第4章 競争力とその構成要素

第4章
競争力とその構成要素
競争力
競争力とは

企業のパフォーマンスへの評価
↓
利害関係者の種類によって異なる
企業を取り巻く利害関係者を満遍なく満足させ
るバランスの良さが必要
必要とされる収入を生み出す力 = 競争力
競争力の概念
有形財製造企業の場合 ~
企業の競争力 =
1 既存の顧客の満足 (satisfy)
2 潜在的な顧客を購買へと誘引 (attract)
競争力のダイナミックス
製品の競争力
satisfy
既存顧客満足度
attract
評判
潜在顧客誘引度
リピート客
ユーザー人口増加
新規顧客増加
情報システムアプローチの観点
の競争力


企業が情報の束を発信 →
1 既存顧客を納得させる力
2 潜在的な顧客を説得する力
マーケットにおいて
• さまざまな商品が消費者に情報の束を発信
• 説得力のある商品が顧客を獲得
• ユーザーを納得させたものが顧客とのつながりを
強化
情報システムアプローチと競争力
・ 情報の束を発信
製造企業
(発信側)
製品自体に体化したメッセージ
・ 満足 不満への翻訳
・ 購買以前の判断材料
消費者・ユーザー
(受信側)
競争力の多面性

製品の競争力 → 多面的な概念
• ひとつの計量的指標ではあらわしづらい

マーケットシェア(製品の得票率)
• もっともストレートなこの指標でも単独で製品の競争力の
全体像を把握することはできない
• マーケットシェアの測定自体が困難
いくつかの指標から、その間の整合性を測る必要が
ある (シェア、収益性、コスト、開発期間 等)
製品・事業・企業の競争力

競争力 → 分析の単位を考える必要性
• (EX)トヨタの住宅事業、サントリーのビール部門

競争戦略 → 通常、事業部レベルの戦略
• 全社レベルの多角化戦略などとは区別される
1 個別商品の測定レベル=最も信頼できる
2 ブランドレベルの競争力の重要性
二つのレベルを並行して分析する必要がある
競争力の構成要素
情報の束で表される競争力要素


1 情報を受け取る顧客の側の接点(顧客イ
ンターフェース)で把握される要因
→ 表層の競争力
2 情報発生装置である企業の開発・生産シ
ステムの実力として把握される要因
→ 深層の競争力
競争力の構成要素

4P :マーケティングにおける競争力
・ 企業が顧客の製品評価に対して影響
を及ぼすための4つのコミュニケーショ
ンルート
・ 消費者が直接受け取って評価できる情
報の束
↓
表層の競争力に対応
4P

Product
~ 製品の名前と知覚された実物
製品の内容

Price
~

Promotion ~ 広告宣伝・カタログその他
販売価格
の販売促進手段

Place
~ 店頭でのセールス要員の商品
説明や売り込み文句 等
Product(製品に体化したメッセージ)
Price(顧客に伝えられる価格情報)
製造
企業
Promotion(広告、その他販売促進手段)
Place(販売店頭等でのセールストーク)
顧客
競争力の構成要素 2

QCDF :開発・生産システムのパフォーマン
スをより直接的に示す
顧客が“QCDF”を直接評価することはあま
りないが、顧客の評価軸である“4P”の競争
力を支える
↓
深層の競争力に対応
QCDF




Cost
Quality
~製品原価 価格に影響を及ぼす
~製品に体化された情報で潜在
的に顧客満足を生み出すもの
Delivery ~顧客から見た調達の期間
(発注から納品)
Flexibility~ 外的要因の変化によってマイ
ナスの影響を受けない度合い
QCDF
実物製品と値札から消費者に発信される情
報の束を魅力的に創造し、製品に正確かつ
効率的に転写し、タイムリーに顧客に発信す
ることを裏方として支える
特に製品(product), 価格(price) に
貢献する
QCDF略図
quality
影響
cost
price
delivery
flexibility
product
promotion
place
能力構築競争

能力構築競争
個々の企業がライバル企業と競い合い、
「ものつくりの組織能力」レベルを高めあう
ことにより
深層の競争力の優劣を競うこと
ものづくり組織能力とパフォーマンス
その他の環境要因
組織能力
組織ルーチン
深層の競争
パフォーマンス
表層の競争
パフォーマンス
利益
パフォーマンス
生産性
価格
生産リードタイム
納期
適合品質
製品内容の訴求力
開発リードタイム 広告内容の訴求力
能力構築競争の対象領域
競争の焦点とそのシフト
・競争力とは、、、
企業が顧客に対して発信する製品関連情報
の、消費者に対する直接・間接の影響力
・顧客の視点から最も重視される属性
“競争の焦点”は時代とともにシフトしていく
競争の焦点とシフト

競争の焦点のシフト
• 環境の変化
• 各企業の競争能力の進化
• 顧客の商品評価能力の進化

に影響される
組織学習・能力向上を通じ、生産や開発のあ
り方を変化させ、変化に即応していく必要が
ある