はじめに

「 グ ロ ー バ ル 経 済 」
超 短 期 資 本 の 是 非
このパネルの狙い
第一回
グローバル経済の歪みを見つけ、証明し
第二回
それらの問題点を解決できる具体策を見つけ、提示する
焦点 : ヘッジファンドに代表される超短期資本の是非
手法 : ヘッジファンドの是非を三つの論点から討論する
1.「90年代を通した資金フローとその問題点」
2.「90年代経済危機」に見る「政治・経済均衡の崩壊」
3.「LTCM危機」に見る「巨大短期資本崩壊による世界経
済危機の可能性」
経済の無秩序な膨張と資金フローの歪さ
国際資本移動が求め
られていた時代背景
1990年当時の資金需要
•
• 旧ソ連、ドイツ、東欧圏
• 中東、その他の地域
世界各国で巨額な資金
需要があった。
90年前半のアメリカ実体経
済の衰退~対応の不備~
• 莫大で短期的資本が必 •
要とされていた。
• 必然的に物の需要が非
常に高かった。
コンピューターテクノジー
の発展、ヘッジファンドの
必要性
• 通信技術、計算能力
向上、インターネット
• C・Tの発展に伴い、金
融工学理論が発達
巨額な債務問題、商業
銀行の弱体化、経常収
支の赤字により、アメリカ • 国際的で巨額な短期
経済が弱体化、金融へ
資金を流すシステムを
の遅れをとることに。
構築
ヘッジファンドの大規模化、
ヘッジファンドに代表される現代金融の必要性は確実にあった
現代経済の危険性
~国際資本に占める短期資本の偏った増加~
国際金融市場の規模
経済・金融危機発生回数
0
87
88
89
90
91
92
93
94
95
96
97
97
96
95
94
140
120
100
80
60
40
20
0
120
100
80
60
40
20
1988年
1990年
1992年
1994年
1996年
8
1
年
8
3
年
8
5
年
8
7
年
年代
8
9
年
年代
ヘッジファンドの運用預かり総資産額の推移
10億ドル
120
100
よって、ヘッジファンド
に代表される短期資
本に正当性はない
93
金額(10億ドル)
140
0
1986年
全体のうち、銀行貸出のみ(銀行間預金は除く)
全体(銀行貸出、ユーロ・ノート及び債券発行によるファイナンスの合計額)
アメリカにおけるジャンクボンド発行額
世界におけるデリバティブ取引の増加
兆
ド
ル
98
92
1
91
回数 2
90
3
89
9000
8000
7000
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
88
4
87
金額(10億米ドル)
1986
近年、世界的な経済
危機に発展する恐れ
のある金融・経済危
機が多発している。
そしてそれらは、デリ
バティブ・ジャンク債
といった大きな危険
性をはらんだ短期資
本の増加により起き
ている無秩序な金融
の発達により生じて
いる。
80
60
40
20
0
1991年 1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年
年代
9
1
年
9
3
年
9
5
年
9
7
年
「欧州通貨危機」に見る経済の修正機能
• 経済には経済要因を無視した
歪んだ政治決定に対して、修正
機能がある。
• ヘッジファンドを代表する短期
資本の流入が1992年の欧州通
貨危機を引き起こしたと言われ
るが、これは歪んだ政治決定に
よってなされた、イギリスの
ERM加盟に対して経済の力が
それを是正した良例と言える。
危機以来、英はERMを離脱し、
自由な金融政策を取る事が可
能に。→景気回復
イギリス失業率と
インフレ率
失業率
インフレ率
12
10
8
6
4
2
0
87 88 89 90 91 92 93 94 95
タイのバーツ危機を通してみる
ヘッジファンドの危険性
経済のファダメンタルズの脆弱性を
みつけ、的確な投機行動を起こす
タイの銀行の対外負債率の推移
比率(%)
800
700
バーツ危機の場合
アジアから1兆ドルが消える
失業者3000万人に
17%価値の下落
600
500
400
300
200
100
0
90
91
92
93
94
95
96
97
世界の株式市場の増減
年
100
50
0
ス
メリ
カ
ス
イ
ス
フ
ラ
ン
ベ ス
ル
ギ
ー
ドイ
ツ
イ
タ
リ
ア
国
湾
本
リ
中
ギ
ア
イ
台
日
タ
イ
香
港
ドネ
シ
ア
フ
ィリ
ピ
ブ ン
ラ
ジ
ル
ン
イ
ア
シ
韓
ー
レ
マ
世界的な危機に波及しかけた事実
-50
国
株価
-100
欧州の場合は偶然 防衛に成功
ヘッジファンドの力は、政治経済を修
正するはずの経済の均衡を大きく越
えて、起爆的に経済破綻や政治の混
乱に陥れる相当なもの。
もし、このような危機が偶然
多発したら、、、、、?
LTCM破綻と世界経済との非関連性
• 破綻後のLTCMの迅速
な立ち直り
• アメリカの経済はLTCM
破綻の影響を受けず、
好況を持続
• そのアメリカ経済を支え
ているのは、金融部門
の躍進
• 途上国における短期資
本の重要性
•
ヘッジファンド破
綻が起こす経済危機の
リスクよりも、資本規制
による弊害の方が大き
い
LTCMの預かり資産額
預
か
り
資
産
額
:
億
ド
ル
60
50
40
30
20
10
0
1
2
3
4
5
6
7
8
月
9
10 11 12
1
2
3
200
150
長期投資
短期投資
100
50
0
90
91
92
93
94
95
96
LTCMの破綻を通じて
過熱した金融市場の破綻による経済危機の可能性
現存する金融市場システム
におけるヘッジファンド及びそ
れによる影響により、世界経
済をも破綻させるリスクを
持っている。それを回避する
には金融市場システム自体
の再考が必要である。
4000
LTCM破綻前後の米国銀行の
純利益格差
3500
純 3000
利 2500
益
( 2000
100
1.LTCM破綻は単なる1ヘッジ
ファンドの破綻ではない
2.DREAMTEAMの破綻はヘッ
ジファンド全体の危険性を意
味する
3.政府によるLTCM救済は、原
則を破ることによりモラルハ
ザードを生じる危険性を持つ
1500
万 1000
ド
ル 500
) 0
-500
1
2
3
4
5
6
7
-1000
米国大手商業銀行・投資銀行