主要な結果(続き)

欧州胸部腫瘍プラットフォームと
共同で作成
2015年欧州癌会議(ECC)
2015年9月25~29日
ウィーン、オーストリア
Eli Lilly and Companyが支援を提供。
Eli Lilly and Companyは、この公表物の内容に影響を及ぼしていない。
Rolf Stahel教授からの書簡
会員各位
今回、このETOPスライドセットをご紹介できることを大変光栄に思います。このスライドセットは、2015年
に開催された主要な学会で発表された、胸部癌に関する重要な所見に焦点を合わせて概要を示すこと
を目的としています。このスライドセットは、特に第18回ECCO – 第40回ESMO 欧州癌会議(ECC)に
焦点を合わせたものとなっており、英語、フランス語、イタリア語、および日本語の4ヵ国語でご利用いただ
けます。
腫瘍学における臨床研究の分野は、絶えず変化し続ける、厳しい環境下にあります。そうした環境下に
おいて、我々は皆、科学者、臨床医および教育者としての役割において、知識の深化を促進し、さらな
る進歩の契機をもたらしてくれる、科学的なデータや研究所見の入手の機会を貴重なものであると考えて
います。胸部癌の領域における最新情報に関する今回のレビューが、皆さまの臨床診療にとって有益な
ものとなることを期待しています。本件につきましてご意見・ご感想などございましたら、是非お聞かせ下さ
い。ご意見ご質問は[email protected]にお送りください。
ETOP会員のSolange PetersおよびMartin Reck博士には編集者として、アブストラクトの優先順位
決定、スライド内容のレビューに、Serena Ricciardi博士にはイタリア語翻訳監修に大変ご尽力いただい
たことにお礼を申し上げます。このスライドセットは彼等の取り組みと努力なしには実現不可能でした。
最後に、このような複雑であるがやりがいのある活動の実現に際し、資金、運営管理および物流管理の
面においてご支援いただいたLilly Oncology社様に心より御礼申し上げます。
敬具
Rolf Stahel
ETOP基金評議会会長
ETOP腫瘍内科研究スライドデッキ編集者(2015年)
フォーカス: 進行NSCLC(根治治療不能のステージIII & ステージIV)および
関連バイオマーカーデータ
Solange Peters博士
スイス、ローザンヌ、ローザンヌがんセンター、集学的腫瘍学センター
フォーカス: 早期および局所進行NSCLC(ステージI~III)および関連
バイオマーカーデータ/他の悪性腫瘍
Martin Reck博士
ドイツ、グロスハンスドルフ、グロスハンスドルフ病院、胸部腫瘍学部
目次
• バイオマーカーとスクリーニング
• 早期および局所進行NSCLC - ステージI、II、III
• 進行NSCLC - 根治治療不能のステージIII & ステージIV
– 第一選択
– 第二選択以降
• 他の悪性腫瘍
– SCLCおよび中皮腫
– まれな腫瘍
– 脳転移
バイオマーカーとスクリーニング
3000: ステージIIIの非小細胞肺癌(NSCLC)における化学放射線療法(CRT)および
遺伝子変異プロファイル:予後予測能の解析 – Boros A et al
• 研究の目的
–
ステージIIIのNSCLCにおいて、CRTまたは放射線療法施行下での予後について、特定の遺伝子変異の予測
能を調査すること
• 試験デザイン
–
単一の施設においてステージIIIのNSCLCに対するCRTまたは放射線療法を受けた連続抽出患者(n=190)
を対象とする後ろ向きの解析
–
DNAが腫瘍組織から抽出され、次世代シーケンシングによる遺伝子変異解析が実施されたほか、ALK、
ROS1およびRET遺伝子の転座が、FISH解析法により検出された
–
EGFR、KRAS、BRAF、PI3KCA、HER2、ALK、NRASおよびAKT1遺伝子の変異が特定され、次の3つ
のカテゴリーに分類された:野生型(8つのマーカーに変異なし);EGFR/ALK遺伝子に変異あり;その他
–
生存率については、カプランマイヤー法を用いて解析が行われた
• 主な結果
• 遺伝子変異プロファイルのデータは、患者78例について得られた:64%の患者は野生型;14%は
EGFR+/ALK+;22%はその他の変異あり(KRAS/NRAS/BRAF/PI3KCA)
変異
n (%)
変異
n (%)
変異
n (%)
変異
n (%)
EGFR
9 (11.5)
BRAF
3 (4)
HER2
0 (0)
NRAS
1 (1)
KRAS
12 (16)
PI3KCA
1 (1)
ALK
2 (2.5)
AKT1
0 (0)
Boros et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3000
3000: ステージIIIの非小細胞肺癌(NSCLC)における化学放射線療法(CRT)および
遺伝子変異プロファイル:予後予測能の解析 – Boros A et al
• 主要な結果(続き)
– PFSは、EGFRまたはALKの変異が認められた患者群、あるいは、その他の変異が認められた患者群
において、野生型の患者群よりも不良となっていた[HRは、それぞれ1.8(95%CI 0.8, 3.8)および2.8
(95%CI 1.5, 5.1);いずれもp=0.004]
– PFS(中央値)は、野生型の患者群において、変異が認められた患者群よりも長くなっていた
100
PFS
PFSは、EGFR/ALKの変異を有する患者群
およびその他の変異を有する患者群で不良
生存率(%)
80
PFS中央値、ヶ月間
(95%CI)
60
野生型の患者群
p=0.005
40
30% (19; 45)
野生型の全患者
EGFR/ALKの変異を
有する患者群
その他の変異を有する患者群
20
0
50
11
17
EGFR/ALKの変異を
有する患者群
9.8 (6.8, 11.0)
その他の変異を有する
患者群
6.0 (4.8, 9.2)
9% (2; 38)
6% (1; 27)
0
リスクにさらされていた患者:
12.5 (10.6, 15.9)
6
12
18
42
10
9
27
2
2
14
1
1
試験への組み入れ時点からの経過期間(ヶ月)
Boros et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3000
3000: ステージIIIの非小細胞肺癌(NSCLC)における化学放射線療法(CRT)および
遺伝子変異プロファイル:予後予測能の解析 – Boros A et al
• 主要な結果(続き)
– しかし、全生存期間(OS)については、3群間の比較において有意差は認められなかった
– OS中央値は、EGFR/ALK変異のある患者群では2.4年間であったのに対して、野生型の
患者群およびその他の変異を有する患者群では、それぞれ1.9年間および1.1年間となって
いた
• 結論
– 局所進行NSCLC患者における、マーカー遺伝子の予後予測能を明らかにする必要がある。
この探索的解析では、PFSについて、マーカー遺伝子の変異との間に、負の相関性が存在
する可能性があることが示唆された。
– この研究では、対象となった患者数が少なかったため、さらに、発癌に関連する遺伝子変異
を有する患者のうち、十分な標的化治療を受けていた患者は少数であったため、この研究
の結果については、慎重に解釈を行わなくてはならない(後ろ向き解析)
– 今後、大規模な患者コホートを対象とした、前向きの評価を実施していく必要がある
Boros et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3000
3001: NSCLC患者における、マルチプレックス遺伝子変異検査法を用いた、遺伝子変異の
保有率および臨床的特性・転帰との関連性の評価: ETOP Lungscapeプロジェクトの結果
– Kerr K et al
• 研究の目的
– 特定の癌関連変異に関する疫学所見を説明し、さらに、そうした変異と、臨床病理学的特徴や患者
転帰との関連性を調査すること
• 試験デザイン
– 臨床データおよびFFPE組織標本が入手可能な、切除術後のステージI~IIIのNSCLC患者に対して、
マルチプレックス遺伝子変異検査法による検査が実施された 。
– Fluidigm技術を用いて遺伝子変異が検出された。これは、微小流体技術ベースの複合的PCRプラッ
トフォームであり、マルチプレックス遺伝子変異検査法でカバーされる約150個の遺伝子変異(13遺伝
子)の大部分について、1%超の感度を示す。
– 変異対立遺伝子の検出用のDNAが、試験実施施設において、FFPE腫瘍組織の薄切標本(腫瘍の
含有量が最も多くなるように選択された標本)から抽出された
– 現地における品質保証について、中央の協力検査機関における検証が行われた。こうした中央の検査
機関では、標本が遺伝子解析の前に標準化された。
• 主な結果
– これまで、マルチプレックス遺伝子変異検査法により、1,801例の患者において評価が行われてきており、
追跡調査期間の中央値は4.7年間となっている。それらの患者では、男性の割合は65.4%、喫煙歴の
ない患者の割合は10.3%、ならびに、年齢の中央値は66.3歳であった。
Kerr et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3001
3001: NSCLC患者における、マルチプレックス遺伝子変異検査法を用いた、遺伝子変異の
保有率および臨床的特性・転帰との関連性の評価: ETOP Lungscapeプロジェクトの結果
– Kerr K et al
• 主要な結果(続き)
– 特に変異の保有率が高かった遺伝子は、KRAS、MET、EGFRおよびPIK3CAであり、全体的な保有
率は、それぞれ23.1%、6.8%、5.2%および4.6%であった。
25
40
23.1
保有率(%)
20
*
38.0
* p<0.05
40
30
30
23.9
*
15
20
20
19.7
17.7
*
9.3
10
10
6.9
6.2
10
*
6.8
6.4
9.7
5.5
*
6.6
*
3.3
4.3
1.1
5.2
4.6
0
KRAS MET EGFR PIK3CA KRAS MET EGFR PIK3CA
腺癌
0.7
0
*
3.3
6.8
5
*
0.6
0.6 0.1
扁平上皮細胞
0
KRAS MET EGFR PIK3CAKRAS MET EGFR PIK3CA
喫煙歴のない患者
喫煙者/
禁煙者
0.1
KRAS
EGFR
BRAF
HRAS
AKT1
FLT3
MET
PIK3CA
NRAS
MYD88
ERBB2
JAK
KIT
Kerr et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3001
3001: NSCLC患者における、マルチプレックス遺伝子変異検査法を用いた、遺伝子変異の
保有率および臨床的特性・転帰との関連性の評価: ETOP Lungscapeプロジェクトの結果
– Kerr K et al
• 主要な結果(続き)
– 各マーカー遺伝子の変異の保有は、以下と関連していた:
• KRAS:女性の性別(p<0.001);腺癌(p<0.001);肺葉切除術(p=0.0052);若年(p=0.0017);
腫瘍のサイズ ≤4cm(p=0.0011)
• EGFR:女性の性別(p<0.001);非喫煙者(p<0.001);腺癌(p<0.001);腫瘍のサイズ ≤4cm
(p=0.0047)
• PIK3CA:腫瘍のサイズ >4cm(p=0.032);扁平上皮細胞(p=0.010);ステージIIIの病期
(p=0.0026);その他の手術 vs. 肺葉切除術(p=0.0184)
– MET変異の保有率については、有意差は認められなかった。
– KRASの変異の保有は、PIK3CA(p=0.0038)およびEGFR(p<0.001)の変異の保有と負の相関を
示した。
– 遺伝子変異の有無と、転帰(RFS、TTRおよびOS)との間の関連性は、いずれの場合も統計学的に
有意なレベルには達していなかった。
• 結論
– 欧州の患者が大部分を占めていたこのコホートでは、特定された変異の保有率が特に高かった遺伝子
は、KRAS、MET、EGFRおよびPIK3CAであった。
– KRASの変異の保有は、PIK3CAおよびEGFRの変異の保有と負の相関を示した。
Kerr et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3001
3002: ステージIBの肺腺癌におけるアジュバント化学療法の恩恵の予測因子
– Jung-Jyh H et al
• 研究の目的
– 切除術後のステージIB肺腺癌におけるアジュバント療法の恩恵の予測因子を調べること
• 試験デザイン
– 2004~2012年にTaipei Veterans General Hospitalで切除術を受けた、病理学的分類がステージ
IBの肺腺癌を有する患者(n=359)を対象とする後ろ向きの解析
– アジュバント療法の恩恵の予測因子を調査するために、臨床病理学的な特性の解析が実施された
• 主な結果
– 解析対象となった患者359例のうち、アジュバント療法を受けていたのは137例(38.2%)であった。
– 手術療法のみの患者集団では、微小乳頭状パターン/充実性パターンは、肺胞置換性/腺房状/乳頭
状パターンと比較して、OSの悪化(p=0.027)およびDFSの悪化(p=0.001)の有意な予測因子となっ
ていた
– プラチナ製剤ベースのアジュバント化学療法は、微小乳頭状/充実性パターンを呈する患者群では、OS
(p=0.055)とは有意に近いレベルの相関性を示す予測因子となっており、さらにDFS改善(p=0.011)
の有意な予測因子となっていたが、肺胞置換性/腺房状/乳頭状パターンを呈する患者群では、そうした
相関性は認められなかった
• 結論
– 臨床病理学的な特性の分類は、有意な予測因子となっている
– 微小乳頭状/充実性パターンは、ステージIB肺腺癌に対するアジュバント化学療法の恩恵に対して、相
関性を示す予測因子となっていると考えられる
– こうした所見について、前向きの試験における検証を行っていく必要がある
Jung-Jyh et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3002
3014: 日本人の非喫煙者および軽度喫煙者に由来する肺腺癌組織における、
NanoString社のnCounterシステムを用いた発癌ドライバー融合遺伝子の包括的解析
– Takamochi K et al
• 研究の目的
–
•
•
•
NanoString社のnCounterシステムを用いて、発癌ドライバー融合遺伝子に対する効率的なスクリーニングシステムを
確立すること
試験デザイン
– 90個の受容体チロシンキナーゼ(RTK)融合遺伝子について、EGFRおよびKRASの変異のない肺腺癌組織標本
233個において、NanoString社のnCounterシステムを用いて解析が行われた。
– NanoString社システムをベースとするアッセイは、次の2つのポイントにおける転写産物について調査を行うためにデザイ
ンされたものであった:キナーゼドメイン(KD)の5′側の領域、および、KD内の領域、または、KDの3′側の領域。
– 既知の発癌ドライバー融合遺伝子(ALK、ROS1、RETおよびNTRK1を含む)における標準化残差(SR)が2.0を超
える全ての症例について、RT-PCT、FISHおよびIHCを用いた追跡調査が実施され、融合パートナー遺伝子が確認さ
れた。
主な結果
– ALK、ROS1、RETおよびNTRK1について、遺伝子融合が疑われる所見が特定された腫瘍の標本数は、それぞれ、
18、8、10、および0となっており、そうした腫瘍では、5′から3′方向への異常な発現が認められ、NanoStringベースの
アッセイに基づくSRは>2.0となっていた。
• これらのうち、RT-PCR、FISHまたはIHCによりSRが3.0を超えると確認された、遺伝子融合が疑われる腫瘍の標
本数は、ALKについては11個、ROS1について4個、RETについては5個となっていた。SR値が2.0~3.0のこれらの
腫瘍のうち、ALK遺伝子の融合が疑われる腫瘍の57%においては、各遺伝子融合について確認を行うことができ
たが、ROS1およびRETについては確認できなかった。
– ALK、ROS1、RETおよびNTRK1遺伝子融合は、肺癌組織標本のそれぞれ6%、1.7%、2.1%および0%において特
定された。
結論
– NanoString社のnCounterシステムを使用することによって、発癌ドライバー融合遺伝子(ALK、ROSおよびRETを含
む)についてスクリーニングを行うことが可能である。
Takamochi et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3014
3016: 非小細胞肺癌における受容体チロシンキナーゼの変異 – Hayashi H et al
• 研究の目的
–
配列解析済みの受容体チロシンキナーゼ(RTK)遺伝子の新規の変異が、癌の進行において果たしている役割を調
査すること
• 試験デザイン
–
Ion AmpliSeq ColonおよびLung Cancer Panelを用いて、NSCLC腫瘍に由来するゲノムDNAサンプルの塩基配
列解析が行われた
–
塩基配列決定済みのRTK遺伝子(EGFR、ERBB2、ERBB4、MET、ALK、DDR2、FGFR1、FGFR2および
FGFR3)の新規変異の発現ベクターが作成された
• 主な結果
–
–
日本人のNSCLC患者に由来するサンプル50個において、以下の結果が得られた:
•
RTK変異は、20個のサンプルで検出された(EGFRについては15個;ERBB4については1個;ALKについては1個;
DDR2については2個;FGFR1については1個)
•
MAPK経路の変異は、10個のサンプル中で検出された(KRASについては7個;NRASについては1個;BRAFにつ
いては2個)
•
PI3K経路の変異は、4個のサンプルにおいて検出された(PIK3CAについては1個;PTENについては3個)
5個のRTK変異の機能は依然として不明であった(ERBB4 A245G、ALK R1192G、FGFR1 A263V、DDR2
H246RおよびE655K)
Hayashi et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3016
3016: 非小細胞肺癌における受容体チロシンキナーゼの変異 – Hayashi H et al
• 主要な結果(続き)
–
–
–
ALK変異は、ALKタンパクのリン酸化を誘導しており、それによって、形質転換能と発癌性が増強されていた。
ALK R1192Gを過剰発現するBa/F3細胞株は、ALK阻害剤に対して感受性を示した
DDR2 E655Kを過剰発現する細胞株では、DDR2野生型を過剰発現する細胞株と比較して、DDR2タンパ
クの発現レベルが低下していた。コラーゲンによってDDR2を通じて誘導される細胞周期の停止は、変異体を過
剰発現する細胞株では認められなくなっていた
リン酸化またはタンパク発現のレベルは、他のRTK変異の存在下では変化せず、他の変異体過剰発現細胞株
の表現型にも変化は認められなかった。
アレクチニブ
2000
腫瘍量(mm3)
in vivoにおけるALK阻害に対する
Ba/F3-ALK R1192Gの感受性
1500
賦形剤
1000
アレクチニブ20mg/kg
アレクチニブ60mg/kg
500
0
1
4
8
11
日間
Hayashi et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3016
3016: 非小細胞肺癌における受容体チロシンキナーゼの変異 – Hayashi H et al
• 結論
– 特定された新規のRTK変異5個のうち、1個は癌の進行に関連しており、別の1個はALK変異の活性
化に関連しており、ALK阻害剤に対する感受性を示した
– それ以外の変異は、癌の進行において何ら役割を担っておらず、「全てのRTK変異が、癌の進行におい
て何らかの役割を果たしているわけではない」ということ、ならびに、「そうした癌においては、分子標的薬
は必ずしも奏効しない可能性がある」ということが示唆された
Hayashi et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3016
3017: 腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞において高レベルのPD-L1発現が認められる
NSCLCは、別個の癌サブタイプに相当する– Schmid P et al
• 研究の目的
–
腫瘍細胞(TC)および腫瘍浸潤免疫細胞(IC)におけるPD-L1発現について評価を行い、NSCLC患者における
atezolizumabの臨床的な有効性との相関性を調査すること
• 試験デザイン
–
–
–
Atezolizumab試験(n=498)および非試験参加者のコホート(n=706)から、治療前のNSCLC組織標本からサンプ
ルが採取された
SP142 IHCアッセイを用いて、TCおよびICにおけるPD-L1発現が評価された
また、サンプルのサブセットについては、病理組織学的検査所見のレビュー、遺伝子発現と変異量の評価、および疫学
的解析も実施された
• 主な結果
–
TC3およびIC3腫瘍は、2種の別個の患者集団に相当しており、NSCLCにおける重複率は1%未満であった:
•
•
–
–
IC3腫瘍は、免疫細胞浸潤が高い頻度で認められる、免疫細胞に富む微細環境を有しており(間質、腫瘍および腫瘍/間質間の
境界面に局在)、エフェクターT細胞(Teff)シグネチャの発現レベルは、TC3腫瘍よりも高くなっていたことから、IC上のPD-L1は、既存の
T細胞免疫の活性を反映していると考えられた
TC3腫瘍は、密度の高い線維形成性・硬化性の腫瘍微細環境を呈しており、免疫細胞浸潤の頻度は、IC3腫瘍よりも低くなってい
た(主に、周囲の間質に局在していた)ほか、上皮-間充織基質移行に関連する遺伝子(Snail1、ZEB1およびビメンチン)の発現の増
強も認められた
PD-L1発現は、TCおよびICにおいて、異なる機序を介して制御されていると考えられる
腫瘍微細環境の差異が存在するにも関わらず、TCおよびIC双方におけるPD-L1発現は、atezolizumabの奏効性や
その投与下におけるOS改善の予測因子とは、相関していなかった
• 結論
–
TC/ICにおけるPD-L1の発現は、atezolizumabに対する感受性に関連している。ICおよびTCにおけるPD-L1の発現
は、おそらくは、癌免疫および治療に対する反応性の制御において、重複しない別個の役割を担っていると考えられる
Schmid et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3017
3025: 化学放射線療法(CRT)により治療されるステージIIIの非小細胞肺癌(NSCLC)に
おけるPD-L1発現の予後予測能 – Boros A et al
• 研究の目的
–
•
•
•
CRTまたは放射線療法により治療されるステージIIIのNSCLC患者において、PD-L1発現が、予後および治療効果に
ついて示す予測能を調べること
試験デザイン
– Ventana Benchmark Ultraプラットフォーム上で、E1L3Nクローンを用いて、免疫組織化学検査が実施された
– 一般状態(PS)スコア(0、≥1)、病期(ステージIIIA、IIIB)および胸部外科手術(施行あり、なし)の影響について調整
を行った上で、カプランマイヤー法、ログランク検定およびCox比例ハザードモデルを用いた生存分析が実施された
– 追跡調査期間の中央値は、Schemper法により推定された
主な結果
– データは患者190例について入手可能であり、PD-L1発現の評価が可能であったNSCLC患者は50例であった
– 臨床的・病理学的特性について、PD-L1の発現状況との関連性は認められず、全般的な追跡調査データについても、
関連性は認められなかった
– PD-L1の発現状況と、化学放射線療法の施行後における食道炎および肺臓炎の発生率との間にも、関連性は認め
られなかった
– PFS中央値は、PD-L1陰性患者群において、PD-L1陽性患者群よりも有意に長くなっていた[1.0 vs. 0.7年間、HR
2.1(95%CI 1.1, 4.0);p=0.03]。また同様に、OS中央値も、PD-L1陰性患者群において、PD-L1陽性患者群より
も有意に長くなっていた[2.0 vs 1.1年間、HR 2.3(95%CI 1.2, 4.5);p=0.01]
結論
– 化学放射線併用療法を受けている患者において、ステージIIIのNSCLCにおけるPD-L1発現は、生命予後の悪化に
関連している
– 予後および/または治療効果に対するPD-L1発現の予測能については、より規模の大きなコホートにおいて評価を実施
していく必要がある
Boros et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3025
18LBA: ヒト腫瘍におけるPD-L2発現: 癌における抗PD-1療法との関連性 – Yearley J et al
• 研究の目的
– アーカイブヒト腫瘍標本の複数のコホートにおいて、PD-L2(PD-1のリガンド)の保有および分布上の特
性を調査し、抗PD-1療法に対する患者の反応性とのPD-L2の潜在的な関連性を明らかにすること
• 試験デザイン
– PD-L2検出用の新規のIHCアッセイの開発後に、同アッセイが、以下のような7種のヒト腫瘍に由来する
アーカイブ腫瘍標本に対して適用された:
• 腎細胞癌(n=71)
• 膀胱癌(n=34)
• メラノーマ(n=83)
• 非小細胞肺癌(NSCLC、n=94)
• 頭頸部扁平上皮癌(n=40)
• トリプルネガティブ乳癌(TNBC、n=22)
• 胃癌(n=73)
– PD-L2 IHC染色の結果について、PD-L1 IHC染色(Merckクローン22C3)の結果、ならびにPD-L2
mRNAレベル(Nanostringプラットフォームを用いて測定されたもの)との比較が行われた
Yearley et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 18LBA
18LBA: ヒト腫瘍におけるPD-L2発現: 癌における抗PD-1療法との関連性 – Yearley J et al
• 主な結果
–
全ての種類の腫瘍において、PD-L2およびPD-L1ラベリングの程度および分布間に有意な相関性が認められ
(範囲:p=0.012~p<0.0001)、さらに、NanostringによるPD-L2の定量結果との間にも有意な相関性が認
められた(範囲:p=0.0037~p<0.0001)
–
多くの個人サンプルにおいて、一致しない染色結果が認められた。すなわち、一部のサンプルでは、PD-L1発現
が、PD-L2の不在下において認められ、別のサンプルでは、PD-L2発現が、PD-L1の不在下で検出された
–
NSCLCサンプルにおいて得られた結果を以下に示す
PD-L2の全体的発現
PD-L2およびPD-L1間の結果の一致および不一致
PD-L2発現
(細胞の種類別)
NSCLC(n = 94)
IHCスコア
PD-L1 IHC
PD-L1
n = 94
R2 = 0.3930
P < 0.0001
PD-L2 IHC
PD-L2
サンプルの割合(%)
NSCLC
サンプルの割合(%)*
NSCLC
腫瘍細胞
Yearley et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 18LBA
18LBA: ヒト腫瘍におけるPD-L2発現: 癌における抗PD-1療法との関連性 – Yearley J et al
• 主要な結果(続き)
– PD-L2発現状況の臨床的な意義を検討するために、ロジスティック回帰モデルが、ペムブロリズマブ
200mg q3wによる治療を受けた頭頸部扁平上皮細胞癌患者144例に由来するデータに適用された
• PD-L1発現状況の影響について調整を行った後の解析では、PD-L2発現は、より高い全奏効率
(ORR)に関連していた(p=0.072)
• また、PD-L1発現状況の影響について調整を行った後の解析では、PD-L2発現は、PFSの延長と
有意に関連していた(p=0.031)
• 結論
– PD-L2は、ヒト腫瘍内において、PD-L1の不在下で発現する可能性がある
• こうした所見に基づいて、PD-L1陰性患者において、PD-1標的化治療の施行下で臨床的奏効性
が認められた理由が、部分的に説明されうると考えられる
– このことは、「PD-1標的化治療(PD-1と、PD-L1およびPD-L2双方との相互作用を阻害する治療)に
よって恩恵を受けうる患者集団が存在する可能性があるが、そうした患者では、PD-1のみを標的とする
治療によっては恩恵が得られない場合もありうる」ということを示唆している
– PD-L2発現状況は、ペムブロリズマブの投与を受けている患者の臨床的転帰に関連する
Yearley et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 18LBA
3007: 包括的なゲノムプロファイリングにより、肺癌における非V600E活性化BRAF変異
(BRAF遺伝子融合を含む)のスペクトルの特徴が明らかになる – Ali S et al
• 研究の目的
– 進行肺癌におけるBRAF変異について調査を行うこと
• 試験デザイン
– 315個の遺伝子について、4クラスのゲノム変異を検出するための、肺癌組織の包括的ゲノ
ムプロファイリング:
• 塩基置換
• 短い配列の挿入/欠失
• コピー数の異常
• 融合
– ゲノムプロファイルの解析は、以下に基づいて実施された:
• 組織学的なタイプ
• BRAF内の変異
• その他の共分離変異
Ali et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3007
3007: 包括的なゲノムプロファイリングにより、肺癌における非V600E活性化BRAF変異
(BRAF遺伝子融合を含む)のスペクトルの特徴が明らかになる – Ali S et al
• 主な結果
– 合計で3,300例の進行肺癌症例について、臨床診療サイクルの期間中にプロファイリングが
実施され、標本の約50%は転移部位に由来していた。
– 医師によって判断された、組織学的診断は以下の通りであった:
• 腺癌
66%
• NSCLC-NOS
16%
• 扁平上皮癌
11%
• SCLC
6%
– 154症例(4.6%)については、BRAFの変異が認められた
• 平均年齢は65歳(範囲:42~88)であった
• 喫煙習慣の影響については、今後、評価が実施される予定である
Ali et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3007
3007: 包括的なゲノムプロファイリングにより、肺癌における非V600E活性化BRAF変異
(BRAF遺伝子融合を含む)のスペクトルの特徴が明らかになる – Ali S et al
• 主要な結果(続き)
– 以下の表には、腺癌症例およびNSCLC症例におけるBRAF変異の発生率を示してある
– 2,179例の腺癌症例のうち、BRAF変異を有していた症例の割合は6.1%であり、50%超は
非V600E BRAF変異であった。
– 535例のNSCLC-NOS症例のうち、BRAF変異を有していた症例の割合は3.2%であり、
85%は非V600E BRAF変異であった。
腺癌症例におけるBRAF変異の保有率(%)
(n=2,179)
NSCLC症例におけるBRAF変異の保有率(%)
(n=535)
V600
2.5
K601
0.3
V600
0.4
K601
0
G469
0.8
G596
0.1
G469
1.3
G596
0.4
G466
0.5
その他の短い変
異型
0.3
G466
0.6
その他の短い変
異型
0
D594
0.6
増幅
0.5
D594
0
増幅
0.2
G464
0.2
BRAF融合
0.1
G464
0.4
BRAF融合
0
N581
0.3
合計
6.1
N581
0
合計
3.2
Ali et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3007
3007: 包括的なゲノムプロファイリングにより、肺癌における非V600E活性化BRAF変異
(BRAF遺伝子融合を含む)のスペクトルの特徴が明らかになる – Ali S et al
• 主要な結果(続き)
– 以下の表には、腺癌症例およびSCC症例およびSCLC症例におけるBRAF変異の発生率
を示してある
– 201例のSCLC症例においては、BRAF変異の保有は認められなかった
– 385例のSCC症例においては、0.8%の症例がBRAF変異を保有していたが、BRAF
V600Eを保有する症例はなかった
SCC症例におけるBRAF変異の保有率(%)
(n=385)
SCLC症例におけるBRAF変異の保有率(%)
(n=201)
V600
0
K601
0
V600
0
K601
0
G469
0.3
G596
0
G469
0
G596
0
G466
0
その他の短い
変異型
0
G466
0
その他の短い
変異型
0
D594
0
増幅
0
D594
0
増幅
0
G464
0.3
BRAF融合
0
G464
0
BRAF融合
0
N581
0
合計
0.8
N581
0
合計
0
Ali et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3007
3007: 包括的なゲノムプロファイリングにより、肺癌における非V600E活性化BRAF変異
(BRAF遺伝子融合を含む)のスペクトルの特徴が明らかになる – Ali S et al
• 主要な結果(続き)
– TP53、SETD2およびSTK11については、BRAFとの同時変異が、特に高率に認められた
– SETD2変異が認められる症例においては、BRAF V600Eとの関連性が存在するものと考
えられた
– STK11変異を保有する27症例のうち、BRAF V600Eを保有していた症例は、わずか1例
であった(p<0.0001)
– BRAF融合は、2症例においてのみ認められ、それらの症例における切断点はイントロン9と
10の間に存在していた
• 結論
– 肺癌の症例では、BRAF変異は、腺癌の症例において最も高率に検出され、SCC症例で
は認められなかった
– 肺癌における多様なBRAF変異は、臨床診療のサイクル中に特定されうる
– V600Eについては、その他のBRAF変異とは異なり、特異的な他のゲノム変異(主に、腫瘍
サプレッサー遺伝子)との共分離が生じている可能性がある
Ali et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3007
早期および局所進行NSCLC
ステージI、II、III
3003: 化学放射線療法を受けるステージIIIの非小細胞肺癌患者における、医療施設の
診療症例数および生命予後 – Damhuis R et al
• 研究の目的
– 化学放射線療法を受けるステージIIIのNSCLC患者において、医療施設の診療症例数と患者の生命
予後との間に、先に報告された正の相関性について、検証を行うこと
• 試験デザイン
– ステージIIIのNSCLCを適応とする併用化学療法(併用される製剤の種類は問わない)および胸部放
射線療法(手術ではない)を2010~2013年に受けた、Netherlands National Cancer Registry登
録患者(n=3,802)を対象とする後ろ向きの解析
– 放射線療法の実施施設は、年間診療患者数に基づいて、次のように分類された:診療症例の少ない
施設(年間24例未満)、診療症例数が中程度の施設(年間24~47例)、ならびに、診療症例数の多
い施設(年間48例以上)
• 主な結果
– 診療症例数の多い施設、中程度の施設、および少ない施設において、治療を受けた患者の割合は、
それぞれ、69%、24%および9%となっていた
– 全ての患者におけるOS中央値は20.3ヶ月間であり、2年および4年OSは、それぞれ44.0%および
25.7%となっていた
– 4年OSは、診療症例数の少ない施設(34%)において、診療症例数が中程度の施設(23%)または診
療症例数の多い施設(25%)よりも実際に高くなっていた(p=0.03)
– 多変量解析では、施設の診療症例数と患者予後の間の関連性は、統計学的に有意なレベルのもの
とはなっていなかった(p=0.07)
• 結論
– 全国レベルで実施されたこの解析では、診療症例数の少ない施設において、より良好な生命予後が得
られており、過去に提唱されたような診療症例数および転帰間の相関性を確認することはできなかった
Damhuis et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3003
3004: 臨床的病期がステージIAの非小細胞肺癌における、HRCTおよびFDG-PET/CT
所見に基づく区域切除術の選択 – Tsutani Y et al
• 研究の目的
– リンパ節転移陰性の、臨床的病期がステージIAのNSCLC患者において、全身リンパ節廓
清を伴わない区域切除術の適用が最も適した患者を選定するための、術後転帰の予測因
子を特定すること
• 試験デザイン
– 完全切除を受けた、臨床的な病期がステージIAの肺腺癌(n=502)または扁平上皮細胞
癌(n=100)患者に由来するデータの後ろ向きの解析
– データは、4施設から収集された
– リンパ節転移の状態と、術前の因子(HRCTにおける腫瘍のサイズ、およびFDG-PET/CT
におけるSUVmaxを含む)との間の関連性を調査するために、データが解析された
HRCT = 高解像度コンピュータ断層撮影;
SUVmax = 最大標準化取り込み値
Tsutani et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3004
3004: 臨床的病期がステージIAの非小細胞肺癌における、HRCTおよびFDG-PET/CT
所見に基づく区域切除術の選択 – Tsutani Y et al
• 主な結果
– 多変量解析では、固形腫瘍のサイズ(OR, 2.44; p<0.001)または全腫瘍SUVmax(OR, 1.04;
p=0.049)が、肺腺癌におけるリンパ節転移の予測因子となっていた
– リンパ節転移陰性の基準は、固形腫瘍成分の腫瘍サイズ<0.8cmまたはSUVmax <1.5と規定されて
いた
固形腫瘍サイズ
SUVmax
0.8cm
1.00
0.75
感度
0.75
感度
1.5cm
1.00
0.50
AUC = 0.761
(95%CI 0.703, 0.819)
0.25
0.50
AUC = 0.761
(95%CI 0.708, 0.814)
0.25
p<0.001
p<0.001
0.00
0.00
0
25
50
75
1 - 特異度
100
0
25
50
75
1 - 特異度
100
– リンパ節転移陰性の基準に合致した患者集団では、OSおよびRFSについて、肺葉切除術施行群およ
び区域切除術施行群間に有意差は検出されなかった
Tsutani et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3004
3004: 臨床的病期がステージIAの非小細胞肺癌における、HRCTおよびFDG-PET/CT
所見に基づく区域切除術の選択 – Tsutani Y et al
• 主要な結果(続き)
– 肺扁平上皮細胞癌患者において、リンパ節転移と有意に相関する独立の予測因子は特
定されなかった
• 結論
– HRCTにおける固形腫瘍のサイズや、FDG-PET/CTにおけるSUVmaxは、ステージIA肺腺
癌において、リンパ節転移陰性の有用な予測因子となると考えられる
– 「固形腫瘍のサイズ <0.8cm」または「SUVmax <1.5」という「リンパ節転移陰性」の基準は、
全身リンパ節廓清を伴わない区域切除術を適用する候補患者の選定順として有用である
可能性がある
Tsutani et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3004
進行NSCLC
根治治療不能のステージIIIおよびIV
第一選択
12LBA: 成人および小児のALK、METまたはROS1陽性の悪性腫瘍における、
バイオマーカーを指針とするクリゾチニブの適用: フランス全国AcSéプログラム – Vassal G et al
• 研究の目的
– 進行悪性腫瘍を有する患者に対して、AcSéプログラムを介して適用可能とされたクリゾチニ
ブ単剤投与の有効性および安全性を評価すること
– AcSéプログラムでは、高レベルのエビデンスに基づく知見を得て、認可外の使用を避けるた
めに、腫瘍の分子的診断について、公平な利用機会が提供されている
• 試験デザイン
– バイオマーカー・プログラム: 進行悪性腫瘍を有する1歳以上の患者(>15悪性腫瘍)におい
て、クリゾチニブ奏効性のバイオマーカーであるROS1、ALKおよびMETについて、単一バイオ
マーカー分子検査が実施された。バイオマーカーは、IHCによって特定され、FISHによって確
認された
– 第II相試験: 患者に対してクリゾチニブが投与された(成人の用量は250mg bid、小児の用
量は280mg/m2 bid)。腫瘍退縮率は、2ヶ月ごとに算出された。主要エンドポイント:最良
効果は2ヶ月目のCRまたはPRと定義される
Vassal et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 12LBA
12LBA: 成人および小児のALK、METまたはROS1陽性の悪性腫瘍における、
バイオマーカーを指針とするクリゾチニブの適用: フランス全国AcSéプログラム – Vassal G et al
• 主な結果
– バイオマーカー・プログラム
• 患者5,592例において、12,586回の検査が実施されてきている
• MET増幅(閾値は6コピー)が、4,011例中196例の患者で特定された
– NSCLC患者では6.6%;グリア芽腫患者では7.3%;大腸癌患者では10.6%;
胃癌患者では16%;卵巣癌患者では1.4%;腎癌患者では1.6%
• ROS1転座は、2,072例中54例の患者で特定された
– NSCLC、胆管癌および炎症性筋線維芽細胞腫
• ALKは、乳癌患者488例中6例において特定された
– 1例では転座、ならびに、5例では増幅
– 第II相試験
• 131例の患者が試験に登録された。患者の53%は男性で、51%は喫煙者または
禁煙者、6%は18歳未満であり、年齢の中央値は59歳であった
Vassal et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 12LBA
12LBA: 成人および小児のALK、METまたはROS1陽性の悪性腫瘍における、
バイオマーカーを指針とするクリゾチニブの適用: フランス全国AcSéプログラム – Vassal G et al
• 主要な結果(続き)
– ROS1陽性NSCLC患者36例の集団では、クリゾチニブ投与は、12ヶ月目の時点で、72%
というORRに関連し(図中の水平線の下部の棒グラフ)、さらに、44%というPFSに関連して
いた(水平線の上部の棒グラフ)
最良効果時の腫瘍退縮率
20
50
10
0
0
–50
–10
最良変化
レビュー対象
PFS
患者(n=37)
–100
*
最良効果
PFS(ヶ月間)
ベースラインからの最良変化率(%)
**
100
ORR = 26/36
72% (55, 86)
DCR = 32/36
89% (74, 97)
44% PFS
(第12ヶ月時)
–20
RECIST規準に基づく評価は行われなかったが、PDによる死亡あり
PDに関連しない死亡で、RECIST規準に基づく評価なし
Vassal et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 12LBA
12LBA: 成人および小児のALK、METまたはROS1陽性の悪性腫瘍における、
バイオマーカーを指針とするクリゾチニブの適用: フランス全国AcSéプログラム – Vassal G et al
• 主要な結果(続き)
– METAMPNSCLC患者25例では、クリゾチニブ投与下におけるORRは28%となっていた(図
中の水平線の下部の棒グラフ)。観察されたMETコピー数と、最良効果との間に、相関性
は認められなかった
最良効果時の腫瘍退縮率
20
50
10
0
0
–50
患者(n=37)
*
ORR = 7/25
28% (12, 49)
DCR = 15/25
60% (41, 79)
–10
最良変化
レビュー対象
PFS
–100
最良効果
PFS(ヶ月間)
ベースラインからの最良変化率(%)
* *
100
–20
RECIST規準に基づく評価は行われなかったが、PDによる死亡あり
PDに関連しない死亡で、RECIST規準に基づく評価なし
Vassal et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 12LBA
12LBA: 成人および小児のALK、METまたはROS1陽性の悪性腫瘍における、
バイオマーカーを指針とするクリゾチニブの適用: フランス全国AcSéプログラム – Vassal G et al
• 主要な結果(続き)
– METAMP大腸癌患者13例では、治療の恩恵は認められなかった
– クリゾチニブの忍容性は、予想されていた忍容性と相違なかった
• 55件のグレード3以上のAEまたはSAEが、評価可能患者122例中40例で報告された
• 特に高率に発生したAE(大部分はグレード1)は、次の通りであった:視覚障害(50%);
嘔気(47%);ALT/AST増加(いずれも40%);下痢(36%);疲労(34%)
• 結論
– ALK、ROSおよびMET検査や、製造・販売承認適応外でのクリゾチニブ投与について、公
平かつ安全な利用機会が実現可能である
– クリゾチニブは、ROS1陽性およびMETAMP NSCLCにおいて有効性を示したが、METAMP
大腸癌では効果は認められなかった
– 他の稀少疾患において、患者登録が継続されている
Vassal et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 12LBA
1037: 組織学的検査所見に基づく非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者6,101例における
1年死亡率 – Molinier O et al
研究の目的
• NSCLC患者において、1年死亡率を評価し、組織学的分類(ADC、SCC、LCC)による死亡
リスクファクターの差異を特定すること
主要な患者選択基準
• 組織学的検査または細胞学的
検査により診断されたNSCLC
• 年齢≥18歳
(n=6,101)
ADC
(n=3,199)
PD
SCC
(n=1,852)
PD
LCC
(n=754)
PD
主要エンドポイント
• 1年死亡率
Molinier et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 1037
1037: 組織学的検査所見に基づく非小細胞肺癌(NSCLC)を有する患者6,101例における
1年死亡率 – Molinier O et al
• 主な結果
1年死亡率(%)
50%死亡期間(ヶ月間)
ADC
SCC
LCC
55
53
68
10.3
11.0
6.6
– 多変量解析では、独立した死亡のリスクファクターと予防的因子が特定された
• リスクファクター:
– PSの増加、ステージ≥IIIおよび体重減少(全ての組織学的分類において)
– 年齢>70歳(ADCにおいて);禁煙者または喫煙者(ADCおよびLCCにおいて)
• 予防的因子:
– 女性の性別(ADCにおいて);禁煙者または喫煙者(SCCにおいて);BMI 25~30kg/m2(LCC
において)
• 結論
– NSCLCを有する全ての患者は、1年死亡率が依然として高い状態にある
– 死亡のリスクファクターについては、組織学的分類によってバラツキが認められた
Molinier et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 1037
513: 非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対するプラチナ製剤ベースの化学療法(chemo)の
併用下における、atezolizumab(MPDL3280A)の安全性、活性およびバイオマーカー:
第Ib相試験 – Giaccone G et al
研究の目的
• 進行NSCLC患者を対象に、プラチナ製剤ベースのCTの併用下における、atezolizumab
(PD-L1阻害薬)の有効性および安全性について、評価を行うこと
主要な患者選択基準
• 局所進行または転移NSCLC
• 進行癌に対するCTの施行歴なし
R
• ECOGのPSスコアが0~1
(n=58)
主要エンドポイント
• 安全性(用量制限毒性を含む)
*カルボプラチン AUC6 q3w;†パクリタキセル 200mg/m2 q3w;
‡ペメトレキセド 500mg/m2 q3w;#ナブパクリタキセル 100mg/m2 q1w
atezolizumab 15mg/kg q3w
カルボプラチン*/パクリタキセル†
(n=14)
PD
atezolizumab 15mg/kg q3w
+ カルボプラチン*/ペメトレキセド‡
(n=24)
PD
atezolizumab 15mg/kg q3w
+ カルボプラチン*/ナブパクリタキセル#
(n=20)
PD
副次的エンドポイント
• PK、BOR、ORR、DOR、PFS
Giaccone et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 513
513: 非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対するプラチナ製剤ベースの化学療法(chemo)の
併用下における、atezolizumab(MPDL3280A)の安全性、活性およびバイオマーカー:
第Ib相試験 – Giaccone G et al
• 主な結果
– atezolizumabは良好な忍容性を示し、新たな安全性上の問題は認められなかった。AE
の発生を理由に投与を中止した患者は、58例中2例(3.4%)のみであった
グレード3~4のAE(3%以上
の患者に発生):n (%)
A + cb/pac
(n=14)
A + cb/pem
(n=24)
A + cb/nab
(n=20)
全患者
(n=58)
好中球減少症
5 (35.7)
9 (37.5)
9 (45.0)
23 (39.7)
貧血
2 (14.3)
2 (8.3)
4 (20.0)
8 (13.8)
0
5 (20.8)
2 (10.0)
7 (12.1)
1 (7.1)
2 (8.3)
2 (10.0)
5 (8.6)
ALT増加
0
1 (4.2)
2 (10.0)
3 (5.2)
AST増加
0
1 (4.2)
2 (10.0)
3 (5.2)
1 (7.1)
2 (8.3)
0
3 (5.2)
低カリウム血症
0
1 (4.2)
1 (5.0)
2 (3.4)
白血球減少症
0
2 (8.3)
0
2 (3.4)
悪心
0
0
2 (10.0)
2 (3.4)
血小板減少症
疲労
脱水
A = atezolizumab;cb/pac = カルボプラチン/パクリタキセル;cb/pem =
カルボプラチン/ペメトレキセド;cb/nab = カルボプラチン/ナブパクリタキセル
Giaccone et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 513
513: 非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対するプラチナ製剤ベースの化学療法(chemo)の
併用下における、atezolizumab(MPDL3280A)の安全性、活性およびバイオマーカー:
第Ib相試験 – Giaccone G et al
• 主要な結果(続き)
– NSCLC患者58例についてデータの評価が行われた。患者における男性の割合は59%であ
り、非扁平上皮型NSCLCを有する患者の割合は79%、ECOG基準によるPSが1の患者
の割合は67%、禁煙者の割合は71%、年齢の中央値は65歳(範囲:40~83)であった
– 安全性追跡調査期間の中央値は4.2ヶ月間であった
– 奏効性のデータは41例の患者について入手可能であり、全体的なORRは63.4%であった
ORR、n (%)
A + cb/pac
(n=14)
A + cb/pem
(n=24)
A + cb/nab
(n=20)
4 (50.0)
13 (76.5)
9 (56.3)
• 結論
– atezolizumabは、進行NSCLC患者において、種々の化学療法レジメンの併用下で、良
好な忍容性を示した
– 中間解析で確認された臨床的な有効性に基づけば、こうした併用療法は期待の持てるも
のである
Giaccone et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 513
16LBA: 局所進行または転移性のPD-L1陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する
第一選択または第二選択以降の治療法としてのatezolizumabの第II相、
単一治療群試験(BIRCH) – Besse B et al
研究の目的
• 治療歴のあるまたはない局所進行または転移性NSCLC患者のコホートにおいて、
atezolizumabの有効性および安全性を評価すること
主要な患者選択基準
•
局所進行または転移
NSCLC
•
腫瘍におけるPD-L1発現が
IHCによって確認されている(
TC2/3および/またはIC2/3)
•
ECOGのPSスコアが0~1
•
脳転移なし
(n=667)
主要エンドポイント
• ORR
コホート1(第一選択療法)
化学療法の施行歴なし
(n=142)
コホート2(第二選択)
1種のプラチナ製剤による化学療法の施行歴あり
(n=271)
コホート3(第三選択以降)
2種以上の化学療法の施行歴あり
(プラチナ製剤1種を含む)(n=39)
PD
臨床的恩恵
が認められな
くなるまで
副次的エンドポイント
• PFS、DOR、OS、安全性
Besse et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 16LBA
16LBA: 局所進行または転移性のPD-L1陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する
第一選択または第二選択以降の治療法としてのatezolizumabの第II相、
単一治療群試験(BIRCH) – Besse B et al
• 主な結果
– 奏効性の大部分は持続中である
– DOR中央値は、第三選択療法以降の群では7ヶ月間であり、第一選択療法群および第
二選択療法群(TC3またはIC3)では、いずれも未到達であった
30
27
26
ORR、%
24
20
17
17
TC2/3またはIC2/3
TC3またはIC3
19
10
0
第一選択治療
第二選択治療 第三選択治療以降
Besse et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 16LBA
16LBA: 局所進行または転移性のPD-L1陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する
第一選択または第二選択以降の治療法としてのatezolizumabの第II相、
単一治療群試験(BIRCH) – Besse B et al
• 主要な結果(続き)
OS中央値、ヶ月間(95%CI)
TC2/3またはIC2/3
TC3またはIC3
6ヶ月OS、%
TC2/3またはIC2/3
TC3またはIC3
PFS中央値、ヶ月間(95%CI)
TC2/3またはIC2/3
TC3またはIC3
6ヶ月PFS、%
TC2/3またはIC2/3
TC3またはIC3
第一選択療法群
(n=139)
第二選択療法群
(n=267)
第三選択以降の療法群
(n=253)
14.0 (14.0、NE)
NE (10.4、NE)
NE (11.2、NE)
NE (10.6、NE)
NE (8.4、NE)
NE (NE、NE)
82
79
76
80
71
75
5.5 (3.0, 6.9)
5.5 (2.7, 8.3)
2.8 (1.5, 3.5)
4.1 (1.8, 5.5)
2.8 (2.7, 3.7)
4.2 (2.8, 5.6)
46
48
29
34
31
39
Besse et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 16LBA
16LBA: 局所進行または転移性のPD-L1陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する
第一選択または第二選択以降の治療法としてのatezolizumabの第II相、
単一治療群試験(BIRCH) – Besse B et al
• 主要な結果(続き)
– 特に高率に報告されたAE(グレードを問わない)は、次の通りであった:疲労、下痢、悪心
– AEの大部分(80%)はグレード1~2であった
– 特に高率に発生したグレード3~4のAEは、次の通りであった:肺臓炎(1.5%)、AST増加
(0.8%)、大腸炎(0.5%)、甲状腺機能低下症および発疹(いずれも0.3%)
第一選択療法群
(n=139)
91
40
57
9
第二選択療法群
(n=267)
92
37
63
12
第三選択以降の療法群
(n=253)
96
39
69
11
6
6
4
特に注目すべきAE
20
28
28
治療に関連したグレード5のAE(肺炎)
0
0
0.4
あらゆる原因によるAE、%
グレード3~4
治療に関連したAE、%
グレード3~4
atezolizumabの投与中止につながったAE
Besse et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 16LBA
16LBA: 局所進行または転移性のPD-L1陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する
第一選択または第二選択以降の治療法としてのatezolizumabの第II相、
単一治療群試験(BIRCH) – Besse B et al
• 結論
– PD-L1陽性の進行NSCLC患者では、atezolizumab単剤投与は、臨床的意義のある有
効性を示した。ただし、データについては今後さらなる検証が必要である
– この研究で認められたatezolizumabの安全性プロファイルは、先行試験における安全性プ
ロファイルに一致しており、予期せぬ徴候や毒性の違いは認められなかった
– ICおよびTCにおけるPD-L1発現レベルの増加は、奏効性の向上に相関していた。こうした
特性に基づいて、atezolizumab投与により恩恵を受けうるNSCLC患者の選定が可能で
あるか否かを評価するために、さらなる前向き試験における検証が必要である
Besse et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 16LBA
1328: ごく高齢の成人における肺癌: 当施設の80歳を超える患者集団における転帰
– Ortega Granados AL et al
• 研究の目的
– 高齢の肺癌患者において患者特性および転帰について検討を行うこと
• 試験デザイン
– Centre of Medical Oncology(Jaén、スペイン)に2010~2013年に紹介され、2015年4月まで追跡
調査された、肺癌患者を対象とする後ろ向きの観察研究
• 患者は、80歳以上の肺癌を有する患者である必要があった
• 主な結果
– 2010~2013年に診察された672例の患者のうち、41例(6.1%)が80歳以上であり、そのうちの78%が
男性であり、88%がNSCLCを有していた
– 34%の患者は、癌に対する治療を受けていなかったが、7.3%の患者においては、治癒を企図した治療
が施行されていた。第一選択療法群では、68%の患者が化学療法(48%はプラチナ製剤を含む2剤
併用療法、20%は単剤療法)を受けており、24%の患者は、チロシンキナーゼ阻害薬を投与されていた
– 生存期間の中央値は11.2ヶ月間であり、OS中央値は8ヶ月間であった。非喫煙者群における生存期
間は、喫煙者群における生存期間よりも有意に長くなっていた(p=0.035)
• 結論
– 高齢の肺癌患者における生存率は、積極的な癌治療 + 最適支持療法施行群において、姑息的治
療のみの施行群よりも良好となっていた。喫煙習慣は、生存率に影響を及ぼしていた
Ortega Granados et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 1328
3BA: T790M変異を伴う/伴わない、活性化上皮成長因子受容体(EGFR)変異を有する
進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者における、エルロチニブ(E)およびベバシズマブ(B)の第II相試験。
スペイン肺癌グループ(SLCG)および欧州胸部腫瘍プラットフォーム(ETOP)BELIEF試験
– Stahel RA et al
研究の目的
• 第一選択療法としてのベバシズマブおよびエルロチニブ投与を受ける、EGFR T790M変異を有
する/有さない非扁平上皮型NSCLC患者において、PFSを推定すること
主要な患者選択基準
• 転移性または局所進行性の非
扁平上皮型NSCLC
• 高い精度で確認されたEGFR
変異(エクソン19欠失または
L858R)
• 外科治療または放射線療法に
適していない
[n=1,135(スクリーニング済み)]
主要エンドポイント
• PFS
エルロチニブ 150mg/日
+ ベバシズマブ
15mg/kg q3w
PD/
毒性
サブスタディ1: T790Mを
保有(n=37)
サブスタディ2: T790Mを
保有せず(n=72)
副次的エンドポイント
• 安全性、PFSと変異の相関性
Stahel et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3BA
3BA: T790M変異を伴う/伴わない、活性化上皮成長因子受容体(EGFR)変異を有する
進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者における、エルロチニブ(E)およびベバシズマブ(B)の第II相試験。
スペイン肺癌グループ(SLCG)および欧州胸部腫瘍プラットフォーム(ETOP)BELIEF試験
– Stahel RA et al
• 主な結果
– 被験者集団全体では、38.5%の患者が男性であり、66.1%の患者は非喫煙者、5.5%の
患者はPSスコアが2であり、年齢の中央値は66歳であった
– 診断時におけるT790Mの保有は、高感度のPC9カットオフ法を用いて、典型的な活性化
EGFR変異を有する患者の34%において報告されていた(また、超高感度のDLD1カットオ
フ法を用いた場合には、同変異の保有率は54%であった)
– 追跡調査期間の中央値は、T790M陽性群では16.0ヶ月間であり、そのうちの13.1ヶ月間
において治療が継続されていた。T790M陰性患者コホートでは、追跡調査期間の中央値
は18.6ヶ月間であり、そのうち、治療継続期間は8.7ヶ月間であった
– 毒性の発生状況は予想通りであり、AEの大部分の重症度は、グレード1および2であった
Stahel et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3BA
3BA: T790M変異を伴う/伴わない、活性化上皮成長因子受容体(EGFR)変異を有する
進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者における、エルロチニブ(E)およびベバシズマブ(B)の第II相試験。
スペイン肺癌グループ(SLCG)および欧州胸部腫瘍プラットフォーム(ETOP)BELIEF試験
– Stahel RA et al
• 主要な結果(続き)
– エルロチニブ+ベバシズマブ投与下では、全体的な1年PFSは56.7%であり、PFS中央値は
13.8ヶ月間であったのに対して、T790M陽性患者群では、それぞれ72.4%および16.0ヶ月
間となっていた
100 +
+
+
+
+
++
+ ++++
++
+
80
無増悪生存率(%)
AEを発現した
患者数/各群の PFS中央値、ヶ月間
総患者数
(95%CI)
57/109
13.8 (10.3, 21.3)
++
+
+ +
+
60
40
+
20
打ち切り時点
全患者
T790M陽性
T790M陰性
全患者
+
+
T790M陽性 15/37
++
+++
T790M陰性 42/72
+++
+
+++ + + +++
+ + + + + ++
+ +
++
+
+
+ + + +++ + +++++
+
+ + ++ + +
+
++
+
+
12ヶ月PFS、%
(95%CI)
56.7 (46.0, 66.0)
16.0 (13.1、NE)
72.4 (53.4、84.7)
10.5 (9.2, 16.2)
49.4 (36.6, 61.0)
+
++ +
+ +
++
+ ++
+
0
0
2
4
6
8
10
12
14
20
22
24
26
28
30
32
34
リスクにさらされていた患者数
109 102
95
全患者
36
32
T790M陽性 37
66
63
T790M陰性 72
16 18
ヶ月間
86
29
57
75
25
50
54
21
33
43
19
24
35
16
19
25
9
16
18
7
11
12
5
7
11
5
6
7
3
4
5
2
3
4
2
2
2
1
1
0
0
0
21
8
13
Stahel et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3BA
3BA: T790M変異を伴う/伴わない、活性化上皮成長因子受容体(EGFR)変異を有する
進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者における、エルロチニブ(E)およびベバシズマブ(B)の第II相試験。
スペイン肺癌グループ(SLCG)および欧州胸部腫瘍プラットフォーム(ETOP)BELIEF試験
– Stahel RA et al
• 主要な結果(続き)
– 1例の患者を除く全ての患者において、腫瘍退縮が認められた
– CRが認められた患者の割合は、T790M陽性患者群では8.1%であり、T790M陰性患者群では5.6%
となっていた。PRが認められた患者の割合は、各群において、それぞれ62.2%および73.6%となっていた
100
ベースライン時からの変化率(%)
80
60
40
20
PD
SD
PR
CR
全患者
T790M陽性 T790M陰性
CR
7 (6.4)
3 (8.1)
4 (5.6)
PR
76 (69.7)
23 (62.2)
53 (73.6)
SD
18 (16.5)
9 (24.3)
9 (12.5)
PD
3 (2.8)
0 (0.0)
3 (4.2)
NE
5 (4.6)
2 (5.4)
3 (4.2)
0
-20
-30
-40
-60
-80
-100
Stahel et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3BA
3BA: T790M変異を伴う/伴わない、活性化上皮成長因子受容体(EGFR)変異を有する
進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者における、エルロチニブ(E)およびベバシズマブ(B)の第II相試験。
スペイン肺癌グループ(SLCG)および欧州胸部腫瘍プラットフォーム(ETOP)BELIEF試験
– Stahel RA et al
• 結論
– エルロチニブ+ベバシズマブ併用療法は、管理可能な毒性を示し、患者全体および
T790M陽性患者群双方において観察されたPFSは、近似しており、有望なものであった
– こうした全般的な試験結果は、JO25567試験の結果とも一致している。JO25567試験で
は、EGFR変異のあるNSCLCを有するアジア人患者において、ベバシズマブ+エルロチニブ
併用投与下で、PFSに関する有意な恩恵が確認されていた
– 本試験の結果は、NSCLCおよび活性化EGFR変異を有する白人患者において、第一選
択療法としてのベバシズマブ+エルロチニブ併用投与を行うことの妥当性を支持している
Stahel et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3BA
進行NSCLC
根治治療不能のステージIIIおよびIV
第二選択以降
516: Her-1を発現している進行再発性/難治性非小細胞肺癌を有する患者に対する
免疫療法としての、キメラ抗原受容体導入T細胞 – Feng K-C et al
• 研究の目的
– 進行再発性/多剤耐性Her-1陽性NSCLCにおける、Her-1を標的とするCART細胞につ
いて、安全性、実現可能性および有効性を評価すること
• 試験デザイン
– Her-1発現(>50%)が認められ、ECOG基準によるPSスコアが0~2で、2サイクル以上の
化学療法または標的化治療について奏効性が認められなかった、組織学的検査により確
定診断された進行NSCLCを有する患者を対象とする、第I相臨床試験
– Her-1陽性の進行再発性/難治性NSCLC患者に対して、移植前化学療法の併用下また
は非併用下で、CART-Her-1細胞が投与された
– 自家CART-Her-1細胞が、50~80mLの末梢血から、10~12日間にわたるin vitroでの
増殖後に採取され、流出量の管理基準として、CAR発現T細胞の総数が1x106/kgに設
定された
– 臨床的な奏効性について、RECIST 1.1規準に基づく評価が実施された
– Her-1陽性細胞の頻度を算出するために、IHC染色法が用いられた
CART = キメラ抗原受容体導入T細胞
Feng et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 516
516: Her-1を発現している進行再発性/難治性非小細胞肺癌を有する患者に対する
免疫療法としての、キメラ抗原受容体導入T細胞 – Feng K-C et al
• 主な結果
– 評価可能患者11例のうち、2例ではPRが得られ、5例では2~8ヶ月間にわたるSDが認め
られた
– 2例の患者から採取された生検腫瘍組織において、CART細胞投与下におけるHer-1陽性
腫瘍細胞の病理学的根絶が観察された(1例の患者に由来する画像を以下に示してある)
注入後1ヶ月目
注入後3.5ヶ月目
Feng et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 516
516: Her-1を発現している進行再発性/難治性非小細胞肺癌を有する患者に対する
免疫療法としての、キメラ抗原受容体導入T細胞 – Feng K-C et al
• 主要な結果(続き)
– CART-Her-1細胞の注入は、良好な忍容性を示し、重度の毒性の発生は認められなかった
グレード1~2
グレード3~4
有害事象
n
%
n
%
発疹/ざ瘡/皮膚乾燥
2
18.2
0
0
悪心
1
9.1
0
0
嘔吐
1
9.1
0
0
呼吸困難
4
36.4
0
0
低血圧
1
9.1
0
0
血清アミラーゼ上昇
1
9.1
0
0
血清リパーゼ上昇
0
0
1
9.1
• 結論
– Her-1を標的とするCART免疫細胞の養子移入プロトコールは、安全かつ実現可能であり、
Her-1陽性の進行再発性/難治性NSCLC患者において、興味深い活性を示す
Feng et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 516
3015: 化学療法および完全切除術は、同時性・孤発性転移を呈するステージIVの
NSCLC患者において、生命予後の予測因子となっている – Toffart AC et al
• 研究の目的
–
同時性・孤発性転移(SIM)のみられるステージIVのNSCLC患者において、施行された治療ごとに生命予後
を評価すること
• 試験デザイン
–
この後ろ向きの解析では、Grenoble Teaching HospitalのMultidisciplinary Thoracic Oncology Group
のデータベースを利用して、SIMのみられるステージIVのNSCLC(1993年よりも後に治療されたもの)を有する
患者において、検討が行われた。データは、1980~2012年の期間についてスクリーニングされた
–
主要な予後因子となっている診断時の特性[性別、年齢、一般状態(PS)、組織学的分類)]、TNMステー
ジ(転移性部位に関する詳細情報を伴う)、癌治療の特性と日付、ならびに、生命予後の追跡調査に関して、
データの収集が行われた
–
OSの生存曲線は、カプランマイヤー法を用いてプロットされ、ログランク検定法を用いて群間で比較された。多
変量解析にはCoxモデルが用いられた
• 主な結果
–
データベースに登録された6,760例のNSCLC患者集団において、SIMを呈する患者109例が特定された
• 患者の96.3%では、ECOG基準によるPSスコアが0~2であった
• 患者の57.8%は腺癌を有していた
• 大部分の患者は、臨床的なTおよびN分類が≤2であった
Toffart et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3015
3015: 化学療法および完全切除術は、同時性・孤発性転移を呈するステージIVの
NSCLC患者において、生命予後の予測因子となっている – Toffart AC et al
• 主要な結果(続き)
– OS中央値は18ヶ月間(四分位範囲:9~33)であった
– 人口統計学的な予後予測因子を以下に示す
単変量解析
年齢>63歳
多変量解析
HR (95%CI)
P値
1.96 (1.27, 3.01)
2.10-3
HR (95%CI)
2.10-3
ECOG PSスコア
6.10-3
1
1
2
1.38 (0.89, 2.13)
1.25 (0.77, 2.03)
3~4
5.58 (1.93, 16.14)
7.91 (2.23, 28.03)
0~1
P値
Toffart et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3015
3015: 化学療法および完全切除術は、同時性・孤発性転移を呈するステージIVの
NSCLC患者において、生命予後の予測因子となっている – Toffart AC et al
• 主要な結果(続き)
–
治療関連の予後予測因子を以下に示す
単変量解析
HR (95%CI)
両部位に対する治癒的治療
なし
両部位に対する外科治療
一方の部位に対する放射線療法と、
もう一方の部位に対する外科治療
両部位に対する放射線療法
–
P値
4.10-3
多変量解析
HR (95%CI)
1
0.39 (0.22, 0.70)
1
0.35 (0.19, 0.65)
0.75 (0.41, 1.37)
0.80 (0.42, 1.53)
0.43 (0.12, 1.46)
0.64 (0.18, 2.26)
P値
3.10-3
性別、組織学的分類、臨床的なTおよびN分類、ならびに、転位部位については、単変量解析において、予
後との有意な相関性は認められなかった
• 結論
–
–
–
SIMを呈する、ステージIVの患者(特に、両部位に対する外科治療を受けた患者)におけるOSは、有望なもの
となっていた。化学療法は、SIMを呈するステージIVの患者の管理において、極めて重要な役割を果たしていた
SIMを呈する患者では、集学的な腫瘍委員会における専門医による決定後に、マルチモダリティによる積極的
な治療の適用を検討すべきである。これは、そうした治療が患者の予後に影響を及ぼすためである
今後は、前向きの評価とデータ収集を行っていくことが、強く求められる
Toffart et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3015
3069: ALK陽性のNSCLC患者におけるクリゾチニブによる治療失敗後の生命予後に対する
アレクチニブの影響 – Yoshida T et al
研究の目的
• クリゾチニブによる治療失敗時の進行パターン、クリゾチニブによる治療失敗後の臨床的転帰、ならびに、ク
リゾチニブによる治療失敗後の生命予後に対するアレクチニブの影響を調査すること
主要な患者選択基準
• ALK陽性NSCLC
• 最初に投与されたALK阻害薬が
クリゾチニブであった
アレクチニブ
PD
(n=49)
評価項目
• ORR、PFSおよび進行後生存率(PPS)
Yoshida et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3069
3069: ALK陽性のNSCLC患者におけるクリゾチニブによる治療失敗後の生命予後に対する
アレクチニブの影響 – Yoshida T et al
• 主な結果
– クリゾチニブによる治療後に、ORRは65%であり、PFS中央値は9.9ヶ月間であった。奏効性(CR +
PR)は、患者49例中32例において認められ、8例の患者ではSDが、さらに別の8例ではPDが観察さ
れた
• 多変量解析では、「2以上のPSスコア」および「クリゾチニブ奏効」が、PPSの有意な予測因子と
なっていることが明らかになった(それぞれ、p=0.0238およびp=0.0325)
– 病勢進行が認められた患者35例のうち、12例はアレクチニブの投与を受けていた
• PPS中央値は10.5ヶ月間であった
• アレクチニブ投与を受けた患者群では、同剤の投与を受けなかった患者群よりも、PPSが有意に長
くなっていた(4.5ヶ月間 vs. NR、p=0.0003)
• 12例のうち10例(83%)の患者では、PRが達成され(p<0.0001)、2例ではSDが認められた
• 多変量解析では、クリゾチニブによる治療失敗後のアレクチニブ投与により、PPSが有意に改善さ
れることが明らかになった[HR 0.021(95%CI 0.0001, 0.1394); p<0.0001]
• 結論
– クリゾチニブによる治療失敗後におけるアレクチニブ投与は、病勢コントロール率の有意な増加をもたら
し、クリゾチニブによる治療失敗後のALK陽性NSCLC患者における生命予後に対して、興味深い影
響を及ぼした
Yoshida et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3069
3082: 高度に選択的なc-Met阻害薬であるtepotinibと、ゲフィチニブによる併用療法は、
c-Met陽性のEGFR変異陽性NSCLCを有するアジア人患者において有効である
– Soo RA et al
研究の目的
• tepotinib+ゲフィチニブ併用療法についてMet陽性の進行NSCLC患者を対象に評価を行った試験に由
来する、第Ib相試験データを報告すること
主要な患者選択基準
• 局所進行/転移性NSCLCを有するア
ジア人患者
• ゲフィチニブによる治療の失敗歴あり
• Met陽性の状態が確認済みである
• ECOGのPSスコアが0~1
用量漸増
期間
用量確認
期間
tepotinib
300mg経口 +
ゲフィチニブ
250mg/日 q3w
(n=3)
tepotinib
500mg経口 +
ゲフィチニブ
250mg/日 q3w
(n=12)
PD
(n=15)
主要エンドポイント
• ゲフィチニブの併用下における、tepotinibの第II相
試験での推奨用量(RP2D)
副次的エンドポイント
• PKパラメータ、安全性および抗腫瘍活性
• CONFIRM anti-total c-MET [SP44] rabbit MAb(Ventana)を用いて、IHCにより確認されたMet陽性
の状態(「c-Metタンパクの過剰発現」と定義)[腫瘍細胞の大部分(≥50%)について、中程度(2+)または
高度(3+)のc-Met染色強度が認められる状態]
Soo et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3082
3082: 高度に選択的なc-Met阻害薬であるtepotinibと、ゲフィチニブによる併用療法は、
c-Met陽性のEGFR変異陽性NSCLCを有するアジア人患者において有効である
– Soo RA et al
• 主な結果
– 登録患者15例のうちの12例では、2015年6月1日に投与が中止されたが、大部分の患者におけ
る中止理由は、病勢進行であった
– いずれの用量のtepotinibの投与下でも、用量制限毒性は観察されなかった
– RP2Dとして、500mg/日が確定された
– AEの大部分は、軽度の事象であった
– 計11例(73.3%)の患者が、何らかのtepotinib関連のTEAEを発現した(3例は300mg群であり、
8例は500mg群であった)
• 全患者における発生率が20%以上であったAEは、アミラーゼ増加、下痢、食欲低下および消
化不良であった
– 治療奏効の確率は、腫瘍におけるc-Met発現レベルの増加に伴って増大していた(IHC 2+の患
者集団では、PRが1例で、SDが5例で、PDが2例で認められた;IHC 3+の患者集団では、PRが
4例で、SDが1例で、PDが1例で認められた)
• 結論
– 進行NSCLCを有するアジア人患者では、tepotinibは、ゲフィチニブの併用下において、
500mg/日という用量で投与すべきである
– 抗腫瘍効果は、c-Met発現レベルの上昇に伴って増強されると考えられるが、さらなる検証が必
要である
Soo et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3082
3105: EGFR変異陽性のNSCLC患者におけるrociletinib投与量の最適化:
TIGER-X試験に由来するベネフィット/リスク解析 – Soria JC et al
研究の目的
• 進行NSCLC患者におけるrociletinibの有効性および安全性の評価を目的とする第I/II相試験
主要な患者選択基準
rociletinib 500mg bid
(n=119)
PD
rociletinib 625mg bid
(n=236)
PD
rociletinib 750mg bid
(n=95)
PD
• 進行または再発性NSCLC
• 活性化EGFR変異
• EGFR標的化治療による治療
歴あり
R
(n=450)
評価項目
• ORR、安全性、忍容性、およびPKプロファイル
Soria et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3105
3105: EGFR変異陽性のNSCLC患者におけるrociletinib投与量の最適化:
TIGER-X試験に由来するベネフィット/リスク解析 – Soria JC et al
• 主な結果
– 用量の増量に伴うRECIST規準に基づく奏効性の向上は認められなかった
500mg bida
(n=48)
625mg bid
(n=114)
750mg bid
(n=77)
合計
(n=239)
客観的奏効率、% (95%CI)
60 (45, 74)
54 (44, 63)
46 (34, 57)
52 (46, 59)
病勢コントロール率、% (95%CI)
90 (77, 97)
84 (76, 90)
82 (71, 90)
85 (79, 89)
– 最も高率に発生したAEは高血糖であり、rociletinib 500、625および750mgのbid投与群における発
生率は、それぞれ35%、45%および59%となっていた。また、各群におけるグレード3以上の高血糖の発
生率は、それぞれ、17%、24%および36%となっていた
• 高血糖以外で特に高率な発現が認められたAEは、下痢、悪心、疲労およびQTc延長であった
– 代謝物であるM502の濃度について、rociletinib誘発性の高血糖との関連性が認められた
• 結論
– 進行NSCLC患者において、3段階全ての用量でのrociletinib投与下で、良好な忍容性が認められ、
抗腫瘍効果が認められた
– 抗腫瘍活性について、用量-反応関係は認められなかった
– 500mg bidという用量でのrociletinib投与下において、最良のリスク-ベネフィットプロファイルが認められた
a900mg
bid遊離塩基製剤からの切り替えを行った患者を含む
Soria et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3105
14LBA: 2L/3L非小細胞肺癌における、atezolizumab単剤療法とドセタキセルの比較:
無作為化第II相試験(POPLAR)に由来する、有効性、安全性および予測因子としての
バイオマーカーの主要解析 – Vansteenkiste J et al
研究の目的
• 進行NSCLC患者における、atezolizumabの有効性および安全性の検討を目的とする、第II相試験
atezolizumab
1200mg IV q3w
(n=144)
主要な患者選択基準
• 転移または局所進行NSCLC
• 第二選択または第三選択の治療の
適用
• 過去のプラチナ製剤による治療下で
病勢進行が認められた
臨床的恩
恵が認めら
れなくなる
まで
層別化
R
1:1
(n=287)
主要エンドポイント
• ITT対象集団およびPD-L1発現サブグループにお
けるOS
• PD-L1 IC発現(0 vs. 1 vs. 2 vs. 3)
• 組織学的分類(扁平上皮型 vs. 非扁平上皮型)
• 化学療法レジメンによる治療歴(1 vs. 2)
ドセタキセル
75mg/m2 IV q3w
(n=143)
PD
副次的エンドポイント
• ITT対象集団およびPD-L1発現サブグループにお
ける、PFS、ORRおよびDOR
• 安全性
Vansteenkiste et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 14LBA
14LBA: 2L/3L非小細胞肺癌における、atezolizumab単剤療法とドセタキセルの比較:
無作為化第II相試験(POPLAR)に由来する、有効性、安全性および予測因子としての
バイオマーカーの主要解析 – Vansteenkiste J et al
• 主な結果
– ITT対象集団において、atezolizumab投与は、OSの有意な改善に関連していた
• OS中央値は、atezolizumab群では12.6ヶ月間であったのに対して、ドセタキセル群では9.7ヶ月間
となっていた[HR 0.73(95%CI 0.53, 0.99), p=0.040]
• OSは、PD-L1発現レベルの上昇に伴って、増大していた
OS中央値(95% Cl)、ヶ月間
サブグループ
atezolizumab
n= 144
n (%)
0.49
TC3またはIC3
47 (16)
ドセタキセル
n = 143
15.5 (9.8、NE)
11.1 (6.7, 14.4)
15.1 (8.4, NE)
7.4 (6.0, 12.5)
0.54
TC2/3またはIC2/3
105 (37)
0.59
TC1/2/3またはIC1/2/3
15.5 (11.0、NE) 9.2 (7.3, 12.8)
198 (68)
1.04
TC0およびIC0
ITT対象集団
9.7 (6.7, 12.0)
92 (32)
N = 287
0.73
9.7 (8.6, 12.0)
12.6 (9.7,16.4) 9.7 (8.6, 12.0)
0.2
ハザード比a
atezolizumab群におけるリスクが小
ドセタキセル群におけるリスクが小
Vansteenkiste et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 14LBA
14LBA: 2L/3L非小細胞肺癌における、atezolizumab単剤療法とドセタキセルの比較:
無作為化第II相試験(POPLAR)に由来する、有効性、安全性および予測因子としての
バイオマーカーの主要解析 – Vansteenkiste J et al
• 主要な結果(続き)
–
–
–
PFSは、PD-L1発現レベルの
上昇に伴って、増大していた
AE(原因を問わない)は、
いずれの治療群においても、
96%の患者に発生していた
治療に関連したグレード3~4の
AEの発生率は、atezolizumab
群(11%)において、ドセタキセル
群(39%)よりも低くなっていた
• 結論
サブグループ
TC3またはIC3
PFS中央値(95%CI)、ヶ月間
ドセタキセル
atezolizumab
n = 143
n = 144
n (%)
47 (16)
0.60
7.8 (2.7, 12.3)
3.9 (1.9, 5.7)
3.4 (1.4, 6.9)
2.8 (1.9, 3.9)
2.8 (2.6, 5.5)
3.0 (2.8, 4.1)
1.7 (1.4, 4.2)
4.1 (2.7, 5.6)
2.7 (2.0, 4.1)
3.0 (2.8, 4.1)
0.72
TC2/3またはIC2/3
105 (37)
0.85
TC1/2/3またはIC1/2/3
198 (68)
1.12
TC0およびIC0
92 (32)
ITT対象集団
N = 287
0.94
0.2
ハザード比a
atezolizumab群におけるリスクが小 ドセタキセル群におけるリスクが小
–
未選定のNSCLC患者において、atezolizumab投与下では、ドセタキセル投与下よりOSが有意に改善していた
–
PD-L1発現レベルが比較的高い患者では、atezolizumab投与下におけるOSの改善率が相対的に大きくなっていた
•
–
腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞は、いずれも、atezolizumab投与下における生存率改善の独立した予測因
子となっていた
atezolizumabは、扁平上皮型および非扁平上皮型という双方の組織学的分類に該当するNSCLCにおいて活性を
示した。また、atezolizumabの忍容性は良好であり、化学療法とは異なる安全性プロファイルを示した
Vansteenkiste et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 14LBA
15LBA: 腫瘍組織における、IFNγ mRNA、PD-L1タンパク、およびIFNγ mRNA/
PD-L1タンパクの組み合わせの発現レベルの高値は、NSCLC患者におけるdurvalumab
(抗PD-L1抗体)単剤療法の奏効性に関連している – Higgs B et al
• 研究の目的
– 第I/II相試験に由来するデータについてポストホック解析を実施し、durvalumab(MEDI4736)の奏効
性の予測因子を特定すること
• 試験デザイン
– 1108試験は、ステージIIIB/IVの扁平上皮型/非扁平上皮型NSCLCを有する患者を登録して実施さ
れた、非無作為化、非盲検、第I/II相、多施設共同試験である
– 合計228例のNSCLC患者(102例は扁平上皮型、126例は非扁平上皮型)に対して、durvalumab
10mg/kg q2wが投与された。患者の大部分(n=201)は、治療歴を有していた
• これらの患者のうち、奏効性の評価が可能な患者は200例であった
– 予測因子となっているバイオマーカーについて評価が実施された
• 腫瘍組織中のPD-L1発現に関するIHC検査が、治療前の新鮮組織標本またはアーカイブ組織標
本を用いて実施された(SP263アッセイ; n=176)
• mRNA量が十分な凍結腫瘍標本について、100種のあらかじめ選択された遺伝子について、
Fluidigm Biomark™を用いて、プロファイリングが実施された(n=122)
• mRNAおよびPD-L1のIHCペアデータが、患者112例の生検標本について入手可能であった
Higgs et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 15LBA
15LBA: 腫瘍組織における、IFNγ mRNA、PD-L1タンパク、およびIFNγ mRNA/
PD-L1タンパクの組み合わせの発現レベルの高値は、NSCLC患者におけるdurvalumab
(抗PD-L1抗体)単剤療法の奏効性に関連している – Higgs B et al
• 試験デザイン(続き)
– バリデーション済みアッセイ(SP263)に基づくPD-L1 IHCa
• 陽性:≥25% PD-L1陽性の腫瘍細胞(強度を問わない)
• 陰性:<25% PD-L1陽性の腫瘍細胞(強度を問わない)
– 免疫に関連することが判明している遺伝子100個の発現解析
• Fluidigm Biomark
• 遺伝子(+):細胞数<25、遺伝子(-):細胞数≥25
– IFNγ遺伝子発現は、奏効性と最も高い相関性を示した(p=0.004)b
• 生物学的機能に基づく遺伝子ペアの評価が実施されたが、予測能の向上は認められなかった
– ORR(RECIST規準に基づく奏効:確定済み/未確定のCRまたはPR)
aJ
Clin Oncol 2015; 33 (suppl): abstr 8033
bPRまたはCR(遺伝子+/遺伝子++遺伝子-)と、PDまたはSD(遺伝子+/遺伝子++
遺伝子-)とを比較した予後検定における粗p値
Higgs et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 15LBA
15LBA: 腫瘍組織における、IFNγ mRNA、PD-L1タンパク、およびIFNγ mRNA/
PD-L1タンパクの組み合わせの発現レベルの高値は、NSCLC患者におけるdurvalumab
(抗PD-L1抗体)単剤療法の奏効性に関連している – Higgs B et al
• 主な結果
– ORRは、16%[32例/300例](95%CI 11, 22)であり、治療前のPD-L1発現状況は、奏効性に影響
を及ぼしていた。すなわち、PD-L1陽性患者群では、ORRが27%[23例/84例](95%CI 18, 38)で
あったのに対して、PD-L1陰性患者群では、5%[5例/92例](95%CI 2, 12)となっていた
– PD-L1およびIFNγの発現状況別のORRを図に示す
100
ORR (%)
80
60
46
40
27
33
20
11
13
3
0
PD-L1
陽性
陰性
陽性
陰性
陽性
陰性
IFNγ
陰性
陽性
陽性
陽性
陰性
陰性
陽性率
37%
35%
18%
19%
22%
41%
Higgs et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 15LBA
15LBA: 腫瘍組織における、IFNγ mRNA、PD-L1タンパク、およびIFNγ mRNA/
PD-L1タンパクの組み合わせの発現レベルの高値は、NSCLC患者におけるdurvalumab
(抗PD-L1抗体)単剤療法の奏効性に関連している – Higgs B et al
• 主要な結果(続き)
– ベースライン時からの腫瘍サイズの変化を、治療前のIFNγ mRNA/PD-L1発現状況別に、以下に示す
ベースライン時からの
平均最良変化
-29.2%
1.9%
2.6%
10.8%
PD-L1
IFNγ
ベースラインからの最良変化率(%)
陽性(+)
n-/n=18/21
n-/n=5/17
n = ベースライン時および追跡調査期間中の1回以上のスキャンが
得られていた全患者;n- = 腫瘍退縮が認められた患者
n-/n=10/27
陰性(-)
n-/n=8/30
Higgs et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 15LBA
15LBA: 腫瘍組織における、IFNγ mRNA、PD-L1タンパク、およびIFNγ mRNA/
PD-L1タンパクの組み合わせの発現レベルの高値は、NSCLC患者におけるdurvalumab
(抗PD-L1抗体)単剤療法の奏効性に関連している – Higgs B et al
• 結論
– ポストホック解析では、NSCLC患者において、IFNγおよびPD-L1の発現の有無/発現レベルが、
durvalumabの奏効性の予測因子となっていることが示唆された
• PD-L1陽性の患者では、PD-L1陰性の患者よりも、良好な奏効性が認められた
• 同様に、IFNγ mRNA陽性の患者では、全体的な奏効性が、IFNγ mRNA陰性の患者よりも良好
となっていた
• IFNγおよびPD-L1双方が陽性の患者では、durvalumab投与によって恩恵が得られる確率が、こ
れらのバイオマーカーが陰性の患者よりも、さらに高くなっていた
– これらの観察所見を検証するために、さらなる前向きの試験の実施が求められる
Higgs et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 15LBA
3010: 進行非扁平上皮型(non-SQ)非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象に、
ニボルマブ(NIVO)について、ドセタキセル(DOC)との比較を行う、第III相、無作為化試験
(CheckMate 057): サブグループ解析および患者報告結果(PRO)– Horn L et al
研究の目的
• 進行非扁平上皮型NSCLC患者において、ニボルマブの有効性および安全性について、ドセタ
キセルとの比較検討を行うこと
主要な患者選択基準
ニボルマブ 3mg/kg q2w
(n=292)
• ステージIIIB/IVの非扁平上皮型
NSCLC
• ECOG PSスコアが0~1
• 1種以上のプラチナ製剤ベースの化学療
法の失敗歴
• 維持療法の施行歴は容認された
• ALK転座またはEGFR変異陽性の患者
におけるTKI投与歴は容認された
(n=582)
主要エンドポイント
• OS
R
PD/
毒性
層別化
• 維持療法の施行歴
• 治療が第何選択か(第二選択 vs. 第三選択)
ドセタキセル 75mg/m2 q3w
(n=290)
PD/
毒性
副次的エンドポイント
• ORR、PFS、安全性、有効性(PD-L1の発現
状況別)、PRO
Horn et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3010
3010: 進行非扁平上皮型(non-SQ)非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象に、
ニボルマブ(NIVO)について、ドセタキセル(DOC)との比較を行う、第III相、無作為化試験
(CheckMate 057): サブグループ解析および患者報告結果(PRO)– Horn L et al
• 主な結果
– 第18ヶ月の最新データから、生存期間の中央値が変化していないことが明らかになった(ニ
ボルマブ群では12.2ヶ月間 vs. ドセタキセル群では9.4ヶ月間)
– 第18ヶ月のOS率は、ニボルマブ群において、ドセタキセル群よりも高くなっていた[39% vs.
23%、HR 0.72(95%CI 0.60, 0.88);p=0.0009]
100
mOS、ヶ月間
1年OS率、%
18ヶ月OS率、%
HR (95%CI)
OS (%)
80
60
12ヶ月OS
ニボルマブ
ドセタキセル
(n=292)
(n=290)
12.2
9.4
51
39
0.73 (0.59, 0.89)
p=0.0015
18ヶ月OS
ニボルマブ
ドセタキセル
(n=292)
(n=290)
12.2
9.4
51
39
39
23
0.72 (0.60, 0.88)
ポストホック解析においてp=0.0009
1年OS率 = 51%
40
18ヶ月OS率 = 39%
1年OS率 = 39%
20
18ヶ月OS率
= 23%
ニボルマブ
ドセタキセル
0
0
3
6
9
12
15
18
21
ベースラインからの経過時間(ヶ月)
24
27
30
Horn et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3010
3010: 進行非扁平上皮型(non-SQ)非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象に、
ニボルマブ(NIVO)について、ドセタキセル(DOC)との比較を行う、第III相、無作為化試験
(CheckMate 057): サブグループ解析および患者報告結果(PRO)– Horn L et al
• 主要な結果(続き)
– 客観的奏効率は、様々なベースライン時パラメータ(年齢、性別、ECOG基準によるPSスコアなど)に
基づいて層別化されたサブグループの大部分で、ニボルマブ群において、ドセタキセル群よりも良好となっ
ていた。ドセタキセル群における客観的奏効率が、ニボルマブ群よりも良好となっていたサブグループは、
喫煙習慣およびEGFR変異の保有状況に基づいて層別化されたサブグループのみであった。
– ニボルマブ投与群では、PD-L1の発現状況に関わらず、患者における臨床的恩恵が認められたが、恩
恵の大きさは、腫瘍におけるPD-L1発現が認められた患者群において、より大きくなっていた(ニボルマブ
群におけるOSは17.7~19.9ヶ月間であったのに対して、ドセタキセル群では8.0~9.0ヶ月間であった)
– ニボルマブは、ドセタキセルと比較して、良好な安全性プロファイルを示した(治療に関連したグレード3~
4のAEを経験した患者の割合は、ニボルマブ群では10%であったのに対して、ドセタキセル群では54%と
なっていた)。また、ニボルマブの安全性プロファイルは、先行試験で認められた安全性プロファイルに一致
していた
• 結論
– 治療歴のある進行非扁平上皮型NSCLC患者を対象とした、18ヶ月間わたる追跡調査において、ニボ
ルマブは、OSの改善という点において、持続的にドセタキセルに対する優越性を示していた
– ニボルマブの安全性プロファイルは、ドセタキセルと比較して良好であり、先行試験の所見と一致していた
Horn et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3010
3011: CheckMate 017試験でニボルマブまたはドセタキセルの投与を受けた進行扁平上皮型
非小細胞肺癌患者における全般的な健康状態の評価 – Reck M et al
• 研究の目的
– 扁平上皮型NSCLC患者における生活の質(QOL)に対するニボルマブの影響について、ドセタキセ
ルとの比較検討を行うこと
• 試験デザイン
– CheckMate 017試験は、進行扁平上皮型NSCLC患者において、第二選択療法としてのニボルマ
ブ3mg/kg q2w投与(n=135)の有効性および安全性について、ドセタキセル75mg/m2 q3w投与
(n=137)との比較により評価検討を行う、無作為化、非盲検、第III相試験として実施された
– 投与期間中の健康状態について、ニボルマブ投与群ではq4wの頻度で、ドセタキセル群ではq3wの
頻度で6ヶ月間にわたって評価が行われ、さらにその後はq6wの頻度で評価が実施されたほか、投与
期間終了後の2回の来院日においても、健康状態の評価が行われた
– 生活の質(QOL)は、EQインデックス(0~1の段階評価)およびEQ-VAS(1~100の段階評価)を
用いて評価された。これらの評価尺度では、スコアが高いほど、健康状態はより良好な状態にあると
いうことになる
– 臨床における最小重要差(MID)は、EQ-5Dについては0.08点以上であり、EQ-5D VASについては
7点以上である
EQ-5Dインデックス = EuroQOL Groupの選好に基づく健康状態
効用インデックス;EQ-VAS = EuroQOLビジュアル・アナログ・スケール
Reck et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3011
3011: CheckMate 017試験でニボルマブまたはドセタキセルの投与を受けた進行扁平上皮型
非小細胞肺癌患者における全般的な健康状態の評価 – Reck M et al
• 主な結果
–
EQ-5Dを用いた評価では、ニボルマブ投与群の患者において、投与期間中に、健康状態の安定または改善が示唆さ
れたのに対して、ドセタキセル群の患者における平均変化値からは、健康状態の安定または悪化が示唆された
–
ニボルマブの投与を継続した患者では、人口集団における標準的健康状態の回復が認められた
平均EQ-5D効用インデックス・スコア
1.0
0.9
一般的人口集団における標準a
0.8
0.7
肺癌患者における標準(英国ベース):0.67b
0.6
ニボルマブ
ドセタキセル
0.5
0.4
0
ニボルマブ(n = 97)
ドセタキセル(n = 89)
97
88
12
50
32
24
32
9
30
36
42
48
54
60
32
5
週
21
5
18
4
13
4
13
2
8
1
aBharmal
bPickard
M, Thomas J 3rd. Value Health 2006; 9: 262–71;
AS, et al. Health Qual Life Outcomes 2007; 5: 70
Reck et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3011
3011: CheckMate 017試験でニボルマブまたはドセタキセルの投与を受けた進行扁平上皮型
非小細胞肺癌患者における全般的な健康状態の評価 – Reck M et al
• 主要な結果(続き)
– EQ-5Dインデックス・スコアのベースラインからの変化値はMIDを超えており、ニボルマブ投与下では第42
週よりも後に改善が得られていたのに対して、ドセタキセル投与下では第36週時に悪化が認められたこ
とが明らかになった
– 疾患関連のQOL悪化の初回発生までの期間は、ニボルマブ群において、ドセタキセル群よりも長くなっ
ており、EQ-5Dインデックスについては、HR(95%CI)が0.55(0.36, 0.84)であり、EQ-VASについては
0.59(0.40, 0.87)となっていた
– 第12週までのLCSS症状負荷インデックスを用いた評価では、臨床的意義のある改善が認められた患
者の割合は、ニボルマブ投与群では20.0%であり、ドセタキセル投与群では21.9%となっていた
• 結論
– 全般的な健康状態のベースライン時からの平均変化の評価では、ニボルマブ群では健康状態の安定ま
たは改善が示唆されたのに対して、ドセタキセル群では、健康状態の安定または悪化が示唆された
– ニボルマブ群で観察された、一般的人口集団における標準的健康状態の回復は、通常の生活の再開
によって、生存期間の延長が生ずることを示唆している
– ニボルマブ群の患者における健康状態の悪化速度は、ドセタキセル群における悪化速度よりも、有意に
遅くなっていた
MID = 臨床における最小重要差
Reck et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3011
33LBA: KEYNOTE-001試験に登録された、治療歴のある進行非小細胞肺癌(NSCLC)
患者(Pts)における、ペムブロリズマブ(Pembro; MK-3475)の有効性および安全性
– Soria JC et al
研究の目的
• KEYNOTE-001試験に登録された、治療歴のあるNSCLC患者において、ペムブロリズマブの有効性およ
び安全性を評価すること
ペムブロリズマブ
10mg/kg q3w
PD
ペムブロリズマブ
10mg/kg q2w
PD
PD-L1陰性かつ
1種以上の治療の施行歴あり
(n=43)
ペムブロリズマブ
10mg/kg q2w
PD
PD-L1陽性またはPD-L1陰
性、かつ、
2種以上の治療の施行歴あり
(n=38)
ペムブロリズマブ
10mg/kg q3w
PD
PD-L1陽性かつ
2種以上の治療の施行歴あり
(n=33)
ペムブロリズマブ
10mg/kg q3w
PD
PD-L1陽性かつ
1種以上の治療の施行歴あり
(n=55)
ペムブロリズマブ
2mg/kg q3w
PD
PD-L1陽性かつ
1種以上の治療の施行歴あり
(n=280)
主要な患者選択基準
• 治療歴のある
NSCLC患者
(n=449)
R
3:2
Soria et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 33LBA
33LBA: KEYNOTE-001試験に登録された、治療歴のある進行非小細胞肺癌(NSCLC)
患者(Pts)における、ペムブロリズマブ(Pembro; MK-3475)の有効性および安全性
– Soria JC et al
• 主な結果
– 合計55例の患者がペムブロリズマブ2mg/kg q3w投与を受け、238例が10mg/kg q3w投与を、さらに、
156例が10mg/kg q2w投与を受けた。追跡調査期間の中央値は、2mg/kg群では7.7ヶ月間(範囲:
6.4~9.7)であったのに対して、10mg/kg群では16.2ヶ月間(範囲:10.9~32.3)となっていた
– 有害事象のデータを、以下に要約してある
2mg/kg (n=55)
10mg/kg (n=394)
全てのグレード
26 (47.3)
270 (68.5)
グレード3~5
5 (9.1)
42 (10.7)
投与中止につながったAE
3 (5.5)
15 (3.8)
死に至ったAE
1 (1.8)a
1 (0.3)b
全てのグレード
8 (14.5)
53 (13.5)
グレード3~5
4 (7.3)
13 (3.3)
投与中止につながったAE
2 (3.6)
11 (2.8)
0
1 (0.3)b
治療に関連したAE、n (%)
免疫に関連したAE、c n (%)
死に至ったAE
a心肺停止;b肺臓炎;c治験医師によって判断された試験薬投与との因果関係を問わない
Soria et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 33LBA
33LBA: KEYNOTE-001試験に登録された、治療歴のある進行非小細胞肺癌(NSCLC)
患者(Pts)における、ペムブロリズマブ(Pembro; MK-3475)の有効性および安全性
– Soria JC et al
• 主要な結果(続き)
– ORRは、2mg/kg群および10mg/kg群間で近似していた
100
ORR、% (95%CI)
PD-L1 TPS ≥50%
PD-L1 TPS 1~49%
80
PD-L1 TPS <1%
合計
60
40
20
0
2mg/kg
10mg/kg
– ORRについて、ベースライン時の腫瘍のサイズが中央値を下回っていた患者群(18.5%)と、中央値を
超えていた患者群(18.9%)との間に、有意差は認められなかった
– ORRは、肝転移のある患者群(13.6%)において、肝転移のない患者群(21.2%)よりも低くなっていた
TPS = tumour proportion score(腫瘍比率スコア)
Soria et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 33LBA
33LBA: KEYNOTE-001試験に登録された、治療歴のある進行非小細胞肺癌(NSCLC)
患者(Pts)における、ペムブロリズマブ(Pembro; MK-3475)の有効性および安全性
– Soria JC et al
• 主要な結果(続き)
–
ペムブロリズマブ10mg/kgの投与を受けた患者における生命予後のデータを、以下に示す
OS
中央値、ヶ月間
(95%CI)
TPS ≥50% (n=99)
PFS
6ヶ月生存率、%
中央値、ヶ月間
(95%CI)
6ヶ月生存率、%
15.5 (10.0, NR)
71.6
5.8 (2.1, 10.3)
49.9
TPS 1~49% (n=127)
7.8 (5.8, 12.4)
57.3
2.3 (2.1, 3.4)
25.3
TPS <1% (n=68)
8.6 (5.5, 12.0)
57.1
2.1 (2.0, 4.0)
23.2
合計(n=394)
11.3 (8.8, 14.0)
63.0
3.0 (2.2, 4.0)
34.0
–
10mg/kg投与群では、奏効持続期間の中央値は、TPSスコア≥50%の患者層(23.3ヶ月間; 範囲2.1~23.3)にお
いて、TPSスコア1~49%の患者層(12.5; 1.9~12.5)およびTPSスコア<1%の患者層(NR; 1.0, 15.6)よりも長く
なっていた
• 結論
–
治療歴のある進行NSCLC患者では、ペムブロリズマブの投与に伴って、強力で持続的な抗腫瘍効果が認められた
• PD-L1 TPS≥50%の患者層では、奏効性が最も高くなっていたほか、奏効までの期間が比較的短くなっていた
–
2~10mg/kgの範囲内の複数の用量段階において、近似した安全性・有効性の結果が得られたことから、2mg/kg
q3wという用法・用量が、NSCLC患者に最も適していると考えられる
Soria et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 33LBA
他の悪性腫瘍
SCLCおよび中皮腫
515: 悪性胸膜中皮腫(MPM)を適応とする、標準的治療(SOC)としての化学療法の
併用下における、CRS-207(メソテリン標的化免疫療法薬)投与 – Hassan R et al
研究の目的
• 切除不能のMPMを有する患者において、低用量シクロホスファミド+CRS-207(腫瘍関連抗
原であるメソテリンを発現するように遺伝子操作された、生弱毒化listeria monocytogenes)
の有効性および安全性を調査すること
主要な患者選択基準
• 切除不能のMPM
コホート1: CRS-207* +
ペメトレキセド/シスプラチン†
PD
コホート2: CRS-207* +
シクロホスファミド‡
PD
• CT施行歴なし
• 年齢≥18歳
• ECOGのPSスコアが0~1
(n=38)
主要エンドポイント
• 安全性
副次的エンドポイント
• 奏効性、TTP、OS
*2回の免疫誘導のための接種(1×109 CFU)q2w + 2回の免疫増強のための接種q3w;
†6サイクルのペメトレキセド(500mg/m2)+ シスプラチン(75mg/m2)q3w;
‡200mg/m2(各回のCRS-207投与の前日)
Hassan et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 515
515: 悪性胸膜中皮腫(MPM)を適応とする、標準的治療(SOC)としての化学療法の
併用下における、CRS-207(メソテリン標的化免疫療法薬)投与 – Hassan R et al
• 主な結果
– 解析対象集団には、38例の患者が含められた。そのうち、89%の患者は男性であり、58%は
ECOG PSスコアが1の患者で、87%は上皮型MPMを有しており、年齢の中央値は71歳(範
囲:51~82)であった
– CRS-207を標準的治療(ペメトレキセド/シスプラチン)と併用した場合にも、追加的な毒性は報
告されなかった
– 評価可能な奏効性データは、38例中34例の患者で入手可能であった
– CRS-207とペメトレキセド/シスプラチンの併用下では、病勢コントロール率(PR、SDおよびCR)
は>90%であり、ORRは59%となっていた
CRS-207 + 化学療法 (n=34)
PR、n (%)
SD、n (%)
PD、n (%)
ORR、n (%)
20 (59)
12 (35)
2 (6)
32 (94)
• 結論
– CRS-207は、化学療法の併用下において、忍容可能な安全性プロファイルを示した
– 抗腫瘍活性は、化学療法のみを用いた場合よりも、はるかに高くなっていた(ペメトレキセド/シスプ
ラチンのみを用いた場合のORRは25~40%)
Hassan et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 515
3026: 中皮腫を適応とするEPP後の術後放射線療法と、非小細胞肺癌を適応とする
肺切除術の施行後における肺毒性 – Botticella A et al
• 研究の目的
–
•
•
•
胸膜肺全摘術(EPP)後に術後RTを受けたMPM患者では、肺切除術後に術後RTを受けたNCSLC患者と比較し
て、肺毒性が発生しやすいか否かを評価すること
試験デザイン
– EPP後に術後RTを受けたMPM患者(n=39)および肺切除術後に術後RTを受けたNSCLC患者(n=10)について、
後ろ向きのレビューが実施された
– MPM患者およびNSCLC患者では、それぞれ、処方線量として54Gyおよび54~66Gyが、分割線量を2Gyとして、臨
床標的体積に対して照射された
– 主要エンドポイント:肺毒性。呼吸困難については、RTの施行前、RTの終了から45日後と、その後は追跡調査の完了
時まで3ヶ月ごとに、CTCAE v.4.03を用いてグレード評価が行われ、記録された
– 線量パラメータおよび毒性(呼吸困難スコア)間の相関性について、検討が行われた
主な結果
– 急性毒性の評価が可能であった患者集団では、グレード2以上の呼吸困難を来した患者数は、MPM患者群では32
例中11例であったのに対して、NSCLC患者群では0例となっていた
– 慢性毒性の評価が可能であった患者集団では、グレード2以上の呼吸困難を来した患者数は、MPM患者群では28
例中10例であったのに対して、NSCLC患者群では0例となっていた
– 肺への平均照射線量は、MPM患者群では7.56Gy(範囲:1.6~14.8)であったのに対して、NSCLC患者群では
5.96Gy(3.2~14.5)となっていた
結論
– MPM患者群では、術後の放射線療法の施行後にグレード2以上の毒性を来した患者数が、NSCLC患者群よりも多
くなっていた。マルチモダリティ治療において放射線療法を使用する場合には、MPM患者では、線量を厳密に制限する
必要がある
Botticella et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3026
3052: 進展型小細胞肺癌患者における予防的頭蓋放射線照射 – Matutino ARB et al
• 研究の目的
– 進展型SCLC(esSCLC)患者に対する予防的頭蓋放射線照射(PCI)に関連した恩恵を評価すること
• 試験デザイン
– esSCLC患者の電子カルテ(2008~2014年)について、後ろ向きのレビューが行われた
– 全ての患者において、ベースライン時にはCNS転移陰性の評価が得られており、病勢進行の非存在下
で、4サイクル以上のプラチナ製剤ベースの化学療法が施行されていた。毒性のために化学療法を早期に
中止した患者は、除外された
– 解析は記述統計量に基づいて実施され、生存曲線はカプランマイヤー法を用いてプロットされた
• 主な結果
– 適格患者48例では、施行された化学療法のサイクル数の中央値は6であり、グレード3以上の毒性を経
験した患者の割合は31%となっていた
– 合計37.5%の患者がPCIを受けていた。化学療法の奏効率は、PCI施行患者群(100%)において、非
施行患者群(87%)よりも高くなっていた。CNS病変の再発率は、PCI施行群において、非施行群よりも
低くなっていた(それぞれ、17% vs. 53%)。第二選択療法を施行された患者の割合は、PCI施行群で
は89%であったのに対して、PCI非施行群では77%となっていた
• 結論
– PCI適用に際して、スクリーニングおよび慎重な患者選定を行うことにより、OSおよびCNS病勢コントロー
ル率が改善されうるほか、患者に対する第二選択療法の施行率を増加させうる
Matutino et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3052
7LBA: 小細胞肺癌(SCLC)における、rovalpituzumab tesirine[デルタ様タンパク3
(DLL3)標的化抗体薬物複合体(ADC)]単剤投与の安全性、有効性および奏効持続性の
評価 – Pietanza MC et al
• 研究の目的
– 再発性SCLC患者において、rovalpituzumab tesirineの安全性および活性を検討すること
• 試験デザイン
– 1または2種の治療の施行後に再発が認められたSCLC患者を登録した、ヒトにおける初めての投与を
行う第I相試験
– Rovalpituzumab tesirineは、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4および0.8mg/kg q3wという用法・用量で、1
群あたり1~3例の患者から成る複数のコホートにおいて、用量制限毒性(DLT)の発現が認められるま
で投与された
• 初回のPK解析では、ADCの半減期が予想されていた半減期(約11日間)よりも長いことが明らか
になったため、q6w投与レジメンが導入された
– アーカイブ腫瘍組織標本における抗原の発現について評価を行うために、抗DLL3抗体が開発された。
DLL3陽性(DLL3+)腫瘍は、「最大スコアが300の評価スケール上における、IHC膜関連Hスコアが
≥180」と定義された
• 主な結果
– 2015年7月の時点で入手可能であったデータセットには、79例の患者が含まれており(34 q3wおよび
45 q6w)、年齢の中央値は62歳(範囲:44~81)であった
Pietanza et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 7LBA
7LBA: 小細胞肺癌(SCLC)における、rovalpituzumab tesirine[デルタ様タンパク3
(DLL3)標的化抗体薬物複合体(ADC)]単剤投与の安全性、有効性および奏効持続性の
評価 – Pietanza MC et al
• 主要な結果(続き)
– 0.2mg/kg q3w x3サイクルおよび0.3mg/kg q6w x2サイクルという最大耐量(MTD)について、拡張コ
ホートにおいて、さらなる評価が行われた
– 10%を超える患者に発生したAEを以下に示す
0.2mg/kg q3w
0.3mg/kg q6w
0.2mg/kg q3w + 0.2mg/kg q6w
全グレード
グレード3/4
全グレード
グレード3/4
全グレード
グレード3/4
疲労
24
4
30
7
28
6
末梢性浮腫
16
–
18
2
17
1
斑点状丘疹
12
–
16
7
14
4
血小板減少症
4
–
20
14
14
9
胸水
16
12
11
–
13
4
悪心
20
–
9
–
13
–
貧血
12
–
11
2
12
1
食欲低下
–
–
18
–
12
–
紅斑
8
–
14
–
12
–
光線過敏性反応
8
4
14
–
12
1
AE、%
– 0.3mg/kg q6wという用法・用量が、第II相試験で用いるべき推奨用量として選定された
Pietanza et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 7LBA
7LBA: 小細胞肺癌(SCLC)における、rovalpituzumab tesirine[デルタ様タンパク3
(DLL3)標的化抗体薬物複合体(ADC)]単剤投与の安全性、有効性および奏効持続性の
評価 – Pietanza MC et al
• 主要な結果(続き)
– バイオマーカー解析では、DLL3発現およびORR間の関係が明らかになった(表)
Rovalpituzumab tesirine
全てのSCLC患者および用量段階
DLL3陽性SCLC患者から成る第Ib相試験コホート
全体
23
44
Hスコアの表現
高スコア(180以上)
中スコア(90~180)
低スコア(0~90)
70
11
19
第二選択療法
24
44
第三選択療法
20
45
C/Eに対して「感受性」*
28
64
C/Eに対して難治性または「抵抗性」*
16
23
ORR、%
* 1L施行下における臨床的恩恵;2Lを90日目以降に開始;** 1L施行下における臨床的恩恵;2Lを90日目よりも前に開始
– 0.3mg/kg q6w投与下での無進行下の平均追跡調査期間は、189日間強であった
• 結論
– 再発性DLL3陽性SCLC患者において、rovalpituzumab tesirineの投与は、抗腫瘍活性を示し、そ
の毒性プロファイルは管理可能なものであった
– DLL3は、SCLC患者における治療薬の有効性に相関する、初めての予測マーカーである
– 本試験の結果は、バイオマーカーを指針とする第II相試験の実施の妥当性を裏付けている
Pietanza et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 7LBA
他の悪性腫瘍
まれな腫瘍
3023: 胸腺悪性腫瘍に関する汎欧州的調査: EORTC肺癌グループ(LCG)と
RYTHMICネットワークによる共同研究 – Menis J et al
• 研究の目的
–
胸腺悪性腫瘍に対する最新の治療戦略の概要を示すこと
• 試験デザイン
–
EORTC LCGおよびRYTHMICネットワークにおいて、25項目から成る調査票が配布された
• 主な結果
–
–
–
–
–
11ヵ国の合計52名の医師が、調査票に回答した
外科的切除標本の検査が、最も高い頻度で用いられている診断法(45.4%)であり、次に高い頻度で用いら
れていた診断法はコア針生検(33.6%)および直視下生検(15.8%)であった
CAPは、胸腺腫および胸腺癌に対する第一選択療法として、優先的に用いられている化学療法である
c-キットまたはEGFR変異検査は、定期的には実施されていない
胸腺腫に対する第一選択治療の施行下における、平均ORR、PFSおよびOSは、それぞれ50.1%、13.9ヶ
月間および27.3ヶ月間であったのに対して、胸腺癌に対する第一選択治療の施行下における、平均値は、そ
れぞれ41.4%、7.9ヶ月間および16.2ヶ月間となっていた
• 第二選択療法の施行下における、対応する平均値も、胸腺腫患者群において、胸腺癌患者群よりも高
値となっていた
• 結論
–
この汎欧州的調査では、現行の治療方針に関する知見が得られており、そうした知見は、将来的な共同研究
試験を進展させる上で役立つことになるであろう
CAP = シスプラチン+ ドキソルビシン + シクロホスファミド
Menis et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3023
5LBA: 肺または消化器(GI)起源の進行非機能性神経内分泌腫瘍(NET)における
エベロリムス: プラセボ対照、二重盲検、多施設共同、第III相RADIANT-4試験に由来する
有効性および安全性の結果 – Yao J et al
研究の目的
• 進行した肺または消化器(GI)起源の進行非機能性神経内分泌腫瘍(NET)患者において、
エベロリムスの有効性および安全性を評価すること
エベロリムス10mg/日
(n=205)
主要な患者選択基準
• 高分化型(G1/G2)、進行(病理学的所見
により確定された)、進行性・非機能性の肺
またはGI起源のNET
• 活動性のカルチノイド症候群またはその既往
歴を有していない
• 放射線学的な進行から6ヶ月間以内に登録
された
(n=302)
主要エンドポイント
• PFS
*患者層A(予後良好) – 虫垂、盲腸、空腸、回腸起源
および起源不明のNET;患者層B(予後不良) – 肺、
胃、直腸、および結腸起源(盲腸を除く)
PD/
毒性/
同意の撤回
層別化
R
2:1
• SSA治療歴(あり vs. なし)
• 腫瘍の起源(患者層A vs. B)*
• WHO PSスコア(0 vs. 1)
プラセボ
(N=97)
PD/
毒性/
同意の撤回
副次的エンドポイント
• OS、ORR、DCR、安全性
Yao et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 5LBA
5LBA: 肺または消化器(GI)起源の進行非機能性神経内分泌腫瘍(NET)における
エベロリムス: プラセボ対照、二重盲検、多施設共同、第III相RADIANT-4試験に由来する
有効性および安全性の結果 – Yao J et al
• 主な結果
PFS
OS(初回中間解析)
エベロリムス:11.0ヶ月間(95%CI 9.23, 13.31)
HR 0.48 (95%CI 0.35, 0.67); p<0.00001
80
80
60
40
打ち切り時点
20
エベロリムス vs. プラセボ
HR 0.64 (95%CI 0.40, 1.05); p=0.037 (NS)*
100
プラセボ:3.9ヶ月間(95%CI 3.58, 7.43)
全生存率(%)
無増悪生存率(%)
100
60
40
打ち切り時点
20
エベロリムス(n/N=113/205)
プラセボ(n/N=65/97)
0
エベロリムス(n/N=42/205)
プラセボ(n/N=28/97)
0
0
2
4
6
8
10
12
15
18
21
24
27
30
0
2
4
6
8
10
12
ヶ月間
プラセボ
97
18
21
24
27
30
ヶ月間
リスクにさらされ続けていた患者数
エベロリムス 205
15
リスクにさらされ続けていた患者数
168
145
124
101
81
65
52
26
10
3
0
0
65
39
30
24
21
17
15
11
6
5
1
0
* p値(有意水準の限界値) = 0.0002
エベロリムス 205
プラセボ
97
195
184
179
172
170
158
143
100
59
31
5
0
94
86
80
75
70
67
61
42
21
13
5
0
Yao et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 5LBA
5LBA: 肺または消化器(GI)起源の進行非機能性神経内分泌腫瘍(NET)における
エベロリムス: プラセボ対照、二重盲検、多施設共同、第III相RADIANT-4試験に由来する
有効性および安全性の結果 – Yao J et al
• 主要な結果(続き)
– プラセボに比べ、エベロリムスはあらかじめ定めたすべてのサブグループにおいてPFSを延長し、
このような改善傾向は、異なる原発性肝腫瘍量および腫瘍の起源でも同様であった。
サブグループ
SSA治療の施行歴
あり
なし
腫瘍の起源
患者層A
患者層B
肺
GI
起源不明のNET
WHO PSスコア
0
1
肝腫瘍量
なし
≤10%
>10~25%
>25%
*患者層A(予後良好) – 虫垂、盲腸、空腸、回腸起源
および起源不明のNET;患者層B(予後不良) – 肺、
胃、直腸、および結腸起源(盲腸を除く)
n
HR (95%CI)
157
145
0.52 (0.34, 0.81)
0.60 (0.39, 0.94)
153
149
90
175
36
0.63 (0.40, 1.02)
0.43 (0.28, 0.66)
0.50 (0.28, 0.88)
0.56 (0.37, 0.84)
0.60 (0.24, 1.51)
216
86
0.58 (0.41, 0.84)
0.50 (0.28, 0.91)
48
180
37
35
0.49 (0.20, 1.20)
0.67 (0.45, 1.00)
0.62 (0.20, 1.93)
0.18 (0.06, 0.50)
Yao et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 5LBA
5LBA: 肺または消化器(GI)起源の進行非機能性神経内分泌腫瘍(NET)における
エベロリムス: プラセボ対照、二重盲検、多施設共同、第III相RADIANT-4試験に由来する
有効性および安全性の結果 – Yao J et al
• 主要な結果(続き)
投薬に関連したAE(グレードを問わない;
患者の15%以上の発生)、%
口内炎
下痢
疲労
感染症
発疹
末梢性浮腫
悪心
貧血
食欲低下
無力症
非感染性肺臓炎
味覚障害
エベロリムス(n=202)
全てのグレード
グレード3~4
63
9
31
7
31
3
29
7
27
1
26
2
17
1
16
4
16
1
16
1
16
1
15
1
プラセボ(n=98)
全てのグレード
グレード3~4
19
0
16
2
24
1
4
0
8
0
4
1
10
0
2
1
6
0
5
0
1
0
4
0
Yao et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 5LBA
5LBA: 肺または消化器(GI)起源の進行非機能性神経内分泌腫瘍(NET)における
エベロリムス: プラセボ対照、二重盲検、多施設共同、第III相RADIANT-4試験に由来する
有効性および安全性の結果 – Yao J et al
• 結論
– 肺またはGI起源の進行した高分化型・進行性・非機能性NETを有する患者では、エベロ
リムスの投与下において、統計学的有意で、臨床的な意義のあるPFS延長が認められた
– 本試験で明らかになった安全性プロファイルは、エベロリムスの既知の安全性プロファイルに
一致していた
– エベロリムスは、広範な起源のNET(膵臓、肺およびGI起源のNETを含む)において、容認
可能な忍容性のもとで、強力な抗腫瘍作用を示すことが確認された、初めての標的化治
療薬である
Yao et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 5LBA
他の悪性腫瘍
脳転移
3061: 第I/II相試験に登録された、ALK陽性NSCLCおよび頭蓋内転移を有する患者における
brigatinib(AP26113)のCNS作用の評価 – Camidge DR et al
研究の目的
• 第I/II相、単一治療群、多施設共同試験に登録された、ALK陽性NSCLCおよび頭蓋内CNS転移を有
する患者において、brigatinibの有効性および安全性を調査すること
主要な患者選択基準
• ALK陽性NSCLC
• 進行悪性腫瘍
brigatinib
(1日総投与量
30~300mg)
PD
(n=137)
主要エンドポイント
• 試験の第II相期間におけるORR
• RR
副次的エンドポイント
• 安全性、忍容性、標的病変における最良効果、
TTP、PFS、DCR、OS
Camidge et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3061
3061: 第I/II相試験に登録された、ALK陽性NSCLCおよび頭蓋内転移を有する患者における
brigatinib(AP26113)のCNS作用の評価 – Camidge DR et al
• 主な結果
– 登録患者137例のうち、ALK陽性の患者は79例であり、そのうちの50例において頭蓋内CNS転移が
認められた
ORR (CR + PR)、n (%)
CR、n (%)
PR、n (%)
DCR (CR + PR + SDa)
6ヶ月間超にわたって持続するSDa、n (%)
PD、n (%)
測定可能な(10mm以上の)頭蓋内
CNS転移病変を有する患者(n=15)
8 (53)
1 (7)
7 (47)
13 (87)
3 (20)
2 (13)
測定不能の頭蓋内CNS転移病変
のみを有する患者(n=31)
11 (35)
11 (35)
NA
29 (94)
15 (48)
2 (6)
a測定可能な頭蓋内CNS転移病変についてはSD、ならびに、測定不能の頭蓋内CNS転移病変については非CR/非PD
– ベースライン時に頭蓋内CNS転移が認められたALK陽性NSCLC患者集団において、患者の4%以上
に発生したグレード3以上の試験治療下発現有害事象は、次の通りであった:リパーゼ増加(14%);高
血圧(10%);アミラーゼ増加(6%);呼吸困難(6%);および、疲労(4%)
• 結論
– ALK陽性NSCLCおよび頭蓋内転移を有する患者では、brigatinibの投与下において、良好なORR
およびPFSを伴う、抗腫瘍活性と持続的な奏効性が認められた
– 現在、頭蓋内CNS転移を有するALK陽性NSCLC患者において、brigatinibに関する前向きの評価
が進められている
Camidge et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3061
3008: 非小細胞肺癌転移に対する全脳放射線療法にテモゾロミドを併用しても、恩恵は
得られない – Rajer M et al
研究の目的
• NSCLCの脳転移に対するWBRTに併用される、テモゾロミドの有効性および安全性を調査す
ること
主要な患者選択基準
• 細胞学的検査または組織学的
検査により確定診断された
NSCLC
• 複数の脳転移病変
テモゾロミド75mg/m2 +
WBRT 35Gy*
(n=51)
PD
WBRT 35Gy*
(n=52)
PD
R
• PSスコアが0~2
• 手術またはSRSに適していない
(n=103)
エンドポイント
• PFS、OS、症状コントロール率、安全性
*14分割で照射
Rajer et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3008
3008: 非小細胞肺癌転移に対する全脳放射線療法にテモゾロミドを併用しても、恩恵は
得られない – Rajer M et al
• 主な結果
– 試験対象となった患者103例において、男性患者は66例(64%)であり、年齢の中央値は
60歳(範囲:39~77)であった
– テモゾロミドは、予想されていた通りの毒性プロファイルを示した:
• 血小板減少症は、患者5例に発生した
• リンパ球減少症は、患者8例に発生した
• 汎血球減少症は、患者1例で発生した
• これらのAEの中に、グレード3または4のAEは無かった
Rajer et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3008
3008: 非小細胞肺癌転移に対する全脳放射線療法にテモゾロミドを併用しても、恩恵は
得られない – Rajer M et al
• 主要な結果(続き)
– PFS中央値は、WBRT+テモゾロミド併用群では3ヶ月間であったのに対して、WBRT単独
施行群では4ヶ月間となっていた(p=0.91)
1.0
++
+
累積生存率
0.8
0.6
PFS
+
++
+
+ ++
++ ++
+
RT + テモゾロミド併用群
RT単独施行群
RT + テモゾロミド併用群における打ち切り症例
の発生時点
RT単独施行群における打ち切り症例の発生
時点
+ +
p=0.91
++
0.4
+ +
+
+
++
0.2
0.0
0
10
20
30
PFS(週間)
40
50
60
Rajer et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3008
3008: 非小細胞肺癌転移に対する全脳放射線療法にテモゾロミドを併用しても、恩恵は
得られない – Rajer M et al
• 主要な結果(続き)
– OS中央値は、WBRT+テモゾロミド併用群では4ヶ月間であったのに対して、WBRT単独
施行群では9ヶ月間となっていた(p=0.61)
1.0
RT + テモゾロミド併用群
RT単独施行群
RT + テモゾロミド併用群における打ち切り症例
の発生時点
RT単独施行群における打ち切り症例の発生
時点
OS
累積生存率
0.8
0.6
+
0.4
+
+
0.2
+ +
++
+ +
+
p=0.61
+
+
+
0.0
0
10
20
30
OS(ヶ月間)
40
50
60
Rajer et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3008
3008: 非小細胞肺癌転移に対する全脳放射線療法にテモゾロミドを併用しても、恩恵は
得られない – Rajer M et al
• 結論
– 複数の脳転移病変を有するNSCLC患者において、テモゾロミドをWBRTに併用しても、生
命予後に関連した恩恵は得られなかった
– テモゾロミド+WBRT併用療法に対する忍容性は良好であったが、この併用療法の施行下
では、効果の増強は認められなかった
– こうした患者に対する至適な治療は、依然として明らかになっていない
– 脳転移病変を有するNSCLC患者における不良な生命予後と生活の質(QOL)に対処し
ていくために、今後も臨床試験を実施していく必要がある
Rajer et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3008
3009: CNS転移歴を有するEGFR変異陽性NSCLC患者におけるrociletinibの活性
– Varga A et al
研究の目的
• CNS転移歴を有するEGFR陽性NSCLC患者におけるrociletinibの有効性および安全性の
調査を目的とする第I/II相試験
主要な患者選択基準
• 進行または再発性EGFR陽性
NSCLC
• EGFR標的化治療の施行期間
中にPDが認められた
• 試験登録時の生検において
T790M陽性の結果が得られた
• 治療施行歴のある無症候性
CNS転移は容認された
第II相試験拡張コホート
rociletinib 500mg bid
(n=119)
PD*
rociletinib 625mg bid
(n=236)
PD*
rociletinib 750mg bid
(n=95)
PD*
(n=450)
主要エンドポイント
• ORR
*臨床的に必要とみなされる場合には、rociletinib投与の継続が認められている
Varga et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3009
3009: CNS転移歴を有するEGFR変異陽性NSCLC患者におけるrociletinibの活性
– Varga A et al
• 主な結果
– これまでに、450例の患者が、第II相TIGER-X試験に登録されてきている。それらの患者のうち、女性
の割合は66%、ECOG PSスコアが0の患者の割合は28%、登録直前にTKI投与を受けた患者の割
合は82%、CNS転移歴のある患者の割合は41%であり、年齢の中央値は63歳であった
500mg bid (n=119)
625mg bid (236)
750mg bid (n=95)
高血糖
35
45
59
下痢
33
40
30
悪心
19
34
37
疲労
19
28
30
QTc延長
13
23
26
食欲低下
15
16
25
筋痙攣
14
13
21
嘔吐
8
16
14
体重減少
10
9
17
AE(10%超の患者に発生)、%
– 10%超の患者(17%)に発生したグレード3以上のAEは、高血糖のみであった
Varga et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3009
3009: CNS転移歴を有するEGFR変異陽性NSCLC患者におけるrociletinibの活性
– Varga A et al
• 主要な結果(続き)
– rociletinib投与下におけるORRは、CNS転移歴のある患者群(45%)と、CNS転移歴の
ない患者群(58%)との間で近似していたが、データ収集は現在も進行中である
100
80
60
合計(N=107)
ORR、%
DCR、%
40
20
0
–20
–40
–60
–80
–100
CNS転移歴あり
データ収集が進行中
45
75
CNS転移歴のない患者について
中央で確認されたT790M陽性
ベースライン時のSLDからの変化率(%)
ベースライン時のSLDからの変化率(%)
CNS転移歴のある患者について
中央で確認されたT790M陽性
100
80
60
合計(N=107)
ORR、%
58
DCR、%
92
40
20
0
–20
–40
–60
–80
–100
CNS転移歴なし
データ収集が進行中
Varga et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3009
3009: CNS転移歴を有するEGFR変異陽性NSCLC患者におけるrociletinibの活性
– Varga A et al
• 主要な結果(続き)
– 病勢進行の14日以上後における持続的なrociletinib投与下では、投与期間の中央値は、脳放射線
療法を受けた患者群(93日間)において、脳放射線療法を受けなかった患者群(69日間)よりも長く
なっていた
初回PD後に脳放射線療法を受けなかった患者
(n=30; 500、625または750mg bid)
初回PD後に脳放射線療法を受けた患者
(n=19; 500、625または750mg bid)
投与継続期間(週間)
投与継続期間(週間)
0
3 (c2) 9 (c4) 15 (c6) 21 24 (c9) 30 33(c12)39 42(c15)48 51(c18)57 60
投与継続期間の中央値:
PD後69日間
PD前
PD後
患者30例中11例(36.6%)においてPD後も投与継続
0
3 (c2) 9 (c4) 15 (c6) 21 24 (c9) 30 33 (c12) 39 42(c15)48 51(c18) 57 60
投与継続期間の中央値:
PD後93日間
PD前
PD後
患者19例中6例(31.6%)においてPD後も投与継続
Varga et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3009
3009: CNS転移歴を有するEGFR変異陽性NSCLC患者におけるrociletinibの活性
– Varga A et al
• 結論
– 正式な比較は行われなかったが、rociletinib投与下における奏効率は、CNS転移歴の有
無による影響を受けないものと考えられる(CNS転移歴は、不良な予後に関連する場合が
多い因子の一つである)
– CNS転移歴を有する患者では、CNS病変の進行率が、CNS転移歴を有さない患者より
も高くなる可能性がある
– 病勢進行後にCNS放射線療法を受けた患者では、rociletinibの投与下において、頭蓋外
の病変について、持続的な病勢コントロールが達成される可能性がある
– rociletinibは、全般的に良好な忍容性を示した
– CNS転移を有するNSCLC患者におけるrociletinibの役割については、進行中のTIGER
臨床開発プログラムにおいて、さらなる調査が行われている
Varga et al. Ann Oncol 2015; 26 (suppl 6): abstr 3009