21世紀COE QUESTS RA若手シンポジウム 小柴ホール 2005.11.22 オルソポジトロニウムの寿命測定 による束縛系QEDの実験的検証 東大素粒子センター(ICEPP) 片岡洋介 束縛系QED • 自由粒子のQED – 高次の輻射補正の計算手法が確立されている • 束縛系QED – 高次の輻射補正の扱いが難しく、一般的な計算手法が 確立されていない – 近年、NRQEDなどの計算手法が開発された オルソポジトロニウムの寿命に関してO(α2)の補正が計 算されている G.S.Adkins, R.N.Fell, and J.Sapirstein (2000) オルソポジトロニウム • ポジトロニウム e+e-の束縛系 – パラポジトロニウム(スピン1重項) 2γに崩壊、寿命125ps – オルソポジトロニウム(スピン3重項) 3γに崩壊、寿命142ns • オルソポジトロニウムは束縛系QEDのよいプローブ – 寿命の直接測定が可能 – 純粋にレプトンの系、ハドロンの不定性がない – O(α2)の計算例がある ~200ppm 現在の状況 (α2) • 東大、ミシガン大を中心に測定が 行われている • 90年代にはオルソポジトロニウム の寿命問題と呼ばれる計算値と のずれが解決 • 現在の実験精度は約200ppm – O(α)補正 約2% – O(α2)の補正約200ppm • O(α2)の補正項を検証する実験を 立ち上げた ~ 100ppm以下 寿命測定の方法 • β+線源 68Geのe+を用いる 薄いプラスチックシンチレータ で挟みβ崩壊をトリガー スタート 線源周りセットアップ ½インチPMT プラシン (0.2mm) • シリカエアロジェル(0.03g/cm3) 中でポジトロニウムの生成 68Ge • 崩壊γ線をシンチレータ検出器 で検出 時間差を計る ストップ e+ シリカエアロジェル 65mm 東大の測定手法 • Pick-off – 物質と相互作用して対消滅(2γ)する現象 – 観測される寿命(3γ)は短くなる – 0.03g/cm3の希薄なエアロジェルでも約2% この補正(見積もり)が実験の鍵となる • Ge検出器によるγ線の エネルギーの精密測定 – o-Ps 3γ(連続スペクトル) – Pick-off 2γ(511keVピーク) により直接pick-offの割合を測定 Energy spectrum 2γ(511keV) o-Ps 3γ simulation data セットアップ • γ線検出器 YAPシンチレータ o-Ps寿命測定 減衰時間30nsの高速シンチ … 時間分解能の向上、パイルアップの抑制 Ge検出器 pick-offの測定 エネルギーの精密測定 真空容器 線源 トリガー用プラシン シリカエアロジェル YAPシンチレータ 3台 Ge検出器(同軸型) 3台 pick-off rate • 測定されたpick-off の割合 – 約2%は物質と相互作用して対消滅 – 時間依存性が比較的大きい o-Psの熱化の過程が見える • このカーブをlife time fittingに取り込むことで 正確に寿命が求まる 崩壊時間 time spectrum fitting YAP time spectrum Fitting 関数 prompt 3γ decay curve Free parameter: λ3γ,N0,C accidental データ収集中 まとめ • オルソポジトロニウムの寿命測定実験を新たに立ち上げた 束縛系QED O(α2)の検証 • 高速シンチの導入などにより高統計なセットアップ (以前の測定では統計エラーがメイン) • データ収集開始 半年でエラーにして100ppmの統計
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