ミクロ経済学 (13)マクロ経済学とGDP 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2012年7月16日 復習1 今得たお金を将来のために取っておく行為を貯蓄と いう 複利は前の期の元利合計に利子が付く 利子率の上昇は来年の消費は今年の消費に 比べ有利になる 利子率が上昇すると借り入れによる消費は難しくな る. 2012/7/16 ミクロ経済学 13 2 ミクロとマクロ 1. ミクロは虫眼鏡 2. マクロは望遠鏡 言い換えると 1. ミクロ経済学 (microeconomics)-企業や消費者 に焦点を当てる,経済の小さい単位で考える 2. マクロ経済学(macroeconomics)-経済全体の動 きを分析する,日本経済等 経済全体の動きをどう捕らえるか? 2012/7/16 ミクロ経済学 13 3 マクロ経済学の目的 1. 日本経済全体をどう診断するか 2. 経済全体の状態を良くする 1. 高い経済成長率 2. 低い失業率 3. インフレーションやデフレーションがない 分かり易く言うと 1. たくさん消費したい=高い経済成長 2. 失業者にはなりたくない=低い失業率 3. 安く買いたい=低いインフレ率 2012/7/16 ミクロ経済学 13 4 日本と日本人 日本は先進8カ国の一員 最も評判が高い国 人口は国の基本 生産のためには労働が不可欠 少子高齢化 2006年に初めて人口が減少 晩婚化で子供を生まなくなった 他の先進国と比べて日本の人口はどのくらい 2012/7/16 ミクロ経済学 13 5 日本の人口 2011年の日本人の人口は約127,000,000人 人口推計 http://www.stat.go.jp/data/jinsui/ 100年前,1910年(明治43年)の日本の人口はど のくらいだと思いますか? 約4900万人 日本の人口はこの100年間に2.6倍増えました 2012/7/16 ミクロ経済学 13 6 千人 日本の人口 140,000 120,000 100,000 日本 80,000 60,000 40,000 20,000 1820 1827 1834 1841 1848 1855 1862 1869 1876 1883 1890 1897 1904 1911 1918 1925 1932 1939 1946 1953 1960 1967 1974 1981 1988 1995 2002 0 年 出所:Angus Maddison http://www.ggdc.net/maddison/ 2012/7/16 ミクロ経済学 13 7 5大国の人口(2008年) 千人 350,000 304,228 300,000 250,000 200,000 150,000 127,288 100,000 60,944 82,370 64,058 50,000 0 日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス 出所:Angus Maddison http://www.ggdc.net/maddison/ 2012/7/16 ミクロ経済学 13 8 5大国の人口の推移 千人 300,000 250,000 200,000 150,000 日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス 100,000 50,000 1820 1828 1836 1844 1852 1860 1868 1876 1884 1892 1900 1908 1916 1924 1932 1940 1948 1956 1964 1972 1980 1988 1996 2004 0 年 出所:Angus Maddison http://www.ggdc.net/maddison/ 2012/7/16 ミクロ経済学 13 9 国の豊かさを測る 1860年では日英米独仏は同じ人口 生産できれば豊かになる .どっちが豊か? 1. うまい棒1000個生産 2. うまい棒500個生産 イチローがうまい棒を作る.【生産】 ↓ 真央ちゃんが食べる,美味しい 【付加価値】 生産と付加価値は表裏一体 2012/7/16 ミクロ経済学 13 10 生産と付加価値 国の生産力=国内総生産 GDP 一年間である国がうまい棒を何本生産できるか =何個食べられるか 国内総生産は付加価値の合計と深く関係している 国全体の生産物をどう集計するか? うまい棒 1万本,クルマ800万台,米 900万トン,かき 氷 1万杯 2012/7/16 ミクロ経済学 13 11 国内総生産 うまい棒,クルマ,米,カキ氷 etc 様々な財(うまい棒,クルマ)をどう測る? 最終的な財の金額を合計すればよい 国内総生産 GDP Gross domestic product ある国内での一定期間に市場向けに生産されたす べての最終的な財とサービスの総貨幣価値 自動車部品,うまい棒屋への小麦粉は中間財 2012/7/16 ミクロ経済学 13 12 生産と支出・所得 イチローがうまい棒を作る. 所得=10円 ↑ 真央ちゃんが食べる.代金の支払い=10円 総産出量を測るには最終支出を見るのが便利 うまい棒 100万円,クルマ10兆円,米 100億円,かき 氷 200万円 経済全体の総産出量=100万円+10兆円+100億円 +200万円=10兆100億300万円 2011年の名目GDPは? 468兆円 2012/7/16 ミクロ経済学 13 13 国内総生産(支出側) 500,000 499,147 400,000 505,543 506,687 503,725 498,855 503,903 501,209 512,975 481,773 471,139 300,000 200,000 100,000 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2012/7/16 ミクロ経済学 13 14 10億ドル 5大国の名目GDP(2008年,USドル) 16,000.00 14,441.43 14,000.00 12,000.00 10,000.00 8,000.00 6,000.00 4,886.96 4,000.00 2,684.22 3,673.11 2,866.83 2,000.00 0.00 日本 アメリカイギリス ドイツ フランス 出所:IMF World Economic Outlook Database 2010 2012/7/16 ミクロ経済学 13 15 なぜ最終的な財とサービスなのか? – – – – 中間にヨドバシカメラ パナソニックは20000円の費用でデジカメを作った ヨドバシカメラに25000円で販売 それをヨドバシカメラは消費者に30000円で売る 2012/7/16 経済主体 金額 パナソニック 20,000 ヨドバシカメラ 25,000 消費者 30,000 ミクロ経済学 13 16 中間にヨドバシカメラ/2 2012/7/16 ミクロ経済学 13 17 パナソニックが消費者に直販 – パナソニックは20000円の費用で作ったデジカメを 消費者に30000円で直接販売する 2012/7/16 経済主体 金額 パナソニック 20,000 消費者 30,000 ミクロ経済学 13 18 パナソニックが消費者に直販/2 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 パナソニック 2012/7/16 ミクロ経済学 13 消費者 19 最終的な財やサービスの意味 どちらも一台のデジカメ=付加価値 どちらも消費者は30000円を支払っている →最終支出で測ったGDPは30000円 中間業者の売り上げを入れると 25000+30000=55000 同じ一台のデジカメなのにGDPは大きくなる 中間業者の売り上げはカウントしない 最終的な消費や投資だけをGDPに組み入れる 2012/7/16 ミクロ経済学 13 20 結婚の経済学 花嫁を売る跡見っ子.王子は花婿を売る 美貌,性格の良さ,頭の良さ 【様々な制約】 お見合いパティー,合コン 【市場】 働く,家事,子育て 【時間配分】 一緒に過ごすと楽しい時間=余暇 晩婚化,少子化の原因:女性の社会進出→所 得の上昇→結婚の機会費用の上昇 所得額が高いほど結婚率も高くなる 老人未婚者の死亡率は既婚者の2倍 高収入な男性が、求める女性、敬遠する女性 2012/7/16 ミクロ経済学 13 21 名目と実質 うまい棒を100個生産して価格10円で売れた 名目GDP=10 × 100 =1000円 値段が11円に上昇した 名目GDP=11 × 100 =1100円 生産量は変化なし.名目GDPは増加. 名目=金額で考える,実質=数量で考える 実質GDPは価格変化の影響を取 り除いたGDP 540兆円 2012/7/16 ミクロ経済学 13 22 実質国内総生産(支出側) 10億円 500,000 512,513.00 536,762.20 504,047.50 400,000 505,369.40 560,650.80 519,299.80 539,899.60 547,709.30 526,577.70 554,117.60 300,000 200,000 100,000 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2012/7/16 ミクロ経済学 13 23 国の豊かさを測る ある国でたくさん生産できれば豊かになる 人が多すぎると困る.どっちが豊か? 1. うまい棒500個生産,人口が12人 2. うまい棒500個生産,人口が134人 1人当たりの生産力=国の人口1人当たりの実 質GDP 1人当たりの平均的に利用可能な財とサービス に注目 国民1人当たりうまい棒が何個もらえるか 2012/7/16 ミクロ経済学 13 24 人口 120,000,000 100,000,000 127,767,994 127,291,000 127,619,000.00 変わらない? 2010年は注意 127,692,273 128,056,026 80,000,000 60,000,000 40,000,000 20,000,000 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2012/7/16 ミクロ経済学 13 25 1人当たり実質GDP 万円 500 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 439 434 429 420 407 422 396 397 402 412 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2012/7/16 ミクロ経済学 13 26 1人当たりのGDP,グラフの工夫 1人当たりの実質GDPで見ると下落は小さい 実質で測ると回復は早い,2005年レベル回復 サラリーマンの平均年収は400万円だった 0から始まると違いが分からない 様々な工夫が必要 途中からグラフを書く.例:人口1億人から 増加率を表示する 2012/7/16 ミクロ経済学 13 27 実質国内総生産(支出側) 570,000 554,118 536,762 550,000 560,651 526,578 530,000 547,709 504,048 510,000 519,300 512,513 490,000 539,900 505,369 470,000 450,000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2012/7/16 ミクロ経済学 13 28 経済成長 前の年より豊かになったかが重要だ 普通,国の人口は僅かでも増えていく 経済全体の産出量よりもその増加率が重要な 成長率=増加率 毎年2%の増加率は2倍は35年かかる 毎年1%だと70年かかる 今年のGDP-去年のGDP 今年のGDP成長率= × 100 去年のGDP 2012/7/16 ミクロ経済学 13 29 経済成長率 小数点第2 位を四捨五 入せよ 2009 年の実質GDPは 519兆円 2010 年の実質GDPは540兆円 2010年の日本の実質GDPの成長率は? 4.0% 540 - 519 × 100 2010年のGDP成長率= 519 21 = × 100 = 2100 ÷ 519 519 = 4.046 ≒ 4.0 2012/7/16 ミクロ経済学 13 30 実質国内総生産成長率 6.0 4.0 2.0 0.0 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 -2.0 -4.0 -6.0 -8.0 2012/7/16 ミクロ経済学 13 31 ドル 国民1人当たりの実質GDP(2007年) 50000 42897.41884 45000 40000 35000 32176.28226 31302.89922 30587.48054 30000 29632.25749 25000 20000 15000 10000 5000 0 日本 2012/7/16 アメリカ イギリス ミクロ経済学 13 ドイツ フランス 32 45000 5大国の国民一人当たりのGDPの推移 40000 35000 30000 ドル 25000 日本 20000 アメリカ 15000 イギリス 10000 ドイツ 5000 フランス 1970 1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 0 年 出所: Penn World Table http://pwt.econ.upenn.edu/ 2012/7/16 ミクロ経済学 13 33 支出アプローチ 最終財に対する需要を金額で表示して合計 モデルで簡単化 1. 日本の住民,外国の住民 国内需要,外国需要 → 内需と外需 2. 民間と政府 民間需要,公的需要 → 民需,公需 3. 消費と投資 今満足を得て無くなる財(うまい棒) 将来の生産に役立つ財(うまい棒用焼き物機) 2012/7/16 ミクロ経済学 13 34 生産をブレイクダウン 供給=需要 国内総生産+輸入=民需+公需+外需 民需=消費+投資 公需=政府購入 外需=輸出 (外国人は日本の財を買いたい) 消費等には外国の財も含まれる 国内総生産+輸入=消費+投資+政府購入+輸出 2012/7/16 ミクロ経済学 13 35 最終財アプローチ 1. 2. 3. 4. 主体を考える 消費者 民間部門 企業 政府 公的部門 外国 日本 世界 国内総生産=消費+投資+政府購入+輸出-輸入 2012/7/16 ミクロ経済学 13 36 重要な公式 1. 2. 3. 4. 5. 6. 消費(consumption) C 投資(investment) I 政府購入(government) 輸出(export) X 輸入(import) M 純輸出:X-M G GDP=C+I+G+X-M 2012/7/16 ミクロ経済学 13 37 復習1 マクロ経済学は経済全体の動きを分析する その目的:高い経済成長,低い失業率,低い インフレ率 国内総生産 GDP Gross domestic product 2012/7/16 ミクロ経済学 13 38 復習2 ある国内での一定期間に市場向けに生産され たすべての最終的な財とサービスの総貨幣価 値 消費 consumption C 投資 investment I 政府購入 government G 輸出 export X 2012/7/16 ミクロ経済学 13 39 復習3 輸入 import GDP=C + I + G + X – M 2012/7/16 M ミクロ経済学 13 40
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