無線回線品質を利用した パケットスケジューリング機構

SN比を考慮した
無線スケジューリング方式
慶應義塾大学
間 博人, 田村陽介,徳田英幸
< [email protected]>
発表の流れ
研究の背景
 無線環境の問題点
 SNR based Packet Scheduling(SPS)
 関連研究との比較
 設計
 性能評価
 まとめと今後の課題

研究背景
無線ネットワークの急速な普及
 無線ネットワークを構成する新しい規格の登場

しかし無線ネットワークでは….
周波数資源が制限されている
 位置により回線品質が変動する


無線資源を効率的に利用する回線品質に適応し
た枠組みの提供の必要性
無線ネットワーク(IEEE802.11)に
おける問題
非適応型フローでは
無駄が生じる
2
1 Error
無線端末1
2
1
無線端末2
2
1
無線端末3
無線基地局
‥‥
4 4 4 3 3 3
無線端末の位置により回線状態が異なるため
送信できる量が異なる
本研究のアプローチ
SPS:SNR-based Packet Scheduling

無線端末の回線品質を基に帯域を割り当てる
– 回線品質の指標であるSN比を利用する
• SN比(Signal-to-Noise Ratio)
• 受信信号電力と雑音電力の比から計算する
SNR  10Log10 S (W ) N (W )
高いSN比のフローに割当て帯域を大きくする
 SN比とウェイトは定義したスケジューリングポリ
シーにより柔軟に割り当て可能

関連研究
チャネル状態依存パケットスケジュ-ラ

CSDPS : Channel State Dependent Packet Scheduler
– 基地局が無線端末とのチャネル状態を予測
– チャネル状態がGood であれば送信しBadであ
れば送信しない

補償アルゴリズム
– CSDPSでは チャネル状態の善し悪しによる資
源割り当ての不公平が生じる
–
チャネル状態の回復後,チャネルエラーによる
損失分を補償する
SPSとCSDPSとの比較
CSDPS

無線端末チャネル状態はGood or Badの2通り
– Good 状態であれば送信しBad 状態であれば送信しない
SPS

無線端末のSNRを基に細かく閾値を定めることが
可能
– 複数の割り当て方式を柔軟に適用可能
SPSの構成
SPS
Monitor
@ Base Station
@ Mobile Host
SNR Frame
Receiver
SNR Frame
Sender
Notify
Frame
Update
SNR Table
Scheduling
Policy
Bandwidth Allocator
SPS
Forwarder
Arrival
Packet
Packet
Classifier
Scheduler
Multiple Queues
per Host
Dispatched
Packet
Scheduling Policy

SPS G/B (SPS-GB)
– 閾値 D 以上であれば weight を 1, D以下であれば
weight を 0 とする

SPS Piece-wise linear (SPS-PW)
– 複数の閾値を設定し各閾値間を linear に結ぶ
SPS G/B
1
Good
0.8
0.8
0.7
0.7
0.6
0.6
0.5
0.5
0.4
0.4
0.3
0.3
0.2
Bad
0.1
0.2
0
2
4
6
l
Bad
0.1
D
0
Good
0.9
w
w
0.9
SPS Piece-wise linear
1
8
10
D1
0
0
2
D2
D4
D3
4
6
l
8
10
実験環境
100Mbps Ether net
AP
CH
2Mbps Wave LAN
MH 1
MH 2 Bad Condition
Good Condition
CHからMHへUDPデータフローをCBRで送信
(2000Kbps, 1470byte, 14.7M)
 APにおいて FIFO, SPS-GB, SPS-PW をそれ
ぞれ適用する.

G/B と Piece-wise linear の Snapshot
SPS-GB
閾値D以上のMHで
帯域が平等に分配される
SPS-PW
SNRの変化によりスムーズに
割り当て帯域が変化する
G/B と Piece-wise linear の性能比較
PW: (D1=3, D2=5, D3=7, D4=9)
 GB1: D=3 GB2: D=6
GB3: D=9

MH2
1200
MH1
Throughput (kbps)
1000
164
240
899
823
197.8
800
316
MH1: 24.5db
MH2: 5.9db
357
600
400
200
766.2
530
523
FIFO
FIFO
GB1
GB1
0
GB2
GB2
GB3
GB3
PW
PW
FIFO と PW を比較すると20%程度 Total Throughput が向上する
まとめと今後の課題

SN比を考慮したパケットスケジューリング方式
SPSを提案した
– FIFOと比較し20%のThroughput の性能向上
– SNRと割当て帯域の関係を柔軟に定義できる

SPSの性能評価
– MHが増加した場合の評価
– フィードバック頻度と性能の関係
割り当て方式の閾値の決定方法
 補償アルゴリズムの追加

Q and A
TCP Throughput と SNRの関係
1000
900
800
Throughput(kbps)
700
600
500
400
300
200
100
0
0
2
4
6
8
SNR(db)
10
12
14
16
縦軸: Throughput (Kbps)
横軸: SNR
(db)
無線基地局から無線端末へ3分間のTCP Throughput
FreeBSD3.4 + NCR WaveLan
SNRの推移
30
30
25
25
20
SNR
SNR
20
15
15
10
10
5
5
0
0
0
0
100
200
300
400
500
時間(sec)
600
700
800
900
1000
縦軸: SNR(db)
100
200
300
400
500
600
時間(sec)
横軸: 時間(sec)
同地点においてもSNRは±2位の範囲で変動する。
700
800
900
1000
SPS と WirEdge の違い

SPS は WirEdge を発展しさせたもの
WirEdge は 静的に帯域を制限する評価に留まる
 SPSではSNRに合わせて動的に割り当て帯域を
変更可能

WirEdge ではSNRからどのように帯域を割り当て
るかの考察は無い (SNR が13以下には600kbps
割り当てる)
 SPSでは スケジューリングポリシーを導入し柔軟
な割り当て方式を適応可能

考察

FIFO と PW を比較すると20%程度 Total Throughput が
向上する
– FIFO は, MH1, MH2 に500Kbps ずつ送信するが,
そのうちMH2 に送った200Kbps 分は無駄になる.
SPSではこの無駄を効率よく他のホストに分配する

GB1 は閾値が低すぎてほとんど帯域制御していないた
めFIFOに近いパフォーマンス

GB3 は Total Throughput はPWと同等だが, 閾値が高
すぎるため,MH2の帯域を必要以上に制限している

GB2 はバランスはGB3 より良いが,パフォーマンスは
PW より劣る.
既存研究における
チャネル推定例

ACKの利用
AC
ta
Da
K
?
Sender
Receiver
RTS / CTS (Request to send / Clear to send) の利用
AC
ta
Da
S
RT
Receiver
K
?
Sender
CT
S

実装2
6
6
2
6
4
4
Ether destination addr
Ethernet Source addr
frame
type
Sender Ethernet addr
Sender IP addr
Sender
SNR value
Ether header
Ether SNR fields
SNR報告フレームのフォーマット
電波状態と通信性能の測定

測定環境

CH から MH1へTCPフローを3分間送信し
転送速度とSNR を同時に測定
–
–
転送速度は Netperf を用い測定
SNRは MH1側で3秒おきに測定
帯域制御による性能の向上
片方のSNRが低い場合
FIFO
ALTQ+CBR
784
1028
MH1 SNR:25
MH2 SNR:6
789
592
197 244
SNR:高
SNR:低
合計
帯域制御を行う事で
無線ネットワーク全体で21% 通信効率が上昇した
既存研究
チャネル状態依存パケットスケジューラ
CSDPS: Channel State Dependent Packet Scheduler
Error
無線端末1
3
2
無線端末2
3
2
無線端末3
無線基地局
Bad
5 4 3 2 1
Good
6 5 4
Good
6 5 4
Good 状態のホストだけに
スケジューリング