指導医講習会 - 心臓血管外科専門医認定機構

【新専門医制度における指導医、
修練指導責任者の役割】
―指導医として知っておいてほしいことー
心臓血管外科専門医認定機構代表幹事
橋本和弘
指導医講習会
新制度への呼称変更
修練医
専攻医に変更
専門医
専門医
専門医(更新歴あり)
施設責任者
(修練連携施設)
施設責任者
(修練基幹施設)
専門研修指導医に変更
修練施設指導責任者に変更
(修練指導者資格)
専門研修プログラム統括責任者に変更
(修練指導者資格)
新制度への呼称変更
修練医
専攻医に変更
専門医
専門医
専門医(更新歴あり)
施設責任者
(修練連携施設)
施設責任者
(修練基幹施設)
専門修練指導医に変更
修練施設指導責任者に変更
(修練指導者資格)
専門研修プログラム統括責任者に変更
(修練指導者資格)
A大学外科専門研修プログラム
消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、乳腺外科の3領域以上をカバー
統括プログラム責任者
統括副プログラム責任者
統心
括臓
プ血
ロ管
グ外
ラ 科 3年
ムプ
責ロ
任グ
者ラ
ム
(
心領
臓域
血別
管責
外任
科者
)
(
呼領
吸域
器別
外責
科任
)者
(
消領
化域
器別
外責
科任
)者
外科専門研修
プログラム
サブ領域とオーバーラップ
した研修
心臓血管外科の施設長は
統括(副)プログラム責任者
または領域別責任者として参加
(
小領
児域
外別
科責
)任
者
外科専門医育成
専門研修指導医とは
当該領域における十分な診療経験を有し、教育・指導能力を
有する医師
日本専門医機構よりの専門研修指導医要件の原則
1.
2.
3.
4.
5.
新旧どちらかの制度の専門医であり、その資格を一度以上更新していること
各領域にて十分な経験を積んでいること(その内容に関しては各領域が決定)
教育と指導について能力があること
教育のために一定の時間を割けること
指導医自身が論文・学会発表などで一定の実績を示し、若手の研究指導力が
あること
*各領域にて決定
専門研修指導医(外科専門医制度)
《基準》1回以上の更新を経た外科専門医,又
はこれと同等と考えられる外科専門医
(外科領域研修委員会の承認を要する).
注1.専門研修指導医は「役割」で、「資格」
である日本外科学会指導医と別の名称である
注2.移行期間中は日本外科学会外科専門医
心臓血管外科専門医制度においても
心臓血管外科専門医を1回以上更新した
専門医を専門研修指導医と定義する
注:心臓血管外科専門研修指導医は当然、外科専門研修指導医
となる。
いわゆる屋根瓦方式での専攻医の指導
に当たる役目を担う
専門研修指導医の役割
(教育・指導・評価など)
①専門研修指導医は、専門研修基幹施設あるいは専門研修連携施設において、専攻医が
偏りなく到達(経験)目標を達成できるように,専門研修プログラムに沿って専攻医の指導を
行う.
②専門研修指導医は、口頭または実技で専攻医に形成的評価を行い、一定の期間毎(3か
月~1年毎 プログラムに明記)、研修マニュアルにもとづく研修目標達成度評価を行い,研修
プログラム管理委員会に報告する.
③専門研修指導医は、専攻医がNCDに登録した手術症例の承認を行う.
④専門研修指導医は、専攻医のメンタルヘルスにも配慮する.
⑤専門研修指導医は、連携施設において専門研修プログラム連携施設担当者もしくは委員
会のメンバーと て専攻医の研修を管理する.
⑥専門研修指導医は、日本専門医機構または日本外科学会が提供する指導医講習会、FD
講習会などに参加し、 指導医として必要な教育を受ける.
+ 心臓血管外科専門医認定機構も認定する
皆さんは治療する前に患者の話を聞き、
観察、診断しその後に治療を行います
修練医に対しても
聞く
見る
注意する
聴く
視る
指導する
一定の評価基準で判断し、その判断には
双方のフィードバックが重要
新専門医制度での修練指導医像
指導医の質が専門研修
医療の質を決定する
十分な指導医層で『誰もが後進の指導』を
専攻医3名に1指導医という原則
どの地域にも指導医
特殊な資格ではなく、『役割』に
専門医は必然的に指導医として働く
『診療実績』と『教育・指導力』が重要
専門医の更新1回
講習会などのFD
日本専門医機構資料より
ii)専門医共通講習
最小5単位、最大10単位
(このうち3単位は必修講習)
医療安全講習会(必修項目:5年間に1単位以上)
感染対策講習会(必修項目:5年間に1単位以上)
医療倫理講習会(必修項目:5年間に1単位以上)
指導医講習会
保険医療講習会
必修項目に入っていない!
臨床研究/臨床試験講習会
医療事故検討会
医療法制講習会
指導医講習として指定さ
れたものであれば認め必
須とする(5年で1回)
医療経済(保険医療など)に関する講習会 など
修練施設の責任者
となる資格は修練指導医資格とは別!
修練指導責任者資格
修練指導責任者(外科専門医制度)
《基準》外科領域における十分な診療経験と教育指導能力を有し,
所定の外科診療および外科研究に従事した期間,業績,および
研究実績を満たす外科医.具体的に以下のすべての基準を満
たす必要がある.
(1) 現行日本外科学会指導医(添付:日本外科学会指導医基
準).
(2) いずれかの外科関連サブスペシャルティ領域(消化器外科,
心臓血管外科,呼吸器外科,小児外科)またはそれに準ずる外科
関連領域専門医資格を一回以上更新した者.
(3) 医学博士号またはピアレビューを受けた英語による筆頭原
著論文3編を有する.
《役割・権限》(1) 専門研修基幹施設における研修プログラム管
理委員会の責任者で、プログラムの作成、運営、管理を担う.
(2) 専門研修プログラムの管理・遂行や専攻医の採用・修了判
定につき最終責任を負う.
心臓血管外科領域においては
既に認定されている
心臓血管外科修練指導者資格を適応する
基準として
業績
専門医更新あり
高難度手術経験
BC手術100例(C>50例)等
心臓血管外科修練指導者資格を有すれば
外科専門医制度の修練指導責任者資格を
カバー出来る
基幹施設における外科プログラム統括責任者
としても認められる
修練指導資格認定者の専門医更新
生涯経験として難易度B,C手術100例以上
(内C難度30例以上)が修練指導者資格
手術経験5年間で100例
手術難易度表(A-5&A-6の疾患の扱い)
A-5
静脈血栓除去術
下肢静脈瘤
末梢静脈血管内治療
下大静脈フィルター
A-6
血管アクセス
交感神経切除・焼灼術
虚血肢大切断術
腋窩動脈捕捉症候群筋切離術
外膜脳腫手術
静脈グラフト採取
動脈グラフト採取
IABP,PCPS,ECMO外科的処置
上記各手術は症例数x0.1でカウントする
指導
加算
 指導的助手(上記以外)は指導加算として1例分を追加し
2症例としてカウントできる(修練施設の責任者の場合?)
 ただし、上記手術の指導的助手は症例数x0.2とする
専門医更新2・3回目の要件
(専門研修指導医)
手術経験5年間で100例
手術難易度表(A-5&A-6の疾患の扱い)
A-5
A-6
静脈血栓除去術
下肢静脈瘤
末梢静脈血管内治療
下大静脈フィルター
血管アクセス
交感神経切除・焼灼術
虚血肢大切断術
腋窩動脈捕捉症候群筋切離術
外膜脳腫手術
静脈グラフト採取
動脈グラフト採取
IABP,PCPS,ECMO外科的処置
上記各手術は症例数x0.1でカウントする
 これまで同様指導的助手を術者経験として認める
 ただし、上記手術の指導的助手は症例数x0.1とする
心臓血管外科領域においての基準:
修練プログラム統括責任者(修練基幹施設)
修練指導責任者
(修練連携施設)
修練指導者資格が必要
現在の取得者数:約1000名
施設要件
修練基幹施設:2名以上の在籍
修練連携病院:1名以上の在籍
外科学会修練基幹施設には専門医(外科)3名以上
連携施設基準
外科専門医制度 vs. 心臓血管外科専門医制度
外科専門医制度:
専門研修指導医(外科専門医更
新を1回以上経た外科専門医)が
最低1人以上常勤している
心臓血管外科専門医制度
修練指導者資格を有する者が1名以上常勤
よりハードルが高い!
プログラムの管理と運営
プログラム管理委員会
(1) 専門研修プログラム統括責任者,専門研修プログ
ラム連携施設担当者等で構成される.
(2) 専門研修プログラムの作成,管理,改善などを行う.
(3) 専攻医の研修全般の管理を行う.
(4) 専門研修プログラム修了時に専攻医の修了判定の
審査を行い,専門研修プログラム統括責任者が修
了判定を行う.
(5) 専攻医および専門研修指導医から提出される意見
を参照し,専門研修プログラムや専門研修体制の
継続的改良を行う.
(6) 6か月~1年毎に開催する.
研修病院間の連携
教育・研修・研究・修練実績を持つ教育病院
オリエンテーション
研修実績管理
心
臓
血
管
外
科
修
練
登
録
・
開
始
修練基幹施設
研修プログラム管理委員会
小児病院
連携(協力)施設
研修実績報告
派
遣
成人心臓・大血管病院 連携施設
研修実績報告
血管専門病院
連携施設
研修実績報告
修練基幹施設で6か月以上の修練を求める
カ
リ
キ
ュ
ラ
ム
に
従
っ
た
プ
ロ
グ
ラ
ム
の
実
施
・
専
門
医
取
得
指導医マニュアルの作成と実行
専門研修の評価
(自己評価と指導医等による評価)
(1)フィードバック(形成的評価)
専攻医の研修内容の改善を目的として,随時行われる評価である.
①専攻医は研修状況を研修マニュアル(手帳)で確認と記録を行い,経験した手術症例をNCDに登録する.
②専門研修指導医が形成的評価(フィードバック)を行い,NCDの承認を行う.
③研修施設の移動やローテーションなど一定の期間毎(3か月~1年毎 プログラムに明記)に,研修マニ
ュアルにもとづく研修目標達成度評価を行い,研修プログラム管理委員会に報告する.
④研修プログラム管理委員会は中間報告と年次報告の内容を精査し,次年度の研修指導に反映させる.
(2)研修修了判定(総括的評価)
①知識,病態の理解度,手術・処置手技の到達度,学術業績,プロフェッショナルとしての態度と社会性な
どを評価する.研修プログラム管理委員会に保管されている年度ごとに行われる形成的評価記録も参考に
する.
②専門研修プログラム管理委員会で総括的評価を行い、満足すべき研修を行いえた者に対して専門研修プ
ログラム統括責任者が外科専門医研修修了証を交付する.
③この際、多職種(看護師など)のメディカルスタッフの意見も取り入れて評価を行う.
付記
専門研修プログラムの評価と改善
(1)専攻医による指導医および研修プログラムに対する評価
①毎年,専攻医は「専攻医による評価(指導医)」に指導医の評価を記載して研修プロ
グラム統括責任者に提出する.
②毎年,専攻医は「専攻医による評価(専門研修プログラム)」に専門研修プログラム
の評価を記載して研修プログラム統括責任者に提出する.
③研修プログラム統括責任者は指導医や専門研修プログラムに対する評価で専攻医
が不利益を被ることがないことを保証する.
(2)専攻医等からの評価(フィードバック)をシステム改善につなげるプロセス
①専門研修指導医および専門研修プログラムの評価を記載した「専攻医による評価」
は研修プログラム統括責任者に提出する.
②研修プログラム統括責任者は報告内容を匿名化し,研修プログラム管理委員会で
審議を行い,プログラムの改善を行う.些細な問題はプログラム内で処理するが,重大
な問題に関しては外科研修委員会にその評価を委託する.
③研修プログラム管理委員会では専攻医からの指導医評価報告をもとに指導医の教
育能力を向上させる支援を行う.
④専攻医は研修プログラム統括責任者または研修プログラム委員会に報告できない
事例(パワーハラスメントなど)について、外科領域研修委員会に直接申し出ることが
できる.