み へび 巳(蛇)にまつわる民話 蛇(ヘビ)の天上のぼり(三重県) むかしむかし、大きな大きな柿(かき)の木 があり、柿の実が鈴(すず)なりになっていま した。 村人たちは、ここを通るたびに見上げては、 「もうそろそろ、柿の実が落ちてくる頃だ。雨 でも降れば、すぐに落ちるぞ」 1 蛇の天上のぼり(三重県) と、言っていました。 ある日、急にあらしになって、大粒の雨が バラバラと降って来ました。 村人たちは柿の実をひろおうと、柿の木の ところへ行ってみました。 ところが鈴なりになっている柿が、一つも 落ちていないのです。 「おや? あれだけ雨が降ったのに、どうし て一つも落ちないのだ?」 村人たちが不思議に思ってカキの木を見 2 蛇の天上のぼり(三重県) 上げると、何と大きな大蛇(だいじゃ)がすず なりになっていた柿の実を、一つまた一つと 食べていたのです。 やがて大蛇は全ての柿の実を食べてしま うと、そのまま天へとのぼりはじめました。 さすがの大蛇も柿を食いすぎたのか、お腹 をゴロゴロならしています。 しばらくして大蛇の姿が見えなくなると、ふ たたび大粒(おおつぶ)の雨が降って来まし た。しかしその雨からは、柿の 3 蛇の天上のぼり(三重県) 甘いにおいがします。 「ややっ、この雨は、天にのぼった大蛇のお しっこだ!」 村人たちはあわてて、逃げていきました。 おしまい 福娘童話集許可転載<http://hukumusume.com/douwa/> 4 蛇の天上のぼり(三重県)
© Copyright 2024 ExpyDoc