アルデヒド実習

分析系応用実習
環境汚染物質の分析
実習の内容
•
室内環境:我々の居住空間は大丈夫か?ー実習室の空気環境を知ろうー
室内温度条件、炭酸ガスの定量
•
室内環境:シックハウス症候群の原因物質ホルムアルデヒドを捕捉しよう
水中のホルムアルデヒド、室内空気中のアルデヒド類の定量
•
室外環境:窒素酸化物(NOx)を捕まえよう
ザルツマン法による NO2 の定量
•
水質試験法:水質の汚染と関連する溶存酸素(DO)を測ってみよう
ウィンクラー法による測定
•
農薬に付着している農薬を分析しよう
ガスクロマトグラフィー(GC)による農薬の検出、定量
•
工業廃水に含まれる重金属のカドミウム、鉛を分析しよう
原子吸光光度法によるカドミウム、鉛の分析
•
湖沼汚染により異常発生するアオコの毒素を調べてみよう
HPLC によるアオコの毒素、microcystin の検出と定量
室内環境
〜シックハウス症候群の原因物質ホルムアルデヒドを捕捉しよう〜
現在、我々の居住空間において、揮発性有機化合物(
VOC)が問題となっている。これらは、主に建材、内装材
、塗料に由来する。ホルムアルデヒドは、室内での発生
頻度が高い化学物質であり、シックハウス症候群を引き
起こすと考えられている。また、無色で刺激臭を有し、常
温では気体であり、 35 〜 37 % の水溶液は「ホルマリ
ン」と称される。実験では、液体や気体のホルムアルデ
ヒドをどのように扱い、定性や定量を行えばよいのであ
ろうか。
アルデヒド類の定量
・水中のアルデヒドの定量:AHMT法
・室内中のアルデヒド類の定量:
パッシブサンプラー → HPLC
HPLC
HPLC(高速液体クロマトグラフィー)とは
クロマトグラフ法は固定相と移動相に対する親和性の違いによ
り対象物質を分離する方法。特に、HPLC 法は充填剤を密にし、
高速高圧で溶液を流せるようにしたものである。
順相クロマトグラフィー 逆相クロマトグラフィー
固定相
極性の高い物質
極性の低い物質
移動相
極性の低い物質
極性の高い物質
薬剤師国家試験対策参考書 薬学ゼミナール
HPLC 装置
インジェクター
ポンプ
移動相
圧力計
カラム
HPLC 条件
検出器
移動相:CH3CN : H2O = 5 : 5
カラム: STRODS-2(島津)
(4.6×150 mm)
流速:1mL/min
注入量:20 L
検出:360 nm
記録装置
廃液
最新機器分析学 南山堂
室内のアルデヒド類の定量
HPLC(360 nm)で測定
HN N CH2
HN NH2
NO2
HN N CHCH3
NO2
HCHO or CH3CHO
NO2
2,4-ジニトロフェニルヒドラジン
NO2
or
NO2
NO2
ホルムアルデヒド-2,4ジニトロフェニルヒドラゾン
(HCHO-2,4-DNPH)
アセトアルデヒド-2,4ジニトロフェニルヒドラゾン
(CH3CHO-2,4-DNPH)
ODS(Octadecyl silyl)シリカゲルカラム
OH
O
OH
O
OH
シリカゲル表面:親水性の-OH基
で覆われている
Si(OH)2(CH2)17CH3
O
OH
OH
TMS
O
O
TMS
Si(OH)2(CH2)17CH3
TMS
シラノールに ODS 基を結合し疎水性を
高くしてある
・シリカゲルの表面はシラノールと呼ばれる Si-OH の構造をしている。シラノー
ルに極性の低い(疎水性の高い) ODS 基を結合させて ODS カラムができる。
未反応のシラノールには、トリメチルシリル基(TMS)によるエンドキャッピング
が施される。
カラム内の試料の挙動
Time
移動相
CH3CHO2,4-DNPH
保持
ODS
ODS
CH3CHO2,4-DNPH
ODS
HCHO-2,4DNPH
HCHO-2,4DNPH
CH3CHO2,4-DNPH
:疎水結合
疎水性:
移動相:CH3CN : H2O = 5 : 5
HCHO-2,4-DNPH < CH3CHO-2,4-DNPH
クロマトグラムの読み方
縦軸: 吸光度を示す。また、得られた
グラフのAREA(面積)を算出す
る。濃度が既知であれば、濃度
と面積には相関関係があるため、
検量線を作成し、未知試料の面
積から濃度を算出する(定量)
吸光度: Lambert-Beerの法則
疎水性が低い
横軸: 保持時間を示す。ODSカラムの
カラムに保持されにくい
場合、物質の疎水性が違えば、
保持時間が異なるため、検出さ
れた物質が何であるかわかる(
①のピークはHCHO-DNPH
②のピークはCH3CHO-DNPH 定性)
実習テキスト p.14
室内のアルデヒド類の定量
HPLC (high-performance liquid chromatography)法
検量線作成
標準溶液
HCHO-2,4-DNPH 0.1 g
CH3CHO-2,4-DNPH 0.2 g/mL
および、その5倍希釈溶液 (クロマトグラムは作成済)
HPLCクロマトグラムよりピーク面積を求め、検量線を作成
試験操作
パッシブサンプラーを用いて空気中のアルデヒドを捕集
(2,4-DNPH 誘導体化)(すでに前日渡してある)
HPLC測定 → ピーク面積 → 検量線を用いて定量
試験操作
パッシブサンプラー内の 2,4-DNPH 誘導体
CH3CN 5 mL で溶出(使用CH3CN量は各班 50mLあれば十分)
(溶出液は10mLの共栓試験管で受ける)
溶出液(試験溶液)
CH3CN で 5 mL にメスアップ
適宜希釈(5倍程度?例:2mL取って、CH3CNで10mLにする)
メンブレンフィルターでろ過
分析用試験液
シリンジの洗浄、試験液注入法に注意
HPLC 分析
(HPLCの機械に使用法が貼ってある)
検量線より求めた値に希釈倍率をかけ濃度を求める
パッシブサンプラーの使い方
CH3CN
DNPH:ジニトロフェニルヒドラジン
白いフィル
ターを上に
した状態で
、外容器と
、白いフィ
ルターをは
ずす。
DNPH 含有
シリカ
アダプター
スクリュー
キャップも
はずす。
サンプリング前
サンプリング
採取時間記録
サンプリング後
溶出
http://www.sigma-aldrich.co.jp/supelco/DSD-DNPH.htm
シリンジ刺す(まだ注入しない)→
ハンドル上げる(LOAD)→注入→
ハンドル下げる(INJECT)→自動的
にプリンターが動き出す(5,6の機
械は、ハンドル下げると同時にプリ
ンターのSTARTボタンを押すこと)
インジェクター
HPLCは、各班に割り
当ててある(機械に掲
示)
ポンプ
5
ポンプ
6
1
6
5
4
7
2
カラムへ
7
3
1
カラムへ
2
4
3
シリンジ注入口
排出
サンプルループ
LOAD(サンプルループへ)
排出
サンプルループ
INJECT(カラムへ)
注:HPLC使用前後ともに、シリンジは必ず洗う
検量線
HCHO-2,4-DNPH 標準溶液
:濃いほう
:5倍希釈液
32000
CH3CHO-2,4-DNPH 標準溶液
:濃いほう
:5倍希釈液
ピ
ー
ク
面
積
正しい定量のため、自分
の試験液は、標準溶液の
濃いものと希釈液との間
にくるようにクロマトグ
ラムを得る
6000
0
2×10−3
? ?
1×10−2
HCHO/CH3CHO 濃度(g/mL)
空気中濃度の算出(参考)
溶出液中の HCHO( CH3CHO ) 濃度を測定し、捕集量を求める。
s(g) = HCHO ( CH3CHO ) の捕集量
室内空気中の HCHO ( CH3CHO ) 濃度を求める。
室内空気中濃度(ppb)= s(g)/ {a (g/ppb/hr) × h (hr)}
a (g/ppb/hr):アップテークレート
( HCHO:0.00530 、CH3CHO:0.00642)
h (hr) :捕集時間
http://www.sigma-aldrich.co.jp/supelco/Sick_house/passive_sampler
まとめ
揮発性物質の検出法
AHMT 法やパッシブサンプラーを用いて揮発性物質を化学変化させ、
揮発性物質から不揮発性物質に変換して検出する。
AHMT 法
吸光光度法を利用。測定対象物質はホルムアルデヒドである。アセトア
ルデヒド等の他のアルデヒド類は同条件で最終産物を生成せず、妨害ガ
スの影響は受けにくいため、選択性は高い。
HPLC 法
クロマトグラフ法は固定相と移動相に対する親和性の違いにより物質を
分離する方法。パッシブサンプラー内でアルデヒド類が2,4-ジニトロフェニ
ルヒドラジン と反応し、生じるヒドラゾン誘導体を抽出し、HPLC で分離し
て測定できる。
渡すもの
・テルモシリンジ10 mLのシリンダー
・ガラスシリンジ 2 mL
・ガラスシリンジ用針
・メスフラスコ10 mL
・アダプター(小)
・白蓋付きバイアル
(以上6点は洗浄して返却)
2コ
2本
2本
2コ
2コ
2コ
・パッシブサンプラー (配布済み)
2コ
・メンブレンフィルター
2コ
(以上2点は医療用プラスチックとして廃棄)
・標準溶液のクロマトグラム
1部
(ピークエリアから各自で検量線を作成:自分の使
用する機械番号のクロマトグラムを持っていくこと)
試薬
今日の実験で使う試薬(ドラフト)
・アセトニトリル
廃液
パッシブサンプラー溶出液
アセトニトリル
有機溶媒
(ドラフト)
各班内での分担
b1~4
a1~4
HPLC検量線作成
溶存酸素の測定
(2人で1検体)
HPLC
パッシブサンプラー
(4人で1検体)
溶存酸素の測定
( 2人で1検体)
ふらん瓶を洗浄して返却
HPLC
パッシブサンプラー
(4人で1検体)
実習の順序
b1~4
a1~4
空気中のアルデヒドの分析
(4人で1検体)
溶存酸素の測定
(2人で1検体)
溶存酸素の測定
( 2人で1検体)
空気中のアルデヒドの分析
(4人で1検体)
使用するHPLC
(HPLCの機械に掲示)
HPLC
班
①
②
1a, 1b, 2a, 2b, 3a
3b, 4a, 4b, 5a, 6a
③
5b, 6b, 7a, 7b, 8a
④
⑤
8b, 9a, 9b, 10a, 10b
11a, 11b, 12a, 12b, 13a
⑥
13b, 14a, 14b, 15a, 15b
水質試験法:
水質の汚染と関連する
溶存酸素(DO)を測ってみよう
ウィンクラー法による測定
(他にテストキット、隔膜電極法な
ど)
水質汚濁
水域での自浄作用の能力以上に汚濁をも
たらすもの(自然・天然現象、生活排水、汚
物、産業排水など)の流入によって起きる
汚濁現象を表す。
→公共用水域(河川・地下水、湖沼、海域
の水質悪化による生活環境の劣化、環境
生態系の変化をもたらす。
)
水質の指標
1)水素イオン濃度 hydrogen ion concentration(pH)
2)浮遊物質 suspended solid(SS)
3)溶存酸素 dissolved oxygen(DO)
4)生物化学的酸素要求量 biochemical oxygen demand(
BOD)
5)化学的酸素要求量 chemical oxygen demand(COD)
6)全有機炭素 total organic carbon (TOC)
7)総酸素要求量または全酸素量 total oxygen demand(
TOD)
8)n-ヘキサン抽出物質(油分)
9)総窒素および総リン
10)大腸菌群
11)生物指標
12)水質汚濁階級
溶存酸素
dissolved oxygen(DO)
・水に溶存する酸素の量(mg/L)
・清浄な水では 7-14 mg/L
・魚類の生存には 5 mg/L 以上必要である。
・有機物による汚濁が進むと、好気性微生物が増殖
して DO を消費するので DO 値は 0 に近づく。
→ DO は水質汚濁の指標として使われる。
ウィンクラー法の反応原理
・MnSO4 + 2KOH → Mn(OH)2 + K2SO4
・Mn(OH)2 +
O → H2MnO3
(亜マンガン酸)
・・・酸素固定
・2KI + 2H2SO4 + H2MnO3
→ MnSO4 + K2SO4 + 3H2O + I2
・I2 + 2Na2S2O3 → 2NaI + Na2S4O6
黄色
薄くなったら
デンプン試液
青色
無色
実験操作
ふ卵瓶(100 mL)に試料となる水を満たし、フ
タをしてあふれている分を捨てる。
MnSO4 溶液 1 mL、アルカリ性 KI・ NaN3溶液 1 mL
を底に行くように加えて栓をする。
栓をして振る
H2SO4 1 mL を加える。
栓をして振る
100 mL 三角フラスコに 25 mL を移し、0.025
mol/L Na2S2O3 溶液で滴定する。
ふ卵瓶
操作法
亜硝酸物
硫化物
鉄(Ⅱ)塩
亜マンガン酸
溶存酸素(DO)
鉄(Ⅲ)塩
ヨウ素
ウィンクラー法
NaN3 (アジ化ナトリウム)
の添加理由
採取した試料の中に含まれる 亜硝酸塩はDOを消費
するため正確なDO 値は低下するので、NaN3を添加
して分解・溶解する。
亜硝酸塩
HNO2 + 3NaN3 +H2SO4
→ 5N2 + NaSO4 + NaOH + H2O
鉄(Ⅲ)塩の影響
試料中に酸化によって鉄(Ⅲ)イオンが存在すると、DO が消費さ
れ、正確な値が得れなくなる。
・鉄(Ⅲ)イオン 100 mg/L を含んでいても・・・
→ KF 溶液 2 mL を加えることで、滴定を 1 時間遅らせることが
できる。
→H2SO4 の代わりに H3PO4 4 mLを加えて酸性にすることで、
数日間遅らせられる。
錯イオンである FeF6-および Fe(PO4)23-を作り、
Fe を遊離状態にさせないようにする。
DO の算出
V1
溶存酸素 (mg/L)= 0.2 × a × f ×
V2
×
a:滴定に要した 0.025 mol/L NaS2O3 溶液の量 (mL)
f:滴定に要した 0.025 mol/L NaS2O3 溶液のファクター
V2:滴定に用いた試料の量 (mL)
V1:測定瓶の容量 (mL)
1000
V1-2