蛇の天上のぼり

み
へび
巳(蛇)にまつわる民話
蛇(ヘビ)の天上のぼり(三重県)
むかしむかし、大きな大きな柿(かき)の木
があり、柿の実が鈴(すず)なりになっていま
した。
村人たちは、ここを通るたびに見上げては、
「もうそろそろ、柿の実が落ちてくる頃だ。雨
でも降れば、すぐに落ちるぞ」
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蛇の天上のぼり(三重県)
と、言っていました。
ある日、急にあらしになって、大粒の雨が
バラバラと降って来ました。
村人たちは柿の実をひろおうと、柿の木の
ところへ行ってみました。
ところが鈴なりになっている柿が、一つも
落ちていないのです。
「おや? あれだけ雨が降ったのに、どうし
て一つも落ちないのだ?」
村人たちが不思議に思ってカキの木を見 2
蛇の天上のぼり(三重県)
上げると、何と大きな大蛇(だいじゃ)がすず
なりになっていた柿の実を、一つまた一つと
食べていたのです。
やがて大蛇は全ての柿の実を食べてしま
うと、そのまま天へとのぼりはじめました。
さすがの大蛇も柿を食いすぎたのか、お腹
をゴロゴロならしています。
しばらくして大蛇の姿が見えなくなると、ふ
たたび大粒(おおつぶ)の雨が降って来まし
た。しかしその雨からは、柿の
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甘いにおいがします。
「ややっ、この雨は、天にのぼった大蛇のお
しっこだ!」
村人たちはあわてて、逃げていきました。
おしまい
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