こちら - 佐賀大学医学部泌尿器科

手術支援ロボット
da Vinci のご紹介
~前立腺癌の最新治療~
佐賀大学医学部
泌尿器科
ダヴィンチとは?
ダヴィンチとはアメリカで開発された手術を支援するロボットです。
日本では2009年より医療機器として認可を受け、2012年4月より、前立腺癌に対する手術の
み、保険医療として認められています。
ロボットといっても、機械が勝手に操作をするわけではありません。3 本のアームを術者が自
由に操作して手術を行います。様々な形状の鉗子は人間の手以上の可動域があります。これ
により、従来の開腹手術よりも正確で、緻密な手術ができるという特徴があります。
ダヴィンチの構造
ダヴィンチサージカルシステムは、
3つの部分から構成されます。
1
2
3
1 サージョンコンソール
術者が扱う操作部
2 ペイシェントカート
手術器具が付属する患者
さん側の装置
3 ビジョンカート
コンピュータ制御システム
とモニター
ダヴィンチ手術のメリット
① 出血量が少ない
1回の出血量は20-400ml程度です。
輸血した症例はありません。
② 傷が小さく、痛みが少ない
傷は、1㎝程度の傷が5か所と、
前立腺を摘出する傷(3㎝)が1か所です。
③ 回復が早い
④ QOLへの配慮
翌日から、歩行・食事が可能です。
癌の摘出は確実に行いつつ、
現在は10日前後の入院ですが、ご希望 排尿に関わる尿道括約筋や男性機能に
があれば、短縮することも可能です。 かかわる勃起神経の温存に努めています。
ダヴィンチによる前立腺手術について
・手術の対象となる癌・・・・・・・すべての限局性前立腺癌
・考慮してもよい癌 ・・・・・・・局所進行性前立腺癌
・手術に向かない癌 ・・・・・・・遠隔転移を有する前立腺癌
★ダヴィンチ手術を受けられない患者様★
心肺機能の低下が高度の方
未治療の緑内障のある方
大きな開腹手術の既往が複数回ある方
入院後の流れ
手術2日前
•入院です。
•オリエンテーションがあります。
手術1日前
•麻酔科の先生の診察があります。
•下剤を飲んで、おなかを整えます。
手術日
•ベッド上で療養します。
•原則として、飲食禁止です。
術後1日目
•ドレーンや点滴を抜きます。
•歩行可能です。
術後6日目
術後7日目
•尿道カテーテルを抜去します。
•この日以降、退院可能です。
術者からのメッセージ
当院では、前立腺癌に対する前立腺全摘出術は、2012年5月より
ダヴィンチ手術を導入し、累計65件(※2015年3月現在)経験してい
ます。前立腺全摘出術は、従来の開腹手術では難易度の高い手術
でしたが、ダヴィンチでは、3次元の拡大画像を見ながら手術する
ため、前立腺癌の確実な摘出が可能となりました。
近年では、癌を摘出するだけではなく、患者さんのQOL(生活の
質)も向上させることが同時に求められております。当科では手術
前後の排尿状態の変化にも着目し、個別に膀胱機能評価を行い、
排尿障害の改善に努めています。ダヴィンチ手術では、尿道括約
筋を十分に残すことができるようになり、術後の尿失禁が低減され
ました。さらに、勃起神経をより精密に温存することにより、勃起不
全の予防に努めることも行っています。
佐賀大学泌尿器科 野口満