大学図書館における授業支援サービス

大学図書館における授業支援
サービス
綾部 輝幸
(東京学芸大学附属図書館
情報管理課電子情報係長)
図書館の授業支援サービス
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指定図書制度
電子的授業支援サービス
シラバス掲載図書の収集
「文献・情報の探し方」ガイダンス
教材作成支援
授業に関連する資料・情報の提供
指定図書制度 : Course Reserves
シラバス掲載図書の収集
一次資料の提供
電子的授業支援サービス
: Electronic Course Reserves
一次情報を電子的に提供
ECR : 電子的授業支援サービス
• ECR: Electronic Course Reserves とは授業に関
連する情報を提供するサービス。
• インターネットにより提供
• システムの管理・運営は図書館
• 情報は、授業の担当教員から提供される。
教員自身が入力
サービス開始(試行) :2004年6月
授業関連情報
• 文献、講義録、課題、試験問題、プリント等
• 教員が授業で指示・配布するもの
• その他の活用例
学生の提出・発表課題の掲載
* パスワードによる閲覧制限可能
サーバ蓄積の場合
ファイルサイズ 1MB まで (原則)
ファイル形式 PDF,テキストを推奨
Office文書等も対応可
ソフトウェア
• ECR1.0 オープンソースソフトウェア*
(開発:東北大学附属図書館)
平成12年度教育研究協力基金事業
「図書館における電子的授業支援に関する調査・開発」
( *GNU一般公衆利用許諾契約書に基づく使用・再配布・変更可)
学芸大 ECRサイトからダウンロード可
(http://ecr.u-gakugei.ac.jp)
ECR東京学芸大学版
ソフトウェア構成
ECR構成
OS:
開発言語:
データベース:
WWWサーバ:
Linux (Debian Linux 2.2)
Perl 5.004 ,JavaScript
MySQL 2.23
Apache 1.3.12
(いずれも無償のソフトウェア)
ハードウェア
(参考)
• サーバ
DELL Power Edge 600SC
(中小規模ネットワーク向け)
• ハードディスク容量
30GB × 3
東京学芸大学について (参考)
• “わが国の教員養成の基幹大学”
“The flagship university in education”
flagship : 旗艦
• 単科大学 学生数 約6,400 (学部・修・博・他)
教員数 約 370 (大学の常勤)
• 教育系(教員養成)と教養系
• 教育・研究内容は総合大学に匹敵
ECRトップページ [利用者画面] (http://ecr.u-gakugei.ac.jp)
[例] ECRに登録
のある教員名(プ
ルダウンメニュー)
から選択
授業科目を
選択
授業関連情報の一覧画面
授業関連情
報を選択
授業パスワード
で閲覧制限
「シラバス」へのリンク (図書館員が初期登録)
「文献」 : Web上の情報へのリンク
「講義録」
資料の配付 (学生は各自ダウンロード・印刷)
「宿題」 と 学生の提出課題の公開
著作権注記
「公開承諾
済み」等
ECRのアナウンス機能
メールで
連絡
アナウンス機能で
学生に連絡
利用の流れ
利用申し込み
授業科目の登録
アカウントの発行
(教員)
(図書館)
授業関連情報の登録
(教員)
授業関連情報の閲覧
(学生等)
3つのモード
利用者モード
授業関連情報へのアクセス
教員モード
授業登録をした教員が使用する機能
管理者モード
図書館の担当者が使用する機能
教員モード
授業関連情報登録画面(1/2)
著作権注記
「公開承諾
済み」等
授業関連情報登録画面(2/2)
登録後、図書館
に通知メール
アクセス統計
情報単位で
日・月・学期
ごとに統計
管理者モード
サービスのねらい
• 授業支援
• 学生の予習・復習等の支援
• ノートパソコン必携化(平成15年度新入生~)
⇔ 大学としてのコンテンツの充実
なぜ図書館がサービスするのか
• 指定図書制度の延長
(アメリカの大学図書館等の先行例)
• 文献・情報の入手はやはり図書館 (?)
• 大学内情報関連部門の統合・連携の動き
[東京学芸大]
平成16年4月 図書館事務部 ⇒ 学術情報部
平成17年4月 総合メディア機構
(予定)
学術情報部中心に情報関連部署の連携
教員側のメリット
• 文献の指示・配付が効率的、時間・場所も選
ばない
• アナウンス欄による学生への連絡機能
• 授業パスワードの設定の有無が情報単位で
選べる
• 公開期間の選択
↓
授業内容をシラバス以上に詳細に案内・発信
することも可能
学生側のメリット
• 指示された文献・情報を即座に入手
• 予習・復習が効率的
• 課題・レポートの提出・発表
図書館側の業務
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サーバの管理・運用
初期データの登録 / 学期管理
申請された授業科目の登録
シラバス情報へのリンク
フリーソフトのリンク集
登録ファイルについての相談(形式・ソフトウェア等)
授業関連情報の著作権等への注意
* 迅速な処理が必要なケース多い
図書館の業務体制
• システム管理
電子情報係
• サービス対応
参考調査係
著作権関連
電子情報係
授業関連情報の登録等についての相談
図書館側に必要な知識・情報
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サーバ管理
MySQL,Perl
著作権関連
教員に注意することの難しさ
各種アプリケーションソフト と ファイル形式
PDF,テキスト を推奨
Office文書までは想定していたが…
• 授業に関する具体的な知識・情報
教員とのコミュニケーションに必須
著作物の扱い
• サーバへのファイルの蓄積
• インターネット上の情報へのリンク
• 電子ジャーナルへのリンク
* 権利上の疑問がある場合は、図書館側が
教員に確認
(情報を登録するつど、図書館に通知メール)
サーバへのファイルの蓄積
• 著作権者の許諾を要する
(公衆送信権、送信可能化権)
• 教員が著作権注記を付与する
(許諾済み等)
* 蓄積例は、教員が授業のために作成した
ファイルが多い
インターネット上の情報へのリンク
• リンクは自由という考え方もあるが、
リンク先への連絡を推奨
* 利用例は予想外に少ない
省庁等が公表した資料にリンクする例など
電子ジャーナルへのリンク
• ECRからのリンクは多くのサイトでは問題が
ない (明文がないため確認した例もあり)
• DOI等の基本URLにリンクするよう注意
• サーバへの蓄積は出版社により契約が分か
れるため、行わない方針
* ECRでの利用例はまだない
利用状況
前期
(6~7月)
後期
(10~11月)
(2004.11月末)
教官
科目
授業関連
情報
9
14
109
17
23
161
授業関連情報(タイプ別)
タイプ
文献
講義録
シラバス
宿題
試験問題
その他
合計
件数
10
20
30
6
2
202
270
課題と今後の展望
• 授業に関連して作成されるファイルの
ファイルサーバへのニーズを実感
• 参考文献集的な利用は予想より少ない
← 著作物の扱いに慎重 (?)
• ソフトウェアの検索機能には改善の余地
• シラバスデータベースとの連携・統合
⇔ WebCT などのパッケージソフトとの比較
運用面の課題
• 利用教官を増加させるには?
• 自分のホームページ活用済みの教官はあま
りシフトして来ない
• 著作権について
慎重(?) 多忙 (?)
許諾を得て掲載する例は少ない
35条(教育目的の複製)との誤解
アメリカの fair use との混同
参考文献
• 電子的授業支援(ECR) : 調査及び開発 : 平
成12年度東北大学教育研究協力基金事業
「図書館における電子的授業支援に関する
調査・開発」報告書 / 東北大学附属図書館
ECRプロジェクトチーム編.
仙台 : 東北大学附属図書館, 2001.3
参考資料
• Electronic Reserves Clearinghouse
(http://www.mville.edu/Administration/staff/
Jeff_Rosedale/)
Jeff Rosedale氏 (Manhattanville College Library, NY)
による Electronic Course Reserves に関する情報。
各国の約 140のCourse reserves Sitesへのリンク集等。