毎月レポート ビジネスの情報 (2012年11月号) ビジネスの情報 2012年11月号 ■体型の悩みをやさしく補整します。40~50代向け「婦人下着」市場。 これまで「婦人下着」は、30~50代までを“ミセス”のカテゴリーとしてひとくく りに扱われてきました。しかし、最近では30代と40~50代とを切り離し、より細分化した 商品戦略を展開しています。ことに、40~50代向けの商品が急速に充実してきました。そ れは、加齢に伴う体型の変化という、この世代ならではの悩みに応じた機能商品を打ち 出して新たな購買動機を促そうというメーカー側の狙いと同時に、女性側からの切実な ニーズが積極的な商品化にかり立てているといえます。 補整下着にありがちな、窮屈・非オシャレ・着脱のめんどうさ、というイメージを払拭し、 オシャレで軽めの補整アイテム「シェイパー」という新カテゴリーを訴求しているのが[トリ ンプ]。昨年から展開している「シェイプセンセーション」シリーズで、シェイプしたい部分に 合わせて簡単にボディラインメイクできる商品、全15アイテムがラインナップ。また今年か ら、独自に開発した「YSIOA体型別診断」を導入。体型のシルエットをアルファベットのY 、S、I、O、Aの形に見立て、5つのタイプに分類してバランスの良いシルエットメイクを実 現するための下着選びをサポートするというもの。さらに、“骨格から、キレイをめざす”と いうコンセプトで開発された、ブラジャー「肩甲骨のきもち」とガードル「骨盤のきもち」も注 目されています。 [グンゼ]の40~50代向けブランドは「キレイラボ」。女性ホルモンの減少による体の変 化は肌から始まるということで、刺激に敏感で乾燥しやすく、弱まった肌をやさしく守る下 着生地面に保湿機能を持たせることに成功。また、ブラジャーの背中周りは、加齢によっ て柔らかくなった肌に食い込みにくいよう、幅広にし、ワイヤーも負担の少ない樹脂を採 用しました。 2009年から、“マイナス5歳”をうたい文句に40代向けブランド「ラゼ」を展開するのは、[ ワコール]。社内研究機関「人間科学研究所」において、48年間に渡り、4万人以上の女 性の体型を研究。体のエイジングデータ分析から導き出された独自の“美の法則”は、数 々のヒット商品を生んできました。今年は、柔らかく揺れやすくなったヒップと太腿を引き 締め、自然なリストアップを実現する「ヒップ年齢マイナス5歳をめざすパンツ」や、バスト 上部の“そげ感”をボリュームアップするカップ構造の「胸もと年齢マイナス5歳をめざすブ ラ」などを発売。 いまの40~50代女性の感性は20~30代と変わりません。メーカー側も、20~30代向け と色やデザインのテイストを大きく変えずに、少しだけシックなものにシフトしているという ことです。 ※参考: トリンプ http://www.triumph.com/ グンゼ http://www.kireilabo.com/ ワコール http://www.wacoal.jp/ 日経産業新聞(2012年8月6日付) ビジネスの情報 2012年11月号 ■相思相愛の“料理”と“コメ”。「専用米」、じっくり噛みしめながら拡販中。 “お箸の国の人”である私たち日本人ほど、コメにウルサイ国民はいないのではないで しょうか。しかし、そのおかげでコメの味がわかる舌が養われ、そのおかげで実に様々な 種類のコメが作られるようになりました。 コメの味に個性を持たせ、嗜好品的な位置づけで消費者のこだわりに応える「ブランド 米」もその一つ。そして、それからさらに進化したのが、ある特定の料理に合わせた「専 用米」の出現です。 宮城県の古川農業試験場が開発したのは、チャーハンやピラフに最適な新品種、「さち 未来」。ジャポニカ米(短粒種)とマレーシア産のコメとの交配から生まれたもので、昨年、 品種登録されました。やや硬めで水分が少ないため、炒めるメニューにぴったり。 新潟県上越市の中央農業総合研究センター・北陸研究センターが開発したのは、寿司 専用のコメ、「笑みの絆(えみのきずな)」。コシヒカリと比べて粘りが強すぎず、酢になじ みやすく、飯粒がしっかりしているので、握ると崩れず、食べるとなめらかにほぐれる。ま さに、寿司のために生まれてきたコメです。10年前から品種交配を始め、昨年、品種登録 され、今年から本格的に流通しています。 また、カレーに最適なコメとして2009年に品種登録されたのは、その名も「華麗舞(かれ いまい)」。柔らかく粘り気の強い日本型品種「アキヒカリ」と、硬めで粘り気の少ないイン ド型品種「密陽23号」を交配して育成され、表面の粘りを抑えながら、内側は「コシヒカリ」 並みの柔らかさと弾力性を持たせることに成功。粒同士がくっつきにくいので、かたまり にならず、ひと粒ひと粒がルウになじんでカレーをいっそう美味しく引き立てます。 中央農業総合研究センターなどが「華麗舞」の研究・育成を始めてから日の目を見るま でに費やした年月は、なんと27年。インド型と日本型のような異種交配の場合、日本型同 士の交配と比べて、約2倍の年月がかかると言われています。当初から、カレー専用米を 開発しようとしていたわけではなく、多収品種の育成を目的に交配されたものでした。とこ ろが、第一の目的を果たすことが難しく、試行錯誤を繰り返すうちに、今までにない“おも しろいコメ”が副産物的に誕生したという経緯があります。 これまで、料理に合わせたコメというものが無かったことが、意外です。「専用米」の用 途の幅が広がり、種類も増えることで、こだわりを持った消費者に向けた、新たなコメ需 要の掘り起こしにつながることが期待されます。 ※参考: 中央農業総合研究センター http://www.naro.affrc.go.jp/ 農林水産省 http://www.maff.go.jp/ 日経MJ(2012年8月13日付) ビジネスの情報 2012年11月号 ■ノドにも市場にも刺激的な「エナジードリンク」、続々と上陸中。 オロナミンC、リポビタンDといった、疲労回復・滋養強壮をうたった「栄養ドリンク」市場は、 成熟という名の横ばい状態が続いていました。 そんな市場に風穴を開けるがごとく、海外から「エナジードリンク」という、ターゲットを若者に絞 った「栄養ドリンク」の“黒船”が続々と上陸し、日本市場に浸透し始めました。 上陸第一号は、オーストリア生まれの「レッドブル・エナジードリンク」(レッドブル・ジャパン)。 アルギニン、カフェイン、ビタミンB6、B12など、いわゆる“エナジー系成分”を含んだ微炭酸飲料 で、2005年末から日本で販売を開始し、いまや約165カ国、40億缶以上の販売実績を誇ります( 2010年調べ)。着々と日本国内で市場を確立して、いまや「エナジードリンク」の元祖的存在とな りました。 しばらくは「レッドブル」の寡占状態が続いていましたが、今年に入って、にわかに上陸ラッシュ の波が訪れます。 3月に、[コカ・コーラ]グループが「バーン エナジードリンク」をひっさげて日本初上陸。“やり遂 げるためのエネルギー”が商品コンセプトで、同時に「バーン エナジーブースト」も発売。容器に は、この容量(50ml)で日本初となるペット素材を採用しています。 続いて4月に、「レッドブル・シュガーフリー」が発売。カロリーゼロを実現し、女性ファンの獲得 を狙います。 5月には、[アサヒ飲料]が日本独占販売権を取得した、アメリカ生まれの「モンスターエナジー 」と「モンスターカオス」が発売されました。アメリカで圧倒的な支持を集めるエナジードリンクの“ 怪物”で、成分的な特徴は、カフェインの多さ(40mg)と高麗人参エキスが配合されている点。 他にも、ガラナやクエン酸が入った「シャークエナジードリンク」や、カフェインが50mgも配合さ れた「マッドロック」など。また3月には、米スターバックスが「リフレッシャーズ」という商品でエナ ジードリンク市場に参入したことが話題となりました(日本での販売は未定)。 海外組に押され気味の国内メーカーも黙ってはいません。 お茶の[伊藤園]から6月に発売された「躍動力」は、これまでの国産栄養ドリンク路線を受け継 ぎ、中高年層を狙ったエナジードリンクです。筑波大学との共同研究をもとに、マグロの尾ヒレを 動かし続ける部分に多く含まれる成分を配合。高い疲労回復効果が売りです。 “疲れた時に飲む”のが従来の栄養ドリンクなら、“気分を高めたい時に飲む”のが エナジードリンク。ボトルも、クスリ瓶的イメージを排したデザインと色使い。成分のみならず CMも刺激的で、オシャレな機能性炭酸飲料として定着し、いまや、「栄養ドリンク」市場をけん引 する勢いです。 国内外、入り乱れての“エナジー戦争”が、さらなる市場拡大につながり、停滞気味の飲料業 界の救世主となることができるでしょうか。 ※参考: レッドブル・ジャパン http://www.redbull.jp/ 日本コカ・コーラ http://www.cocacola.co.jp/ アサヒ飲料 http://www.asahiinryo.co.jp/ 伊藤園 http://www.itoen.co.jp/ 日経トレンディ(2012年7月号) 日経産業新聞(2012年7月6日付)
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