主観的価格評価モデル

未竣工不動産に対する早期売買予約(プリコミットメント)の
適正オファー価格の考察
~不動産ファンドの物件取得における戦略的プライシングモデル~
修論プレ発表会
2006年1月10日
IM04F017
西村 隆太郎
研究の概要 (1/2)
2
研究の背景
不動産投資マーケットの
過熱
難しくなる不動産ファンド
運用の舵取り
未竣工不動産への
早期売買予約という戦略
・好調なJ-REIT
・プライベートファンドの乱立
(投資マネーの大量流入)
・物件取得競争の激化
・より競争力ある物件取得戦略
立案の必要性
研究テーマ
この際のプライシングは
どのように理論構成すべきか?
プライシングモデル構築の基本思想
【ポイント①】
プリコミットすることによって放棄される
オプション(将来の柔軟性)価値の考慮
【ポイント②】
買い手の既存ポートフォリオ・ポジション
に基づいた主観的バリューを考慮
伝統的な不動産鑑定評価で捕捉しきれない視点をフォローし、
プライシングの実務的課題に応えることを目指す。
鑑定評価は、
・Option性の不考慮
・物件単体の客観的価値を評価
研究の概要 (2/2)
3
プライシングモデルの仮説式
プリコミットメント価格
=
竣工後稼動状態の不動産価格の現在価値
-
放棄するOptionバリューの現在価値
+
買い手の既存ポートフォリオポジションに基づく主観的価値
具体的な評価式を構築
その評価式を使って
プライシングのシミュレーションを実施
プリコミットメント価格の定式化 (一般モデル)
未竣工物件に対するプリコミットメント価格はどのように定式化すべきか?
<設定>
現在時点:t=0
竣工時点:t=1
対象不動産の売買価格 P
将来CFの現在価値 S
Option性の認定
現在から竣工時点までの期間、売り手と排他的・独占的に対象不動産の売買交渉
が出来るポジションにある買い手は、投資タイミングについて「今(t=0)買う」か「t=1まで
待って買う」かを選択するオプションを保有していると考えられる。
現実の例) 優先交渉権の保有、排他的に知りうる情報の保有etc.
4
プリコミットメント価格の定式化 (一般モデル)
時点
対象不動産の売買価格 P
(=権利行使価格)
~
対象不動産の将来CFの現在価値合計 S
(=原資産価格 :確率変数)
~
オプション・ペイオフ X
5
t=0
t=1
P0
P1
~
S1
~
PV0 (S1 )
~
PV0 ( X1 )
~
~
X 1  Max [ S1  P1 ,0]
【プリコミットメントと投資延期のNPV】
① t=0においてプリコミットする場合のNPV
② t=1まで投資延期する場合のNPV
~
PV0 (S1 )  P0
~
PV0 ( X1 )
投資意思決定問題0
If ①>②
→
今(t=0)、プリコミットする
①<②
→
t=1まで待つ
プリコミットメント価格の定式化 (一般モデル)
6
ここで、P0=PV0(P1) と仮定すると、
<仮定>
P1 : 一定
~
~
~
Max[ S1  P1 ,0]  S1  P1  Max[ P1  S1 ,0]
① プリコミットする場合のNPV
~
PV0 ( S1 )  P0
この直観的解釈は何か?
P>Sのときにプリコミットすると蒙る損失を
カバーする保険機能(プットオプション)
② 投資延期する場合のNPV
~
PV0 [ Max[ S1  P1 ,0]]
~
~
 PV0 [ S1  P1 ]  PV0 [ Max[ P1  S1 ,0]]
~
~
 PV0 [ S1 ]  PV0 [ P1 ]  PV0 [ Max[ P1  S1 ,0]]
~
~
 PV0 [ S1 ]  P0  PV0 [ Max[ P1  S1 ,0]]
この分だけ1期待つ方が価値が
高いことが自明。
プリコミットメント価格の定式化 (一般モデル)
投資意思決定問題1
プリコミットメントのNPV
常に成立
1期待つNPV
~
~
~
PV0 (S1 )  P0  PV0[S1 ]  P0  PV0[Max[ P1  S1 ,0]]
1期待つ方が価値が高いことは自明
それでもプリコミットメントが行われている現実世界のモチベーションは何か?
競合の状況によって、竣工まで待ったら買えないかもしれないという実情
どのようにモデリングするか??
7
プリコミットメント価格の定式化 (一般モデル)
8
マーケットの競合状態をモデルに追加
時点 P0
対象不動産の売買価格 P
(=権利行使価格)
~
対象不動産の将来CFの現在価値合計S
(=原資産価格 :確率変数)
~
X
オプション・ペイオフ
t=0 ~
PV0 ( S1 )
~
PV0 ( X 1 )
t=1 P1
~
S1
~
~
X 1  Max [ S1  P1 ,0]
~
X1  0
非競合確率
(π)
(1-π)
t=1時点でP1で購入できる確率がπ
(競合しない確率=「非競合確率」)
プリコミットメント価格の定式化 (一般モデル)
9
投資意思決定問題1
プリコミットメントのNPV
1期待つNPV
~
~
~
PV0 (S1 )  P0  PV0[S1 ]  P0  PV0[Max[ P1  S1 ,0]]
競合状況のモデル化(非競合確率πの導入)
~
 X 1  Max[ S1  P1 ,0] ( )

(1   )
 X1  0
投資意思決定問題2
プリコミットメントのNPV
<
=
>
~
PV0 (S1 )  P0
1期待つNPV

~
~

 PV0 [S1 ]  P0  PV0[Max[ P1  S1 ,0]]
πの水準、すなわち将来の競合状態によってプリコミットす
べきか1期待つべきかの意思決定は変わり得る
プリコミットメント価格の定式化 (一般モデル)
10
求めたいのは、投資意思決定問題2の式で、左辺>右辺となるP0の閾値
~
PV0 ( S1 )  P0
  
~
  PV0 S1  P0
 
~
 PV0 Max P1  S1 ,0
  
~
~
(1   )( PV0 ( S1 )  P0 )   PV0 Max P1  S1 ,0
~
PV0 ( S1 )  P0
 P0



~

PV Max P  S ,0 
1

0
~
 PV0 ( S1 ) 
1
1
~

PV Max P  S ,0  【評価式1】
1

0
1
1
買い手によるプリコミットメントのオファー価格P0は、将来CFの現在
価値合計(右辺第1項)から、プットオプション価値(右辺第2項)を控
除した価格より低くなければならない。
但し、プットオプション価値はt=1の競合状態に応じて変化するため、
P0は非競合確率πの関数として表現される。
プリコミットメント価格の定式化 (一般モデル)
11
⇒ グラフでイメージすると・・・
競合状況によるP0 及びオプションプレミアムの推移
価格
~
PV0 ( S1 )
オプションプレミアム
プリコミットメント
価格P0
0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
1
非競合確率π
πが1に近づくにつれ、すなわちt=1まで待っても購入できる確率が高くなるにつれ、
投資延期オプションの価値が高まり、t=0でプリコミットする機会費用(放棄するオ
プション価値)は大きくなる。⇒すなわち、P0は低くなる。
プリコミットメント価格の定式化 (一般モデル)
12
評価式1を状態価格を用いて表現する
P0
~
 PV0 ( S1 ) 
~

PV Max P  S ,0 【評価式1】
1

0
1
1
~
~
~
確率変数 S1 の現在価値 PV0 (S1 ) 、及び PV0 Max P1  S1 ,0 を
状態価格ψを用いて表現
t=1
t=0
yj
yn
・・・
~
PV0 (S1 )
y1 S11
y2 S12
S1 j  P1
高
価格
 
~
PV0 Max P1  S1 ,0

・・・
n
y
s 1
s
S 1s
S1n
低
n
y (1  r ) P
s j
s
0
 S1s 
プリコミットメント価格の定式化 (一般モデル)
  

~
~
 PV0 ( S1 ) 
PV0 Max P1  S1 ,0
1

P0
P0

n
y
s 1
s
S 1s 

n
1
y (1  r ) P
s
s j

13
【評価式 1】  S 1s 
0
これをP0について解くと、状態価格表現による【評価式2】を得る
n
 n
 n
P0 
y s (1  r ) P0  y s S1s 
y s S 1s


1   s j
1   s j
s 1


1


 1

y s (1  r ) P0

s j

n
n
 P0

y
s 1
s
1
S 1s 

1
n
y

s 1

s j
n
s j
S 1s 
1
n
y
s j
s
S 1s
ここで、状態価格ψはどのように
与えられるか?
n
y

1
y
s

s
s
S 1s
(1  r )
【評価式 2】
⇒ 対象不動産はマーケットで取
引の対象となっておらず、市場価
格が存在しない(不完備市場)。
従ってψは外生的に与えられない
ので、ψは買い手の選好に応じて
主観的に決定されると考える。
プリコミットメント価格の定式化 -主観的価格評価モデルへ-
評価式2の状態価格
買い手(不動産ファンドを想定)がすでに一定のポートフォリオを持って
いることを前提とし、これに対象不動産を追加する場合の買い手の効
用を最大化する状態価格を求める。
この状態価格を評価式2に代入して求まるP0は、特定の買い手にとっ
ての主観的価格である。
買い手の選好を反映した状態価格による定式化
(主観的価格評価モデル)
14
プリコミットメント価格の定式化 -主観的価格評価モデルへ-
<買い手の富W>
W0
<買い手の効用関数>
p1
p2
W11
W12
pn
・
・
・
u 0 (W0 )  W0
1
u1 (W1s )  aW1s  bW12s
2
a  0, b  0
W1n
U (W )  u 0 (W0 )  E[u1 (W1s )]
n
 u 0 (W0 )   p s u1 (W1s )
s 1
但し、psは生起確率
<初期保有量e>
但し、
p1
p2
e11
e12
pn
・
・
・
e1n
<対象不動産のペイオフS>
P0
W1s  [W0 , W11 , W12 ,..., W1n ]T
<予算制約>
(投資家の既存ポートのもたらすペイオフ)
e0
15
p1
p2
S11
S12
pn
・
・
・
S1n


W0 

W  W  e   ( S y  S y )
0
11 11
12 12 

 11  0


Y (y , e)  W  W12 





  W1s  e1s  S1s






W1n 
 は投資単位
<効用最大化問題(投資決定問題)>
Max U (W )
s.t. W  Y (y , e)
プリコミットメント価格の定式化 -主観的価格評価モデルへ-
<効用最大化問題(投資決定問題)>
<買い手の富W>
W0
p1
p2
W11
W12
pn
・
・
・
n
 Max u 0 (W0 )   p s u1 (W1s )
s 1
W1n
<初期保有量e>
(投資家の既存ポートのもたらすペイオフ)
p1
p2
e11
e12
pn
・
・
・
e1n
<対象不動産のペイオフS>
P0
p1
p2
S11
S12
pn
・
・
・
S1n
s.t. W  Y (y , e)
Max U (W )
n
n
s 1
s 1
 u 0 (e0   y 1s S1s )   p s u s (e1s  S1s )
但し、psは生起確率
e0
16
n
u 0 W0
u1 W1s
F .O.C.

  ps

0
W0 

W


s 1
1s



 n
 n
1    y s S1s    p s (a  bW1s )  S1s  0
 s 1
 s 1
状態価格
n
 n

 y s   p s (a  bW1s )S1s  0
u s
s 1
 s 1

ps
n
n
s 1
s 1
 y s   p s (a  bW1s )  0
 ys

p s (a  bW1s )
W1s
u 0
W0
プリコミットメント価格の定式化 -主観的価格評価モデルへ-
n
P0

y s S1s 
s 1
1

1

 
~
E mS1
n
1
y s S1s
s j
【評価式 2】 但し、mは状態価格デフレータで、次の
とおりである。
n
y s (1  r )
s j
 ~
~
E mS 
17
ms

ys
ps
 a  bW1s
よって、E mS1 は以下のようになる。
1


~ ~
 E (a  bW1 ) S1
~
~ ~
 aE S1  bE S1W1
~
~
~ ~
~
 aE S1  b E S1 E W1  Cov S1 ,W1
~
~ ~
~
 E S1 a  b W1  bCov S1 ,W1
   
        
   
 
ys
買い手の選好を考慮した主観的価格評価モデル
   

~
~ ~
~
E S1 a  b W1  bCov S1 , W1
P0

1 

1



n
1
n
 p (a  bW
s j
s
1s
 p (a  bW
s j
s
)(1  r )
1s
) S 1s
【評価式3】
プライシング式を使ったシミュレーション
18
■仮想ファンドの想定ポートフォリオ
プリコミット時点
物件番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
所在
東京都
東京都
東京都
東京都
東京都
東京都
東京都
東京都
東京都
東京都
物件番号 所在
既存ポート 10物件
対象物件 東京都
2005/8/1
タイプ
目黒区
Compact
渋谷区
Compact
港区
Single
渋谷区
Compact
中央区
Single
世田谷区 Compact
港区
Family
渋谷区
Compact
港区
Compact
江東区
Family
タイプ
混在
千代田区 Single
価格
3,550
1,450
1,010
2,310
1,240
1,460
1,840
900
1,940
5,000
20,700
月数
1
2
Weight
A ug-00
Sep-00
17.1%
0.26% -1.65%
7.0%
2.55% -3.99%
4.9% -2.46%
3.64%
11.2%
2.55% -3.99%
6.0%
0.91% -2.30%
7.1%
2.32%
1.04%
8.9% -0.62% -0.59%
4.3%
2.55% -3.99%
9.4% -1.53%
1.20%
24.2%
0.66%
0.87%
100.0%
0.68% -0.80%
月数
1
2
価格
Weight
A ug-00
Sep-00
20,700
93.2%
0.68% -0.80%
1,500
6.8% -0.28%
8.92%
60
Return
σ
-0.24%
-0.16%
0.36%
-0.16%
0.19%
0.00%
0.05%
-0.16%
-0.05%
0.04%
-0.04%
3.49%
4.46%
6.42%
4.46%
4.41%
4.85%
0.83%
4.46%
2.53%
0.84%
1.33%
0.07%
-3.98%
Return
σ
-0.04%
-0.06%
共分散
相関係数
1.33% (既P&対象)
6.00% -0.0030%
-0.038
-0.20%
-0.04%
Jul-05
-2.57%
2.44%
-1.03%
2.44%
-1.36%
0.73%
0.75%
2.44%
-0.01%
-0.09%
0.07%
60
Jul-05
(新P&対象)
購入後
11物件
混在
22,200
100.0%
0.61%
-0.14%
1.29%
0.0214%
0.277
プライシング式を使ったシミュレーション
対象不動産の価格の確率過程の設定
 ln S
  s t
19
既存ポートフォリオの価格の確率過程の設定
  s Z1
 ln e   e t
S :対象不動産の価格
 s :対象不動産の月次期待対数収益率
 s :対象不動産のボラティリティ
e :既存ポートフォリオの価格
 e :既存ポートフォリオの月次期待対数収益率
 e :既存ポートフォリオのボラティリティ
t :取得時点までの月数
Z1 :正規変数
Z 2 :正規変数
ここで、Z1 は期待値ゼロ、分散 t の正規分布に従う
確率変数であり、次式で表される。
Z 1  x1  t
但し、x1 は標準正規確率変数
ln S1s
S1s
 ln S0
  e Z 2
ここで、Z 2 は期待値ゼロ、分散 t の正規分布に従う
確率変数であり、次式で表される。
Z 2  x 2  t
但し、x2 は標準正規確率変数
  ln S
ln e1s
 exp(ln S1s )
e1s
t=1(竣工時点)における買い手の富
W1s  e1s  S1s
 ln e0
  ln e
 exp(ln e1s )
プライシング式を使ったシミュレーション
20
効用関数の設定
買い手のt=1(竣工時点)の効用
パラメータa,bを適当な水準に設定
但し、a>0、b>0、a/b<W1s を満たす
60,000
50,000
効用U(Ws)
1
U1 (W1s )  aW1s  bW12s
2
効用関数グラフ
U (W s)=aW s-0.5bW s^2
40,000
30,000
20,000
10,000
0
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
富W s
a=2
b=0.00004
→a/b=50,000
状態価格ψの設定
ys

p s (a  bW1s )
プライシング式を使ったシミュレーション
21
<評価式3>
シミュレーションで導出
シミュレーションで導出
   
ys

~
~ ~
~
E S1 a  b W1  bCov S1 , W1
P0

1 




n
p (a  bW

1
s j
n
p (a  bW

1
s j
s
1s
s
)(1  r )
ys
シミュレーションで導出
10,000回のシミュレーションを行い、各パーツを計算
⇒ 確率πの関数としてプリコミット価格P0の閾値を導出
1s
) S1s
プライシング式を使ったシミュレーション
22
シミュレーションの実行
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
プレコミット価格P0
1,800
1,700
1,600
1,500
1,400
1,300
1,200
1,100
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
プライシング式を使ったシミュレーション
23
比較静学分析
プライシングモデルのパラメータを変化させると、P0の振る舞いにどのように影響するか?
① 対象不動産と既存ポートフォリオの相関係数の変化
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
-Sとeの相関係数の変化によるグラフ推移-
1,700
プリコミット価格P
0
1,600
-0.038(original)
-1
-0.5
0.5
1
1,500
1,400
1,300
1,200
1,100
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
結論:相関が低いほど、買い手はより高いオファー価格を提示する。
→ よりポートフォリオの充実に寄与すると判断される(主観的価値が大きい)
プライシング式を使ったシミュレーション
24
比較静学分析
プライシングモデルのパラメータを変化させると、P0の振る舞いにどのように影響するか?
② リスク回避度bの変化
効用関数グラフ
U (W s)=aW s-0.5bW s^2
80,000
70,000
効用U(Ws)
60,000
b=0.0004
b=0.00045
b=0.0005
b=0.00055
b=0.0006
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
0
10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000
富W s
プライシング式を使ったシミュレーション
25
比較静学分析
プライシングモデルのパラメータを変化させると、P0の振る舞いにどのように影響するか?
② リスク回避度bの変化
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
-リスク回避係数bの変化によるグラフ推移-
2,800
2,600
プリコミット価格P
0
2,400
b=0.0004
b=0.00045
b=0.0005
b=0.00055
b=0.0006
2,200
2,000
1,800
1,600
1,400
1,200
1,000
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
確率π
0.7
0.8
0.9
1.0
結論:リスク回避度が高い(bが大きい)買い手ほど、より高いオファー価格を提示する。
プライシング式を使ったシミュレーション
26
比較静学分析
プライシングモデルのパラメータを変化させると、P0の振る舞いにどのように影響するか?
③ 富の飽和水準a/bの変化 (bは不変)
効用関数グラフ
U(
W s)=aW s-0.5bW s^2
140,000
120,000
効用U(Ws)
100,000
a/b=40,000
a/b=50,000
a/b=60,000
a/b=70,000
a/b=80,000
80,000
60,000
40,000
20,000
0
0
20,000
40,000
60,000
富W s
80,000
100,000
プライシング式を使ったシミュレーション
27
比較静学分析
プライシングモデルのパラメータを変化させると、P0の振る舞いにどのように影響するか?
③ 富の飽和水準a/bの変化 (bは不変)
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
-効用関数の飽和水準の変化によるグラフ推移-
3,500
プリコミット価格P
0
3,000
a/b=40,000
a/b=50,000
a/b=60,000
a/b=70,000
a/b=80,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
結論:飽和水準の大きい買い手ほど、より高いオファー価格を提示する。
→ 規模の拡大に対するより強い選好によって、積極的に買いに出る
事例データにおけるインプライドπから読むマーケット環境
28
11事例のプリコミット価格P0をプライシング式に当てはめ、実際に認識されていた確率π(イ
ンプライドπ)を求める。
事例番号
銘柄
1
2
PIC
PIC
プレミアステージ プレミアステージ
物件名
日本橋茅場町
三田慶大前
所在地
東京都中央区
東京都港区
プリコミット日
2003/9/29
2004/3/26
取得日
2004/3/31
2004/11/30
建物竣工日
2004/3/31
2004/11/30
プリコミット時期
6.1ヶ月前
8.3ヶ月前
取得価格
2,430百万円
1,580百万円
鑑定評価額
2,550百万円
1,680百万円
ディスカウント率
-4.7%
-6.0%
月当たり
-0.767%
-0.717%
3
PIC
プレミアブラン
代々木公園
東京都渋谷区
2005/1/31
2005/7/20
2005/6/30
5.7ヶ月前
2,330百万円
2,330百万円
0.0%
0.000%
松友商事
シードコーポレーション
野村不動産
4
5
PIC
PIC
プレミアステージ プレミアステージ
内神田
市ヶ谷河田町
東京都千代田区 東京都新宿区
2005/3/23
2005/4/15
2005/9/30
2005/7/29
2005/9/30
2005/7/29
6.4ヶ月前
3.5ヶ月前
1,724百万円
1,460百万円
1,980百万円
1,510百万円
-12.9%
-3.3%
-2.031%
-0.946%
デベロッパー三信
明豊
エンタープライズ
6
7
8
NRC
NRC
NRC
パシフィックレジデンス パシフィックレジデンス パシフィックレジデンス
物件名
水道橋
築地
文京千石
所在地
東京都千代田区 東京都中央区
東京都文京区
プリコミット日
2004/6/16
2005/2/28
2005/2/28
取得日
2005/2/25
2006/3/31
2005/6/1
建物竣工日
2004/12/31
2005/12/31
2005/4/1
プリコミット時期
8.5ヶ月前
13.2ヶ月前
3.1ヶ月前
取得価格
2,330百万円
1,320百万円
1,558百万円
鑑定評価額
2,260百万円
1,370百万円
1,540百万円
ディスカウント率
3.1%
-3.6%
1.2%
月当たり
0.366%
-0.276%
0.377%
9
NRC
パシフィックタワー
目黒山手
東京都品川区
2005/3/31
2007/3/31
2007/2/28
24.3ヶ月前
14,508百万円
15,100百万円
-3.9%
-0.161%
10
NRC
パシフィックタワー
三宮東
神戸市
2005/3/31
2005/12/1
2006/3/31
8.2ヶ月前
2,247百万円
2,250百万円
-0.1%
-0.016%
11
NRC
パシフィックタワー
六本木
東京都港区
2005/4/12
2006/3/31
2006/2/28
11.8ヶ月前
8,443百万円
8,443百万円
0.0%
0.000%
売主
グランタワー
特定目的会社
日商岩井不動産
セコムホームライフ
売主
モリモト
事例番号
銘柄
住友不動産
丸紅
パンテオン地所
事例データにおけるインプライドπから読むマーケット環境
29
■P IC による「日本橋茅場町」取得時のポートフォリオ
取得公表日
2003/9/26
物件番号
1
2
3
4
5
6
名称
サンパレス南麻布
パークアクシス四谷ステージ
パークアクシス明治神宮前
キャビンアリーナ赤坂
ビューロー紀尾井町
キャビンアリーナ南青山
物件番号
名称
既存ポート 6物件
対象物件 プレミアステージ日本橋茅場町
所在
東京都港区
東京都新宿区
東京都渋谷区
東京都港区
東京都千代田区
東京都港区
タイプ
Family
Compact
Compact
Compact
Compact
Single
所在
タイプ
混在
Single
東京都中央区
価格
1,150
5,208
2,604
1,330
1,840
1,070
13,202
月数
1
2
Weight
Jun-99
Jul-99
8.7%
1.75%
0.52%
39.4% -1.53% -1.20%
19.7%
0.27% -4.42%
10.1%
0.66%
2.15%
13.9%
1.41%
1.70%
8.1%
5.42% -8.22%
100.0%
0.30% -1.51%
月数
1
2
価格
Weight
Jun-99
Jul-99
13,202
83.8%
0.30% -1.51%
2,550
16.2%
4.75%
1.07%
50
Jul-03
51
A ug-03
-0.91% -0.26%
1.05%
0.71%
-2.17% -0.73%
0.11%
1.29%
3.42% -2.12%
-4.49% -12.91%
0.03% -1.10%
50
Return
σ
0.06%
-0.24%
-0.32%
-0.16%
-0.17%
0.05%
-0.19%
0.88%
1.60%
3.86%
2.36%
2.53%
6.55%
1.11%
共分散
相関係数
1.13% (既P&対象)
4.18% -0.0073% -0.1577
51
0.03%
1.74%
-1.10%
-0.15%
Return
σ
-0.19%
0.01%
0.31%
-0.94%
-0.16%
Jul-03
A ug-03
(新P&対象)
購入後
7物件
混在
15,752
100.0%
1.02%
-1.09%
効用関数の設定
1
U1 (W1s )  aW1s  bW12s
2
1.07%
0.0216%
効用関数グラフ
140,000
120,000
100,000
80,000
a=1.26
b=0.0000063
→a/b=200,000
60,000
40,000
20,000
0
0
50,000
100,000
150,000
200,000
250,000
0.4927
事例データにおけるインプライドπから読むマーケット環境
30
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
3,000
2430
プレコミット価格P0
2,900
2,800
2,700
2,600
2,500
●
2,400
2,300
2,200
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
0.899
2,430百万円というプリコミット価格において、買い手が認識していたと推定
されるインプライドπは0.899
事例データにおけるインプライドπから読むマーケット環境
31
PICによる5事例
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
3,000
2,000
2,900
1,950
1,900
2,800
2,700
2,600
2,500
●
2,400
1,800
1,750
●
1,700
1,650
1,550
2,200
1,500
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
三田慶大前
0.0
0.1
1,900
1,530
1,800
1,510
1,700
1,600
●
1,500
1,400
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
市ヶ谷河田町
プレコミット価格P0
プレコミット価格P0
1,850
1,600
2,300
1,490
1,470
●
1,450
1,430
1,300
1,410
0.0
0.1
2,350
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
0.8
0.9
1.0
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
代々木公園
●
2,300
プレコミット価格P0
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
内神田
プレコミット価格P0
プレコミット価格P0
日本橋茅場町
2,250
2,200
2,150
2,100
2,050
2,000
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
事例データにおけるインプライドπから読むマーケット環境
32
NRCによる6事例
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
水道橋
2,900
15,500
15,000
2,700
プレコミット価格P0
プレコミット価格P0
2,800
2,600
2,500
2,400
●
2,300
●
14,500
14,000
13,500
13,000
2,200
2,100
12,500
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
築地
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
0.8
0.9
1.0
0.8
0.9
1.0
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
三宮東
2,300
1,600
1,550
2,250
プレコミット価格P0
1,500
プレコミット価格P0
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
目黒山手
1,450
1,400
1,350
●
1,300
1,250
1,200
●
2,200
2,150
2,100
2,050
1,150
2,000
1,100
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
0.8
0.9
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
文京千石
0.0
1.0
0.1
0.2
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
シミュレーション結果
仮想ファンドの対象物件に対するプリコミットメント価格と確率πの関係
六本木
8,500
1,750
8,450
プレコミット価格P0
1,700
プレコミット価格P0
0.3
1,650
1,600
●
1,550
●
8,400
8,350
8,300
8,250
8,200
8,150
8,100
1,500
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
0.8
0.9
1.0
0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
確率π
0.6
0.7
事例データにおけるインプライドπから読むマーケット環境
傾向の分析
プリコミット時点と確率π
◆PIC
◆NRC
取得時点と確率π
1.00
1.00
0.80
0.80
0.60
0.60
0.40
0.40
0.20
0.20
0.00
Jun-03
33
0.00
O ct-03
Jan-04
A pr-04 A ug-04 N ov-04 Feb-05 M ay-05
最近のプリコミット事例ほどπが低い傾
向にあり、マーケットの競争環境に対す
る認識が徐々に厳しくなってきている。
Jan-04 A ug-04 Feb-05
Sep-05 M ar-06 O ct-06
A pr-07 N ov-07
より将来に取得(竣工)する物件ほどπ
が低い傾向にあり、将来に対しより厳し
い競争環境を認識している
実際のプリコミットメントの事例からは、今後更なるマーケット環
境の競争激化を予想して、買い手がより踏み込んだプリコミット
価格を受け入れている(ディスカウントが小さい)様子が伺える。
まとめ (1/2)
本研究で行ったこと
プリコミットメントの事例についてケーススタディし、傾向を分析。 【本日の説明では割愛】
プリコミットメントという現実の経済行為をオプション概念等を用いて理論的に捉え、それを定式化。
買い手の主観的な価値をも反映した評価式の導出(買い手の効用を状態価格に反映)
評価式を用いて、仮想シミュレーションを実施。パラメータに関する比較静学分析も行った。
現実の事例データを評価式に当てはめ、インプライドπを導出。そこから読み取れるマーケットの競
争環境認識について論述。
34
まとめ (2/2)
35
本研究の成果
実際的問題の理論的考察を助けるモデルを提供できた。
経験的、感覚的でしか語られないプリコミットのディスカウントについて、一
つの考え方を提示
本稿のプライシングモデルの特徴
1.
放棄されるオプション価値をプライシングに反映
2.
既存ポートフォリオ・ポジションを考慮した主観的プライシングモデル
3.
マーケットの競合状況を表す確率πの関数として表現
事例データのインプライドπを通してマーケットを観察、現実のマーケット感との
整合を確認した。
競争環境に対するマーケットでの厳しい認識
未竣工不動産に対する早期売買予約(プリコミットメント)とは?
定義
本取引の
メリット
プリコミットに
伴うリスク要
因
36
建築着工後、建物竣工前の段階で、売買価格を含む条件を決定の上、
竣工後引渡しを前提に売買契約を締結すること
<売り手のメリット>
・ 将来のマーケットリスクのヘッジ
・ 出口の確保によって、有利な開発資金調達が可能に
<買い手のメリット>
・ 稀少性のある優良物件を競争を回避して確保
・ 競争に晒されない分、高い収益率を確保
・ 新築物件の確保で、ポートフォリオの平均築年数の若返りに寄与
1.工事の完工リスク
2.建築スケジュールの遅延リスク
停止条件付契約とすることで回避
(買い手がテイクしないリスク)
3.譲渡実行までの売り手の信用リスク
4.市場変動リスク(将来マーケットの不確実性) ⇒ 買い手に移転するリスク
事例
公開されている事例としては、J-REITにおける取引事例があるが、数は多く
ない(本論文では23事例を捕捉しケーススタディを行っている)
未竣工不動産に対する早期売買予約(プリコミットメント)とは?
定義
本取引の
メリット
プリコミットに
伴うリスク要
因
37
建築着工後、建物竣工前の段階で、売買価格を含む条件を決定の上、竣工後
引渡しを前提に売買契約を締結すること
<売り手のメリット>
・ 将来のマーケットリスクのヘッジ
・ 出口の確保により、開発コストの有利なファイナンスに寄与
<買い手のメリット>
・ 稀少性のある優良物件を競争を回避して確保
・ 競争に晒されない分、高い収益率を確保
・ 新築物件確保で、ポートフォリオの平均築年数の若返りに寄与
1.工事の完工リスク
2.建築スケジュールの遅延リスク
停止条件付契約とすることで回避
(買い手がテイクしないリスク)
3.譲渡実行までの売り手の信用リスク
4.市場変動リスク(将来マーケットの不確実性) ⇒ 買い手に移転するリスク
事例
ヘッジ手段
・テナントの早期確保
・プリコミット時期を竣工時に近づける
・契約に価格改定条項を盛り込む
J-REITのプリコミットメント事例にみるケーススタディ (1/4)
38
オフィスビル
事例番号
銘柄
物件名
所在地
プリコミット日
取得日
建物竣工日
プリコミット時期
取得価格
鑑定評価額
ディスカウント率
月当たり
売主
1
NBF
札幌エルプラザ
北海道札幌市
2002/12/24
2003/11/5
2003/3/31
10.5ヶ月前
3,195百万円
3,230百万円
-1.1%
-0.103%
大成建設
2
NBF
NBF
プラチナタワー
東京都港区
2003/9/29
2005/11/30
2005/11/30
26.4ヶ月前
27,600百万円
31,000百万円
-11.0%
-0.415%
3
NBF
NBF
東銀座スクエア
東京都中央区
2004/8/12
2005/3/28
2005/3/28
7.6ヶ月前
4,800百万円
5,250百万円
-8.6%
-1.128%
4
NBF
虎ノ門琴平
タワー
東京都港区
2004/9/17
2004/11/30
2004/11/30
2.5ヶ月前
6,043百万円
6,070百万円
-0.4%
-0.180%
5
JRE
代々木
1丁目ビル
東京都渋谷区
2003/9/9
2004/4/1
2003/10/31
6.8ヶ月前
8,700百万円
8,400百万円
3.6%
0.523%
6
JRE
東五反田
1丁目ビル
東京都品川区
2004/6/30
2004/11/1
2004/7/30
4.1ヶ月前
5,500百万円
5,200百万円
5.8%
1.396%
7
OJR
ラウンドクロス
新宿ビル
東京都渋谷区
2005/3/22
2006/4/30
2005/10/31
13.5ヶ月前
8,020百万円
8,020百万円
0.0%
0.000%
プラチナ
インベストメント
モリモト
三信振興
虎門琴平
会館ビル
みずほ信託銀行
UFJ信託銀行
オリックス・
リアルエステート
<オフィスビル事例の特徴>
・ 開発期間が比較的長期
・ よって竣工時の収益性の判断が困難
オフィスビルはJ-REITにとってもっともメ
ジャーな投資対象でありながら、プリコミットメ
ントの事例はまだ少ない。
は、価格改定条項付き
ヘッジ
手段
は、テナント確保済み
は、プリコミット時期と竣工時点が間近
J-REITのプリコミットメント事例にみるケーススタディ (2/4)
39
商業施設(リテール)
事例番号
銘柄
物件名
1
JRF
(仮)浦和PARCO
2
JRF
北青山
895ビル
東京都港区
2004/12/24
2005/2/1
2005/1/31
1.3ヶ月前
989百万円
995百万円
-0.6%
-0.464%
さいたま市浦和区
所在地
プリコミット日
2004/12/24
取得日
2007/12/25
建物竣工日
2007/9/30
プリコミット時期
36.5ヶ月前
取得価格
27,320百万円
鑑定評価額
27,330百万円
ディスカウント率
0.0%
月当たり
-0.001%
ベストブライダル等
予定テナント
パルコ
契約期間
定借20年間
定借5年間
売主
(有)浦和
ストリーム
オフィス・ミツキ
3
JPR
埼玉県川口市
2004/11/24
2006/3/31
2006/3/31
16.4ヶ月前
2,100百万円
2,100百万円
0.0%
0.000%
マルエツ
定借20年間
4
FRI
(仮)名古屋工場
開発建物
名古屋市東区
2005/2/18
2006/3/31
2006/3/31
13.5ヶ月前
24,100百万円
24,100百万円
0.0%
0.000%
イオン
定借20年間
5
FRI
(仮)ベルタウン
丹波口駅前
京都市下京区
2005/4/1
2005/9/30
2005/9/30
6.1ヶ月前
2,130百万円
2,130百万円
0.0%
0.000%
マツモト
定借20年間
大成建設
日本たばこ産業
日本たばこ産業
キュポラ本館棟
<リテール事例の特徴>
・ 全ての事例でテナント契約確保済み →収益変動リスクは殆どない
・ 但し、開発期間が長期に及ぶものは、テナントの信用リスクをはらむ
→FRIでは、このリスクも契約でヘッジ(停止条件付契約)
は、テナント確保済み
J-REITのプリコミットメント事例にみるケーススタディ (3/4)
40
住宅(レジデンス)
事例番号
銘柄
1
2
PIC
PIC
プレミアステージ プレミアステージ
物件名
日本橋茅場町
三田慶大前
所在地
東京都中央区
東京都港区
プリコミット日
2003/9/29
2004/3/26
取得日
2004/3/31
2004/11/30
建物竣工日
2004/3/31
2004/11/30
プリコミット時期
6.1ヶ月前
8.3ヶ月前
取得価格
2,430百万円
1,580百万円
鑑定評価額
2,550百万円
1,680百万円
ディスカウント率
-4.7%
-6.0%
月当たり
-0.767%
-0.717%
3
PIC
プレミアブラン
代々木公園
東京都渋谷区
2005/1/31
2005/7/20
2005/6/30
5.7ヶ月前
2,330百万円
2,330百万円
0.0%
0.000%
松友商事
シードコーポレーション
野村不動産
4
5
PIC
PIC
プレミアステージ プレミアステージ
内神田
市ヶ谷河田町
東京都千代田区 東京都新宿区
2005/3/23
2005/4/15
2005/9/30
2005/7/29
2005/9/30
2005/7/29
6.4ヶ月前
3.5ヶ月前
1,724百万円
1,460百万円
1,980百万円
1,510百万円
-12.9%
-3.3%
-2.031%
-0.946%
デベロッパー三信
明豊
エンタープライズ
6
7
8
NRC
NRC
NRC
パシフィックレジデンス パシフィックレジデンス パシフィックレジデンス
物件名
水道橋
築地
文京千石
所在地
東京都千代田区 東京都中央区
東京都文京区
プリコミット日
2004/6/16
2005/2/28
2005/2/28
取得日
2005/2/25
2006/3/31
2005/6/1
建物竣工日
2004/12/31
2005/12/31
2005/4/1
プリコミット時期
8.5ヶ月前
13.2ヶ月前
3.1ヶ月前
取得価格
2,330百万円
1,320百万円
1,558百万円
鑑定評価額
2,260百万円
1,370百万円
1,540百万円
ディスカウント率
3.1%
-3.6%
1.2%
月当たり
0.366%
-0.276%
0.377%
9
NRC
パシフィックタワー
目黒山手
東京都品川区
2005/3/31
2007/3/31
2007/2/28
24.3ヶ月前
14,508百万円
15,100百万円
-3.9%
-0.161%
10
NRC
パシフィックタワー
三宮東
神戸市
2005/3/31
2005/12/1
2006/3/31
8.2ヶ月前
2,247百万円
2,250百万円
-0.1%
-0.016%
11
NRC
パシフィックタワー
六本木
東京都港区
2005/4/12
2006/3/31
2006/2/28
11.8ヶ月前
8,443百万円
8,443百万円
0.0%
0.000%
売主
グランタワー
特定目的会社
日商岩井不動産
セコムホームライフ
売主
モリモト
事例番号
銘柄
住友不動産
丸紅
パンテオン地所
<レジデンス事例の特徴>
・ オフィス、リテールと異なり、全ての事例で収益性確保のヘッジなし。
・ オフィス、リテールに比べ、賃貸マーケットの変動性が小さいためと思料する。
・ また1物件あたりの投資金額が小さく、オフィス、リテールに比べより競争が激しいカテゴリーである。
J-REITのプリコミットメント事例にみるケーススタディ (4/4)
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ケーススタディからのfidings
リテールはプリコミット時期が
早いが、ディスカウント率低い
事例数
平均
プリコミット時期
平均
ディスカウント率
同/月当り
オフィス
7
10.2ヶ月前
-1.68%
-0.16%
リテール
5
14.8ヶ月前
-0.13%
-0.01%
レジデンス
11
9.0ヶ月前
-2.76%
-0.31%
全事例
23
10.6ヶ月前
-1.86%
-0.17%
対照的
レジデンスはプリコミット時期
は遅めで、ディスカウント大。
10.0%
Residence
散布図より
Office
Retail
5.0%
0.0%
0.0ヶ月前
-5.0%
-10.0%
-15.0%
5.0ヶ月前
10.0ヶ月前
15.0ヶ月前
20.0ヶ月前
25.0ヶ月前
30.0ヶ月前
35.0ヶ月前
40.0ヶ月前
・プリコミットの時期が早い
ほど大きなディスカウント、
という直感と整合する右下
がりの傾向を確認。
・ディスカウント率がプラス
の事例をどう解釈??
→放棄されるオプション価値
よりも、買い手の既存ポー
トフォリオに基づく主観的
価値の方が大きい?!