は博物館側から受けています。
• 設立当時ロシアを含む旧ソ連圏には、ソ連時代の弾圧の記憶を残す
べくすでに多くの機関が開設されてきましたが、グラーグ、すなわ
ちソ連国の弾圧のために使われた強制労働収容所・矯正収容所のシ
ステムが完全に統一した現象として博物館とういう形で扱われるの
がモスクワの国立グラーグ歴史博物館が初めてでした。
• グラーグ歴史博物館はロシア大統領人権理事会、「メモリアル」国
際歴史・啓蒙・人権保護・慈善協会とともに立案に参加した「政治
弾圧犠牲者の記憶の永久保存における国策概念」2015年8月15日に
ロシア連邦政府議長(通称ロシア首相)ドミトリー・メドヴェー
ジェフが確定しました。「概念」の中では、国の文化空間の統一、
国家と民間社会の共同事業推進、世代間結束強化、青年の愛国教育
などが目的として掲げられ、グラーグ博物館の大事な役割が伺われ
ます。
(http://government.ru/media/files/AR59E5d7yB9LddoPH2RSlhQpSC
QDERdP.pdf)
• コレクションは重要な国家機関だったグラーグの政治的、経済的な
役割と、その起源、拡張と後退を明かにし、様々な文書、旧グラー
グ囚人のグラーグに関する手紙、思い出、所持品の他、グラーグを
経験した画家、及び同テーマを扱う現代芸術家の作品を含めていま
す。
• 2014年に博物館の収蔵品に加わったのは1962年から収容所経験者の
体験を保存する運動に関わる、Возвращение (「帰
還」)モスクワの歴史・文学協会会長、言語学者のS.S.ヴィレンス
キイの政府文書、原稿、手紙、絵、写真、ビデオ、ポスター、本な
どなどから成り立つ、ロシアでグラーグに関する数少ない大規模な
アーカイブです。
2012年に館長になったR.V.ロマノフは新住所にリニューアル・オープンが
決まった2012年の「新官僚・モスクワの文化、建築、工業政策を統治する7
人の若者」というインタビューの中で「(ロシアの)社会ではスターリン
が天才的なマネージャーだったという意見もあれば、悪の体現だった、と
いう意見もあります。(弾圧問題に関して)社会は割れています。人々は
このテーマでコミュニケーションができる場が必要です。」
(http://gorod.afisha.ru/archive/who-runs-moscow-young-officials/)
と、ロシアの20世紀史が共通で明瞭な解釈を未だに受けてないことを認め
ながら、グラーグの博物館のHPでは[その主題、使命、沿革によりグラーグ
博物館は記憶(良心)の博物館のカテゴリーに属する]と博物館の目的に歴
史的な記憶の保存を掲げ(http://gmig.ru/view/page/22)[一義的でない国
の歴史を人々、第一に若い世代に積極的な知的で尚且つ道徳的な理解を促
すとし、過去に留まらず未来の課題を認識すること]を目指しているといい
ます。[静的な展示だけがある博物館ではなくて、文化、教育、研究セン
ターも備えている博物館が必要だ。(グラーグという)テーマは自覚と認
識を要する。]
現在博物館には展示室のほかに、映画館、アーカイブ倉庫、図書館、研究
センター、出版センターとボランティアセンターなどがあり、さらに博物
館の周りのスペースは収容所から持ち運んだ植物や岩などで作り上げる、
夜間も自由に出入りできる「記憶の庭」の建設が予定されています。常設
展示のほかに、グラーグ歴史の研究発表やグラーグに関する問題などを取
り扱う講演会、集い、演劇、コンサート、上映などが定期的に行われてい
ます。(紙面の都合上抜粋させていただきました)