M42における前主系列星X線放射の長期変動

M42における前主系列星X
線長期変動Ⅱ
兵藤 義明, 中嶋 大, 高木 慎一郎, 小山 勝二(京大理)
3.Analysis
前主系列星は例外なく強いX線を放射している。(~太陽の10^3倍)
この起源は太陽と同様ダイナモ機構でスケールアップしたものだと
いう説が有力である。ダイナモ機構は長期変動を伴う。
太陽
前主系列星に頻繁に起こるフレ
アを取り除くため、短い変動は
取り除き、光度曲線を定常で
フィットできる時間帯を静穏時と
みなし、解析した。
×
Counts/s
1.Introduction
・I258のflux変動
1970
赤:太陽のX線強度
黒:太陽の黒点数
1980
×
time(秒)
1990
↑CaII line強度 HD81809(主系列)
(Baliunas et al. 1995)
前主系列星にもこのような変動はあるのだろうか?
長期変動が前主系列星からのX線放射の起源をさぐるカギになる!
4年間にわたり、X線flux(0.5-8.0keV)は約7倍
変動したが、すべての観測におけるスペクトル
を同じモデル(NH=4.8e21cm-2, kT=0.8keV
の熱的plasmaモデル)でフィットできた。
2.Observation
可視
以下、ほかの点源のflux(上段)と温度(下段)の変動。
X-ray
可視
5°
0.5-1.5keV
1.5-4.5keV
4.5-10keV
Source 1
5′
20′
Source 3
ターゲットとしてM42(オリオン星形成領域)を選んだ。 M42は距離が
450 pc と近く、前主系列星が密集しているため前主系列星の系統的研
究に最適な領域である。よって観測も多く、XMM-Newton,Chandraに
よって9回の観測がある。
観測日
衛星と検出器
観測時間(ks)
'99 10/12
'00 1/1
'00 2/4
'00 4/1
'01 3/25
'01 10/3
'03 1/8
'03 3/15
'03 9/15
Chandra ACIS
Chandra ACIS
Chandra HRC
Chandra ACIS
XMM-Newton EPIC
XMM-Newton EPIC
Chandra ACIS
XMM-Newton EPIC
XMM-Newton EPIC
46
90
63
36
50
25
850
21
21
1′
Source 2
Source 5
Source 4
Source 6
緑:9回観測
青:8回観測
4.Summary
8回以上観測されている前主系列星を14個検出
2MASSのデータから前主系列星と同定
M42に14個の前主系列星について4年間のflux変動を調べた。すべての
点源が有意な変動(1.5-8倍)を示す一方、11個についてはスペクトルの形
に有意は変動はなかった。残り3個はフレアの影響を受けていると考えら
れる。